病院の種類を一覧!仕事や機能・経営母体など多角的に解説します
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2021/08/12
病院といってもさまざまな種類があります。医療機関としての特徴もそれぞれですから、働き方も違ってくるでしょう。今回は、病院の種類と特徴を解説します。病院と一つのカテゴリに括らずに、もっとも自分に合う働き方のできる職場(病院)を探しましょう。診療科ごとの仕事内容もぜひ、参考にしてください。
目次
病院の種類にはどんなものがある?
・病院
・特定機能病院
・地域医療支援病院
・臨床研究中核病院
・精神病院
・結核病院
医療法では一定の機能がある病院を上記のように分類しています。
一定の機能があるものに対して、特定機能病院や、地域医療支援病院といった分類がなされます。
一方で機能や設備ではなく、収容する患者に目を向けた区分が精神病院、結核病院といった区分です。この場合人員配置基準、構造設備基準などが異なります。
病院とクリニック(診療所)の違いはある?
病院とクリニック(診療所)は医療法によって主に病床数で分類されています。
具体的には19床以下の場合はクリニック、20床以上の場合は病院に分類されます。さらにまた無床か有床かでもクリニックは2つに分けられていきます。
20床以上になり、病院として分類されるようになると、構造や設備に対し、厳重なルールが適用されます。
病院の経営母体から見る種類
病院の経営母体(開設者)から見た種類としては、以下のようなものがあります。
・個人立病院
・医療法人立病院
・国立病院
・自治体立(公立)病院
・公的病院(日本赤十字や済生会など)
民間病院とは、個人立や医療法人立の病院のことを指します。では、日本にそれぞれの経営母体の病院がどれくらいの割合で存在しているのかを見ていきましょう。平成27年の厚生労働省の統計情報を参考にグラフにまとめました。グラフを見ると、全国にある病院の大半が医療法人立、つまり民間病院ということがわかります。
個人立 | 医療法人立 | 国立 | 社会保険関係 | 公的医療機関 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
3% | 67% | 4% | 1% | 15% | 10% |
それぞれの病院の職場としての特徴
医療施設としては、一般的な病院や診療所、助産所のほか、医療法改正より「特定機能病院」「地域医療支援病院」「臨床研究中核病院」の区分が創設されています。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
特定機能病院
定義条項 | 医療法第2次改正(1992年~) |
---|---|
病床等の規模 | 400床以上の病院 |
特定機能病院とは、患者が適切な医療を受けられるよう患者の流れをスムーズにするために創られた、高度医療の提供や急性期の患者に対応する病院です。原則として患者の診療は、一般病院や診療所からの紹介によって受け付けます。
特定機能病院は国からの承認を得なければなりません。承認されるには、基準とされる診療科の数、病床数、医師や看護師、薬剤師の配置人数、紹介率や逆紹介率などの要件を満たす必要があります。厚生労働省の公開情報によると、2020年12月時点で全国87病院が承認されているようです。
高度医療に接しながら、知識や技術を磨ける環境です。また病院規模が大きく、確保される人員も多いため患者とも比較的密に接していけるでしょう。職員の福利厚生面も充実している傾向があります。
地域医療支援病院
定義条項 | 医療法第3次改正(1997年~) |
---|---|
病床等の規模 | 400床以上の病院 |
地域医療支援病院は、地域の人々の身近で幅広い医療提供を行なう、地域医療の中核的役割を果たす病院です。あらゆる診療科に対応し、設備も十分に整っています。
地域医療支援病院は、都道府県知事からの承認を得る必要があります。主体が国・都道府県・市町村・社会医療法人・医療法人のいずれかであることが前提の要件です。ほかに、病床数、医療従事者教育、紹介率や逆紹介率、救急医療の能力や設備体制などの要件が定められています。2020年12月時点で全国600ほどの病院が承認されているようです。
幅広い領域の医療に触れながら、学びを深められる職場といえるでしょう。医療従事者のための研修や講習会も活発に行なわれています。人員体制も充実しているところが多いため、出産や子育てをしながらでも比較的働きやすい環境です。
臨床研究中核病院
定義条項 | 第6次改正(2014年~) |
---|---|
病床等の規模 | 400床以上の病院 |
臨床研究中核病院は、日本発の医薬品や医療機器の開発を推進するための臨床研究の中核を担う能力を持つ病院です。次世代に、より良質な医療の提供を可能にする目的で創設されました。
この臨床研究中核病院も国からの承認を受ける必要があり、2020年時点で13の病院が承認を受けています。研究計画の企画・立案し、医療機関と共同で研究を進めることや、他の医療機関の研究サポートなどを行なっています。
病院の仕事、科ごとの種類
部署名 | 概要 |
---|---|
管理者 | 医療法人の場合は、理事長あるいは病院開設者が経営責任、病院長が診療責任を担う管理者となり、個人立病院では病院長が経営・診療の責任・管理者です。 |
診療部 | 医局とも呼ばれ、大病院の場合は、各診療科の構成単位を指し、一般病院では各診療科の医師が集まり、診療の情報共有や研修を行なう場所です。 |
看護部 | 診療の補助業務、患者の衛生確保や食事の介助、異常がないかの観察などが仕事で、病院の中で最も配置人数が多く、患者と接する時間も長い重要職種です。 |
薬剤科 | 薬剤科は、医師の処方に基づく調剤や薬品管理、服用指導など、品質と安全の保証された薬剤を適切な情報とともに患者に提供する役割を担います。 |
検査科 | 検査科には、臨床検査技師と衛生検査技師がおり、血液や尿の成分分析をはじめ、心電図、呼吸機能、脳波、超音波(エコー)などあらゆる生理学的検査を行ないます。 |
放射線科 | 放射線科は、レントゲン撮影、CT、MRI撮影をし、異常を見つけて報告する仕事のほか、血液造影などの診断・手技を使う治療や放射線治療にも携わります。 |
リハビリテーション科 | 理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、言語聴覚士などが患者の状態に合わせて筋力増強、歩行訓練、電気治療やマッサージなどで身体機能の維持・回復のサポートをします。 |
栄養科 | 栄養科では、管理栄養士や調理師などが入院患者の食事の管理、提供し、患者への栄養指導なども行ないます。 |
事務部門 | 事務部門は、病院内の人事、経理、庶務や総務、施設関連を担い、病院の運営をサポートするとともに職員が働きやすい環境を整備するのが仕事です。 |
医事課 | 医事課では、診療の受付や会計のほか、入退院事の事務手続きや保険請求業務などに携わります。 |
情報管理部門 | 医療業界でもIT化が進んでおり、この部門は病院内の情報システム管理と診療情報の管理を担い、病院運営や情報活用の効率性や利便性をバックアップします。 |
地域連携室 | 地域住民が自分に必要な治療を十分に受けられるよう、地域の医療機関と連携し各機関の機能分担、連絡調整や医療機関や介護施設からの紹介の受付などを担います。 |
経営企画部 | 病院の運営を支援するために設けられる専門組織で、管理運営に関わる経営戦略を立案したり、病院の中長期計画の実行に対する支援を行なったりする部門です。 |
委員会 | 法律で設置が義務付けられている医療安全委員会や感染対策委員会などをはじめさまざまな委員会が設置され、提供する医療の質や病院サービスの向上、運営の効率化が測られています。 |
医事課の仕事内容とは?
外来医療業務/入院医事業務/保健請求業務/医事統計業務/医師事務作業補助者 など
医事課は接客中心の業務と事務処理業務を主に行う部署です。具体的には上記にまとめたような業務を行います。教育制度が整っていることが多く、比較的休みがとりやすい部署であるのも特徴です。
病院の種類はこんなにある!自分にあった職場選びの参考に
経営母体の違いや医療法によって創設された細かい病院の種類をご紹介しました。個々に医療機関としての体制や役割は異なり、職場としての特徴も違います。各医療機関の特徴を十分に理解した上で、自分にとって最適な働く現場を選択していくことが大切です。
ぜひ病院ごとに実際の求人も確かめてみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。