機能訓練指導員になるには資格が必要?仕事内容や役割・主な活躍場所を紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2025/02/26
公開日:2019/07/21
機能訓練指導員は、資格が必要なのでしょうか。機能訓練指導員に必要な資格を始め、仕事内容や目的、役割など分かりやすくご紹介します。また、どのような施設で活躍できるのか、将来のキャリア形成についても解説します。機能訓練指導員に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
機能訓練指導員は高齢者の日常を支える職種
機能訓練指導員とは、利用者さんそれぞれの障害の程度や能力に応じて、適切な機能訓練計画をたてて実施する職種です。高齢者が自立した生活を営める他、日常生活での機能維持を向上することを目的としています。
介護保険法によって、介護施設において必ず一人以上機能訓練指導員を配置するよう定められています。高齢社会の自立支援や、重度化防止の取り組みが求められる現代において、需要が高まっている仕事のひとつです。
機能訓練指導員になるには8つの資格のいずれかが必要
・看護師または准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・柔道整復士
・あん摩マッサージ指圧師
・鍼灸師
機能訓練指導員という名前の資格はありませんが、上記の8つの国家資格からいずれかを取得することで、機能訓練指導員として働くことができます。どの資格も取得するためには専門の学校や養成所に数年間通い、かつ国家試験の合格が必要です。
それぞれが専門性のある資格なので、それらを活かし協力しながら1人の利用者さんを支援していきます。
鍼灸師は注意!資格以外の条件がある
鍼灸師も機能訓練指導員になることができるものの、資格以外の条件があるため注意が必要です。その条件とは、鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍している施設において、半年以上の実務経験を積むことです。
初めて機能訓練指導員として仕事をする場合には、応募要件などをよく確認するようにしましょう。
【注意】介護福祉士資格だけでは機能訓練指導員になれない
介護福祉士や社会福祉士など、福祉系の資格では機能訓練指導員になることはできません。もし、介護職経験者が機能訓練指導員を希望する場合には、別途資格を取得しましょう。
どの資格であっても、取得のために時間や費用がかかります。しかし、取得することで医療分野への転職も可能になるでしょう。
今後、医療分野での活躍を視野に入れている場合には、機能訓練指導員になるための資格を取得することをおすすめします。
機能訓練指導員の具体的な仕事内容
比較項目 | 個別機能訓練(Ⅰ) | 個別機能訓練(Ⅱ) |
---|---|---|
目的 | 基本的な身体機能の向上 | 日常生活の機能向上 |
機能訓練指導員の配置 | イ 機能訓練指導員1名以上 ロ 機能訓練指導員2名以上 |
算定要件なし |
単位数 | イ56単位/日 ロ76単位/日 |
20単位/月 (個別機能訓練加算(Ⅰ)算定に加えて算定する) |
行える職員 | 機能訓練指導員が直接実施 | 機能訓練指導員のみ |
機能訓練指導員が行う個別機能訓練は、(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれます。目的や単位数などの違いについて具体的にご紹介します。
個別機能訓練(Ⅰ)
個別機能訓練(Ⅰ)は、日常生活において必ず保ちたい身体機能を維持・向上させることを目的に行われます。機能訓練指導員の管理下で、介護職員などが携わる場合もあります。
利用者の状況に合わせて機能訓練項目を複数準備し、利用者自身が選ぶことで生活意欲の増進が狙えるでしょう。また、施設内の設備を用いた反復的な訓練が算定要件となります。
個別機能訓練(Ⅱ)
個別機能訓練(Ⅱ)では、基本的な身体向上ではなく、日常生活動作(ADL)の向上を目的とします。そのため心身機能だけでなく、社会参加の視点での訓練を考えることが求められるでしょう。
個別機能訓練(Ⅰ)に加え、算定には厚生労働省に個別機能訓練計画の情報を提出し、フィードバックを受けることが必要です。訓練計画を実施し、評価結果を踏まえて計画の見直しや、サービスの管理がかかせません。
そのため、機能訓練指導員のみが行えます。
【保有する資格別】機能訓練指導員に求められる役割
・看護師または准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・柔道整復士
・あん摩マッサージ指圧師
・鍼灸師
機能訓練指導員の資格要件には8つの資格がありますが、全員が同じ資格を所有しているわけではありません。資格によって、学んでいるスキルや知識にも違いがあり、期待される職務にも若干の違いがあるでしょう。ここでは、求められる役割についてご紹介します。
看護師または准看護師
看護師の資格を持つ機能訓練指導員には、医学的な知識を用いて体調管理、病気のリスク管理、病気、けがの処置などを行う役割を担っています。リハビリの知識や技術は専門外のため、働きながら覚えていくことが多いでしょう。
厚生労働省が発表した平成28年度のデータでは、通所介護の機能訓練指導員の65.6%が看護師の資格を所有しています。
理学療法士
理学療法士は、運動療法や物理療法を用いて、日常生活における運動能力の改善を行う役割を担っています。立つ、座る、歩くといった基礎的な身体機能を改善し、円滑に自立した生活を送れるようにサポートするのが仕事です。
利用者さんの状態の評価や、評価を元にした訓練プログラムの立案、実施ができる場合には、どのような現場でも求められるでしょう。
作業療法士
作業療法士は、入浴や食事、掃除などの日常生活動作に着目したリハビリを行います。工作や遊び、仕事などを通じて、日常生活での動作能力や運動機能を維持、改善を目指すのが業務の1つです。さまざまな活動を通して訓練を行うため、体だけでなく、時として心のケアを行う場合があるでしょう。
言語聴覚士
言語聴覚士は、訓練を通して、失語症や嚥下障害など言語や嚥下、口腔機能の維持や改善を目指します。利用者さんのQOLに直結する摂食機能やコミュニケーション能力の維持・向上を求められる重要な役割と言えるでしょう。
とくに、食べることは高齢者の体力と気力を維持するため、需要が高くなっています。
【機能訓練とリハビリの違いとは?】
リハビリは、医師の指示の下に行われるのに対し、機能訓練は介護専門支援員の作成したケアプランを元に行われます。違いとしては、医師の指示の下、行われるかどうかという点にあるでしょう。ケアプランは医師からの助言はあるものの、指示はありません。
柔道整復師
柔道整復師は、骨や筋肉など人体の損傷に対しての痛みを緩和し、機能回復を支援する役割を担います。接骨院や整骨院などで働く人も多いですが、高齢者特有の疾患にも精通しているため、介護施設でも重宝されるでしょう。
ただし、介護業務については専門外のため、現場で学ぶケースがほとんどです。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、マッサージや指圧療法などによって疲労感や筋肉のコリ、硬さを軽減する職種です。押し、引き、揉みなどの手技を症状に応じて調整し、痛みを緩和させます。
そのため、日常生活を穏やかに過ごせるように支援するのが得意です。介護については未経験なことが多く、現場で学ぶケースがほとんどでしょう。
鍼灸師
鍼灸師には、体の痛みを取り除くプロとして技術と知識が求められます。鍼や灸といった、漢方医学とも呼ばれる伝統的な医療で症状を改善するのが役割です。平成30年の介護保険法改定に伴い、新たに機能訓練指導員として認められました。
しかし、機能訓練指導員として働くためには6ヶ月以上の実務経験が必要なので、注意しましょう。
機能訓練指導員は介護・医療施設で活躍
介護施設
・デイサービス
・ショートステイ
・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム…など
介護施設で機能訓練指導員として働く場合は、介護施設を住まいとしている入居者や、デイサービスなどに継続的に通う利用者を相手にすることが多く、一人の利用者と長期的に関わりやすいです。
他のスタッフに対して指導方法をアドバイスしたり、レクリエーションなども専門家の視点からサポートしたりします。
医療施設
・介護療養型医療施設
・病院併設型リハビリテーション
・介護老人保健施設
医療施設は、医師や看護師が常勤で配置されている施設のため、医療色が強めです。介護老人保健施設は、リハビリ専門職の配置が義務付けられています。
より専門的なリハビリをおこないたい人や、医師などの医療関係者との連携によって仕事をしたい人におすすめです。
機能訓練指導員の気になる給料はいくら?
給料は職場によって異なりますが、厚生労働省が発表した介護従事者処遇状況等調査結果によると、2022度の機能訓練指導員の平均給与額は355,060円でした。同調査によると、2009年から機能訓練指導員の平均給与額は34万円前後をキープしている状況です。
機能訓練指導員は、一般的に給与が低いと言われる介護職として働く場合も、資格手当などで比較的高い給料を期待することができます。
機能訓練指導員にチャレンジしましょう
機能訓練指導員は利用者さんと関わり、適切な機能訓練計画をたて、実施することで自立した生活を営むことや、日常生活の機能維持、向上を目指します。指定の国家資格を所持している場合には、その専門性を活かし機能訓練指導員として働くことができます。介護や医療施設で活躍したいと考えているのであれば、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ソラジョブ介護では、機能訓練指導員を始めとしたさまざまな職種の求人をご紹介しています。高齢化が進む現代では、介護業界で多くの人材を必要です。知識と経験を活かしてさらに活躍したい方は、地域、職種、条件などで簡単に検索できるソラジョブ介護で、ぴったりの仕事を見つけてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。