機能訓練指導員になるには?必要な国家資格、求められるスキルなども紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2019/07/21
介護分野で活躍する機能訓練指導員について、ご存じですか?機能訓練指導員になるには必要な資格があり、誰もがなれる職種ではありません。今回は、機能訓練指導員になるための資格や求められるスキルなど、機能訓練指導員について幅広く解説します。
機能訓練指導員とは?
機能訓練指導員は、介護保険法によって定められている、リハビリ分野における重要な職種です。利用者それぞれの障害の程度や能力に応じて、適切なリハビリプランを立てて実施し、自立した生活が営めるように支援します。
機能訓練指導員は、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの介護施設において、必ず一人以上配置をする決まりとなっています。人材不足が慢性化している介護分野においても特に需要の高い職種です。
機能訓練指導員になるには8つの国家資格からいずれかを取得する
・看護師または准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・柔道整復士
・あん摩マッサージ指圧師
・鍼灸師
機能訓練指導員という名前の資格はありませんが、上記の8つの国家資格からいずれかを取得することで、機能訓練指導員として働くことができます。どの資格も取得するには、数年間、専門の学校や養成所に通い、国家試験の合格が必要です。
保有する資格によって求められる機能訓練指導員の仕事内容
機能訓練指導員は、資格要件に含まれる8つの資格のうち、全員が同じ資格を所有しているわけではありません。学んでいるスキルや知識にも違いがあるため、保有している資格によって期待される職務にも若干の違いが生まれます。
看護師または准看護師
看護師の資格を持つ機能訓練指導員は、医学的な知識を用いて、体調管理、病気のリスク管理、病気・けがの処置などをおこなうことができます。リハビリの知識や技術については、働きながら覚えていくケースが多いです。厚生労働省によると、平成28年では通所介護の機能訓練指導員の65.6%が看護師の資格を所有しています。
理学療法士
機能訓練指導員の仕事は、理学療法士の仕事と重なる部分も多いです。理学療法士として働く機能訓練指導員は、運動療法や物理療法を用いて、日常における運動能力の改善をおこないます。利用者の状態の評価や機能訓練のためのプログラムの作成、実施ができれば、どの現場でも求められるでしょう。
作業療法士
作業療法士の資格を持つ機能訓練指導員は、入浴、食事、掃除など、応用動作のリハビリテーションが得意ですから、その専門性を生かしたリハビリをおこなうことはもちろん、立つ・歩くなどの基本的な動作に関するリハビリ指導も求められます。レクリエーションなどのさまざまな活動を通した心と体のケアが得意な点などは、機能訓練指導員として重宝されるポイントです。
言語聴覚士
言語聴覚士として働く機能訓練指導員は、言語訓練や、嚥下障害・口腔機能に関するリハビリ指導などが求められます。口腔ケアや、誤嚥の予防の観点からリハビリを提供する場面が多いです。高齢者の体力を維持するために不可欠な食べる力を支援する仕事として、その専門性の知識や技術を求めている高齢者はたくさんいます。
柔道整復師
柔道整復士の資格を持つ機能訓練指導員は、骨や筋肉など、人体の損傷に対しての痛みを緩和し、機能回復を支援します。柔道整復士は、高齢者特有の疾患に精通していることも多く、介護施設でも重宝される存在です。介護業務全般の技術においては、現場で学んでいくケースが多いです。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師の資格を持つ機能訓練指導員は、マッサージや指圧療法等によって疲労感や筋肉のコリ、硬さを軽減するリハビリが求められる傾向にあります。柔道整復師と同じく、介護業務全般は現場で学ぶケースが多いです。
鍼灸師
鍼灸師の資格を持つ機能訓練指導員は、体の痛みを取り除くプロとしての技術と知識が求められます。鍼灸師は、平成30年の介護保険法改定に伴い、新たに機能訓練指導員として認められるようになりました。その理由として、人材の確保が急務であることと、鍼灸師にしかできない施術によって高齢者の機能改善が期待できることが考えられます。
鍼灸師のみ、機能訓練指導員になるために必要な要件がある
鍼灸師の場合、その他の資格とは機能訓練指導員になる要件に異なる部分があります。鍼灸師の資格保有者が機能訓練指導員になるためには、鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設にて、半年以上の実務経験が必要です。
機能訓練指導員が活躍する職場
介護施設
介護施設で機能訓練指導員として働く場合は、介護施設を住まいとしている入居者や、デイサービスなどに継続的に通う利用者を相手にすることが多く、一人の利用者と長期的に関わりやすいです。他のスタッフに対して指導方法をアドバイスしたり、レクリエーションなども専門家の視点からサポートしたりします。
・デイサービス
・ショートステイ
・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム…など
医療施設
医療施設は、医師や看護師が常勤で配置されている施設のため、医療色が強めです。介護老人保健施設は、リハビリ専門職の配置が義務付けられています。より専門的なリハビリをおこないたい人や、医師などの医療関係者との連携によって仕事をしたい人におすすめです。
・介護療養型医療施設
・病院併設型リハビリステーション
・介護老人保健施設
介護福祉士などの福祉系の資格では機能訓練指導員にはなれないので注意
機能訓練指導員は介護分野でも活躍する人材ではありますが、介護福祉士や社会福祉士は機能訓練指導員になれる資格に含まれないため注意が必要です。
しかし、介護経験者は、機能訓練指導員になるための資格を取得することで、介護だけでなく、医療施設への転職も考えられるようになります。これから介護分野ではなく医療分野でも就職も選択肢に入れたい方は、機能訓練指導員になるための資格取得も検討してみてはいかがでしょうか。
機能訓練指導員の給料はいくら?
給料は勤務によって異なりますが、厚生労働省が発表した介護従事者処遇状況等調査結果によると、平成30年度の機能訓練指導員の平均給与額は344,110円でした。同調査によると、2009年から機能訓練指導員の平均給与額は34万円前後をキープしている状況です。機能訓練指導員は、一般的に給与が低いと言われる介護職として働く場合も、資格手当などで比較的高い給料を期待することができます。
機能訓練指導員になるには国家資格が必要ですが、職務も待遇も魅力的な仕事です
機能訓練指導員になるには、規定されている8つの国家資格からいずれか一つを取得する必要があります。どの資格も、学校に通い国家試験に合格する必要があるため、簡単に取得できる資格ではありません。しかし、機能訓練指導員は需要が高く、比較的高収入の待遇を得やすくなるため、これから介護分野・医療分野で働きたい人にとってはおすすめです。また国家資格の取得は、自分のスキルと市場価値を高められるため、その点も踏まえて資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。