サ責(サービス提供責任者)は他の業務を兼務可能?兼務の際の注意点など詳しく解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/10/05
訪問介護事業所では、サ責(サービス提供責任者)の配置が義務付けられています。サ責への転職を考えている、訪問介護事業所を開業したい方からすると、サ責の配置基準や兼務についてはあいまいな点も多いでしょう。そこで今回はサ責の兼務について、配置基準や兼務の注意点などを詳しくお伝えします。
目次
サ責(サービス提供者)は兼務可能?
サービス提供責任者、通称「サ責」は訪問介護事業所での配置が必須となる職種であり、他の業務との兼務は可能です。利用者さまやケアマネージャーのパイプ役となり、訪問介護計画書の作成や相談業務、訪問介護業務など幅広い業務を担当します。まずはサ責の兼務について、配置基準を踏まえてみていきます。
サ責の配置基準
訪問介護事業所では、常勤・専従のサ責を1人以上配置することが義務付けられています。直近3ヶ月での訪問介護事業所の利用者数が41〜80人で2名以上、81〜120人で3人以上と、40人またはその端数を増すごとに配置人数も1人増加します。2015年には特例が加わり以下条件を満たすことで、直近3ヶ月の利用者数50人につき1人の配置に緩和されました。
・常勤のサービス提供責任者を3名以上配置
・サービス提供責任者の業務をメインに従事する者を1名以上配置
・サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている
効率的に業務が行われているかは「サ責の月の訪問介護業務時間が30時間以内」「業務支援ソフトやタブレット端末など、IT機器やネットワークシステムなどを活用しているか」といった基準で判断されます。
訪問介護事業所内でのサ責の兼務について
訪問介護事業所ではサ責のほか、管理者やヘルパーの配置が義務付けられています。うち、サ責は管理者かヘルパーのどちらかであれば兼務可能です。サ責が管理者かヘルパーのいずれかを兼務することで、人的コストの削減効果があります。
ただし、兼務できるのは業務に支障がない場合のみであり、「サ責」「管理者」「ヘルパー」の3つを兼務することはできません。
サ責の兼務は大変か
兼務することで業務範囲が広がりますが、業務過多にならないよう各業務が調整されることもあるため、大変かどうかは状況によって変わってくるでしょう。業務過多にならないように兼務できるのであれば、兼務することでさまざまな業務に対応できるようになり、スキルアップやキャリアアップにつながります。
職種・事業所からみるサ責の兼務について
ここでは職種や事業所の面から、サ責の兼務についてより詳しくみていきます。
サ責が兼務できる職種・事業所
前述したように、サ責は訪問介護事業所内の「管理者」「ヘルパー」いずれかと兼務できます。管理者は事業所の経理や人事管理、マネジメントなどを行うことからサ責と関連する業務が多い点が特徴です。またサ責は利用者さまの自宅に出向いて、訪問介護業務を行うこともできます。ご自身が作成した介護計画書をもとにサービスを提供できるため、やりがいが大きい点が魅力です。
さらにサ責は、以下の事業所とも兼務することができます。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・障害者総合支援法に基づく居宅介護、指定同行援護、指定行動援護、指定重度訪問介護
これらの事業所が訪問介護事業所と同一事業者の運営であり、かつ同じ敷地内にある場合に兼務可能です。「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「夜間対応型訪問介護」は、決められた時間にサービス提供するのではなく定期的、または連絡があった場合に随時サービスを提供します。
サ責が兼務できない職種・事業所
一方で、以下のケースではサ責が兼務することは認められていません。
・有料老人ホーム
・指定居宅介護事業所
有料老人ホームが訪問介護事業所を併設しているケースもありますが、同一敷地内であっても有料老人ホームとの兼務はできません。また、障害者総合支援法に基づいた社会福祉サービスの1つである、指定居宅介護事業とも兼務は認められていません。 訪問介護事業所と同様に指定居宅介護事業所では、1名以上のサ責の配置が義務付けられています。
ただし例外として「指定居宅介護事業所と指定訪問介護事業所が同一事業所で、一体的に事業を運営している」場合は、兼務しても問題ありません。
サ責が他の業務を兼務する際の注意点
ここでは、サ責が兼務する際の注意点をお伝えします。
兼務要件は都道府県や自治体によって異なる
サ責の兼務に関する要件は、都道府県や自治体によって多少違いがあります。そのため詳細については、各自治体に問い合わせることが確実です。
非常勤扱いになることも
併設施設で他職種と兼務する場合、両施設で非常勤扱いとなります。しかしこの場合、訪問介護の勤務時間が半数以上を占めている必要があります。
サ責と他職種の違い
介護職には、サ責に似ている職種もいくつかあります。そのため、今後サ責を目指すか、他職種を目指すかで悩んでいる方もいるでしょう。サ責に似ている職種にはサ責と兼務できる管理者をはじめ、ケアマネや生活相談員があります。
事業所の運営に関わる管理業務や人事業務を担当する管理者、介護計画書を作成するケアマネや利用者や家族の相談役となる生活相談員は、いずれもサ責と同様の業務も含まれています。これらの職種とサ責の大きな違いは、サ責が在宅介護サービスを専門としている点です。
サ責はヘルパーのマネジメントや管理、訪問介護計画書の作成や利用者・家族の窓口業務など幅広い業務を担当するため、管理者やケアマネ、生活相談員の役割を兼ねている職種といえます。なかでもケアマネのように、介護計画書の作成や利用者とヘルパーをつなげる役割が大きいです。しかしサ責はケアマネよりも現場に近い立場でマネジメントする仕事であるため、現場寄りでマネジメントしたい方に向いているといえます。
サ責になるには
サ責は職種名であるため、サ責専用の資格や研修はありません。しかし誰でもサ責として働けるわけではなく、サ責として働くには以下要件を満たしていることが必須です。
・介護福祉士を取得している
・実務者研修または旧ホームヘルパー1級を修了している
これまでは初任者研修および旧ホームヘルパー2級の修了者で、かつ3年以上の実務経験を積んでいることでもサ責になれました。しかし2018年に資格要件改定により、初任者研修と旧ホームヘルパー2級は要件から除外。介護福祉士や実務者研修を修了していることが条件であることから、サ責は介護職のキャリアアップとして目指される職種です。
サ責は管理者やヘルパー、一部事業所での兼務が可能!
訪問介護サービスを専門とするサ責(サービス提供責任者)は、管理者やヘルパーと兼務することができます。そのほか定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護、障害者総合支援法に基づく居宅介護事業所においても兼務可能です。兼務はそれだけ業務が増えることになるので大変ですが、その分やりがいも大きくなります。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。