介護支援専門員更新研修まとめ|フローチャートや研修の種類について
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/11/11
介護支援専門員、通称「ケアマネ」は5年ごとに資格を更新する必要があります。そのために受講するのが介護支援専門員更新研修であり、期限内に講習しないと資格が失効してしまいます。今回は介護支援専門員更新研修について、フローチャートや研修の種類などを詳しく解説します。
目次
介護支援専門員更新研修とは
平成18年よりケアマネージャーの資格は5年ごとに更新制となり、更新のために「介護支援専門員更新研修」の受講が必要です。研修は介護支援専門員として登録している都道府県で受講します。
介護支援専門員更新研修の対象者
介護支援専門員更新研修の対象者は、資格の更新を希望する全てのケアマネージャーです。資格が有効でないとケアマネージャーとして業務に携わることはできず、更新研修を受けずに資格が失効してしまうとケアマネージャーとして働くことができません。ただし、資格失効後も都道府県の登録簿に記録は残っているため、資格自体がなくなるわけではないのです。失効中は業務ができないというだけで、失効後にケアマネージャーとして従事することになれば、その際に研修を受けることで資格が有効になります。
介護支援専門員更新研修はいつから受けられる
介護支援専門員更新研修は、資格期限の切れる1年前から受講できます。更新研修は資格の有効期限が切れる当日までに修了していなければならず、受講途中や翌日以降で期限が切れてしまった場合は更新ができなくなってしまうため要注意です。
介護支援専門員更新研修は各都道府県で、実施日と定員が決まっています。直前だと満員で希望の研修が受講できない可能性もあります。そのためご自身の資格有効期限をあらかじめ把握し、早めに都道府県の受講スケジュールを確認して申し込みすることが重要です。
介護支援専門員更新研修を受けずに業務した場合のペナルティ
資格失効状態でケアマネージャーとして業務を行なった場合、5年間資格の再取得ができない「登録抹消」というペナルティがあります。これは介護支援専門員更新研修を受けていたにもかかわらず、介護支援専門員証の更新手続きを忘れていた場合も含まれます
しかし忙しい介護現場では、ケアマネージャーが手続きを忘れてしまうケースも少なくありませんでした。そこでこの状況を鑑みた宮城県が、登録を抹消する「削除要件」を独自に緩和する処置をとりました。これを受けて政府でも見直しの動きがあり、現在は法改正のもと「削除要件の緩和」が適用されています。
介護支援専門員更新研修のフローチャート
介護支援専門員更新研修は、人によって受講すべき研修が異なる点が特徴です。そのためご自身の状況に合わせて、適切な研修を受ける必要があります。ここでは東京都福祉保健財団の公表しているフローチャートをもとに、受講すべき更新研修をみていきます。
ケアマネージャーとしての実務経験の有無
まず基準となるのは介護支援専門員証の有効期間5年の間で、実務経験があるかです。実務経験に含まれる業務は、下記事業所における介護サービス計画等の作成です。
・居宅介護支援事業所(ケアプランを作成しない管理者も含む)
・(介護予防)特定施設入居者生活介護の事業所
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護/(介護予防)認知症対応型共 同生活介護/地域密着型特定施設入居者生活介護/地域密着型介護 老人福祉施設入所者生活介護/看護小規模多機能型居宅介護の事業所
・介護保険施設
・介護予防支援事業所及び基準該当介護予防支援事業所(保健師、社会福祉士、看護師の配置の場合も含む)
・地域包括支援センター(保健師、社会福祉士の配置で予防プランを作成した場合も含む、かつ主任介護支援専門員はケアプランを作成していない場合も含む)
実務経験なしの場合
実務経験なしの場合は、今後ケアマネージャーとして従事する予定があるか否かによってルートが異なります。
従事する予定がある場合には、介護支援専門員証の有効期限内に実務未経験者向けの54時間の更新研修を受講。一方従事する予定がない場合は、更新研修を受講する必要はありません。有効期限を過ぎた後に従事する予定ができたら、再研修を受講することで介護支援専門員証の交付が受けられます。
実務経験ありの場合
実務経験ありの場合は、介護支援専門員証の更新回数が「1回目」か「2回目以降」かによってルートが分かれます。
介護支援専門員証の更新1回目の場合
更新1回目の場合は、現在の介護支援専門員証の有効期間中の「専門研修Ⅰ」の受講有無によって受講すべき研修が異なります。
専門研修Ⅰを修了 | 専門研修Ⅱを修了 | 更新研修の受講は必要なし 資格有効期間満了の約3ヶ月前に「更新手続きの案内」が送付されるため、手続きのみで更新完了 |
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専門研修Ⅱを未修了 | ①…現任で就業後3年以上の方のみ専門研修Ⅱを受講 ②…①の要件を満たしていない場合は32時間の更新研修を受講 |
|
専門研修Ⅰを未修了 | ①…実務経験者向けの88時間の更新研修を受講 ②…専門研修Ⅰを修了後、専門研修Ⅱを受講 ③…専門研修Ⅰを修了後、32時間の更新研修を受講 |
専門研修は必ずⅠを受講後、Ⅱを受講する流れです。そのため専門研修Ⅰの受講要件である、就業後6ヶ月以上を満たしていない場合は必然的に専門研修が受講できないため、更新研修の受講となります。
介護支援専門員証の更新2回目以降の場合
更新が2回目以降の場合は、下記のようなフローチャートとなります。
【前回の専門員証更新の際に修了した研修】 | ||
---|---|---|
①専門研修Ⅰ+専門研修Ⅱ ②専門研修Ⅰ+更新研修(専門研修Ⅱ相当) ③更新研修(実務経験者向け:専門研修Ⅰ相当+専門研修Ⅱ相当) ④専門研修Ⅱのみ*連続して実務経験者として更新した方 ⑤更新研修(専門研修Ⅱ相当)のみ*連続して実務経験者として更新した方 ⑥更新研修(実務未経験者向け) |
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①~⑤を修了 + 専門研修Ⅱまたは相当する更新研修を修了 |
①~⑤を修了 + 専門研修Ⅱまたは相当する更新研修を修了していない |
⑥を修了 + 専門員証の有効期間中に専門研修Ⅰを修了していない |
⑥を修了 + 専門員証の有効期間中に専門研修Ⅰを修了している |
||
・更新研修の受講は必要なし 資格有効期間満了の約3ヶ月前に「更新手続きの案内」が送付されるため、手続きのみで更新完了 |
①現任で就業後3年以上の方のみ専門研修Ⅱを受講 ②①の要件を満たしていない場合は32時間の更新研修を受講 |
①実務経験者向けの88時間の更新研修を受講 ②専門研修Ⅰを修了後、専門研修Ⅱを受講 ③専門研修Ⅰを修了後、32時間の更新研修を受講 |
介護支援専門員更新研修の種類
ここでは、介護支援専門員更新研修の種類と研修内容についてみていきます。
実務経験者向け更新研修
実務経験者向けの更新研修は、88時間と32時間の2つの研修があります。
88時間の更新研修の対象者 | 就業期間が6ヶ月未満で「専門研修Ⅰ」「専門研修Ⅱ」を受講できない人 |
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32時間の更新研修の対象者 | 「専門研修Ⅰ」を修了しており、就業期間3年以上を満たしておらず「専門研修Ⅱ」を受講できない人 |
実務経験者向けの更新研修は、専門研修の内容に相当するものです。
現任で就業後6ヶ月以上の方が受講可 | |
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・ケアマネジメントにおける実践の振り返り及び課題の設定 ・介護保険制度及び地域包括ケアシステムの現状 ・対人個別援助技術及び地域援助技術 ・ケアマネジメントの実践における倫理 ・ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多他職種協働の実践 ・事例をもとにしたケアマネジメントの演習 ・個人での学習及び介護支援専門員相互間の学習 ・研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り |
|
現任で専門研修Ⅰを修了し、就業後3年以上の方が受講可 | |
・介護保険制度及び地域包括ケアシステムの今後の展開 ・ケアマネジメントにおける実践事例の研究及び発表 |
専門研修を受講する場合は、いずれも7日間の受講期間となります。
実務未経験者向け更新研修
実務未経験者向けの54時間の更新研修は、以下のようなカリキュラムです。
介護護憲制度の理念・現状及びケアマネジメント | 講義3時間 |
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自立支援のためのケアマネジメントの基本 | 講義・演習6時間 |
人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理 | 講義2時間 |
介護支援専門員に求められるマネジメント(チームマネジメント) | 講義・演習2時間 |
地域包括ケアシステム及び社会資源 | 講義3時間 |
ケアマネジメントに必要な医療の連携及び多職種協働の意義 | 講義3時間 |
ケアマネジメントに係る法令等の理解 | 講義2時間 |
ケアマネジメントの展開・基礎理解 | 講義・実習28時間 |
アセスメント及び居宅サービス計画等作成の総合演習 | 講義・演習5時間 |
ケアマネジメントの展開では「脳血管疾患」「認知症」「筋骨格系疾患及び廃用症候群」「内臓の機能不全」「看取り」に関する事例を用いて、各5時間ずつ講義・演習を行います。
再研修
介護支援専門員証の登録後5年以上実務経験がない、または実務経験はあるが更新の必要がない方が、有効期限終了後に交付が必要となった場合に受講するのが再研修です。再研修では54時間の受講の中で、ケアプラン作成をはじめとした業務の基礎となる知識・技能を学習します。
介護支援専門員更新研修はフローチャートを確認して該当する研修を受けよう!
介護支援専門員更新研修は、実務経験有無や就業期間に応じて受講すべき研修が異なります。そのためフローチャートをよく確認し、適切な研修を受講しましょう。更新研修は定員に達して受講できなくなってしまうケースも考えられるため、専門員証の有効期限は早めに確認して研修に申し込んでください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。