介護医療院とは?わかりやすく解説!仕事内容や働く職員について
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/10/24
公開日:2022/01/31
2018年4月に創設された介護医療院は、介護療養型医療施設の主な転換先として機能する今後需要の高まる介護施設の1つです。今回は介護医療院の特徴や役割を踏まえて、提供サービスからみる仕事内容や働く職員をご紹介します。転職する際は介護医療院も候補の1つとなる可能性があるため、施設について理解を深めましょう。
目次
介護医療院とは
厚生労働省資料によると、介護医療院は以下のように定義されています。
介護医療院とは、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。
つまり、介護医療院は医療依存度が高く長期にわたり療養が必要な要介護高齢者が療養・生活する施設です。まずは、介護医療院について詳しくみていきます。
介護医療院創設の背景
介護医療院は2017年度末で廃止した「介護療養型医療施設」の主な転換先として、2018年4月に新設された介護施設です。介護保険事業計画に則り新たに法定化された「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」と同様の介護保険施設です。
国では2025年に向けた慢性期医療ニーズと高齢者の増加に伴い、療養病床と慢性期医療の在り方について対応方針の検討を進めてきました。そこで課題となっていたのは、介護保険施設入所者は医療の必要性の高低にかかわらず容体が急変するリスクがありつつも、そうした状況に完全対応できる介護保険サービスが存在してなかったことです。そうしたニーズに応えるべく、日常生活上の介護と医療が一定的に提供できる介護保険サービスとして介護医療院が創設されました。
なお、介護療養型医療施設は移行期間として2024年3月までは存在していますが、今後新設されるのは全て介護医療院となります。
介護医療院の特徴・役割
介護医療院の特徴は、日常生活上の介護と医療が一定的に提供されることです。長期療養が必要な要介護高齢者が生活拠点として入居できるだけでなく、看取りやターミナルケアも含めた医療ケアが提供されます。
そして介護医療院は単に介護療養型医療施設の転換先ではなく、「住まいと生活を医療が支える新たなモデル」として創設された施設です。そのため「利用者の尊厳と保持」「自立支援」を理念に掲げ、ただ医療と介護が一体的に提供されるだけでなく「地域に貢献し地域に開かれた交流施設」としての役割を担うことが期待されています。今後高齢化が急速に進む上で、要介護高齢者の生活を医療と介護で支える施設としての役割を果たします。
介護医療院の種類
介護医療院には、役割に応じた2種類の施設があります。
Ⅰ型 | 介護療養病床相当のサービスを提供 |
---|---|
Ⅱ型 | 老人保健施設相当以上のサービスを提供 |
どちらも要介護高齢者の長期療養と生活、看取りやターミナルケアを支える役割に変わりはありませんが、入所者の状態に応じてⅠ型とⅡ型に分類しています。
Ⅰ型は重篤な身体疾患のある要介護高齢者や合併症のある認知高齢者など、療養機能強化型A・Bに相当する方が主に入所します。そしてⅡ型は療養機能強化型A・Bには相応せず、Ⅰ型よりも比較的容体が安定している方が入所する施設です。サービスや施設設備、介護保険サービス等に違いはないものの、職員の人員基準のみ最低基準が異なります。
介護医療院の対象者
介護医療院はⅠ・Ⅱ型とも、65歳以上かつ要介護1〜5の高齢者が対象です。なお、特定疾病を抱えており、要介護認定を受けている40歳以上64歳以下の方も利用できます。なかでもⅠ型は容体の急変リスクが高かったり、合併症を有する認知症高齢者などが、Ⅱ型はⅠ型よりも容体が安定している人が対象となります。要支援1・2の方は利用できず、要介護認定を受けている方でも要介護度が高いほど受け入れられやすい傾向にあります。
介護医療院と他介護保険施設の違い
ここでは前身となる介護療養型医療施設を含め、その他介護保険施設と介護医療院の違いをみていきます。
介護医療院と介護療養型医療施設の違い
介護医療院は長期療養と生活の両方の性格を持つ一方、介護療養型医療施設は長期療養のみを目的とした施設です。介護療養型医療施設は療養病床等を有する病院や診療所で提供されるサービスであるため、入院する要介護高齢者に対して医療+必要な介護サービスを提供します。介護医療院は病院や診療所からは独立した施設であるため、より日常生活に適した環境とサービスを提供しています。
介護医療院と介護老人保健施設の違い
介護老人保健施設は心身の機能の維持・回復が必要な要介護高齢者が、在宅復帰や在宅生活が送れる状態になることを目的にリハビリ等を提供する施設です。介護医療院は、介護老人保健施設よりも日常生活における医療的ケアや介護にフォーカスしている点で違いがあります。
介護医療院と介護老人福祉施設(特養)との違い
介護老人福祉施設(特養)は、要介護高齢者が生活を送るための施設です。日常生活における基本的な介護サービスや機能訓練の提供、健康管理や療養上の世話を行うことを目的とします。基本的な医療サービスが提供されますが、介護医療院ほど医療に特化していない点が主な違いです。
介護医療院の提供サービスからみる仕事内容
ここでは、介護医療院で提供されるサービスから働く職員の仕事内容をみていきます。
医療サービス
医療サービスは大きく2つ「日常生活を送る上での医療ケア・療養」と「看取り・ターミナルケア」があります。日常的な医療ケアでは、以下のようにさまざまなサービスを提供します。
・喀痰吸引
・経管栄養
・点滴
・在宅酸素
・インスリン注射
・薬の処方
・褥瘡ケア など
投薬や処置のみならず、必要に応じて検査も受けられます。入院するほどではないが、一般的な介護施設ではカバーできない専門的な医療ケアを提供する点が特徴です。また看取りやターミナルケアも医療的な観点から行い、終の棲家として安心して過ごせる環境を整えます。
介護サービス
医療的要素が強い介護医療院ですが、一般的な介護施設と同等の介護サービスを提供します。
・食事、排せつ、入浴介助
・機能訓練
・レクリエーション
日常生活における介助だけでなく、レクリエーションや機能訓練も提供する点で要介護高齢者の生活を豊かにすることも目的としています。療養だけを目的とする施設でない点が、これまでの介護療養型医療施設との大きな違いです。
生活援助
医療や介護だけでなく、掃除や洗濯など日常生活上の援助も提供。生活援助サービスも提供している点で、より入所者の日常生活に密着した施設であることがうかがえます。また施設内でのサポートだけでなく、地域住民やボランティアとの交流機会の手配・運営なども行います。
介護医療院の人員基準からみる働く職員
ここでは、介護医療院で働く職員について詳しくみていきます。
介護医療院の人員基準
Ⅰ型 | Ⅱ型 | |
---|---|---|
医師 | 48:1 施設で3以上 |
100:1施設で1以上 |
リハビリ専門職 | 適当数 | |
薬剤師 | 150:1 | 300:1 |
看護職員 | 6:1 | |
介護職員 | 5:1 | 6:1 |
栄養士 | 定員100人以上で1人以上 | |
介護支援専門員 | 100:1 施設で1以上 |
|
放射線技師 | 適当数 | 必要に応じて配置 |
その他従事者 | 適当数 | 必要に応じて配置 |
Ⅱ型の人員基準は介護老人保健施設と同等の基準であり、Ⅰ型はⅡ型よりも手厚い基準となっています。医療機関に近い特性を持つことから、医師やリハビリ専門職、薬剤師や放射線技師と専門職が多い点が特徴です。そのため介護医療院では、多職種と連携を図りながら介護に臨むことが求められます。
介護医療院で働くメリット
介護医療院は医療・介護どちらの性格も持ち合わせていることから、高齢者介護・看護に関する幅広い知識・スキルが身につけられます。整った医療体制の中看取り介護に携われ、スキルアップにもつながる点はメリットです。さらに医師や看護師も常駐しているため、入所者の急変時にも安心して対応できます。
そして多職種との連携が求められるため、コミュニケーション能力や協調性も身につきます。自分の専門外の分野にも間近に携われ、より高度な知識・スキルの習得が可能。高度な環境に身を置くことで、将来的なスキル・キャリアアップに役立つ点は介護医療院で働く大きなメリットといえます。
介護医療院は要介護高齢者が療養・介護を受けながら生活する施設!
介護医療院は長期療養の必要な要介護高齢者が医療ケアと介護、機能訓練などを受けながら生活できる施設です。医療・介護の提供体制が整っており、看取りやターミナルケアにまで対応しています。そのため、療養が必要な要介護高齢者が中長期的に入所することが可能です。今記事を参考に、介護医療院の役割や仕事内容、働くスタッフの種類などを押さえてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。