ケアマネジメントとは|プロセスから大切なことまでわかりやすく解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/08/27
公開日:2022/03/24
介護サービスの中核を担うケアマネージャーの主な役割は、ケアマネジメントです。ケアマネージャーとして働くには、ケアマネジメントについて十分に理解する必要があります。そこで今回はケアマネジメントについて、定義や目的、プロセスや大切なことをわかりやすく解説します。
目次
ケアマネジメントとは
ケアマネジメントとは介護や支援を必要としている人に対して、ご本人の生活状況や心身状況を踏まえて希望に沿った生活を送れるよう、多様な介護サービスを組み合わせてプランを提供することです。平成12年4月に介護保険制度がスタートしたことで、ケアマネジメントが取り入れられました。まずは、ケアマネジメントの定義や目的をみていきます。
ケアマネジメントの定義
ケアマネジメントの定義はさまざまですが、厚生労働省「障害保健福祉士主管課長会会議資料」では以下のような記述がなされています。
利用者さまが地域社会による見守りや支援を受けながら、地域での望ましい生活の維持継続を阻害するさまざまな複合的な生活課題(ニーズ)に対して、生活の目標を明らかにし、課題解決に至る道筋と方向を明らかにして、地域社会にある資源の活用・改善・開発をとおして、総合的かつ効率的に継続して利用者さまのニーズに基づく課題解決を図っていくプロセスと、それを支えるシステム
つまり、ケアマネジメントとは、支援を必要としている方の課題やニーズに基づき、それらを解決し、希望を実現するためのプロセスやシステムのことと言えるでしょう。
ケアマネジメントの目的
ケアマネジメントは、支援を必要としている方が住み慣れた地域で生活できるよう、本人・家族の自立を支援することを目的としています。住み慣れた地域で自立した生活を送ることは誰もが持っている権利です。しかし、介護や支援が必要な方は本人や家族の力だけでは、住み慣れた地域で自立した生活を継続することが困難なケースも。こういった場合には、サービスの活用、地域における障がい者への意識や関わりを深める、地域や利用者さま、家族の持つ強さを引き出すといったことが必要になりますが、容易には実現できません。そこでケアマネジメントでは、障がい者の方の状況などを適切に把握し、総合的な調整を行います。
ケアマネジメントのプロセス
一体的に介護サービスを提供するためにも、ケアマネジメントは一連のプロセスをもとに展開されます。
① インテーク
② アセスメント
③ ケアプラン
④ ケアプランの実施・管理
⑤ モニタリング・再アセスメント
⑥ 終結
これらのプロセスは、PDCAサイクルを基本としています。計画を立て実行し、その結果を評価した上で改善・向上を図ります。ここではケアマネジメントのプロセスを、プロセスごとに詳しく解説します。
ケアマネジメントのプロセス①インテーク
インテークは利用者さまの依頼や問い合わせに対してケアマネジメントの対象であるか、どういった課題やニーズがあるかを、利用者さま・家族とケアマネージャーの相互が確認することです。
インテークを行う際は、以下のことを確認しておきましょう。
・その時点での相談内容
・守秘義務
・ケアマネジメントの目的と内容
・ケアマネージャーと利用者の役割と責任
・納得と同意に基づいて進めていくことについて
インテークは、利用者さまとケアマネージャーが初めて接する場面です。今後長期的付き合っていく可能性もあるため、第一印象が決まる重要なプロセス。信頼関係を構築していくためにも、しっかりと丁寧に話を聞き、相手を受け入れる姿勢が求められます。
ケアマネジメントのプロセス②アセスメント
アセスメントは利用者さまが自立する上での課題やニーズを抽出し、分析することです。適切なサービスを提供するには課題やニーズを把握していなければならず、アセスメントを通すことでより利用者さまの実情が把握できます。アセスメントは1回で終わりではなく、利用者さまと関係を構築しながら繰り返していくもの。何気ない会話から、利用者さまの課題やニーズを抽出するほか、「利用者さまの自立生活を阻害する要因」「自立に向けた利用者さまの希望や意志」も確認することが重要です。
ケアマネジメントのプロセス③ケアプラン
アセスメントで取得・整理した情報をもとに、ケアプランを作成します。ケアプランは単に不自由な生活を脱却するためのものではなく、利用者さまが自ら望む生活を送ることが目的のため、一体的に介護サービスを提供するにあたり、利用者さまに関わる全ての人が同じ意識を持つことが重要です。そのため、ケアプランはケアマネージャーを中核に、利用者さまや生活相談員、介護サービス提供者などと協働して作成することが必要になります。
ケアマネジメントのプロセス④ケアプランの実施・管理
作成したケアプランを利用者さまが承認し、サービス担当者会議で「目標共有」「役割分担」など決定したのち、実際にサービスが提供されます。ケアプランが実施された後も、定期的に利用者さまを訪問しプラン通りにサービスが提供されているか、不都合や新たなニーズ・課題がないかを検証し続けます。
そしてケアプランの実施にあたり、ケアマネージャーは以下ポイントを確認・対応することで利用者さまとの信頼関係が強まり、介護サービス提供者との連携が深まります。
(1)受給者証にサービス事業者との契約日の記載と押印がなされているか。
(2)利用者にサービス提供事業者が重要事項説明がなされているか、また、利用料等の確認
(3)利用者とサービス提供事業者との契約が締結されているかの確認
(4)サービス提供事業者が初めてサービスを提供するときに一緒に同行し、利用者の不安や緊張に対する精神的緩和剤の役割を図るなどの対応。
(5)利用者がサービスを利用している時の状況や表情などを見て、モニタリングに役立てる。
ケアマネジメントのプロセス⑤モニタリング・再アセスメント
モニタリングはケアプランが実情に即しているかを評価するプロセスであり、以下を目的に実施されます。
(1)目標の達成度の確認
自立支援を基にした計画が、本人や家族を含めて、サービス提供事業者とともに、目標に向かって実行されているかなどを確認する。
(2)サービス内容の適否の確認
目標達成度から、サービス内容の適否を判断し、現状で進めていくか、別の工夫が必要であるかなどを、常に利用者と接しているサービス提供事業者などの意見を参考にしながらアセスメントする。
(3)新たな生活目標の確認
利用者や家族に新たな課題などが明らかになってきたら、次の段階に進むか、別の取り組みにより改善方法を再アセスメントしなければならない場合などがあり、新たな生活目標を確認する。
まずは目標達成に適しているサービスが提供されているかを確認し、サービス内容の適否を評価します。そこで課題や新たなニーズがあれば、再アセスメントでケアプランの見直しを実施。さらに利用者さまの心身状況や環境に変化があった際にも、再アセスメントを行います。モニタリングはケアマネージャーだけの力では十分に行えないため、利用者さまの家族やサービス提供者など関係者と連携を図ることが重要です。さらにモニタリングは、不正請求の防止や管理の役割も兼ねています。
ケアマネジメントのプロセス⑥終結
利用者さまの死亡や入院、施設への入所や自立などが理由で、ケアプランによるサービス提供が必要なくなりケアマネジメントが終結します。しかし死亡した場合を除き、ケアマネジメントが終結したからといって対象者でなくなったということではありません。地域に属する個人として継続的な関わりが続くため引き続き連携を図り、新たなサービス開発や資源開拓を進める基礎を築くことが重要です。
ケアマネジメントで大切なこと
ケアマネジメントで大切なことは、第一に利用者さまとの信頼関係を構築することです。ケアマネージャーが利用者さまの課題やニーズをしっかりと聞き出せない限り、利用者さまの望む生活を実現するためのケアプランは作成できません。利用者さまやご家族が困っていることを素直に伝えられる環境を作るためにも、ケアマネージャーが信頼を築くことが重要です。
そして適切なプランを設計するには、介護サービスに関する知識やケアプラン作成スキル、そして高齢者の保健・医療に関する知識が求められます。多様な知識、技術、かつコミュニケーションスキルを持ってケアマネジメントに臨むことが大切です。
ケアマネジメントは介護・支援の必要な利用者が望む生活を実現するためのシステム!
介護保険制度ではケアマネージャーを中心に、利用者さまが住み慣れた地域で自立した生活を送れるようケアマネジメントを実施します。ケアマネジメントがあることで利用者さまのニーズや課題に基づいた適切なサービスが提供でき、利用者さまが望む生活を実現することができます。今記事を参考に、ケアマネジメントへの理解を深めましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。