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【2022年最新】ケアプラン有料化の動向や有料化の課題・問題点を解説

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2022/06/02

ケアプランの有料化についてはこれまでも議論に取り上げられてきましたが、実際の導入は先送りになっている状況です。そんな中、令和4年3月24日に開催された第92回社会保障審議会介護保険部会では、2024年度に控える介護保険法改正に向けてケアプランの有料化について改めて議論を開始しました。そこで今回は、ケアプラン有料化の最新の動向や実際に有料化した際の影響などについて詳しく解説します。

ケアプランとは

ケアプランとは、要支援・要介護者が介護保険サービスを利用するために必要な「介護の計画書」です。ケアプランは要支援・要介護者の心身状況や生活環境、課題やニーズに合わせてケアマネージャーが作成します。ケアプランは一度作成して終わりでなく、定期的なモニタリングを経て、利用者の目標達成度や状況変化などに応じて変更し続けます。なお、ケアプランを作成するケアマネージャーは、主に地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に所属しています。

ケアプランの有料化とは

特に在宅生活を送る要支援・要介護者にとって、ケアプランは欠かせないものです。ケアプランの作成はサービス利用者本人やご家族、関係者を含めて時間をかけて作成していきます。地域や利用者の要介護度によってケアプラン作成にかかる費用に差はあるものの、1人あたり月1万円以上はかかります。2022年4月時点でケアプラン作成にかかる費用は自己負担0であり、全て介護保険により給付されています。つまりケアプランが有料化すればケアプラン作成にかかる費用が自己負担になり、介護保険サービスを利用する前段階で料金が発生するようになるのです。

これまでケアプランの有料化は先送りになっていた

制度が確立してから現在まで自己負担0でできていたケアプランですが、これまで幾度と有料化について議論されているのです。しかし議論はされるものの、実際の有料化は先送りになっています。直近では2020年の介護保険法改正のタイミングでケアプラン有料化の可能性が示唆されましたが、下記のような懸念から有料化が見送られました。

・サービスの利用をやめる人が出る
・ケアプランの自己作成を助長し、生活の質が低下してしまう
・ケアマネージャーが介入できない部分が増え、問題発見が遅れてしまう可能性がある
・利用者や家族がお客様化し、ケアマネージャーの中立性、公平性が損なわれる

2020年ではケアプラン有料化が先送りされたものの、あらゆる面での影響を踏まえた上で引き続き有料化を検討するとして有料化の意向は継続されています。

2024年度に有料化する可能性

2024年度には、新たに介護保険法改定及び介護報酬改定が控えています。そこで2021年4月に開催された財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会では、ケアプラン有料化について「サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることを踏まえれば利用者負担を導入することが自然。」と示されました。さらに実施時期についても「2024年度改定で実現すべき」と明記し、早ければ2024年度の改定でケアプランの有料化が実現する可能性があります。もちろんこれまで先送りが続いた結果を考えると、必ずしも実現する保証はどこにもありません。
しかし前回改定から2年経った現在、新型コロナウイルスの影響で財政状況は大きく変化しました。コロナ禍により財政が厳しくなった今、国としては新たな財源確保が必要な状況です。ケアプランだけが財政に影響を及ぼしているわけではないとしても、ケアプランを自己負担1割で有料化するだけでも財政効果に期待できます。このような観点だけでケアプラン有料化が実現するわけではありませんが、実現化を急ぐ決定打の1つになり得る可能性はあるでしょう。

ケアプランを有料化したい理由

ケアプラン有料化を目指す理由に、ケアマネジャーの質向上が挙げられます。ケアプラン有料化が導入されれば、利用者は「お金を払うのであれば良いケアマネジャーに、良いケアプランを作成してほしい」といった心理が働きます。そうなるとケアマネジャーの間でも競争原理が働くようになり、結果的にケアマネジャーの質が向上する可能性が指摘されています。そしてその相乗効果として、介護給付の抑制につながるとも主張しています。

ケアプランが有料化の課題・問題点

あわせてケアプランが有料化した場合に考えられる、課題や問題点についてもみていきます。

介護サービスの利用抑制による利用者の重度化

ケアプランは介護保険サービスを利用する入口であり、ケアプランが無料であることで介護保険サービスを使いやすくする役割もあったと考えられます。しかしケアプランが有料化することで、介護保険サービスを利用するためにお金がかかってしまうことに。そうなると、ケアプラン作成依頼を断る利用者や本来利用すべき介護サービスを削る利用者が出てしまい、結果的に利用者の要支援・要介護度の重度化につながる恐れがあります。

不必要な利用者・家族の権利意識の助長

ケアマネジャーの質向上は、あくまで営利主義に走るケアマネジャーがいるといった「ケアマネ性悪説」ともいえる考え方に基づくものです。一部モラルに欠けるケアマネジャーが存在することが事実とすると否定できない考え方ですが、そもそもそうしたケアマネジャーの割合は少ないはずです。さらに、ケアプラン作成が自己負担0であったとしても、ケアマネジャーの質が自身の生活の質に関わることはすでに意識されているとの意見もあります。そこでケアプラン有料化が導入されれば、利用者や家族の権利意識が不必要に助長してしまう可能性があるかもしれません。そうなるとケアマネジャーに過剰な要求をする利用者や家族が出てくる可能性があり、ケアマネジャーとの中立性・公平性が損なわれる恐れがあるのです。

セルフプランの拡大によるトラブルの増加

ケアプラン有料化により、拡大する可能性があるのがセルフプランです。現在でもケアプランを自分で作成するセルフプランは認められていますが、介護保険制度などを理解した上でケアプランを作成するのは難易度の高い作業です。介護保険制度やサービスを十分に理解していない素人がセルフプランすることで、実際に介護を提供する現場と衝突するなど余計な手間がかかるリスクが考えられます。さらに介護事業者がケアプラン作成を請け負うサービスを作れば、それはそれで自社に有利な営利主義のケアプランを作成する事業者が出てくるリスクも考えられます。

ケアプラン有料化に対する反対の声

ケアプラン有料化については、一般社団法人 日本介護支援専門員協会からも「現状の中で起こりうる課題が未解決のままで居宅介護支援費の利用者負担導入について反対し、利用者の自立支援という観点から別添のとおり意見を表明いたしました。」と反対の声を挙げています。さらに、2019年11月に大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員会が公表した「ケアプラン有料化問題 大阪市内居宅介護支援事業所 緊急アンケート結果報告書」によると、ケアプラン有料化について88.1%が反対派とのアンケート結果があります。下記は、結果報告書から抜粋したケアプラン有料化に対する反対意見です。

・有料化することでケアマネジャーの質向上となるという意見を耳にするが、全くもって納得できない。
・有料化により、過剰な要求が増える可能性があり、公平中立の立場をつらぬくことが難しくなると予測されます。
・居宅支援事業所の人員整理、倒産が増える可能性がある。
・介護サービス費でも負担である利用者が多く経済的な負担が増え、必要なサービスを削られる可能性がある。ケアマネの業務が増える。 など

ケアプラン有料化は2024年度に実現する可能性あり!今後の動向をチェックしよう

これまでも議論されてきたケアプラン有料化ですが、現時点では全て先送り続きの結果となっています。引き続き有料化を検討している段階であるため、早ければ次の2024年度改正で実現するかもしれません。しかし、依然として反対の声が多いこともあり、有料化実現に向けて国がどう動くかは引き続き動向をチェックする必要があります。

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著者プロフィール

ゲートウェイ

ゲートウェイ

異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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