【看護師の退職ガイド】退職の流れや伝え方、円満退職のコツなど
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/10/04
退職の際、トラブルを避けて円満に退職したいものですが、人手不足の医療機関も多く強い引き止めにあうこともあります。トラブルを抑えて退職するには、円満退職するためのコツや退職の伝え方、退職までの流れをあらかじめ理解しておくことが大切です。本記事を参考に、看護師が円満に退職するためのポイントを押さえてみてください。
目次
看護師の退職状況
2011年に厚生労働省が公表した「看護職員就業状況等実態調査」によると、1回以上退職を経験したことのある看護師の割合は58.9%です。
退職回数 | 回答数(人) | 割合(%) |
---|---|---|
0回 | 8,039 | 39.4 |
1回 | 5,398 | 26.5 |
2回 | 3,252 | 16.0 |
3回 | 1,831 | 9.0 |
4回 | 798 | 3.9 |
5回以上 | 720 | 3.5 |
同調査において「他施設で看護職員として働きたい」「看護職員以外として働きたい」と回答した方の理由は、以下の通りです。
他施設で看護職員として働きたい理由 | 看護職員以外として働きたい理由 | ||
---|---|---|---|
他施設への興味 | 34.1% | 他分野(看護以外)への興味 | 45.9% |
給与に不満がある | 31.1% | 責任の重さ・医療事故への不安 | 37.3% |
休暇がとれない・とりづらい | 24.5% |
看護師のよくある退職理由
同じく厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査」によると、看護師の主な退職理由トップ5は以下の通りです。
1. 出産・育児のため
2. 結婚のため
3. 他施設への興味
4. 人間関係がよくない
5. 超過勤務が多い
退職理由の多くはライフイベントによる前向きなものが多く、女性が多い職種ならではの傾向です。一方、人間関係や超過勤務、給与への不満や夜勤の負担など全体的にはネガティブな理由が多くみられます。
看護師が退職するまで5つのステップ
看護師が退職するまでの流れは以下の通りです。
① 就業規則を確認
② 直属の上司に退職の意思表示
③ 退職日の決定
④ 退職届の提出
⑤ 業務の引き継ぎ
ここでは、退職までの各ステップについて詳しく解説します。
ステップ①就業規則を確認
退職することを決めたら、まずすべきは就業規則の確認です。法的には退職の2週間前までに退職の意思を伝えれば退職できますが、職場によって就業規則を定めているケースがあります。就業規則には、退職について「○ヶ月前に申し出ること」などと明記されています。その場合は、就業規則に則った期間に合わせて退職の意思表示をすることが必要です。
またそうでなくとも人手不足の医療機関も多い中、2週間での退職は現実的ではありません。そのため、遅くとも1ヶ月前には退職を申し出ることが一般的です。
ステップ②直属の上司に退職の意思表示
就業規則に則って退職希望日が決定したら、その旨を直属の上司に伝えます。看護師の場合、直属の上司は看護師長となることが多いでしょう。この時点では退職届は出さず、あくまで報告のみで問題ありません。基本的にメールなどの文面ではなく、口頭で直接伝えるのが一般的です。
ステップ③退職日の決定
上司に意思表示をした後は、看護部長や事務長などと面談する流れが一般的です。そこで双方が退職に納得すれば、正式な退職日を決定します。退職日の希望を聞かれた場合は、引き継ぎや勤務先の人員状況に考慮して最低でも1ヶ月以上先の日程を伝えるとトラブルが避けられます。円満に退職するためにも、勤務先に協力的な姿勢で話し合うことが大切です。なお、有給を消化してから退職したい場合は、その点も踏まえて逆算して最終出勤日を決めましょう。退職日や最終出勤日が決定したら、トラブル防止のためにも書面に残しておくことがおすすめです。
ステップ④退職届の提出
退職日が決まれば退職届を作成し、直属の上司に提出します。基本的には所定の書式で作成して問題ありませんが、職場によって退職届のフォーマットが定められている場合があります。そのため、事前に確認してから作成しましょう。
ステップ⑤業務の引き継ぎ
退職が決まったからと業務を疎かにせず、最後の役目として業務の引き継ぎをしっかりと行いましょう。担当している患者数や業務内容にもよりますが、引き継ぎ期間は1ヶ月確保できると安心です。最後まで丁寧に、そして後任の看護師が安心して引き継げるようにすることで気持ちよく退職できます。
看護師の退職の伝え方と円満退職のコツ
退職するまでの難関は、退職を伝えるステップです。ここでは、退職の伝え方のポイントや円満退職のコツお伝えします。
退職の意思表示は相談ではなく報告
退職する意思が固いのであれば、最初に退職を伝える際「退職しようか悩んでいる」といった相談ベースではなく、退職することを決めたといった報告スタンスで臨むことがポイントです。病院側としては、看護師に退職して欲しくありません。そのため相談と捉えられるような曖昧な伝え方をしてしまうと、強い引き止めにあってしまいます。報告スタンスで臨んでも引き止められることはありますが、退職する強い意思がある姿勢を崩さないことが重要です。
ネガティブな伝え方はしない
退職理由は、ネガティブな内容は伝えないようにしましょう。本当の理由が職場の人間関係や給与・待遇への不満だったとしても、実際に伝えてしまうと円満に退職できなくなってしまう恐れがあります。また実際に退職するまでは1〜3ヶ月ほどかかるため、その間の居心地が悪くならないようにするためにも、ネガティブな退職理由は避けるべきです。結婚や出産、家族の介護などの止むを得ない理由以外は、前向きな理由を伝えてください。
退職時期に配慮する
退職することで職場に影響が出るのは事実であるため、特に年末年始や夏、ゴールデンウィークなどの長期休暇の前後での退職は避けましょう。なぜなら休暇前後はシフトを組むのも大変であるため、退職交渉がうまくいかないリスクが高いからです。一方で、年度末やボーナス支給後は、比較的退職希望が通りやすい時期です。病院側も退職者が出ることを見越して人事計画を立てていることも多く、退職交渉もスムーズにいきやすいでしょう。しかし退職希望者も増えやすいため、早めの申し出が必要です。
看護師が退職で強い引き止めにあった場合の対処法
特に人手不足の医療機関ですと、強い引き止めにあう可能性が高まります。直属の上司に退職する旨を伝えても強く引き止められて話が進まない、拒否される場合は直属の上司よりも上の部長に直接交渉してみましょう。直属の看護師長が強く引き止める際、自身の評価に影響する点を危惧している場合があります。そのためより上の立場の上司に伝えることで、退職交渉がスムーズになる可能性が高まります。
それでもどうしても退職できない場合、内容証明の送付が最終手段です。退職届を内容証明郵便で送付することで、相手側は退職届を受け入れることになります。円満に退職することはできなくなりますが、それでも退職したい場合には内容証明の送付も1つの方法です。
看護師の退職理由はさまざま!退職の流れと円満退職のコツを押さえよう
看護師が円満に退職するためには、職場への配慮が大切です。看護師が1人辞めるだけでも、職場に影響が出るのは事実です。そのため退職時期や申し出の期間に気をつけ、相手が納得できる退職理由を用意しましょう。職場への配慮がうかがえる、納得できる退職理由であることで双方が納得した上で気持ちよく退職できるはずです。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。