作業療法士の就職先を紹介!病院以外の就職先や就職先の選び方とは
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/09/28
国家資格である作業療法士は医療機関や介護・福祉施設、行政機関や企業など活躍の場は多岐にわたります。その分就職先によって特徴や仕事内容、向き不向きもあるため、どのような就職先があるかを理解しておくことが大切です。今回は作業療法士の就職先の紹介とあわせて、就職先の選び方もお伝えします。
目次
作業療法士の就職先一覧
「2019年度 日本作業療法士協会会員統計資料」によると、作業療法士の主な就職先は以下の通りです。
施設 | 所属会員数(人) | 割合(%) | |
---|---|---|---|
医療法関連施設 | 36,693 | 58.9 | |
身体障害者福祉法関連施設 | 61 | 0.1 | |
精神保健福祉法関連施設 | 34 | 0.1 | |
児童福祉法関連施設 | 1,241 | 2.0 | |
知的障害者福祉法関連施設 | 2 | 0.0 | |
老人福祉関連法施設 | 2,274 | 3.7 | |
介護保険法関連施設 | 6,147 | 9.9 | |
その他(一部抜粋) | 特別支援学校 | 98 | 0.2 |
養成校 | 1,483 | 2.4 | |
保健所等 | 160 | 0.3 | |
訪問看護ステーション | 937 | – | |
リハ関連企業 | 56 | – |
作業療法士の多くは、医療機関・介護関連施設を主な就職先としています。
作業療法士は機能訓練指導員として働くことも可能
作業療法士の資格は機能訓練指導員として働くための要件でもあります。機能訓練指導員はデイサービスセンターなどでは、人員配置が義務付けられていることから、介護施設では常に一定のニーズがある職種です。
そのため作業療法士の求人だけでなく、機能訓練指導員の求人もチェックしてみることで、さらに就職先の幅が広がるでしょう。
【領域別】作業療法士の就職先と働き方
作業療法士の就職先は「身体障がい」「精神障がい」「老年期障がい」「発達障がい」の4つの領域に分類されます。各領域によって作業療法士に求められる役割や対象患者も異なるため、それぞれの特徴を押さえてみてください。
①身体障がい領域の作業療法士の就職先と働き方
身体障がい領域における主な就職先は、病院です。「2019年度 日本作業療法士協会会員統計資料」では、病院の中でも最も作業療法士が多いのは大学病院や総合病院のような一般病棟、次いで精神病院です。一般病院の中では、一般病床と回復期リハビリテーション病棟が主な就職先となっています。病院以外で身体障がい領域に分類される就職先には、以下が挙げられます。
・保健所、保健センター
・リハビリテーションセンター
・身体障害者福祉センター
・身体障害者厚生施設 など
病院では病気や事故によって身体に麻痺などの障害が残った、脳に損傷を受けた患者さんに対して作業療法を実施します。主に機能訓練を中心とし、その中でも回復期リハビリテーション病棟では重点的にリハビリを行います。身体障がい領域の就職先では、さまざまな症状・状態の人に対応することになるため、臨機応変かつ柔軟な対応力が大切です。
②精神障がい領域の作業療法士の就職先と働き方
精神障がい領域における主な就職先は、精神科病院をはじめとした以下のような施設です。
・精神科病院
・メンタルクリニック
・精神科デイケア
・精神福祉保健センター
・精神障害がい者支援センター など
精神障がい領域で働く作業療法士はスポーツや手工芸、レクリエーションなどの作業活動を通して日常生活や社会生活への適応を目指すリハビリを実施します。精神疾患のある方は、日常生活や社会生活に適応するのが難しいだけでなく、その活力や自信を失ってしまっている方もいます。そのため単にリハビリを実施するだけでなく、生きがいを得られるように目標を設定すること、そして相手に寄り添うことが大切です。
③老年期障がい領域の作業療法士の就職先と働き方
老年期障がい領域では、脳血管障害や認知症などの疾患を抱えている、または運動ができずに身体が弱まってしまった65歳以上の高齢者を対象に作業療法実施します。身体障がいや精神障がいとは異なり、現状維持または進行抑止を目的としている点が特徴です。老年期障がい領域の主な就職先は、以下の通りです。
・リハビリテーションセンター
・療養型医療施設
・認知症専門病院
・老人保健施設
・特別養護老人ホーム
・老人デイサービスセンター
・訪問看護ステーション など
高齢者が食事やトイレ、入浴や買い物など自立した日常生活が送れるよう疾患や弱まった身体にアプローチします。また単に機能維持・回復だけでなく、作業療法の一環としてレクリエーションを通じてその人らしい生き方を実現することも老年期障がい領域の作業療法士の役割です。特に認知症を患う高齢者は、精神的に不安定になっている方も多くいます。相手に寄り添い、作業療法を通して精神の安定を図ることが重要です。
④発達障がい領域の作業療法士の就職先と働き方
発達障がい領域では、知的障がいや発達障がい、自閉症や脳性麻痺などを患う子どもを対象にリハビリを実施します。主な就職先は、以下の通りです。
・小児病院
・保健所、保健センター
・発達障がい児(者)支援センター
・児童福祉施設
・養護学校
・保育所、幼稚園 など
同年代の子と比べて言葉や動作に遅れがある、集団や社会にうまく関われない子どもに対して作業療法を行います。そのほか子どもが日常生活を送りやすくするための環境整備や家族へのアドバイスも大切な仕事の1つです。子どもを対象とする点で難しい領域ではありますが、子どもの成長を間近で実感できるやりがいのある就職先といえます。
【病院以外】作業療法士の就職先と働き方
病院や福祉施設以外の作業療法士の主な就職先は、教育機関や企業などです。ここでは、病院や福祉施設以外の代表的な就職先についてご紹介します。
養成校
大学や専門学校など、作業療法士の養成校で教員として働く作業療法士もいます。作業療法士を目指す学生に対して講習や実習、国家試験対策などの指導が主な仕事内容です。未来の作業療法士を育てる立場にある教員は、現場とはまた違ったやりがいがあります。なお、教員として働くには5年以上の臨床経験、そして平成30年度より専任教員講習会の修了の条件を満たすことが必要です。
行政機関
行政機関の代表的な就職先は、保健所や職業訓練施設などです。行政機関での作業療法士の仕事は多岐にわたり、職業訓練の指導や障害福祉サービスの相談、福祉政策や介護政策の企画・立案に関わることもあります。その他、保健所では健康教室やリハビリ教室の実施など健康の啓発活動への取り組みも大切な仕事の1つです。
企業
なかには、リハビリ機器や福祉用具を扱うリハ関連企業で働く作業療法士もいます。主な仕事内容は病院や施設への営業や製品説明、機器・用具の指導などです。臨床経験を活かして、病院や施設に必要なリハビリ機器や福祉用具を提案し、間接的に支援が必要な人を支える役割となります。作業療法士としての実践的なスキルを活かせる場は少ないですが、一般的な作業療法士の就職先よりも給料水準が高い傾向にある点はメリットです。
作業療法士の就職先の選び方
作業療法の就職先の選択肢は幅広く、就職先によって作業療法士の業務内容や求められる役割も大きく異なります。就職先を選ぶにあたり、まずは興味のある領域や分野、将来的にどのような作業療法士になりたいかを軸にすることがポイントです。長く働き続けるには興味のある分野である方がモチベーションも高まり、将来のキャリアプランやなりたい作業療法士像が実現できる就職先であれば目的をもって専門性が高められます。
また初めての就職先であれば、教育・研修体制が整っているかも重要なポイントです。作業療法士としてのキャリアを積むにあたり、最初に得た知識・技術は土台となります。基礎的なスキルが身につかないまま経験年数だけが増えることにならないようにも、教育・研修体制もチェックすることが大切です。その他、給与や待遇面など働く上で就職先に求める条件を明確にした上で、自分に合った就職先を選んでみてください。
作業療法士の就職先は多岐にわたる!自分に合った就職先を選ぼう
作業療法士の約6割は医療機関を主な就職先とし、その他は社会福祉施設や養成校などが主な就職先です。領域によって就職先や働き方、リハビリ対象者もさまざまであるため、各就職先の特徴を押さえることが就職先選びのポイントです。ぜひ今記事を参考に、作業療法士の就職先を押さえてみてください。
作業療法士は機能訓練指導員として就業することもできる資格です。そのため、機能訓練指導員としての就業を考えれば、さらに就職先の選択肢は広がるでしょう。作業療法士と並行して、ぜひ一度機能訓練指導員の求人もチェックしてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。