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廃用症候群とは何かをわかりやすく解説!原因や症状、対処法とは

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2023/04/28

廃用症候群について、詳しい症状や対処法を知りたい、という方もいるのではないでしょうか。廃用症候群は疾患ではなく、さまざまな全身症状を総称した呼び方を指します。ここでは、廃用症候群の定義や原因、症状についてわかりやすく解説していきます。

廃用症候群とは

廃用症候群とは「東京都福祉保健局」によって、以下のように定義されています。

廃用症候群は、「身体の不活動状態により生ずる二次的障害」として体系化された概念で、不動(immobilization)や低運動(inactivity)、臥床(bedrest)に起因する全身の諸症状を総称する。

定義内にある「身体の不活動状態」とは、過度に安静にした時や活動性が低下した状態を指し、さまざまな症状を総称して廃用症候群といいます。
例えば、病気や怪我で長期間の安静が必要とされるケースでは、安静状態が長期間続くことで、廃用症候群を引き起こす可能性があるため注意が必要です。いつの間にか進行していることが高齢者の方は特に多いため、十分に気をつける必要があります。

廃用症候群はどう診断される?

長期的に身体を動かさないことで起こる廃用症候群ですが、決められた診断方法がないのが現状です。もちろん、廃用症候群になったかどうかは医師が判断するため、症状が当てはまるからといって「廃用症候群だ」と自己判断することは控えましょう。廃用症候群なのか知りたい方は、医師の診察を受けることをおすすめします。

廃用症候群の原因

廃用症候群は、簡単にいえば身体を動かさないことが原因で起こります。では、身体を動かさなくなる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主な2つの原因について詳しく解説します。

過度の安静状態

廃用症候群は、病気や怪我による過度の安静状態、または寝たきり状態で筋肉を動かさない期間が長引くことで起こります。また、自力で動ける状態だとしても、車椅子など身体の一部分だけしか使わなくてもいいような生活に慣れて、身体を動かさなくなる状態も当てはまります。身体を長期間動かさないことで、結果、身体機能が低下しまいます。

高齢者の生活環境

高齢になると身体に障害が生じやすく、買い物や散歩、階段の昇降を若い頃よりもしなくなり、筋力が低下することが廃用症候群につながります。さらに栄養不足などが加わることで、筋肉や骨などの組織破壊はより進行してしまいます。過度の安静状態ではないケースでも、衰えやすく、身体機能が低下しやすいのが高齢者の特徴です。また、過度な介護が廃用症候群を引き起こす可能性があるため、1日の活動状況はどうか見直す必要があります。

廃用症候群の症状

廃用症候群は、下記のようにあらゆる面から症状が発生するのが特徴です。

・筋骨格系
・呼吸器系
・消化器系
・泌尿器系
・循環器系
・精神系
・皮膚系

ここでは、それぞれの全身状態で発生する具体的な症状について、詳しくご説明します。

筋骨格系の症状

・筋力低下、筋萎縮
・骨萎縮
・関節拘縮

筋萎縮とは、筋肉が痩せてしまい衰えた状態を指します。骨萎縮も同様です。骨が痩せる=スカスカになってしまうことで、硬さが減りもろくなります。間接拘縮とは、関節が硬くなってしまうことで動きが悪くなる状態です。筋骨格系の症状は、身体を動かす機能にダイレクトに影響を及ぼしてしまうため、普段の生活と同じように活動することが難しくなってしまいます

呼吸器系の症状

・換気障害
・沈下性肺炎
・誤嚥性肺炎

換気障害とは、吸ったり吐いたりして肺に空気を送ることが難しくなる状態です。一方、沈下性肺炎とは、細気管支よりさらに低い場所に痰が溜まることにより、肺炎を起こした状態を指します。細気管支は、肺にある枝分かれした直径1〜2mmほどの細い気管支を意味します。安静や寝たきり状態などによって仰向けの状態が長時間続くことで、細気管支の奥に痰が貯留し、細菌が繁殖しやすくなります。
誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液などの水分が、食道ではなく肺に入ってしまうことで起こる肺炎を指します。嚥下する力や咳反射の力が低下することで起こります。

消化器系の症状

・体重減少
・食欲低下
・低栄養
・便秘
・逆流性食道炎

体重減少や低栄養、便秘は、腸の動きが悪くなることで起こります。身体を動かさない状態が続くことで、腸の動きが鈍くなり、食事を取っても吸収されにくくなるためです。
一方、逆流性食道炎とは、胃酸や胃に溜まった食物が食道へ逆流してしまい、食道を傷つけてしまう疾患です。食欲低下にもつながるため、要注意な疾患と言えるでしょう。このように、消化器系の症状が起こると、食事を摂ることそのものが難しくなります。そのため、身体に栄養が行き渡らず、廃用症候群をさらに悪化させてしまう可能性があります。

泌尿器系の症状

・尿路結石
・尿路感染
・排尿障害

尿路結石は、尿管という尿が通過する管に石ができた状態を指します。また、通過障害により、細菌感染が起きた状態が尿路感染です。尿路感染の要因には、排尿回数が増えたり減ったりする排尿障害も挙げられます。尿路感染が悪化すると、発熱を経て敗血症へ至るなど、命に関わる疾患につながる危険性があるため、注意が必要です。

循環器系の症状

・心機能低下
・起立性低血圧
・静脈血栓症、塞栓症

心機能低下とは、全身に血液を送り出すポンプのような働きを担う心臓の動きが悪くなってしまった状態を指します。少し動くだけで「ゼーゼー」と息切れが生じる可能性があります。

起立性低血圧とは、いわゆる「立ちくらみ」です。寝ている状態から立ったり起きたりすることでめまいが生じます。静脈血栓症、塞栓症は「エコノミークラス症候群」と呼ばれる危険な症状です。長時間の臥床状態に伴い、足に発生した血栓が心臓まで流れ込んでしまい、肺動脈を詰まらせてしまいます。命に関わる危険な症状で、特に高齢者の方に起こりやすい症状であるため注意しましょう。

精神系の症状

・鬱
・せん妄
・見当識障害
・睡眠覚醒リズム障害
・睡眠障害

鬱は、精神的にひどく落ち込んだ状態を指します。せん妄は、はっきりしない意識状態の中で、見えない何か多見えたり、支離滅裂な言葉や行動をとったりする症状です。全身麻酔での手術を受けた方などに起こりやすい症状です。見当識障害とは、今いる場所や日時がわからなくなる症状を指します。精神系の症状は、長時間の寝たきりにより社会的に孤立することで、やる気などの感情が低下してしまうことが原因です。症状が持続すると、認知症を進行させる可能性があるため注意が必要です。

皮膚系の症状

・褥瘡(床ずれ)

褥瘡は、別名、床ずれとも呼ばれる皮膚の傷を指します。長時間の寝たきりによる、圧迫や摩擦が原因です。圧迫された部分の血流が悪くなるため、水ぶくれや内出血、皮膚の赤みなどが見られます。進行しすぎると、神経にも血液が行き渡らなくなることで痛みを感じなくなり、浅かった傷が骨まで達するケースもあるため注意しましょう。

廃用症候群は治療できる?

廃用症候群の治療は可能ですが、元の状態まで回復させるのは難しいケースが多い現状です。有効な治療法は、薬物療法です。以下のように、症状に合わせた投薬治療を行います。

・ 心機能低下や誤嚥性肺炎への投薬
・ せん妄への精神神経用薬の投薬など

廃用症候群の診断と同じように、投薬治療に関しても医師の判断が必要です。症状を自己判断して市販薬で対応するのは誤りなので、やめましょう。廃用症候群は、元の状態までの回復が難しいケースがほとんどです。そのため、廃用症候群にならないような予防を行うことが大切です。

廃用症候群の対処法・予防

廃用症候群は、まず予防が大切です。すでに廃用症候群になってしまった場合は、これ以上症状を悪化させないための対処法を知ることが重要といえます。病気や怪我で長期間安静にしなければならない高齢者、または介護者は、これから紹介する対処法・予防法を押さえておきましょう。生活の中で、これなら取り入れられるというものから順に実践してみてください。

身体を動かす機会をつくる

用症候群を引き起こす最大の要因は、身体を動かさないことです。そのため、少しでも身体を動かす機会を作ることが大切です。自分でできることは自分でやるようにしましょう。

介護者の場合は、過度な介護は行わず、できることは自分でやってもらうようにしましょう。「身体を動かす」とは、体位変換や寝たままの状態で動かせる部位を動かすだけでも構いません。短時間でいいので、身体を動かす習慣を作るよう心がけましょう。

リハビリを行う

筋力低下を防ぐには、リハビリが効果的です。ただし、無理なリハビリは禁物です。持病がある、もしくは投薬を行っている方は、かかりつけの医師と相談しながら、適切なリハビリを受けてみましょう。高齢者におすすめのリハビリは「生活リハビリテーション」です。スポーツやウォーキングなどの運動をメインに行うのではなく、家事や日頃の活動の中で取り組める何かを継続して行うリハビリを指します。「掃除機をかける」「お風呂掃除をする」など、一つの動作あたりの運動量が低くても、積み重ねることで活動量が増加していきます。自宅にいながら気軽に取り組める点もおすすめです。

栄養バランスの良い食事を摂る

廃用症候群では低栄養になるケースが多いため、日頃から栄養バランスが良い食事を摂るよう意識しましょう。低栄養状態であると、筋肉量の低下が進行してしまい、身体機能が一気に低下する危険性があります。細胞の元となるタンパク質を積極的に摂取するなど、不足しがちな栄養素をバランスよく摂りましょう。一方で、食欲不振や消化器機能が低下している場合には、原因に合わせた食事法・食事内容を考える必要があります。自分に合った食事内容がわからない方は、かかりつけ医、もしくは居住地を担当している栄養士などの専門家に尋ねてみるのもおすすめです。

廃用症候群の症状と対処法を知って予防に努めよう

廃用症候群とは、長い間安静だったことで起こる二次的障害の総称を指します。全身的に起こる症状なため、褥瘡や肺塞栓症、せん妄など症状が起きる場所はさまざまです。特に肺塞栓症や、尿路感染症から起こる敗血症のケースは、命に関わる可能性があるため悪化しないよう早めに治療を受ける必要があります。

廃用症候群は、症状に合わせた治療で回復が望めますが、元の状態まで治すことは難しい症状です。そのため、今回ご紹介した対処法を参考に、予防に努めることが大切です。日々の生活を改めて見直し、取り組みやすい予防法から実践していきましょう。

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ゲートウェイ

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異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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