介護に必要なインテークとは?意味や面接の流れ・押さえておきたい心がまえをご紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/08/23
公開日:2023/08/04
インテークとは、ケアマネジャーなどが行うマネジメント業務のひとつ。介護や福祉サービスの支援が必要な方を対象に実施しますが、具体的にどのように行うのでしょうか。今回は、インテークの意味や目的についてご紹介します。事前準備や面接の流れ、心がけるべきポイントも解説しますので、介護分野への転職をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
インテークとは
インテークとは、ケアマネジャーや相談支援専門員などが 不安や困難な課題を抱える人に対して行う初回の「面接」のこと |
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インテークとは、ケアマネジャーや相談支援専門員、社会福祉士などが行う業務のひとつです。ケアマネジメントの最初の段階にあたる業務であり、相談を受ける専門職側を「インテーカー」と呼びます。
インテークでは、相談者の家族構成や居住環境などの確認や、本人やご家族が感じている不安や悩み・現状の課題を聞き取ります。このような相談者の基本的な情報を得て、双方の信頼関係を築く大切な時間です。お互いの第一印象が決まるため、慎重に行う必要があります。
対応方法は、相談者の自宅に出向く、別途場所を設ける、電話で対応するなどさまざまです。
インテークとアセスメントの違いは?
インテーク | アセスメント |
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相談者との初回の面接 相談者の「基本情報」を得る |
相談者と繰り返し行う面接 相談者の「ニーズ」を得る |
インテークとアセスメントの大きな違いは、面接のタイミングと聞き取りする内容の2点です。
インテークは、相談者との初めての面接。相談者の氏名・年齢・家族構成・居住環境などの基本的な情報を聞き取るために行います。
これに対してアセスメントは、相談者の状況に応じて繰り返し実施するものです。現在の生活状況や介護の必要性・要望を聞き取ったうえで情報を分析し、相談者が自立した生活を営むために解決すべき課題やニーズを導き出します。
インテークを行う目的
・相談者の情報を得ること
・相談者やその家族と信頼関係を築くこと
インテークを行う目的は、大きく上記の2つです。インテークの目的について詳しくご紹介します。
相談者の情報を得ること
インテークの主な目的は、支援の方針を考えるために必要な情報を収集することです。相談者についての情報がないと、適切な介護サービスや支援策は提供できません。
相談者の訴えをもとに、抱えている不安や困りごと、介護サービスに対する要望などを把握します。単に発する言葉だけでなく、相談者の服装や立ち振る舞い・話しているときの表情などから推察できる情報も注意深く観察することが重要です。
インテークで聞き取った内容によって今後の方針を決めるため、言語的情報・非言語的情報を織り交ぜた客観的かつ俯瞰的な聞き取りが求められます。
相談者やその家族と信頼関係を築くこと
インテークには、相談者に「この人なら安心して任せられる」と思ってもらう目的もあります。
インテークは、相談者とインテ―カーが初めて対面する場です。その後は何度も相談者本人やご家族とやり取りをしていくため、最初に信頼関係を築いておくと、より適切な支援を行えるでしょう。
相談者とインテーカーは、ときに込み入った話をしたり、他人には知られたくないプライパシーに踏み込んだ話をしたりすることもあります。だからこそ、対等な立場で信頼関係を築くことが重要です。
インテークの事前準備
・質問内容や書類を整理する
・身だしなみを整える
・最低限のマナーを心得る
インテーク面接の前に準備しておくことは、上記の通りです。
面接の前は、あらかじめ質問事項や説明書類を整理・準備しておきましょう。インテークは第一印象を決める大切な機会のため、清潔感ある身だしなみが重要です。挨拶や名刺の渡し方など、社会人としての接遇マナーについても確認しておくとよいでしょう。
また、インテークを相談者の自宅で実施する場合は、当日場所に迷わないよう所在地を確認しておきます。もし、相談者に来所してもらう場合は、事前に事業所の所在地を説明しておきましょう。
インテークを行う手順は、一般的に上記の通りです。ここでは、介護サービスの利用者・ご家族の家へ訪問するケースを想定して、インテークの流れをご紹介します。
1.挨拶・自己紹介
インテークは、挨拶と自己紹介から始めます。相談者やご家族に対し、丁寧に挨拶をしましょう。名刺を渡すとともに、自分の所属や職種、業務内容を簡単に伝えます。
しっかり、はっきりとした口調で名乗ることと、時折雑談を交えながら会話することを意識して、リラックスして話せる雰囲気づくりを目指しましょう。
2.守秘義務に関する説明
具体的な相談に入る前に、守秘義務に関する説明を行います。インテーク実施にあたり、相談者の個人情報やプライバシーに関する内容を取り扱うためです。
事業所で用意している説明書類を提示しながら、相談で得た情報をどのように扱うのか、どの範囲まで共有するのかなどを説明しましょう。情報の利用について明確にすることで、相談者が安心して話せる状況をつくり出せます。
なお、守秘義務は個人情報保護法にもとづいて管理します。
3.面接の流れや時間の説明
次は、インテーク面接の流れや終了予定時間について説明します。「何を聞かれるのかわからない」「なぜこんな質問をされるのかわからない」という状況で、漠然とインテークを進めるのは避けましょう。相談者が不安に感じたり、むやみに話が脱線して本文に至らなかったりする可能性があるからです。
最初におおまかな流れや方向性を説明しておけば、相談者がより安心して話せます。
4.相談内容を記すことへの許可
相談開始前の最後の下準備として、相談者から聞き取る内容を記録することについて許可を得ましょう。記録に残すことで、聞き逃しを防ぎ意向を確実にプランに反映できます。「言った」「聞いていない」など、思わぬトラブルを防ぐ効果も。
相談者本人からきちんと許可を得たうえで、相談を始めましょう。
5.相談
インテークでは、相談者の訴えや聞いてほしい悩みを丁寧に傾聴する姿勢が大切です。相談者が安心して話せるよう、適度に相槌を打ったり、必要に応じて訴えを要約・復唱したりしながら話を聞くとよいでしょう。
インテーカーは、相談者の話を聞いたうえで確認したい事項の質問をします。インテークの際に相談者に聞く内容は、主に下記の通りです。
【質問例】
・相談者の現在の状況・困りごと
・問題が始まった時期
・希望する支援の内容 など
質問攻めにするのではなく、必要な質問は相談者が話し終えてから行うようにしましょう。
6.不足点の確認・質問
一通り相談者の話を聞き終えたら、不足している部分を追加で聞き取ります。聞くべき情報を記載したシートを事前に準備しておくと、聞き逃しを防げるでしょう。
「はい・いいえ」だけで答えられるような質問は避け、相談者の現状を深掘りできる内容を聞くことが大切です。質問する際は、「一度に2つ以上のことを聞かない」「質問に質問で返さない」などの工夫をしてみましょう。
7.今後の提案
聞き取りが終了したら、最後に相談内容をまとめましょう。インテ―カー側から、相談者の現状や抱えている課題・今後の要望を整理して復唱します。
内容に行き違いがないか確認できたら、今後必要だと考えられる支援の方向性や、介護保険サービスの内容、導入方法について提案しましょう。
相談者の状況によっては、介護保険制度以外のサービスが必要なケースもあります。このような場合は、適切な支援機関を紹介したうえで、インテーク内容を伝達することについて同意を得ましょう。
インテークを行うときの基本的なマナー
インテークは、第一印象を左右する大切な時間のため、マナーある対応が求められます。上記4つの基本的な接遇マナーを守りましょう。
基本的な電話対応のマナーを守る
電話対応の仕方は、インテーカー本人や事業所全体の印象を左右します。顔が見えないからこそ、丁寧かつ慎重に行いましょう。
受話器を取ったら、まずは事業所名と氏名を名乗り、相手の所属や氏名を確認します。メモを取りながら話を聞き、聞き逃しや伝え漏らしがないように気をつけましょう。
訪問時は清潔感のある身だしなみを意識する
相談者の自宅や入院先などに訪問するときは、清潔感のある身だしなみを意識しましょう。カジュアルな服装やアクセサリーの着用は避け、肌の露出も控えてください。
ポロシャツやスラックスは派手すぎない色を選択するなど、相談者に安心感を持ってもらえるような服装がおすすめです。
名刺は両手で受け渡しをする
名刺を渡すときは、相手より先に自分から渡します。必要な枚数を事前に用意しておき、取り出しやすいようにしてから訪問すると安心です。
渡すときは事業所と氏名を名乗り、両手で渡します。相手から受け取るときも同様です。最初に相談者本人に、その後ご家族に渡します。
なお、受け取った名刺はすぐ名刺入れにしまわず、机の上に置いておきましょう。
相談者がわかりやすい言葉を使う
相談者と話すときは、専門用語を使わずわかりやすい言葉に言い換えましょう。「インテーク」「アセスメント」などの専門用語はもちろんですが、「エビデンス」「コンセンサス」などのカタカナ語もわかりにくいため避けた方が無難です。
相談者が安心して相談に集中できるよう、初めて介護サービスを利用する人でもわかるように説明することを意識しましょう。
インテークを行うときの心がまえ
インテークでは、相談者が安心できる環境づくりや相手への適切な共感などが大切です。主に上記5つのポイントを押さえて実践しましょう。
安心して話せる雰囲気をつくる
インテークの際は、相談者に「この人になら話しても大丈夫そう」と思ってもらえることが何よりも重要です。相談者が心を閉ざしたままでは、本音を引き出すことはできません。ときには雑談や世間話なども交えながら、安心して話せる柔らかい雰囲気をつくるように心がけましょう。
具体的には、「笑顔で話しかける」「ゆっくりと落ち着いた声のトーンで話す」「相槌や身振り手振りで共感を示す」などの方法があります。
緊急対応が必要であるかを確認する
対面ではなく相談者から突然電話がかかってきた場合、相談者の命に関わる緊急性の高い内容である可能性もあります。電話口の声や相談の内容から、緊急で対応する必要性があるかどうかを確認しましょう。
電話だけで確認できない場合は、住所を聞いて速やかに訪問することも検討します。
相談者の視点に立って傾聴する
インテークでは、相談者の立場を想像しながら傾聴する姿勢が大切です。
相談者は「現在抱えている困りごとや悩み」と、「初めて会う人(インテ―カー)がしっかり話を聞いてくれるかどうか」という2つの不安を抱えています。とくに、まずインテ―カーに対する不安を取り除く必要があります。
相談者の視点に立って寄り添いながら傾聴しましょう。
適切な度合いで共感する
インテークでは、相談者の立場を想像して共感しながら話を聞くことが大切です。しかし、過度な共感や感情移入には気をつけましょう。なぜなら、インテーカーには客観的な視点で課題を分析し、公正中立な立場で支援策を提案することが求められているためです。
感情移入は客観的な判断を歪める原因になりかねません。自分を律して冷静な判断ができるよう、日頃からインテ―カー自身が自己理解を深めることも大切です。
細やかな気配りと誠実な対応を心がける
相談者と信頼関係を築くには、細部まで気を配り、常に誠実な対応を行うことが大切です。
相談者の話に耳を傾けているときは、口調や声のトーンの起伏・しぐさ・表情など細かい部分まで観察しましょう。そのうえで、言葉には表せない相談者の悩みや辛い気持ちを汲み取り、ときに労いの言葉をかけて気配りを示すことも必要です。
たとえ忙しいタイミングでの電話や突然の来所でも、気配りを忘れてはいけません。日頃から相手の気持ちや感情に寄り添い、誠意ある対応を心がけましょう。
インテークについてよくあるQ&A
インテークについて、気になる疑問点を4つまとめました。実際に業務で行う際に困らないよう、ぜひチェックしておきましょう。
Q.インテークはなぜ重要?
A.支援者と相談者が初めて面会し、第一印象や支援の方向性が決まる場だからです。
インテ―カーの立ち振る舞いによって、本人だけでなく事業所の第一印象が決まります。インテークが成功するかどうかが、支援全体の質に影響を及ぼすといっても過言ではありません。
常に相談者に気を配り、丁寧な対応を心がけましょう。
Q.インテークにかける時間はどれくらい?
A.おおむね1時間程度で行うことが多いです。
一般的にインテークは、長くても1時間程度に収めるようにしましょう。相談内容や状況によって変動する可能性もあります。
あまりに長いと相談者が疲れてしまい、相談内容がまとまらない恐れも。限られた時間の中で必要な情報を効率的に収集できるよう、事前にしっかりと準備しておきましょう。
Q.電話で相談を受けたときの注意点は?
A.お互いの表情が見えないため、言葉遣いや話し方にとくに注意しましょう。
基本的なインテークの手順は、対面でも電話でも変わりません。ただ、顔が見えない分、言葉の選び方や声のトーン・話し方などで、相手に不快な印象を与えないよう細心の注意を払いましょう。
また、電話によるインテークは、相談者の表情や身振り手振りから情報を得られません。相談者が聞いてほしいことをいかに引き出せるかどうかが重要といえます。
Q.インテークの技法が役立つ仕事は?
A.ケアマネジャーや相談支援専門員などの職種があります。
ケアマネジャーは、介護サービスの利用に必要なケアプランの作成や、施設・事業者との連携・調整を行う職種です。相談支援専門員は、障がいを持つ方を対象に、支援サービスの利用について相談やサポートなどを行います。
他にも、生活相談員や医療相談員、ケースワーカーといった職種の業務にも役立つでしょう。
適切なインテークで信頼関係を築き、質の高い支援につなげよう
インテークとは、ケアマネジャーや生活相談員などが、介護サービスの利用者・ご家族と行う初回面接です。相談者の基本的な情報を収集し、今後の支援策を決める目的があります。
インテークは、支援者の第一印象を左右する時間であり、今後の信頼関係や支援内容を左右する非常に重要な面接です。ご紹介した事前準備や実施の流れ、心がまえなどを押さえて、適切にインテークを実施しましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。