東京都の訪問介護採用応援事業とは?働きながら介護資格等取得が可能な働き方
著者: ゲートウェイ
更新日:2025/05/19
公開日:2024/05/24
東京都では令和6年度より「訪問介護採用応援事業」を開始しました。うまく活用することで、これから訪問介護職を目指す方にとって嬉しいメリットがあります。この記事では、訪問介護採用応援事業の内容や条件、対象施設についてまとめています。訪問介護員の仕事や事業への応募方法も紹介するので、ぜひご覧ください。
目次
訪問介護採用応援事業とは
東京都の訪問介護採用応援事業とは、訪問介護業務への就業を希望する方が訪問介護施設で働きながら、介護職員初任者研修の資格などを取得できるようにサポートする事業です。サポート期間中は無償で研修を受講でき、研修受講中も給与を受け取れます。
事業によるサポートを希望する方は、対象の施設で最長6カ月の有期雇用契約を結ばなくてはなりません。ただし、介護福祉士や介護職員実務者研修修了者において、すでに訪問介護業務の経験がある方は対象外となります。
【東京都】令和6年度より始まる取り組み
・初任者研修等資格取得支援事業
・介護職員就業促進事業
・訪問介護採用応援事業
東京都では、令和6年度から介護業界で働く人材の確保と定着を目指して、上記の3つの事業を開始しました。初任者研修等資格取得支援事業は介護の資格取得の支援、介護職員就業促進事業は訪問介護以外の資格取得支援、訪問介護採用応援事業は訪問介護事業所で働きながらの資格取得支援を目的として実施されます。
なお、令和5年度までは「介護職員就業促進事業」として、訪問介護に特化せずに就業支援を実施していました。令和6年度以降は、訪問介護事業と訪問介護事業以外を分けて就業支援が実施されます。
事業の目的
訪問介護採用応援事業をはじめ、いずれの事業も介護業界で働く人材の確保・定着を目的として実施されます。
とくに、介護職員就業促進事業と訪問介護採用応援事業は、働きながら資格を取得できるようにサポートする事業です。介護人材にとっては給与を受給しつつ資格取得を目指せる点が、事業者にとっては人材不足の解消と適切な人材の確保を実現できる点がメリットといえます。
訪問介護採用応援事業の事業内容とは
訪問介護採用応援事業は、訪問介護への就労を希望する方が働きながら介護職員初任者研修等を受講し、給与の支払いも受けつつ、資格取得を目指す事業です。研修受講料は無料のため、経済的な負担なしに介護職としてのスキルアップ・資格の取得を目指せます。
受講可能な研修コース
訪問介護採用応援事業に参加する就業者は、持っている資格の種類に応じて、「介護職員初任者研修」もしくは「介護福祉士実務者研修」のどちらか一方の研修を受講できます。それぞれの研修内容の特徴や対象者は以下をご覧ください。
●介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護業務を実施するうえで必要な最低限の知識・技術、考え方のプロセスを習得するための研修です。訪問介護業務に従事したい方や、在宅・施設などさまざまな介護業務に従事したい方を対象としています。
研修には職務の理解や介護の基本、コミュニケーション技術、認知症の理解などの幅広い科目があります。科目ごとに定められた時間の研修を受講(合計130時間)することが必要です。
●介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修とは、医療的ケアや介護過程、こころとからだのしくみなど、介護福祉士養成課程に含められる科目を体系的に学ぶ研修です。介護福祉士国家試験の受験を目指す方や、訪問介護事業所でサービス提供責任者を目指す方を対象としています。
研修には認知症の理解や障害の理解などの幅広い科目があり、合計450時間(※)の研修を受講することが必要です。
※介護職員初任者研修を持っている場合は320時間
対象者は?
対象となる人 | 対象外の人 |
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・訪問介護業務への就労を希望する離職者 | ・訪問介護業務の経験がある人 ・有期雇用契約期間の終了後に、はじめから退職を予定している人 ・同一法人ですでに就業中の人※ ・以前同一法人で就業していた人※ ・同一法人で内定済みの人※ (※パート・アルバイト・派遣含む) |
事業の対象となるのは、訪問介護業務への就労を希望している離職者です。現在別の職場で就業中であっても、雇用開始までに離職者となることが決まっている方も対象となります。
ただし、訪問介護業務経験のある方や有期雇用契約期間終了後に退職を予定している方、同じ法人で過去に就業していた人など、上記表の右側に記載されているケースに該当する方は対象外です。
期間は?
訪問介護採用応援事業において、訪問介護事業所での有期雇用契約期間は最大6カ月間です。ただし、雇用者と事業所の双方の同意があれば、継続して雇用されることができます。
訪問介護採用応援事業の実施期間は、令和7年5月1日~令和8年1月31日です。ただし、期間内であっても、雇用開始日の最終期限は「令和7年11月1日まで」とされています。また、実施規模は300名程度とし、利用者多数の場合は事業期間の途中であっても終了する可能性があります。
雇用条件は?
雇用形態 | 有期雇用契約(※正規職員での雇用は不可) |
---|---|
就業時間 | 週10時間以上、40時間以内 |
社会保険 | 各社会保険に加入 |
賃金支払 | 基本給が東京都内の最低賃金を上回るように設定 原則、月払い |
その他 | 時間外勤務は原則しない 原則、ダブルワーク不可(※) |
訪問介護採用応援事業における雇用条件は、東京都で定められている上記の条件を満たす形で施設ごと・事業所ごとに設定します。
なお、事業期間中は時間外勤務について想定されていません。そのため、施設・事業所は時間外業務が発生しないように努める必要があり、やむを得ず時間外勤務が発生したときは、施設・事業所から雇用者に正当な賃金を支給します。
対象施設・事業所は?
対象の介護サービス |
---|
・(介護予防)訪問入浴介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・訪問介護 ・夜間対応型訪問介護 |
令和7年度の訪問介護採用応援事業に申請し、承認を受けた施設・事業所が対象です。対象となる介護サービスは、「(介護予防)訪問入浴介護」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」です。
なお、対象施設・事業所は東京都福祉人材センターの一覧に記載されているため、雇用を希望する方は応募前に確認しておきましょう。
そもそも訪問介護とは?
訪問介護とは、介護サービスを利用する人が、できる限り自宅で自立した生活を送れるようにサポートするための介護です。
訪問介護員が利用者さんの自宅を訪問し、身体介護や生活援助を実施。他に、通院のための乗降車、移送の介助サービスも実施します。
仕事内容
身体介護 | 食事や排泄、入浴などの介護など |
---|---|
生活援助 | 掃除や買い物、調理、洗濯などの支援など |
その他の仕事 | 通院のための乗降車、移送の介助サービスなど |
訪問介護員は、利用者さんが自立した生活を送るために必要なさまざまなサポートを提供します。ただし、利用者さんに直接関係のないサポートはサービスの対象外です。たとえば、利用者さんのご家族に対する支援や来客の対応などは含みません。
また、日常生活の範囲を超えるサポートについても除外されます。たとえば、庭の草むしりや大掃除、ペットの世話などは訪問介護では対応しません。
詳しい仕事内容については、次の記事で解説しています。
訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容について詳しくはこちら |
訪問介護員に必要な資格
難易度 | 資格名 | 内容 |
---|---|---|
★☆☆ | 介護職員初任者研修 | 介護に関する基礎を学べる資格。最低限の知識と技術、考え方のプロセスを身につけられる |
★☆☆ | 【生活援助のみ】生活援助従事者研修 | 掃除や洗濯など、身の回りのサポートについて学ぶ |
★★☆ | 介護福祉士実務者研修 | 介護に関するより専門的な知識を学ぶ。介護福祉士国家試験を受験する際にも必須の資格 |
★★★ | 介護福祉士 | 専門的知識や技術で介護を行い、また指導行える、介護業界の唯一の国家資格 |
訪問介護員に必要な資格としては、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、介護福祉士が挙げられます。生活援助従事者研修でも訪問介護業務に携われますが、介護業務のメインとなりがちな身体に触れる身体介護には対応できません。
訪問介護員の資格について、詳しくは次の記事からご確認ください。
訪問介護員(ホームヘルパー)の資格について詳しくはこちら |
やりがい・メリット
・利用者さんにじっくりと寄り添った介護ができる
・感謝の言葉を身近でもらえる
・生活に合わせて柔軟に働ける
・キャリアアップにつながりやすい
訪問介護業務に携わるやりがいやメリットとして、利用者さんに寄り添い、個別性を重視した介護を提供できることが挙げられます。また、利用者さんの自宅というプライベートな場所で介護を提供することで、感謝の言葉をより身近でもらえるのもメリットです。
訪問介護事業者によっては、パートタイムや夜間だけといった働き方にも対応しているため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能な点もメリットといえます。
訪問介護員のやりがいや向いている人について詳しくはこちら |
訪問介護採用応援事業への応募方法・申込先は?
東京都の訪問介護採用応援事業には、ハローワークや求人サイトなどから応募できます。応募方法や申込先について見ていきましょう。
ハローワーク
訪問介護採用応援事業の対象施設・事業所は、ハローワークへの求人掲載が義務づけられています。最寄りのハローワークや、ハローワークのホームページから「東京都訪問介護採用応援事業」と記載された対象施設・事業所の求人情報を確認し、応募してください。
求人サイト・求人誌等
ハローワーク以外の求人サイトや求人誌から応募することも可能です。
ただし、ハローワーク以外の求人サイトや情報誌には、対象施設・事業所が求人広告を出していない可能性があります。より多くの情報を得るためにも、東京都福祉人材センターのホームページに記載されている「事業者一覧」を参考に、直接、対象施設・事業所に連絡してみてください。
なお、問い合わせるときは、「訪問介護採用応援事業を希望する」旨を伝えるようにしましょう。
訪問介護採用応援事業を活用し、将来に役立つ介護資格を取得しよう
東京都の訪問介護採用応援事業を活用することで、給与を得ながら訪問介護業務に必要な研修を無償で受講できます。高齢化が進む中、介護人材へのニーズは今後も高まると予想されています。ぜひ本事業を活用し、将来に役立つ介護資格を取得しましょう。
ソラジョブ介護では、東京都の訪問介護採用応援事業の対象施設・事業所の求人案件を多数掲載しています。キャリアを広げるためにも、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。