介護の仕事で感じやすいストレスとは?原因や限界になる前にとるべき対処法を解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/07/20
公開日:2019/02/07
介護の仕事でストレスを感じ、悩んでいませんか?人と向き合う仕事である介護職は、ストレスを抱え肉体だけでなく精神的にまいってしまう人も多くいます。そこで介護職員向けのストレス発散、対処法をご紹介します。また、転職する際の自分に合う職場選びのポイントについても解説します。
介護の仕事でストレスを感じたときは?
介護職は人と向き合う仕事です。肉体的負担はもちろんですが、時には、精神的にも負担がかかることもあるでしょう。そのような時でも、原因を見つけて適切な対処法をとることが、ストレス軽減につながります。
1.ストレスの原因を考える
2.ストレスを発散する対処法を行う
3.転職を検討する
まずは、「なぜ自分がストレスを感じているか」原因を突き止めてみましょう。原因が見つかったら対処法を行い、気分転換をすることをおすすめします。職場での人間関係や、利用者の対応が原因の場合であっても、自分の意識や行動を変えてみれば、問題が解決するかもしれません。
対処法では解決できない場合、思い切って転職を考えるのも方法のひとつです。
介護職員がストレスを感じる主な原因
介護職員がストレスを感じている代表的な6つの理由は主に以下の通りです。
職場の方針が合わない
そもそも、職場の運営方法に不満を持っている人も多いようです。経営サイドから売り上げを伸ばすことを求められたり、介護者に負担の多い無理な企画が多かったりすることもあります。そういった施設長の取り組みに対して不満を持つ人は少なくありません。
人間関係がうまくいかない
やはり、職場の人間関係がストレスの原因になる人が多いようです。少人数でチームを組むため閉鎖的な環境になりやすく、スタッフ同士のコミュニケーションでも問題が生じます。幅広い年代で上下関係があり、経歴が違う人が集まることで価値観の相違もあります。
職場の人間関係にストレスを抱えている場合、介護施設ではなくホームヘルパー業務を行うことでストレスが軽減される場合もあります。
身体的な負担が大きい
利用者の介護レベルなどによっても異なるものの、介護職員は入浴介助やベッドの移動といった肉体労働や、不規則勤務が強いられます。これを日常的に繰り返すことにより身体的な負担が重なっていき、腰痛などが悪化していくこともあります。
業務量と給料が見合わない
介護職員の給料は全職種の平均と比べて、少ないという統計結果もあり、責任や業務量に対する還元が少ないといわれることがある仕事です。近年では人手不足を解消するために国による賃上げなどが行われているものの、施設によっては給料に反映されていないケースもあるようです。
利用者との信頼関係構築が難しい
介護職は利用者から感謝の言葉がいただける素晴らしい仕事です。しかし実際には、認知症の利用者からの罵詈雑言、不穏な行動などで、心身ともに疲れてしまうこともあります。また、利用者家族への対応もしなければならず、ストレスをためてしまう介護職員も少なくありません。
【介護職員向け】ストレス発散・対処法
価値観の違いを認める
同じ職場で働いていたとしても、価値観は人それぞれです。そこに対してストレスを感じてしまっては、キリがありません。人は人、自分は自分と受け入れることも大切です。価値観の違いは、自分と違う人の介護感を知る良い機会だと考えるようにしましょう。
信頼できる人に相談する
何か心にモヤモヤすることがあれば、すべて吐いてしまってください。仕事仲間に相談することが難しければ、家族や友人に愚痴をこぼすとこも大切です。溜まったストレスは健康にも影響するので、一人で溜め込まないようにしましょう。
生活習慣を見直す
人間の身体は生活習慣が乱れていくと、弱くなっていく一方です。そんなときは、規則正しい睡眠と食事で心を整えてください。とはいえ、夜勤などで難しい人もいるでしょう。そんなときは、運動やストレッチをするだけでも大きく違ってきます。
自分なりの気分転換を行う
仕事の悩みを抱えているときは、プライベートでも仕事のことを考えがち。退勤後や休日は仕事のことは考えない、と思っていてもなかなか難しいものです。そのような場合には、趣味に没頭する時間を作ったり、適度な運動をしたりするとよいでしょう。スポーツや料理など、意識的に自分の好きなことをして、気分をリフレッシュしましょう。
将来を考える
このまま介護職として、将来的にどうありたいかを考えてみてください。たとえば、自分が不満に感じていることがあれば、それを将来に役立てることもできるでしょう。数年後にキャリアアップするためのメリットと不満を照らし合わせることも欠かせません。
介護職員が発症しやすい「燃え尽き症候群」とは
介護職がかかりやすいうつ病の一種に「燃え尽き症候群(バーンアウト)」があります。仕事に対して高い意欲を持って取り組んでいたにもかかわらず、ある日突然やる気を失い、虚無感から仕事に手がつかなくなってしまう症状です。心理的なストレスが原因で発症するとされており、仕事に対して高い理想や熱意を持っている方がかかりやすいといわれています。対人サービスに従事する方が発症しやすいため、介護職は注意が必要です。
主な症状には、以下のような症状が当てはまります。
肉体的な症状 | 精神的な症状 |
---|---|
・不眠 ・食欲がなくなる ・胃腸の障害 ・息切れ ・めまい ・高血圧 ・偏頭痛 |
・イライラして怒りっぽくなる ・脱力感 ・絶望感に襲われる ・仕事への意欲がなくなる ・何事にも無気力になる ・他人に無関心になる ・自分に否定的になる |
燃え尽き症候群を発症し、そのまま休職・退職してしまうケースも珍しくありません。上記症状に当てはまる内容が多い場合には、早めに医者にかかってケアしましょう。
燃え尽き症候群を防ぐには?
燃え尽き症候群を防ぐために、次のようなことを意識しましょう。
【燃え尽き症候群を防ぐために心がけたいこと】
・仕事とプライベートに境界線を引く
・心と体のささいな変化を見逃さない
肉体的・精神的な症状に少しでも異変を感じたら、無理をしないことが大切です。仕事で辛いことがあっても、プライベートと境界線を引くことができれば精神的な負担は軽くなるでしょう。仕事でもプライベートでも絶え間なく過度のストレスを受けると、燃え尽きて意欲を失ってしまいます。上記を意識することだけでなく、「【介護職員向け】ストレス発散・対処法」で解説した行動を行うこともおすすめです。
上記とあわせて、「【介護職員向け】ストレス発散・対処法」で解説した行動を行うこともおすすめです。
【要注意】ストレスを招く「ブラック介護施設」の特徴
ストレスの原因の多くは、前述したとおり、職場環境にあります。そのため上記のような職場環境の介護施設には要注意です。それぞれ詳しく紹介します。
労働基準法を守っていない
労働基準法では、毎週少なくとも1回の休日、もしくは4週間で4日の休日を与えなければならないと規定されています。また、原則として1週間40時間、1日8時間という労働時間の制限もあります。残念ながら、これらが守られていない施設も少なくありません。
無理な残業・休日出勤・夜勤を求められる
残業があっても時間外手当がない、夜勤を宿直あつかいにする施設もあります。また、給料面から考えると夜勤は魅力的ですが、月に10日以上の精神的・肉体的負担は限度を超えてしまうでしょう。他にも、休日出勤を無理強いする施設も少なくありません。
いじめ・ハラスメントがある
ブラック介護施設の共通ポイントとして、いじめ・ハラスメントの横行があります。職員同士や施設運営者、利用者から被害を受けることもあるでしょう。これらの対策を一切していないからこそ、日常的に行われているのです。
違法な医療行為を強いられる
無資格者である介護職員に対して、医療行為を行わせているケースもあります。たとえば、摘便やインスリン注射などは介護職員が行うことができません。どれだけ人手不足だからとはいっても、無資格者による医療行為は行ってはいけません。
自分に合う職場を選ぶポイント
・求人情報の雇用条件をよく確認する
・見学をして施設の雰囲気を見る
・方針や考え方が合うか考える
別の介護施設へ転職を希望する場合、まずは求人情報をよく確認しましょう。雇用条件などに問題がなく、自分の条件に合う施設があれば、実際に見学をして職場の雰囲気を確かめるのがおすすめです。見学や面接では、求人情報に書かれていないような、介護の方針や職員の考え方についても聞いてみましょう。転職した後に、その部分がマッチしていなければ精神的負担となる可能性もあります。
介護のストレスや仕事に関するQ&A
介護のストレスや、仕事に関するよくある質問について、お答えします。
Q.ストレスが限界を超えるとどうなる?
A.突然倒れたり、涙が止まらなくなったりすることがあります
周囲からは、いつもと様子が違う、家にこもりがちになる、など普段の言動との違いで気づかれることもあるでしょう。自分で気づく変化としては、好きなことが楽しめなかったり、疲れているのに眠れなかったりすることがあります。自分で気づけたらよいのですが、少し疲れているのかな、とスルーしてしまうことも。周囲から声を掛けられたら、素直に自分の精神状態を見直してみるとよいでしょう。
Q.人間関係がストレスの場合、どんな施設がおすすめ?
A.訪問介護を検討しましょう
職場の人間と触れ合う時間が少ないため、人間関係にストレスを感じる場合には、訪問介護がおすすめです。利用者の自宅に一人で向かうことの多い訪問介護は、全ての業務を自分だけで行います。仕事内容に大変な部分はもちろんありますが、さまざまな経験を積み、幅広いスキルや知識を得られるでしょう。
Q.介護の仕事の魅力ややりがいは?
A.助けを必要とする人を支えることができます
ストレスを抱えやすい仕事ではあるものの、助けを必要とする利用者を支えられる介護職は、やりがいがある仕事といえます。また、家庭内の介護負担の軽減や、利用者に笑顔が増えたなど、利用者のご家族からも感謝されることもあります。誰かの役に立っていると実感しやすい仕事です。
上手にストレスを発散しながら、介護の仕事に取り組みましょう
介護の仕事と、ストレスの関係について紹介しました。人と向き合う仕事だとストレスを感じやすい人は、ストレスの発散方法や対処法を知っておきましょう。また、自分が「燃え尽き症候群」に陥らないよう、体調や気持ちに変化が出たら、早目に対処、改善することが重要です。それでもストレスが解消できない場合は、自分に合う職場に転職することも検討しましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。