訪問介護員(ホームヘルパー)とは?必要な資格の取得方法や実際の仕事内容をご紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/04/22
公開日:2019/05/09
自宅での生活で介護が必要な方をサポートする「訪問介護員」。別名「ホームヘルパー」とも呼ばれ、高齢化が進む現代においてニーズが高まる職種の1つです。本記事では、訪問介護員になるための必要な資格や、実際の仕事内容について詳しく解説をします。
訪問介護は誰でもできる?訪問介護員(ホームヘルパー)とは
訪問介護員は、高齢者や障害者の自宅を訪問し介護サービスや家事援助サービスを提供するのが主な業務。実際の現場では、通称である「ホームヘルパー」と呼ばれることが一般的です。一人ひとりの状態に合わせたケアを行う必要があるため、介護の技術だけでなくコミュニケーション能力なども重要視されます。
また、介護を必要とする本人はもちろん、ご家族の方にも精神的なケアや介護技術の指導なども業務の一つです。業務は多岐に渡り大変な場面もありますが、ご家族の介護負担を一時的に減らすことができるなど、無くてはならない存在です。
訪問介護(ホ―ムヘルパー)に必要な資格
訪問介護員にはレベルに合わせて、いくつかの資格が用意されています。ここでは、それぞれの資格の特徴や取得の難易度について解説します。
難易度 | 資格名 | 内容 |
---|---|---|
★☆☆ | 介護に関する基礎を学べる資格。最低限の知識と技術、考え方のプロセスを身に付けられる。 | |
★☆☆ | 掃除や洗濯など、身の回りのサポートについて学ぶ。 | |
★★☆ | 介護に関するより専門的な知識を学ぶ。介護福祉士を受験する際にも必須の資格。 | |
★★★ | 専門的知識や技術で介護を行い、また指導行える、介護業界の唯一の国家資格。 |
介護職員初任者研修
介護に関する資格を初めて取得するなら、介護職員初任者研修からのスタートがおすすめ。介護に必要な基礎的な知識や技術を身に付けられる研修で、難易度は入門レベルです。研修の内容は、講義40時間+実技90時間の合計130時間で構成されています。またこの研修を受けることで、より上位の資格である「介護福祉士実務者研修」を受ける際に、一部の科目免除を受けることが可能です。
【生活援助のみ】生活援助従事者研修
<買い物や洗濯、掃除など主に身の回りの生活援助ができる資格が生活援助従事者研修です。研修の中では、介護が必要な方とのコミュニケーションの取り方、老化や認知症などへの知識を深めます。一方で、入浴介助や食事介助、排泄介助などの身体に触れる介護ができない点は注意が必要です。研修は59時間です。難易度はそこまで高くありません。
介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の上位資格で、より専門的な知識を習得できるのが介護福祉士実務者研修です。国家資格である介護福祉士を目指す場合は、必ず受講をしなければならない研修です。無資格者の研修時間は全部で450時間。介護職員初任者研修を取得している場合は、130時間の授業が免除されます。介護福祉士をいずれ目指したいという方におすすめです。
介護福祉士
介護資格で唯一の国家資格なのが介護福祉士です。介護が必要な方へ日常生活のサポートを、専門的な技術と知識を持って対応します。試験は年1回実施され、合格率は近年約70%前後で推移しています。資格を取得する方法は「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」「実務経験ルート」「経済連携協定ルート」など、4つの中から選択をすることが可能です。
訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容
資格に関する概要がわかったところで、具体的に現場ではどのように仕事をするのか解説します。
身体介護
身体介護は、利用者の体に触れておこなう介護のことです。こちらは専門的な知識や技術を必要とするため、介護職員初任者研修などの有資格者でなければ行うことができません。
基本的には、利用者の食事、着替え、入浴、移乗、排せつなどのサポートや体位変換などを行いますが、身体介護は、利用者の自立生活支援・重度化防止のためのADL(日常生活動作)向上が目的です。見守り的援助といって、利用者と一緒に手助けや声かけをしながら掃除や買い物を行うことも身体介護の一部となります。
生活援助
生活援助は、利用者の体に触れない支援のことです。利用者本人や家族ができない日常生活の家事を、介護士が代行するというものです。具体的には、掃除、食事の準備(調理・配膳など)、洗濯、日用品などの買い物代行、部屋の片づけ、薬の受け取りなどです。
生活援助は、介護に関係のないものはおこなうことができません。たとえば、草むしり、家具の移動、窓ふきなどです。ただし、事業所によっては、これらを『保険適用外のサービス』として提供しているところもあります。
その他の仕事
上記以外にも、報告書の作成や事務仕事もあります。また、家族への指導や医療機関との連携を図ることも、訪問介護をおこなっていく上で非常に大切な仕事です。訪問介護できない時間帯も、利用者や家族が快適に生活していけるよう配慮していきましょう。
訪問介護員(ホ―ムヘルパー)のメリット・デメリット
訪問介護の仕事は力仕事もあり、一般的に「きつい」「大変」といわれています。しかし、一方でやりがいを感じ、長く仕事をしている人が多いのも事実。ここでは訪問介護のメリット・デメリットを紹介していきます。
訪問介護のメリット
訪問介護のメリットは、利用者に個別の対応を行うことができる点です。施設と違い、利用者の自宅に直接伺うため、一人ひとりの要望に答えることや生活習慣・意向を尊重することができます。
そのため利用者や家族から感謝してもらいやすく、仕事をしていく上でやりがいを感じる瞬間が多いといえるでしょう。
訪問介護のデメリット
訪問介護のデメリットは、利用者や家族のこだわりに対応しなければならない点です。訪問介護の支援や介護は、介護の観点からおこなうもの。利用者や家族から「こういう風にして」と言われたり、訪問介護の枠を超えていたりしてできないこともしばしば。
また、移動が大変なこともデメリットの一つ。雨の日や台風の日などといった悪天候でも、利用者宅へ向かわなければなりません。
訪問介護員(ホ―ムヘルパー)に向いている人の特徴
・対応力がある人
・責任感が強い人
・家事が得意・好きな人
ここでは、これから介護の仕事に挑戦してみたいと考えている方に向けて、どのような人が訪問介護員に向いているのかを解説します。
対応力がある
訪問介護員は介護が必要な方の自宅に伺い、業務を行います。サービスを利用する方の、要介護レベルが異なるだけでなく、自宅の環境や使える道具なども施設とは異なりさまざまです。そのため、その場その場に応じた適切な対応力があると業務をスムーズに進められます。自身の裁量が大きいため、大変ではある反面、やりがいに感じる方も多いです。
責任感が強い人
訪問介護の仕事は、利用者様の体に直接触れる介護を行います。一つの判断ミスが、怪我や事故につながり、時に取り返しのつかない事態を招くこともあります。また理不尽な場面に遭遇することしばしば。そんな時でも仕事を投げ出さず、責任を持って仕事に取り組むことができる人が向いている職業であるといえます。
家事が得意・好きな人
訪問介護の仕事の中には「生活支援」と呼ばれる、料理や洗濯などの家事を代行する業務も含まれます。家事を得意としていて、介護の業界で働いてみたい方は、日常の生活の中で培ってきた知識や経験を存分に活かせます。
訪問介護員(ホ―ムヘルパー)に関するQ&A
最後に、訪問介護員に関するよくある質問をQ&Aの形式で解説します。
Q.無資格や未経験でも訪問介護員(ホームヘルパー)として働ける?
A.訪問介護員として働くには資格が必要。施設の介護職員として働くことはできる。
訪問介護員として働くためには、本記事でも紹介したように何かしらの資格が必須です。そのため、無資格で働くことはできません。一方で、無資格でも施設の介護職員として生活支援などの業務につくことは可能です。無資格・未経験から訪問介護員を目指すのであれば、一度介護施設などで経験を積んでから、資格の取得を目指してみてください。施設での介護経験は、間違いなく訪問介護の際にも役に立ちます。
Q.訪問介護員(ホームヘルパー)の年収はどのくらい?
A.2022年度においては、384.6万円です。
厚生労働省の調査によると、2023年における訪問介護員の平均年収は384.6万円と発表されています。日本の民間企業・全業種を合わせた平均年収522万円と比較をすると、約100万以上低い水準です。この原因としては、非正規社員が多いこと、勤続年数が短い方が多く働いていることなどがあげられます。
Q.訪問介護員(ホームヘルパー)の働き方はどんなものがある?
A.正社員やパート、アルバイト、派遣ヘルパーなどがあります。
訪問介護員には、民間企業や社会福祉法人の事業所などさまざまな勤務先があります。働き方も正社員としてだけでなく、パートやアルバイト、派遣ヘルパーなどが選べます。そのため、結婚や子育てといったライフステージの変化に合わせて働ける点も魅力的なポイントです。勤務場所や勤務時間など、自身のスタイルに合った働き方を探してみてください。
資格を取得し訪問介護員(ホームヘルパー)として活躍しよう!
訪問介護員として働くために必要な資格、実際の業務内容などについて解説しました。訪問介護員になるためには資格が必須ですが、知識や経験に合わせて段階的に取得ができるのは魅力的なポイント。未経験の場合は、介護施設などで経験を積みながら資格の取得を目指すのもおすすめです。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。