施設長の仕事内容・役割は?資格要件・求められるスキル・給与相場を一挙解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/06/25
公開日:2021/03/12
介護施設の責任者として、施設全体のマネジメントを行う重要な役割を担う施設長。ここでは、介護職として働く方必見の、施設長の仕事内容や資格要件などをご紹介します。施設長として求められるスキルや気になる給与相場も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
施設長とは
施設長(ホーム長)とは、介護施設の責任者、管理者のことをいいます。施設によって資格要件が異なり、呼び方もさまざまです。施設長は施設全体の業務に携わるため、介護の知識はもちろん、コミュニケーション能力やリーダーシップ力などさまざまな能力も必要とされる存在です。
また、施設長は介護老人保健施設や特別養護老人ホームなど、さまざまな介護施設で常勤として1名の人員配置が義務付けられています。
【施設長の特徴】
・施設によって呼び名が変わる(例:ホーム長・センター長・事業所長・管理者など)
・施設における業務全般を担当する
・施設によって必要な資格や要件が違う
施設長の役割と責任
施設長には、施設の機能を円滑に統括する役割があります。そのため、仕事内容には施設の運営方針の策定から日々の管理まで、幅広い業務が含まれるでしょう。
施設の目標達成に向けた戦略の立案や予算の管理、スタッフの指導・育成、サービスの質の向上、さらには顧客満足度の高い環境の提供など、多くのことが求められます。
また、施設内の安全管理やリスクマネジメントも重要な仕事かつ、責任を負うことも役割のひとつです。
施設長と管理者の違い
施設長と管理者に明確な違いはなく、どちらも介護施設の責任者を指す際に使われます。施設によって呼び方はさまざまで、ホーム長、所長などと呼ぶこともあるでしょう。施設の管理業務を担う役割を担い、介護施設で一番上の立場の人です。
また、介護施設によっては、施設長や管理者に資格取得を求めることもあります。
施設長の具体的な仕事内容
具体的な仕事内容 |
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スタッフの人事労務/スタッフの採用や教育/利用者さまやご家族への対応/外部機関や地域との連携/建物や設備の管理/収支管理、請求管理/コンプライアンス管理/必要に応じて介護職など |
施設長は施設の責任者かつ統括者としてあらゆる業務に携わります。そのなかでも主な業務は、マネジメントなどの管理業務です。公的な施設の場合、人材や業務におけるマネジメントがメイン。一方、営利法人であれば、利益を出すための収支マネジメントも含まれるのが一般的です。
また、大規模な施設の場合は、各部門において施設長を分担する場合もあります。小規模な施設であれば、マネジメントのみならず、介護職を兼務するケースも珍しくないでしょう。このように施設長の仕事は幅広く、勤務する施設の形態や規模によってもさまざまなのです。
施設長として勤務できるところ
施設長として勤務できる主な介護現場は以下の通りです。介護施設として機能している現場であれば、基本的に施設長として働くことができます。
特別養護老人ホーム/養護老人ホーム/有料老人ホーム/ケアハウス/デイサービス/ショートステイ/グループホーム/サービス付き高齢者向け施設/訪問介護事業所…など
【スケジュール例】施設長の1日の流れ
8:30 | 出勤 |
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8:45 | 巡回 |
9:00 | 朝礼 |
10:30 | 職員会議 |
11:30 | 昼食の準備 |
12:00 | 昼食・休憩 |
13:00 | 事務作業 |
15:00 | 外出(外部ケアマネジャーとの打ち合わせ) |
17:30 | 夕食の準備 |
18:30 | 退社 |
施設長の1日は、上記のように多岐にわたる業務で構成されています。一般的に朝は施設の開館準備と巡回、スタッフのミーティングから始まります。
日中は施設運営に関わるさまざまな業務に追われ、外部ケアマネージャーとの打ち合わせのために外出することもあります。夕方には施設のクローズ作業や、夕食の準備、翌日の準備に追われることが多いでしょう。
【職場別】施設長になるために必要な資格要件は?
無資格でも施設長として働ける施設は多いです。しかし、施設によっては、資格や経験年数などの条件が提示されている場合もあります。ここでは、施設長になるにあたって必要な資格要件を介護施設別に解説します。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは別名「介護老人福祉施設」と呼ばれる、公的な介護保険施設です。在宅での生活が困難になった要介護の高齢者が入居します。特別養護老人ホームで必要な資格は以下の3つです。
①社会福祉主事の要件を満たす者
②社会福祉事業に2年以上従事した者
③社会福祉施設長資格認定講習を受講した者
特別養護老人ホームは介護保険が関わる公的機関であるため、厚生労働省が定める上記の資格用件が必要です。社会福祉施設長資格認定講習は、福祉施設長に就任する際に必要な研修のことで、「全国社会福祉協議会 中央福祉学院」が実施しています。
グループホーム
グループホームは、軽度〜中度の認知症高齢者が対象の施設。
施設長になるためには、以下2つの要件が必要です。
①特別養護老人ホーム等の従事者または訪問介護員として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有すること
②厚生労働大臣が定める認知症対応型サービス事業者管理者研修を修了していること
また、上記要件に加えて、グループホームの施設長は常勤でなければならない点も押さえておくと良いでしょう。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、医療ケアやリハビリを必要とする要介護高齢者を受け入れる施設です。介護老人保健施設の施設長は「原則医師であること」と規定で定められています。
しかし、都道府県知事の承認を受けることで、医師以外の方も施設長になることは可能です。医師に限るという規定はありますが、病院や診療所とは異なる施設であるため、医師でない方が従事しているケースもあります。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、比較的重度の要介護者に充実した医療処置とリハビリを提供します。そのため、運営は医療法人が行い、医療法第10条により、施設長も臨床研修修了医師が管理することと定められています。看護師の人員配置も他の福祉施設に比べると手厚く、医療的ケアに対応した施設です。
デイサービス・有料老人ホームなど
デイサービスや有料老人ホームなどでは、施設長の資格要件は定められていません。そのため、一定の経験や研修を積んでいる人が優遇され、施設長となることが多いでしょう。
また、マネジメントスキルに長けている人材を、異業種から転職で招き入れるケースもあります。福祉系の資格を持っていない場合でも、組織運営に向いている場合には中途採用で施設長に採用されることもあるでしょう。
施設長に求められるスキル・能力
施設長は幅広い業務をこなすため、必要なスキルも通常の介護職員よりも高いレベルが求められます。ここでは、施設長として特に大切な4つのスキルとその内容をご紹介いたします。
介護業務のマネジメントスキル |
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・適切な介護サービスを提供する ・介護サービスの品質向上 |
人材マネジメントスキル |
・スタッフの採用や人員配置 ・スタッフの教育 ・スタッフの能力の見極め ・職場環境の整備、改善 |
コミュニケーションスキル |
・利用者さま、利用者さまのご家族の対応 ・取引先の対応 ・スタッフとの関係構築 |
経営管理スキル |
・赤字を出さないための収支管理 |
上記は施設長に限らず、職場において必要なスキルといえるでしょう。もちろんこれ以外にも仕事内容によって必要なスキルは異なります。 施設長を目指す方は、その施設の仕事内容や求められる役割を確認し、適切なスキルを身につけていくことが大切です。
施設長に向いているのはこんな人
・リーダーシップがある
・思いやりがある
・物事を柔軟に考え、対応できる
施設長はその施設の一番上の立場となるため、リーダーシップが必要です。組織の中でリーダーシップを発揮できる人は向いているといえるでしょう。
また、大勢を引っ張っていきながらも、スタッフや利用者さまとのコミュニケーションを大切にする対人関係能力が高いことも重要です。問題解決能力や柔軟性も必要で、変化に対応できる柔軟な思考も求められます。
施設の目標達成に向けて、チームを導くことができる人が施設長には最適といえるでしょう。
施設長になるためのステップ
施設長になるためには、基本的な資格や経験を積むことが必要です。施設の種類によって異なる資格が求められることもあるため、どの施設を目指すのか目標を定め、調べてみましょう。
ただし、どの福祉施設であっても、管理職としての経験やリーダーシップを示す能力は共通して重要視されます。関連分野での実務経験を積みながら、専門的な資格を取得することが求められるでしょう。
施設長就任後も学びの継続が大事
施設長のキャリアパスにおいて、継続的な学びと資格取得は欠かせない要素です。技術の進歩や、流動的な社会の変化に対応するため、専門知識の更新と新しい技能の習得が必要な仕事でもあります。
資格の取得は専門性を証明しながら、職員からの信頼も得られる上、キャリアアップに直結する部分です。継続的に学び続けることによって、最新の業界動向や法規制の変更にも対応できるでしょう。
施設長のキャリアパス
・エリアマネージャー
・部長など本社の役職
・生活相談員など他の介護職
・独立、開業
施設長として認められるとエリアマネージャーや部長など、1つの施設だけでなく地域全体で管理を行う役職につくのが一般的なキャリアパスです。それだけなく、施設長の経験を活かして生活相談員など別の職種へステップアップする道もあります。
さらに、施設長としての経験を活かし、独立して介護施設を開業する方法も選択肢の1つです。施設長は介護の経験だけでなく、マネジメントの経験も積める役職なので、さまざまなキャリアパスを選べるでしょう。
施設長の給料相場はどれくらい?
厚生労働省の調査(※)によると、令和4年9月では、施設長などを含む管理者の平均給与額は356,570円です。
施設長は介護施設の中でもトップの役職であるため、給料は一般職員よりも高く、それだけ業務量や責任が重大であることがわかります。
施設長の求人例
職種 | 介護管理職(施設長・所長) |
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仕事内容 | 施設運営・マネジメント業務・介護業務 |
給与 | 月給 330,000円 |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 07:00 〜20:00 実働 8h 休憩 1h |
応募資格 | 学歴不問 PCスキル不要 介護福祉士有資格者かつ居住系経験者 |
福利厚生 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、資格取得支援制度、財形貯蓄制度、社員持株会制度、再雇用制度、制服貸与、入社日バースデー手当10,000円、表彰ポイント制度(ベネフィット・ワン提携)、ホテル等会員割引、損害保険・傷害保険(団体割引)、結婚祝い金、出産祝い金、慶弔見舞金、退職金制度 |
求人の特徴 | 年間休日数 122日、4週8休シフト制+祝日分、有給休暇制度あり、夏季休暇あり、アニバーサリー休暇制度あり、残業少なめ |
介護付き有料老人ホームの管理者で、夜勤は基本的になく、年間休日120日以上とワークライフバランスも取りやすい仕事です。介護主任などからのステップアップを目指す方も応募しやすい求人でしょう。
職種 | 介護管理職(施設長・所長) |
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仕事内容 | ケアマネジメント業務を行いながら、事業所の運営(マネジメント業務) |
給与 | 月給 281,000円 |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 09:00 〜17:30 実働 7.5h 休憩 1h |
応募資格 | 学歴不問 PCスキル不要 未経験OK |
福利厚生 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、資格取得支援制度、財形貯蓄制度、社員持株会制度、再雇用制度、制服貸与、入社日バースデー手当10,000円、表彰ポイント制度(ベネフィット・ワン提携)、ホテル等会員割引、損害保険・傷害保険(団体割引)、結婚祝い金、出産祝い金、慶弔見舞金、退職金制度 |
求人の特徴 | 年間休日数 111日、4週7休シフト制、有給休暇制度あり、夏季休暇あり、アニバーサリー休暇制度あり、残業少なめ |
居宅介護支援事業所の未経験者も応募可能な介護管理職の求人です。ケアマネージャーを中心に、利用者様はもちろんご家族とも親身に相談しながら、住み慣れた地域での自立生活をサポートする仕事です。
施設長の仕事に関するよくある質問
ここでは、施設長の仕事に関して、よくある質問についてお答えします。施設長に興味のある方はぜひ参考にしてください。
Q.施設長の仕事のやりがい・魅力は?
A. 社会貢献ができたり、理想の介護施設のビジョンを達成できることにやりがいや魅力があります。
まず、施設長の仕事のやりがいは社会への貢献にあります。権限が多い分、責任も重くプレッシャーを感じることもありますが、施設運営を通じて利用者さまの生活の質の向上や、スタッフの成長を支援することがやりがいにつながるでしょう。仕事を通して、利用者さまやスタッフから感謝の言葉を直接もらえるのもやりがいの1つです。
また、理想の介護施設のビジョンを持っている場合には戦略的な計画を立て、チームを率いてリーダーシップを発揮し、理想を実現させることもできます。自分の理想の施設を実現できるのは、施設長の魅力といえるでしょう。
Q.施設長の仕事の大変なことや課題は?
A.人材教育や施設の維持管理業務などです。
施設長は施設全体を管理するため、常に多くの課題が伴い、問題を解決するための業務が多くなります。その中でも、利用者さまへの介護に大きく関わるスタッフの管理と育成には細心の注意が必要です。スタッフの介護知識のレベルによって、利用者さまに届けられるサービスの質が変わるため、定期的な教育は欠かせません。
また、介護の実情を理解しながら、予算の制約内で質の高いサービスを提供する財務管理も、施設長の重要な仕事のひとつです。もちろん、施設の安全と清潔を保つ維持管理業務も行わなければなりません。
Q.施設長として転職を目指すとき、何をアピールする?
A.マネジメント業務で得た、リーダーシップ力や人材・予算管理の経験をアピールするのがおすすめです。
施設長への転職では、マネジメント能力やリーダーシップをアピールするとよいでしょう。1人のスタッフとして能力を発揮するのとは異なる能力が必要とされるためです。
また、人材管理や予算管理の経験は、施設運営に必要不可欠なものです。これまでの職歴からこのような経験があれば、アピールポイントとなるでしょう。
施設の種類に応じた専門知識や、即戦力としての価値を高めるために、関連資格や深い知識もアピールできます。
Q.施設長と他の仕事を兼業できる?
A.施設長をしながら、他の仕事を兼業するのは難しいでしょう。
施設長としての業務は多岐にわたり、他の仕事との兼業は困難でしょう。施設の運営全般を管理しつつ多くの業務を担当するため、ほとんどの施設ではフルタイムでの専念が求められます。
ただし、小規模な施設や特定の条件下では、他の仕事を兼務するケースも存在します。とくに、非営利団体やボランティア団体では、他の仕事を持ちながら運営を行うこともあるでしょう。
施設長として介護業界での活躍を目指してみよう
施設長は介護施設では欠かせない存在です。仕事内容は大変ですが、それだけやりがいのある仕事です。この先も介護施設の需要は高まる傾向にあります。異業種からでも経験を活かした転職、また一般職からのキャリアアップも可能です。
ソラジョブ介護では、さまざまな介護施設長の求人を検索できます。取得している資格や勤務したい地域、施設などを絞り込んで検索も可能です。仕事内容や待遇などの詳しい情報も、施設詳細ページで確認ができますので、自分に合う施設が見つかるはず。ぜひ、ソラジョブ介護を活用して、ぴったりの施設を探してください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。