介護福祉士の平均給料は高い?安い?他職種との比較や上げる方法・今後の動向も
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/04/19
介護福祉士の平均給料は一般的に見て高い、もしくは安いのでしょうか。今後上がる可能性はどれくらいあるのでしょうか。
ここでは介護福祉士の平均給料、他の介護職との比較などをご紹介します。
給料をアップする方法など、よくある質問と回答もありますのでぜひ求職の参考にしてみてください。
目次
介護福祉士の平均給料は高い?安い?
介護福祉士の平均年収 | 介護福祉士の平均月収 |
---|---|
394万4,640円 | 328,720円 |
※手当や一時金などを含む
※平均年齢45.0歳
※平均年収は「平均月収×12」にて算出
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇改善状況等調査結果」によると、令和3年度における介護福祉士(常勤・月収制の方)の平均年収は394万4,640円、平均月収は328,720円でした。一般的に手取り収入は額面の8割前後のため、介護福祉士の手取り月収は平均して26万円ほどです。
すべての業界、職種における給与所得者の平均年収は443万円です(国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」通勤手当等非課税の手当などを含めない)。
したがって、介護福祉士の給与は日本の給与所得者全体の平均と比較してやや低い傾向にあります。ただし給料は勤務先の施設や働いている地域、経験年数などのさまざまな要素によって決まりますし、支出も個人の環境やライフスタイルにより大きく変わります。
そのため、一概に数値のみで給与が高い、低いと言えない部分があります。
【パート・アルバイトなど】介護福祉士の平均給料
介護福祉士の平均月収(時給・非常勤) | 実労働時間数(時間) |
---|---|
128,320円 | 87.5 |
※手当や一時金などを含む
※平均年齢53.9歳
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇改善状況等調査結果」によると、パートやアルバイトなど非常勤で時給制の介護福祉士の平均月収は128,320円でした。1ヶ月あたりの実労働時間数は87.5時間となっており、時給に換算すると約1,400円です。
【項目別】介護福祉士の給料を比較!
介護福祉士の給料は他の介護職と比較して高いのでしょうか、低いのでしょうか?ここでは介護福祉士と他の介護職の給料の比較をご紹介します。
介護福祉士と他介護職の給料
職種 | 平均給料(月額) |
---|---|
介護福祉士 | 328,720円 |
無資格の介護職員 | 271,260円 |
介護職員初任者研修 | 300,510円 |
実務者研修 | 307,330円 |
ケアマネージャー(介護支援専門員) | 362,290円 |
社会福祉士 | 363,480円 |
※手当や一時金などを含む
介護福祉士の平均給料は無資格の介護職員や介護職員初任者研修を持つ介護職員よりも高めです。無資格の介護職員と社会福祉士とでは、月収の平均が約6万円も異なります。
基本的に介護職はより専門度の高い研修や資格を修了している方の基本給が高めであったり資格手当がついたりします。資格であるケアマネージャーや社会福祉士の平均給料は介護福祉士よりさらに高い数値となっています。
介護福祉士と医療・福祉系職種の給料
職種(常勤の者) | 平均給料(月額) |
---|---|
介護福祉士 | 328,720円 |
看護職員 | 369,210円 |
生活相談員・支援相談員 | 338,370円 |
理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士または機能訓練指導員 |
350,080円 |
管理栄養士・栄養士 | 311,190円 |
※手当や一時金などを含む
介護福祉士の給料は、管理栄養士・栄養士よりも高いことが見て取れます。看護職員や生活相談員・支援相談員、理学療法士などよりは低くなっています。
医療・福祉系職種の中では看護職員の平均給料が最も高く、次いで理学療法士や作業療法士などが上位です。医療系の知識が多く必要な資格保持者が高い給料を得ていることがわかります。
就業施設ごとの介護福祉士の給料
施設 | 平均給料(月額) |
---|---|
介護老人福祉施設 | 356,310円 |
介護老人保健施設 | 347,570円 |
介護療養型医療施設 | 311,260円 |
訪問介護事業所 | 321,350円 |
通所介護事業所 | 289,000円 |
通所リハビリテーション事業所 | 306,560円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 306,430円 |
介護施設ごとに介護職員の平均給料は大きく異なります。1番平均給料が高かったのは介護老人福祉施設、最も平均給料が低かったのは通所介護事業所でした。介護老人保健施設は要介護3以上の認定を受けている方が利用対象の施設です。他の福祉施設と比較して要介護度の高いため、そこで働く介護福祉士の基本給も高めです。また、夜勤の仕事もあるため手当がつきます。
通所介護事業所や通所リハビリテーション事業所など、利用者が通いで利用する施設の場合は夜勤手当がないため平均給料も比較的低めです。
介護福祉士が給料アップを目指すには?
介護福祉士が給料アップを目指すにはどうすればいいでしょうか?以下では、介護福祉士が給料をアップさせるためのポイントを紹介します。
手当がつく働き方をする
介護福祉士の給料は手当により大きく変わります。日勤のみの働き方よりも、夜勤で働く回数を増やすことで夜勤手当がついて収入アップが可能です。また、介護福祉士として役職につくことができれば、役職手当も加算されます。
他にも職場によって、独自の手当が用意されていることが少なくありません。求人を見る際にはあらかじめ手当と条件について確認しましょう。
「勤続10年以上」の条件を満たす
最もスタンダートな給料アップ方法は「勤続10年以上」を目指すことです。
厚生労働省は、一定の条件を満たした介護事業所の「勤続年数 10 年以上の経験・技能がある介護福祉士について月額平均 8 万円相当の処遇改善を行う」(特定処遇改善加算)という方針を打ち出しています。「令和3年度介護従事者処遇改善状況等調査結果」によると42.5%の事業所がこの特定処遇改善加算を算定していると回答しました。
このように、国や事業所はキャリアと技能を持つ介護福祉士への待遇改善を推し進めているので給料アップのためにはまず「勤続10年」を目指すとよいでしょう。
上位の資格取得を目指す
介護福祉士として給料をアップするためにどんな資格を取得すればいいのでしょうか?以下では、介護福祉士の給料をアップできる3つの資格について紹介します。
ケアマネージャー
「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネージャーの平均月収は362,290円です。介護福祉士の資格と比較して約3.6万円高く、取得すると大きなキャリアアップとなる資格です。
ケアマネージャーは別名、介護支援専門員とも呼ばれる国家資格です。
介護福祉士の主な業務ははじめとする現場の人たちと協力して、サービス利用者に安心して利用してもらえる介護サービスを構築することです。ケアマネージャーが作成したケアプランをもとに介護がおこなわれます。
ケアマネージャーになるには? |
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・国家資格に基づく業務の実務経験が5年以上かつ、900日以上あること ・相談援助業務に従事した期間が5年以上かつ、900日以上あること |
認定介護福祉士
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として新しく設立された民間資格です。
比較的新しい資格であるため、待遇面がアップするかどうかは職場によって違いがあります。しかし、この資格を持っていることで役職に就きやすく、結果、役職手当がもらえる場合もあります。定介護福祉士の活躍を重視している場所では給料アップが期待できるでしょう。
取得すると、介護の現場でプロフェッショナルとして活動できるだけでなく、介護福祉士だけでは補えない医療やリハビリなどの新しい知識・チームリーダーとしてのスキルなどを有すると見なされます。
認定介護福祉士になるには? |
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・介護福祉士資格を持っていて、かつ実務経験が5年以上 ・認定介護福祉士養成研修Ⅰ類・Ⅱ類の合計600時間の講義を受講 ・介護チームのリーダーとしての実務経験がある ・居宅、居住(施設)系サービス双方での生活支援の経験をもつことが好ましい |
認定介護福祉士養成研修を行う団体によっては「介護士ファーストステップ研修」の修了が条件に含まれている場合があるため、事前に確認が必要です。
社会福祉士
「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると社会福祉士の月平均給料は363,480円です。これは介護福祉士より約3,4万円高い数値です。
社会福祉士は、福祉に関する専門的な知識や技術を活用して、身体や精神に障がいのあり、福祉を必要とする方を支える国家資格保持者です。制度や施設を利用するために必要な助言や指導を行い、福祉・保健医療サービス提供者との連絡・利用調整などを担当します。資格を保有していると、介護現場だけでなく福祉サービス全般で活躍できます。
社会福祉士の資格を取るには複数のルートがあります。
社会福祉士になるには? |
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・4年制大学で指定科目を修めて卒業し、国家試験に合格する ・指定の大学、短大、一般大学、短大を卒業したのち、それぞれに応じた実務経験を積み、さらに養成施設で学び、国家試験に合格する ・児童福祉司、身体障害者福祉司などとして実務経験を積んだのち要請施設で学び、国家試験に合格する |
大学で履修した科目や年数、実務経験の年数により、養成施設で学ぶ期間などが変わります。
転職をする
現在の職場で模索しても給料アップが期待できなかった場合は、他の職場への転職によって給料アップが叶う場合があります。
転職の事例 |
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・夜勤があり、夜勤手当がもらえる職場 ・今より大きな事業所や施設への転職 ・「特例処遇改善加算」などの加算算定実績のある職場 |
仕事をしながらの転職は難しいかもしれません。その場合は、介護職に特化した転職サイトのエージェントに相談しながら、希望の給料額を提示している場所を探すと良いでしょう。
介護福祉士の給料や仕事についてQ&A
介護福祉士の給料や仕事によくある疑問やお悩みについて解説します。
Q.介護福祉士の給料が今後上がる可能性は?
A.給料は上がる可能性があります。
需要が高まる介護業界においては、国が主導となり介護職員の処遇改善のための施策が実施されており、もちろん介護福祉士も対象に含まれています。
具体的には、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算などです。たとえば、介護職員等特定処遇改善加算では、勤続10年以上の介護福祉士の給与を月8万円以上アップさせる、あるいは年収440万円以上にするという方針が打ち出されています。
Q.夜勤の有無で給料は変わる?
A.夜勤手当がついて給料が上がります。
介護福祉士は夜勤をすれば夜勤手当がついて給料が上がります。1度の夜勤で3,000円~8,000円程度つく職場が多いでしょう。法律で夜勤手当の支給は義務づけられており、どんな職場で働く介護福祉士も夜勤手当をもらえます。
Q.介護福祉士を目指す利点は?
A.一般的に給料があがり、仕事の幅が広がります。
介護福祉士の資格を取ると、無資格の頃よりも給料が高くなることが一般的です。また、多くの仕事を担当できるようになり、仕事の幅が広がります。すべての面でステップアップを目指すことができるでしょう。
また、資格を保有することで転職時のアピールにもつながります。
Q.介護福祉士からキャリアアップは可能?
A.より専門の資格を取得すればキャリアアップが可能です。
介護福祉士の知識が役に立つ、さらに専門的な資格を取得すればキャリアアップが可能です。たとえば、認定介護福祉士や社会福祉士、ケアマネージャーといった資格です。
また、介護福祉士として長期間勤務を続ければ、昇進して役職につける可能性もあるでしょう。役職につけば、役職手当がついて給料がアップします。
介護福祉士は転職でも給料アップが見込める?試しに求人を確認してみましょう!
介護福祉士の給料は、無資格者よりも高くなっています。手当の有無や勤続年数によっては、介護福祉士としてさらに給料をアップさせることが可能です。介護福祉士の知識と関わりのある、さらに専門的な資格を取得するとより給料が上がることが見込めます。
また、社会全体として経験年数とスキルのある介護福祉士の待遇を改善しようとする動きは加速しています。介護職員の処遇改善を目指した施策が次々と実施されており、将来的に介護福祉士の給与水準そのものが高くなる可能性もあります。
介護福祉士として給料をアップさせたいのであれば、上位資格の取得や役職を目指すなどさらなるキャリアアップを目指すのももちろん良いですし、働きやすい環境で勤続年数を重ねるのもおすすめです。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。