看護師のやりがい!介護施設で働く看護師はやりがいがない?その実態とは
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/05/20
一般的な看護師の職場といえば病院です。しかし高齢化に伴い介護需要が高まっている中、介護施設で働く看護師の需要と人口も増加しています。病院看護師を目指して看護師になる方が多い中、介護施設で働く看護師のやりがいは気になるポイントの1つ。そこで今回はさまざまな観点から、介護施設で働く看護師のやりがいをご紹介します。
目次
スタッフと管理職の看護師のやりがい
スタッフ | 管理職 | |
---|---|---|
1位 | 患者・家族の感謝の表明 | 他のスタッフが生き生きと働いている |
2位 | 患者の退院 | 患者の退院 |
3位 | 患者の笑顔 | スタッフ間の良好なチームワーク |
4位 | 患者の病状の回復 | 患者の病状の回復 |
5位 | 患者・家族とのコミュニケーション | 患者・家族とのコミュニケーション |
スタッフ、管理職それぞれでは上記のような点で看護師のやりがいを感じるようです。スタッフ、管理職を問わず、患者やその家族との関係の中で実感することが多い結果となりました。
管理職の場合は「他のスタッフが生き生きと働いている」という項目が上位に入ってくるのが特徴と言えるでしょう。
看護師のやりがいについて
看護師のやりがいに影響する心理的実感 | |
---|---|
患者・家族への親近感 | ・患者、家族と親しみを感じる ・患児のかわいらしさを感じる |
患者・家族に対する自己存在感 | ・患者、家族に信頼される ・患者、家族に必要とされている ・患者、家族の精神的な支えになっている |
達成感 | ・自分の役割を遂行できた ・看護計画を遂行できた ・患者の状態に変化への貢献ができた ・自分の知識、技術、経験が生かせる |
コントロール感 | ・納得できる看護の提供ができた |
自己成長感 | ・人としての成長につながる ・できないことができるようになる |
自己効力感 | ・患者に安心感を与えることができる ・仕事に対して自信をもってこなせる ・自分の仕事は人の役に立つ |
看護師のやりがいについて、心理的実感を得ることができる要因については上記のようなものが挙げられます。これらの心理的実感には、さらに「業務上の経験」「職場環境」が関係するという報告があります。
「業務上の経験」「職場環境」についてはそれぞれ下記で詳しく紹介しています。
業務上の経験
看護師のやりがいに影響する心理的実感 | |
---|---|
患者・家族への親近感 | ・患者、家族と親しみを感じる ・患児のかわいらしさを感じる |
患者・家族に対する自己存在感 | ・患者、家族に信頼される ・患者、家族に必要とされている ・患者、家族の精神的な支えになっている |
達成感 | ・自分の役割を遂行できた ・看護計画を遂行できた ・患者の状態に変化への貢献ができた ・自分の知識、技術、経験が生かせる |
コントロール感 | ・納得できる看護の提供ができた |
自己成長感 | ・人としての成長につながる ・できないことができるようになる |
自己効力感 | ・患者に安心感を与えることができる ・仕事に対して自信をもってこなせる ・自分の仕事は人の役に立つ |
職場環境
やりがいに影響する職場環境の要因 | |
---|---|
良好な人的環境 | ・スタッフ間が打ち解けている ・スタッフ間の良好なチームワーク ・他のスタッフが生き生きと働いている ・他のスタッフと患者との良好な関わり |
良好な労働条件 | ・適切な業務量 ・勤務時間の遵守 ・金銭的報酬 ・責任ある立場 |
職場環境の整備 | ・新しい治療・ケアの導入 ・職場環境の改善 |
介護施設で働く看護師のやりがい
介護施設で働く看護師のやりがいは、利用者と中長期的に関わりを持ちながら日常生活、そして人生に寄り添った看護が提供できることです。病院では治療という明確な目的のため高度な医療にも関わりながら看護ができますが、忙しさもあり一人ひとりとじっくり向き合った医療ケアを提供するのが難しいこともあります。一方、介護施設は病院ほど医療行為に携わることはありませんが、利用者さん一人ひとり向き合った中長期的な看護ができます。コミュニケーションを大切にしながら、利用者さんの日常生活に寄り添いゆったりと看護ができる点は介護施設勤務の魅力です。また医療的な判断・対応ができるのは看護師のみという環境の中、責任は重いですがその分やりがいが感じられます。
看護師が働く介護施設の種類とやりがい
ひとくちに介護施設といっても、その種類はさまざまです。ここでは看護師が働く主な介護施設の特徴とともに、施設ごとのやりがいをお伝えします。
デイサービスで働く看護師のやりがい
通所介護、通称「デイサービス」は日帰りで短時間介護を提供する施設です。食事や入浴、レクリエーションなど、社会的孤立の解消や家族の負担軽減を目的としています。看護師主な仕事内容はバイタルチェックによる健康管理や口腔ケア、必要に応じた医療処置です。日帰り施設ということもあり、看護師は施設にいるときの利用者さんの健康管理しかできません。利用者さんが自宅で安定した生活を送れるよう、小さな変化も見逃さず丁寧に健康チェックすることが求められます。
毎日顔を合わせるわけではない利用者さんもいる中、徐々に距離が縮まったり、信頼してくれたりするようになった時、もしくは帰り際に「ありがとう」「また明日」などと声をかけてくれる時にやりがいが感じられます。
デイケアで働く看護師のやりがい
デイケアは別名「通所リハビリテーション」と呼ばれる、リハビリで身体機能の回復・維持、認知症機能の改善などを目的とするサービスです。リハビリが中心となるため、一般的な介護施設よりも介護サービスが簡略化されている施設もあります。
介護施設の中でも医療機関の性格が強いデイケアですが、利用者一人ひとりとの時間を長く持ちじっくりと関わることができます。そのため利用者さんがリハビリを通してこれまでできなかったことができるようになった成長、そしてご家族の喜びも間近で実感できる点がやりがいです。
特別養護老人ホーム(特養)で働く看護師のやりがい
特別養護老人ホーム、通称「特養」は要介護3〜5の高齢者が終身利用できる介護施設です。一時利用の施設ではなく、生活の場かつ終の棲家として利用する方も少なくありません。なかには、看取りケアに力を入れている特養もあり、看護師は医療的立場から看取りケアに深く関わります。単なる日常生活にとどまらず、人生の最期に寄り添うことになる点は看護師としても大きなやりがいを感じます。
介護老人保健施設(老健)で働く看護師のやりがい
介護老人保健施設、通称「老健」は退院後に自宅復帰等を目指してリハビリするため、または入院するほどではないが医療的な管理・ケアが必要な要介護1以上かつ65歳以上の人が入所する施設です。医療と在宅の中間施設であり、療養を目的としている点が特徴です。そのため看護師は比較的多く医療的ケアの関わることができ、長期的な関わりの中で在宅復帰という明確な目標の元やりがいを持って仕事に取り組めます。
小規模多機能型居宅介護で働く看護師のやりがい
小規模多機能居宅介護は、「通い」「訪問」「宿泊」の3つのサービスを一体的に提供する施設です。必要な時に必要なサービスを柔軟に組み合わせて利用でき、利用者の自立した日常生活を支援します。日常生活の自立を支援すべく、利用者さん・ご家族と一緒に生活をより良くすることを考えて実施できる点にやりがいがあります。中長期的に利用者さんの生活に密着でき、必要な時に必要なサポートが提供できる点が特徴です。
有料老人ホームで働く看護師のやりがい
有料老人ホームは民間企業が運営する介護施設であり、利用者さんの状態に合わせて「介護付き」「住宅型」「健康型」の3タイプの施設があります。なかでも介護付き有料老人ホームでは、看護師の配置が義務付けられています。有料老人ホームには急性期の利用者さんはいないため、一人ひとりとゆっくり時間をかけて関わることができる点が特徴です。入居型の施設であることからも、生活全般に関わる看護が主体的に行える点は大きなやりがいです。
介護施設で働く看護師の体験談!やりがいを感じるエピソード
ここでは、介護施設で働く看護師がやりがいを感じるエピソードを体験談からご紹介します。
特別養護老人ホームで働く看護師の体験談
病院勤務ももちろんやりがいがありましたが、とにかく忙しく、自分がなりたかった看護師像とは違うかなと思うように。そして医療の提供がほとんどない分、一人ひとりと深く関わることができ、少しでも良い看護の提供ができると思い特養に転職しました。病院ではないので医療的な処置や治療はできませんが、病院受診に至らないようにする予防のため、日常生活の看護援助としてできる限りのことを周りのスタッフと相談しながら実施していくことにやりがいを感じます。
小規模多機能居宅介護で働く看護師の体験談
病院では患者さんが退院されるとその一場面で関わりが途切れてしまいますが、小規模多能ではご利用者・ご家族・生活環境など、一緒にその先の生活をより良くすることを考えることができます。人と関わることが好きであれば、日々やりがいを感じながら楽しく仕事ができると思います。
老人ホームで働く看護師の体験談
病院で勤務している時は、いつも心のどこかに退院後の生活に踏み込んではいけないもどかしさがありました。そこで“治す”以外で看護師として生活に寄り添った働き方をしたいと、終の棲家となる老人ホームを転職先に選びました。さまざまな事情を抱える利用者さまが生活する中で、人生最後の楽しみを見つけてさしあげられるのは大きなやりがいとなっています。
病院・介護施設を問わず看護師のやりがいはたくさんある!
病院での看護は退院後の生活に関われないことに、そして一人ひとりとじっくり向き合った看護がしにくい点にもどかしさを感じている方も多くいるでしょう。介護施設は中長期的に利用者さんと向き合うことができ、施設によっては人生の最期にまで大きく関わることもある場です。そのため、病院では経験できない介護施設ならではの魅力的なやりがいがたくさん感じられます。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。