サービス管理責任者(サビ管)とは|役割やなり方、仕事内容などを詳しく紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/05/30
障害福祉サービス事業所で配置が義務付けられている職種に「サービス管理責任者(サビ管)」があります。サービス管理責任者は利用者に適切にサービスが提供されるよう管理する役割を持つ、障害福祉サービスにおける重要な存在です。今回はサービス管理責任とは何かについて、役割やなり方、仕事内容などを詳しくご紹介します。
目次
サービス管理責任者とは
サービス管理責任者、通称「サビ管」は障害者総合福祉法で障害福祉サービスを提供する事業所に配置が義務付けられている職種です。厚生労働省「令和2年社会福祉施設等調査の概況」によると、令和2年10月1日時点でのサービス管理責任者の常勤換算従事者数は4,035人です。まずは、サービス管理責任者の基本情報からお伝えします。
サービス管理責任者の役割
厚生労働省資料では、サービス管理責任者の役割を以下のように定義しています。
①個々のサービス利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、定期的な評価などの一連のサービス提供プロセス全般に関する責任
②他のサービス提供職員に対する指導的役割
サービス管理責任者は利用者の個別支援計画作成や支援サービスに関わる担当者・関係機関との連絡調整、職員の指導まで行うサービス提供全体におけるまとめ役です。そのためサービス管理責任者の役割を持つのは、管理職や指導的立場にある人となります。
サービス管理責任者のなり方
サービス管理責任者になるには、以下実務経験と研修修了が必要です。
実務経験 |
---|
①規定の事業所、施設等で相談支援業務に3年以上従事 ②規定の事業所、施設等で直接支援業務に8年以上従事 ③下記いずれかの資格で直接支援業務に5年以上従事 社会福祉主事任用資格/訪問介護員2級以上に相当する資格/保育士/児童指導員任用資格/精神障がい者社会復帰指導員任用資格 ④国家資格等による相談支援業務および直接支援業務に1年以上従事 |
上記4つのいずれかの実務経験を満たすことで、下記研修の受講資格が得られます。実務経験を満たし、下記研修を終了することでサービス管理責任者として働くことが可能です。
相談支援従事者初任者研修 | 5日間日程と2日間日程の2種類の研修のうち、2日間日程を修了 |
---|---|
サービス管理責任者等研修 (基礎・実践・更新) |
・基礎研修を受講後3年間はサービス管理責任者とみなされる(令和元年〜3年までに受講した場合) ・基礎研修を受講後、2年間のPJT期間を経て実践研修を受講することで正式にサービス管理責任者とみなされる ・実践研修を受講後、5年に1度更新研修の受講が必要 |
研修に試験はなく、受講が修了すればサービス管理責任者の資格が得られます。
サービス管理責任者の給料
厚生労働省「令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、サービス管理責任者の給料は以下の通りです。
※福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)を取得(届出)している事業所
常勤 | 39万3,090円 |
---|---|
非常勤 | 26万1,030円 |
平成31年と比較すると常勤は20,150円、非常勤は21,690円給料が増加しています。また他職種と比較すると常勤の看護職員、理学療法士・作業療法士に次ぐため、非常勤では高い給与水準です。ただし、給料は事業所や地域、勤続年数などあらゆる条件で個人差がある点を押さえておきましょう。
サービス管理責任者とサービス提供責任者の違い
サービス管理責任者は障害福祉サービス分野で、サービス提供責任者は訪問介護サービス分野に配置される点で違いがあります。活躍する分野において差異がありますが、どちらも同じ役割を担います。
サービス管理責任者の役割からみる仕事内容
サービス管理責任者の具体的な業務内容は、以下11項目です。
・個別支援計画の作成に関する業務
・利用者に対するアセスメント
・利用者との面接
・個別支援計画作成に係る会議の運営
・利用者・家族に対する個別支援計画の説明と交付
・個別支援計画の実施状況の把握(モニタリング)
・定期的なモニタリング結果の記録
・個別支援計画の修正
・支援内容に関連する関係機関との連絡調整
・サービス提供職員に対する技術的な指導と助言
・自立した日常生活が可能と認められる利用者への必要な援助
ここでは、サービス管理責任者のメイン役割でもある4つの仕事内容を詳しくみていきます。
アセスメント・個別支援計画の作成
利用者が支援サービスを利用するには、サービス管理責任者が作成する個別支援計画が必要です。個別支援計画は利用者や家族との面談、通称「アセスメント」により利用者の心身状況や生活環境を把握した上で作成します。加えてニーズや課題、「今後どうなりたいか」「どのような生活を送りたいか」などの目標を踏まえ、課題解決や目標解決のために必要な支援策を盛り込んだものが個別支援計画となります。
個別支援計画のモニタリング・修正
利用者の状況は日々変化するため、個別支援計画もそれに応じて修正が必要です。そのため、サービス管理責任者は定期的に利用者とご家族と面談しながらモニタリングを実施。その上で状況変化や実際にサービスを受けた上で新たに発生したニーズや課題を踏まえ、個別支援計画を手直ししていきます。
関係機関との連絡調整
利用者は個別支援計画をもとに、医療機関や各障害福祉サービスを利用します。個別支援計画の目標を達成するためにも、利用者を一番理解しているサービス管理責任者が関係機関と連絡調整を図ることが重要です。サービス管理責任者が関係機関と連携することで、適切かつスムーズなサービス提供が実現します。
職員への技術的な指導・育成
提供サービスの質を向上させることもサービス管理責任者の役割であり、そのために職員への技術的な指導を行います。またサービスはチームで提供するため、サービス提供の責任を担う立場からチームマネジメントも実施。そのほか、職員のスキルアップのためのOJTや事業所内での研修実施、外部の研修参加や上位資格取得の促進なども行います。
サービス管理責任者の職場と配置基準
サービス管理責任者の就業場所と配置基準は以下の通りです。
事業所の区分 | 事業所の種類 | 配置基準 |
---|---|---|
就労支援事業所 | ・就労移行支援事業 ・就労継続支援A型・B型 ・就労定着支援事業 |
・利用者数60人以下:1人 ・利用者数61人以上:利用者40人以内ごとに1人ずつ追加 |
通所系事業所 | ・生活介護 ・療養介護 ・自立訓練(機能訓練・生活訓練) |
|
入所系事業所 | ・施設入所支援 ・宿泊型自立訓練 ・自立生活援助 ・共同生活援助(グループホーム) |
・利用者数30人以下:1人 ・利用者数31人以下:利用者30人以内ごとに1人追加 |
下記で、分野別に職場の特徴をご紹介します。
【介護分野】サービス管理責任者の職場
介護分野における主な職場は、療養介護や生活介護です。療養介護では、医療機関に入院している障がい者を対象に日中の介護や機能訓練を行います。そして生活介護は常に介護が必要な障がい者支援施設などの入所者に対して、身体介護や生活援助、創作活動や生産活動の機会を提供します。
【地域生活(身体)分野】サービス管理責任者の職場
自立訓練(機能訓練)は身体障がいや精神障がいのある方の自宅、入所施設や事業所にて、機能訓練や生活における相談・助言などの支援を提供します。サービス管理責任者のほか、看護師や理学療法士、作業療法士も配置されています。
【地域生活(知的・精神)分野】サービス管理責任者の職場
自立訓練(生活訓練)は身体障がいや精神障がいのある方の自宅、入所施設や事業所にて、入浴や排せつ、食事などの訓練、生活などに関する相談・助言などを行います。一方、入所系事業所である共同生活援助(グループホーム)は、障がいのある方が共同生活を送る施設です。夜間の介護や日常生活上の支援、相談・助言などの支援を提供しています。
【就労分野】サービス管理責任者の就業職場
就労移行支援とは、65歳以未満の就労を希望する障がいのある方を対象に、就労に必要な知識・能力の向上や求職活動の支援を提供します。就職後も職場に定着できるよう、継続的に支援している点が特徴です。
そして就労継続支援A型は、通常企業に雇用されることが困難な方と直接雇用契約を結び、就労や生産活動などの機会を提供して知識・能力の向上を図るための訓練を行います。一方B型では直接雇用契約は結ばずに、A型と同じ支援・訓練が提供されます。
サービス管理責任者の兼務について
サービス管理責任者は原則専任・常勤となりますが、サービス管理業務の支障がない場合は兼務可能です。兼務可否については、事業所区分によっても異なります。
事業所区分 | 兼務可否 |
---|---|
日中活動系の事業所 (療養介護や生活介護、自立訓練など) |
・管理者との兼務」可(1日の半分以上の時間は管理業務) ・直接処遇職員との兼務:不可(手伝いは可) |
グループホーム | ・管理者との兼務:可 ・直接処遇職員との兼務:可 ・時間が確保できれば管理者、サービス管理責任者、直接処遇職員の3つを兼務することも可能 |
多機能型事業所 | ・管理者との兼務:可(利用者数60名以下の場合) ・直接処遇職員との兼務:可(重度の障がい児に対応する利用者数20名以下の事業所の場合) |
そのほか、都道府県で独自に兼務のルールを設定している場合もあります。
サービス管理責任者のやりがい
サービス管理責任者は利用者さんの目標達成のため、事業所や他機関など多くの人と関わりながら包括的に支援を提供します。多くの人をまとめ、目標達成が実現した時は、大きなやりがいが感じられます。また利用者さんと直接関わる機会も多く、利用者さんの成長が身近で感じられることで目に見える達成感があります。自分が考えた支援計画が利用者さんの成長や笑顔につながる点は、サービス管理責任者の最大のやりがいです。
サービス管理責任者とは、障害福祉サービス分野のまとめ役!
サービス管理責任者は障害福祉サービス分野の中心的存在となり、利用者さまをはじめ多くの人と関わるポジションです。障害福祉分野のプロとして利用者さまの生活に密着し、利用者さまの望む生活を実現するために必要なサポートを提供します。今記事を参考に、サービス管理責任者の役割などを押さえてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。