サービス管理責任者(サビ管)の資格要件は?取得方法や向いている人の特徴を解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/08/26
公開日:2022/06/20
障害福祉サービスを行う事業所などで、全体管理を担う職種の1つがサービス管理責任者。利用者さんやそのご家族に寄り添ったサービスを提供するために、欠かせない存在です。本記事では、サービス管理責任者の資格の取り方や向いている人の特徴について解説します。
サービス管理責任者の資格の取り方・要件は?
サービス管理責任者になるには、「①一定の実務経験」と「②研修の修了」が必要です。筆記試験などの合否を決める試験は実施されません。実務経験と研修修了の資格要件を満たすことで、サービス管理責任者の資格の獲得が可能です。
資格の取得後に関しては、一定の技量等を保つために5年ごとに資格の更新が義務付けられています。必要な実務経験や研修等の内容については、この後の章で詳しく解説します。
そもそもサービス管理責任者(サビ管)とは?
サービス管理責任者とは、障害福祉サービスを行う事業所で全体的な管理を担う職種を指します。利用者さんの意思決定の支援に配慮しながら、個別の支援計画の作成や関係機関との連携など、効率よくサービスを提供するための管理業務を主に実施。
障害を持つ利用者さん本人だけでなく、ご家族への支援や現場職員への指導・アドバイスなども行う、いわゆるリーダー的な役割も担います。
一般的には、ある程度の職歴を積んだ指導者や管理職などベテランの介護職員が就く場合が多いです。また、サービス管理責任者を省略して「サビ管」と呼ぶ場合もあります。
【サービス管理責任者の配置基準】
事業所 | 配置基準 |
---|---|
療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援 | 利用者60人:1人 |
グループホーム | 利用者30人:1人 |
サービス責任管理者の主な仕事内容
・支援プロセスの管理
・サービス提供者(職員・従業者)への指導・助言
・関係者や関係機関の連携
・利用者満足度の向上や第三者評価の導入
サービス管理責任者の主な仕事内容は、障害福祉サービスを利用する方の支援プロセスの管理、利用予定者のご家族と面談をして、ニーズや課題を整理したうえでの個別支援計画(※)の作成などです。利用者さんへのサービス提供開始後は、現場で個別支援計画に沿って適切な支援が行われているかどうか、確認する役目も担います。
また、サービス管理責任者はリーダー的立場であるため、障害福祉サービスを提供する職員に向けて指導や助言、関係機関との連携なども実施。ときには、医療機関や行政機関などで行われる会議に参加して、サービスの質や利用者満足度の向上を目指す策を考えるほか、第三者評価の導入なども行います。
【※個別支援計画とは】
専門的なサービスを提供するうえで、障害福祉サービス利用者のニーズを満たす充足させるために、達成すべき目標や支援内容を具体的に記したものです。支援の根幹根管となるもので、サービス管理責任者が作成します。利用者やご家族との面談をして、現在の状況をなどから目標と課題を設定します。そして、実現するための支援策を計画し、利用者とご家族の合意が取れてから支援を進めていきます。
サービス管理責任者が活躍する主な職場
・障害福祉サービス事業所
・介護サービス事業所
・障害児通所支援事業所
・地域生活支援センター
サービス管理責任者が活躍する主な職場は、生活介護事業所や障害児通所支援事業所などの福祉施設、グループホームなどの介護施設といった場所があります。また、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所などの就労支援施設も代表的な職場です。
それぞれの施設で、支援計画の作成やスタッフの指導、施設の運営管理を担当し、質の高いサービス提供を目指し奮闘しています。
【サービス管理責任者の資格要件①】実務経験
サービス管理責任者として業務をするためには、実務経験の要件を満たし、「実務経験証明書」を自治体に届け出ることが必須です。実務経験は業務内容や保有資格に応じて必要年数が異なるため、ここでは実務経験の4つの要件を詳しくみていきます。
1.直接支援業務:8年以上
直接支援業務は、介護職や指導員、看護助手や生活支援員など資格が必要ない職種が担当する以下業務にあたります。
・身体または精神障害者の入浴や排せつ、食事などの介護、本人や介護者に対する指導
・日常生活における基本的な動作の指導や知識技能、生活能力向上のために必要な訓練のサポートや、訓練の指導
なお、直接支援業務には規定の施設・事業所で従事していることが必要です。
①下記いずれかの施設・保険医療機関等で介護業務に従事
・訪問看護事業所
・療養病床
・老人福祉施設
・介護老人保健施設
・老人居宅介護等事業
・障害福祉サービス事業
・障害児通所支援事業
・障害者支援施設
・障害児入所施設
・保険医療機関
・保険薬局
②下記いずれかの障害者雇用事業所で就業支援業務に従事
・特例子会社
・重度障害者多数雇用事業所
③特別支援学校で職業教育業務に従事
④他、これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事
2.相談支援業務:5年以上
相談支援業務は、身体または精神障害者に対して日常生活の相談や助言、指導などのサポートを提供します。相談支援業務を担当するのは、ソーシャルワーカーや相談支援専門員、支援相談員など資格を持つ職種が一般的です。相談支援業務も、直接支援業務と同じく規定の施設・事業所にて従事している必要があります。
・施設等において相談支援業務に従事している
①下記いずれかの医療機関で相談支援業務に従事
(1)社会福祉主事任用資格を有する者
(2)訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者
(3)国家資格等※1を有する者
(4)施設等における相談支援業務、就労支援における相談支援業務、特別支援教育における進路相談・教育相談の業務に従事した期間が1年以上である者
②就労支援に関する相談支援の業務に従事する者
③特別支援教育における進路相談・教育相談の業務に従事する者
他、これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事
3.直接支援業務(有資格者):5年以上
直接支援業務に従事する、以下有資格者は5年以上の実務経験があることでサービス管理責任者の要件を満たします。
・社会福祉主事任用資格
・訪問介護員2級以上に相当する研修を修了
・保育士
・児童相談員任用資格
4.相談・直接支援業務(国家資格等保有者):3年以上
相談支援業務および直接支援業務に従事する、以下国家資格等の保有者は3年以上の実務経験でサービス管理責任者の要件が満たせます。
・医師
・看護師
・准看護師
・歯科医師
・薬剤師
・保健師
・理学療法士
・作業療法士
・社会福祉士
・介護福祉士
・機能訓練指導士
・技師装具士
・言語聴覚士
・歯科衛生士
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師
・きゅう師
・柔道整復師
・栄養士(管理栄養士含む)
・精神保健福祉士
都道府県によって資格要件の緩和あり
「サービス管理責任者資格要件弾力化事業」により、地方公共団体がサービス管理責任者の確保と障害福祉サービスの提供が困難であると認めた場合、実務経験年数の要件が緩和されます。「サービス管理責任者の資格要件弾力化特区」に指定されている自治体は、必要な実務経験年数5年が3年に、10年が5年に短縮されます。
【サービス管理責任者の資格要件②】研修修了
サービス管理責任者として業務をするためには、実務経験と合わせて指定の研修の修了も必須です。ここでは、研修の内容についてご紹介します。
サービス管理責任者等基礎研修
講義 | |
---|---|
障がい者の地域支援と相談支援従事者の役割に関する講義 | 5時間 |
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義 | 3時間 |
相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義 | 3時間 |
共通講義・演習 | |
サービス提供のプロセスに関する講義 | 7.5時間 |
サービス提供プロセスの管理に関する演習 | 7.5時間 |
基礎研修は、「相談支援従事者初任者研修の講義」と「共通講義・演習」の2つに分かれています。「相談支援従事者初任者研修の講義」は合計11時間、「共通講義・演習」は計15時間のカリキュラムです。
基礎研修は実務経験の必要年数を満たした方だけでなく、必要年数から2年引いた年数を満たす実務経験がある方も受講できます。つまり3〜8年の実務経験を満たしていなくとも基礎研修の受講が可能です。そして基礎研修を修了することでOJTによる一部業務ができるようになり、サービス管理責任者が1名配置される事業所であれば「2人目のサービス管理責任者」として配置が可能となります。
なお令和元年〜3年までに基礎研修を受講した方で、実務経験の必要年数を満たしている場合は、基礎研修修了後3年間はサービス管理責任者として従事可能です。
サービス管理責任者等実践研修
講義 | |
---|---|
障害福祉の動向に関する講義 | 1時間 |
共通講義・演習 | |
サービス提供に関する講義及び演習 | 6.5時間 |
人材育成の手法に関する講義及び演習 | 3.5時間 |
多職種及び地域連携に関する講義及び演習 | 3.5時間 |
実践研修は、基礎研修の修了後、2年以上のOJT期間を経て受講可能です。研修では、障害福祉の動向に関する講義や他職種・地域との連携などに関する計14.5時間のカリキュラムが組まれています。実践研修を修了すると、サービス管理責任者として正式に従事できます。
サービス管理責任者等更新研修
講義 | |
---|---|
障害福祉の動向に関する講義 | 1時間 |
共通講義・演習 | |
サービス提供の自己検証に関する演習 | 5時間 |
サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習 | 7時間 |
サービス管理責任者の資格取得は実践研修までですが、平成31年度の研修制度変更に伴い、実践研修修了後も5年に1度更新研修の受講が必要となりました。更新研修は計13時間のカリキュラムです。令和5年度末までは6時間程度の実施でも資格を更新できます。
サービス管理責任者の資格要件を満たす利点&向いている人の特徴
・専門知識とスキルが認められ、職場や利用者からの信頼が向上する。
・利用者の生活の質を向上させるための支援計画を立案・実施することで、直接的な支援の成果を実感できる。
サービス管理責任者は、業務量が多く大変との意見も寄せられます。その一方で、施設の利用者さまやそのご家族、関係各機関の間に立ち、よりよいサービスを目指して調整を行う業務にやりがいを感じる人も多いです。また、資格要件を満たすことで、たくさんの人に関わることができ、感謝される機会が増えるのも魅力として挙げられます。
サービス管理責任者に向いているのはこんな人!
・リーダーシップとコミュニケーション能力がある人
・思いやりと共感力のある人
サービス管理責任者は、多くの人や関係機関をまとめる職種であるため、リーダーシップを発揮して業務にあたれる人が向いています。チーム全体を円滑に運営し、さまざまな問題に迅速かつ的確に対応できる能力も必須です。また、部下や後輩への指導役を担うことが多く、スタッフの成長を支援し、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートするなど面倒見が良い人も向いていると言えます。
サービス管理責任者の資格や仕事に関するQ&A
最後にサービス管理責任者の資格や仕事に関する、よくある質問をQ&Aの形式でご紹介しいます。
Q.サービス管理責任者になると資格証が発行される?
A.基礎研修および実践研修を修了すると、修了者証明書が交付されます。
所定の基礎研修および実践研修を終了することで、主催元である自治体から修了者証明書の交付が行われます。紛失等をした場合は、試験を受けた主催元でのみ再発行が可能です。受験をしていない、他の自治体では受け取ることができないためご注意ください。
Q.サービス管理責任者の資格が剥奪されることはある?
A.5年毎の更新研修を受講しない場合は、資格が剥奪されます。
サービス管理責任者の資格は5年毎に更新が必要です。更新研修を受講しない場合は、資格が剥奪されます。自身でしっかりと管理を行い、資格を失うことがないようにご注意ください。その他には、研修等で不正が見つかった場合も資格が剥奪される恐れがあります。
Q.サービス管理責任者の資格要件は最短何年で満たせる?
A.最短5年で要件を満たすことが可能です。
国家資格による業務経験が3年以上ある場合、基礎研修・実務研修の2年と合わせて最短5年で資格要件を満たすことができます。最も時間が必要な介護など業務経験で資格取得を目指す場合は、約10年が必要です。要件を満たすためには、時間がかかる資格であることを覚えておきましょう。
Q.サービス管理責任者の資格取得に必要な費用は?
A.無料から50,000円ほどと自治体により異なります。
サービス管理責任者の資格取得には、各自自体が主催している研修に参加する必要があります。研修費用に関しては、各都道府県により異なるため受験予定の主催元に確認を行ってください。金額にばらつきがある点は、注意が必要です。
Q.サービス管理責任者の資格取得の難易度は高い?
A.合否のある試験はないため、難易度はそれほど高くありません。
サービス管理責任者の資格を取得するにあたり、合否のある試験はありません。必要な実務経験年数を満たし、指定研修を修了することで資格が取得できます。よって、難易度は高くありませんが、実務経験を考慮すると3〜8年以上の期間を要する点で容易な資格とはいえないでしょう。サービス管理責任者の資格取得を目指している方は、計画的に検討しましょう。
Q.サービス管理責任者の平均給与はどのくらい?
A.常勤のサービス管理責任者の平均月額給与は319,136円です。
厚生労働省の調査によると、サービス管理責任者の平均月収は常勤の場合で319,136円、非常勤の場合で141,773円でした。一般労働者の平均月額給与が約31.83万円であることから比較をすると、サービス管理責任者の給与は同じくらいの水準であることがわかります。
サービス管理責任者の資格要件を満たしてキャリアアップ!
サービス管理責任者の資格は、豊富な知識や実務経験が必要なため、一朝一夕で取得ができるものではありません。その一方で、介護や福祉の現場でキャリアアップを目指すのであれば、資格要件を満たすことが目指すのがおすすめです。本記事で紹介した向いている人の特徴なども参考に、ぜひ挑戦をしてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。