言語聴覚士はやめとけと言われる理由5選!言語聴覚士はやめとけって本当?
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/06/30
言語聴覚士は、介護・福祉・医療の現場で活躍する専門職の1つです。今後需要が高まる分野の職種である点で、資格取得を目指す方もいるでしょう。しかし、言語聴覚士について調べると「やめとけ」との声が見られるのも事実です。今回は言語聴覚士がやめとけと言われる理由と合わせて、働くメリットややりがい、言語聴覚士に向いている人の特徴などをお伝えします。
目次
言語聴覚士はやめとけと言われる理由5選
言語聴覚士とは、言語障害・音声障害・嚥下障害のような「話す」「聴く」「食べる」ことに関する障害に対応する専門職です。生きる上で必要な機能に特化した知識・技能を持つ重要な職種ですが、言語聴覚士はやめとけとの声が聞かれることもあります。ここでは、言語聴覚士はやめとけと言われる5つの理由をみていきます。
給料が安い
令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要によると、言語聴覚士の平均年収は約364万円です。全体的な平均年収は、300〜400万円未満台が多くみられます。なお、国税庁の民間給与実態統計調査によると、会社員の平均年収は441万円です。言語聴覚士は法律で定められた教育課程を経て、合格率50〜60%の壁を乗り越えて資格が得られる職種です。言語聴覚士になるまでの過程、そして国家資格であり医療職である踏まえても、一般の会社員よりも平均年収が低い点が懸念につながっていると考えられます。
一方で、言語聴覚士の給料が安いことは、言語聴覚士の国家資格設立が1997年と比較的新しく、有資格者は20〜40代の若手が中心である点も関係します。そのため、今後キャリアを重ねていく人が増えることで、現状よりも給料水準がアップする可能性は十分にあります。
しかし、それでも多忙かつ人手不足な介護福祉業界や医療業界に勤める点で、「業務量と給料が見合わない」「他の医療職と比べると給料が少ない」などを理由に、辞めたいと考える人がいるのも事実です。
職場の人間関係
言語聴覚士は患者さまや利用者さまだけでなく、医療現場であれば医師や看護師、介護現場であれば介護士や理学療法士など多くの人と関わる立場にあります。言語聴覚士の独断だけで仕事を進めることは難しく、多職種と連携してこそ患者さまや利用者さまのためになるケアが提供できます。そのため職場の人間関係に問題がある、上司や同僚との関係が良くない場合、仕事を進めていく上での精神的ストレスは大きいものです。
また前述したように言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べると新しいポジションであるが故に、専門性をなかなか理解されないケースも。言語聴覚士の役割や専門性を理解してもらえない、提案や発言が通りにくい、見下した態度を取られるといったケースも少なくありません。
労働環境があまり良くない
実際に働かないとわからない点も多いですが、労働環境が良くない職場があるのも事実です。
・サービス残業が多く、1日の拘束時間が長い
・専門的な仕事以外に、カルテ記入や症例発表など多くの仕事を並行しなければならない
・有給や長期休暇が取りにくい
・休日が少ない など
上記のように1日の拘束時間が長かったり、言語聴覚士が少ない職場では有給や長期休暇が取りにくいなど労働環境があまり良くないケースも。言語聴覚士が活躍する医療業界や介護福祉業界は慢性的な人手不足であることからも、ワークライフバランスを保つのが難しくなる傾向にあります。
昇給・昇進の機会が少ない
職場によって異なりますが、昇給・昇進しにくく長年働き続けるモチベーションを失いやすい点で言語聴覚士はやめとけと言われることがあります。昇給や昇進は企業の制度も関係しますが、そもそも言語聴覚士の仕事であるリハビリは国で決められた予算内で行われます。決められた予算内でしか仕事ができない点が言語聴覚士の給料にも影響し、昇給しにくいと考えられます。
昇進すればその分給料も上がりますが、役職者のポジションが少ないため、チャンスがなかなかないといったケースも。また、昇給や昇進はしなくとも、年数を重ねれば業務量や責任は増加します。それでも給料はあまり変わらず、業務と責任だけが重くなる点でも言語聴覚士がやめとけと言われてしまうのです。
理学療法士・作業療法士よりも需要が少ない
言語聴覚士が1997年に誕生した比較的歴史の浅い資格である点も関係しますが、理学療法士や作業療法士よりも需要が少ないといえます。言語聴覚士の有資格者は全国約4万人に対し、理学療法士は10万人以上、作業療法士は約7万人です。これだけ人数に差が出ているのは需要の違いであり、言語聴覚士の求人は理学療法士や作業療法士に比べると少ない傾向にあります。リハビリ職の中でも需要が少ないため、職の就きやすさの点で言語聴覚士はやめとけと言われてしまうのです。
言語聴覚士はやめとけって本当?やりがいや働くメリット
言語聴覚士はやめとけと言われる理由も多くありますが、どの職種もやめとけと言われる理由はあるものです。また言語聴覚士は比較的新しいポジションであるが故に苦労することもありますが、医療・介護・福祉の需要が今後さらにアップすることで、言語聴覚士の需要も高まるでしょう。言語聴覚士をやめたい、言語聴覚士を目指したいが不安に感じている方は、言語聴覚士として働くやりがいやメリットも押さえてみてください。
生きる喜びを与えられる
言語聴覚士がケアにあたるのは、「話す」「聴く」「食べる」といった生きる上で欠かせない機能です。けがや病気でそうした機能を失ってしまった患者さんや利用者さんが徐々に機能回復できることは、生きる喜びを取り戻すことにつながります。症状が回復して笑顔を取り戻してくれた患者さんや利用者さん、そのご家族から直接感謝される機会も多い言語聴覚士はやりがいも感じやすい仕事です。
専門性が高い
「話す」「聴く」「食べる」という脳機能に関わる働きをケアする言語聴覚士は、医療職やリハビリ職の中でも専門性の高い仕事です。さらに理学療法士や作業療法士と比べると数も少ないため、他職種から頼られることも多いポジションです。その分責任は重いですが、やりがいも大きいといえます。
社会復帰をサポートできる
言語聴覚士は生きる上での基本機能のリハビリに対応するため、患者さんの社会復帰に大きく貢献します。患者さんの出来ることが徐々に増えてくことで社会復帰できるようになり、その達成感とやりがいは大きなものです。人のために働いている実感が持てるため、モチベーションも保ちやすいといえます。
言語聴覚士に向いている人の特徴
言語聴覚士は多くの人の役に立つなくてはならない仕事であり、専門性や将来性も高く、国家資格が必要な貴重な職種です。言語聴覚士はやめとけという声もありますが、言語聴覚士に限らずどの仕事も良い点・悪い点はあります。そのため最終的にその仕事を続けていくかは、その仕事が好きか、その仕事が自分に向いているかが関係します。言語聴覚士をやめるか迷っている、言語聴覚士を目指すことに不安がある方は、ご自身が言語聴覚士に向いているかをチェックしてみてください。
人とコミュニケーションを取ることが好き
患者さんや利用者さんとそのご家族、そして多職種との連携が求められる言語聴覚士は、人とコミュニケーションを取る機会が多くあります。その中でも患者さんや利用者さんに寄り添って、コミュニケーションを図ることは重要です。相手に関心を持って会話を進められる、何気ない会話が楽しめる方は、患者さんや利用者さんからも頼りにされる言語聴覚士になれます。
観察力・共感力がある
リハビリやケアではちょっとした変化から状態を判断し、対応を考えることが求められます。自分の状態をうまく伝えられない患者さんや利用者さんもいるため、仕草や表情、動きから状態を読み取るスキルが必要です。そして相手の心情をよく理解し、できないことに対する怒りや悲しみを共感して受け止めるやさしさを持つことも重要です。
根気強さがある
リハビリはすぐに成果が出るとは限らず、日々コツコツと向き合う根気強さが必要です。改善の兆しが見えない、成果が後退してしまうなどして投げやりな気持ちになってしまう患者さんも珍しくありません。そのため言語聴覚士は患者さんのモチベーションを維持しながら、改善のためにサポートする根気強さが求められます。
協調性がある
独自の専門性をもってリハビリにあたる言語聴覚士ですが、一人では患者さんや利用者さんのためになるケアは提供できません。他職種のスタッフと連携し、互いに情報共有してこそ適切かつスムーズなケアができます。そのため互いの役割を理解し、周囲と積極的に協力する姿勢が重要です。
言語聴覚士がやめとけと言われる理由はさまざま!しかしやりがいも大きい仕事
言語聴覚士がやめとけと言われる理由は多々ありますが、その理由は全ての人に当てはまるわけではありません。他の職種にない専門性がある言語聴覚士は、働くやりがいやメリットも多くあります。そのため、目先の理由だけで言語聴覚士をやめてしまう、目指すことを諦めてしまうのは尚早です。自分に言語聴覚士の適性があるかも踏まえて、考えてみると良いでしょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。