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扶養内でパートする方法|103万円・130万円の壁?損しない働き方を解説

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2022/07/31

扶養内のパート収入であれば、その金額に応じた控除を受けられます。逆に収入が一定の水準を超えてしまうと支払わなければいけない税金が増え、最終的には扶養から外れてしまいます。そのため、収入を一定水準以下に抑えて働く方が多くいます。税金で損をしないためにパートの収入をどれくらいに抑えるのがいいのかについて詳しく解説いたします。

扶養内のパートで気を付けたい年収の壁

・100万円の壁
・103万円の壁
・106万円の壁
・130万円の壁
・150万円の壁
・201万円の壁

妻が夫の扶養に入ることで、パートで収入を得た際に、その金額に応じて税金や保険料が減額または免除になります。控除対象や控除額は収入額や扶養者の年収によっても変わってきます。自分が控除対象になるかどうかは、年始に発行される源泉徴収票の「支払金額」の記載額で確認ができます。支払金額は勤務先から受け取る総額のことで「所得」ではないので注意してください。

※所得は、収入から給与所得控除(給与所得者の必要経費として認められる金額)を引いた金額

100万円の壁

扶養内でパートをして100万円以上の収入を得ると、自身が住民税の課税対象になります。自治体によっては93万円~から住民税課税対象になる場合もあるので、自分が住んでいる自治体に確認をするよう注意してください。

103万円の壁

被扶養者が年収103万円を超えて働くと、住民税に加えて、超えた分の収入に対して所得税が発生するようになります。そのため、一般的にパート勤めの主婦が超えないように目指すラインとされています。

106万円の壁

住民税、所得税に加えて、社会保険の加入対象になる可能性があるラインです。社会保険の加入対象になるかどうかはパート先の企業規模や月収、勤務時間によって決まります。また、条件を満たして社会保険加入の義務が発生すると、扶養者の社会保険の扶養から外れてしまいます。

130万円の壁

130万を超えて収入を得ると、社会保険加入義務が発生し、保険料を収めなければなりません。また、扶養者の社会保険上での扶養は外れることになります。従来の社会保険加入のボーダーとされてきたラインです。

150万円の壁

被扶養者が年間150万円以下の収入であれば、扶養者は最大38万円の配偶者特別控除を受けられます。逆に150万円を超えてしまうと、超えた金額と扶養者の収入に応じて配偶者控除の金額が段階的に減額されてしまいます。

201万円の壁

扶養者が配偶者特別控除を受けるには被扶養者の年収が103〜201万円である必要があります。そのため、201万円を超えて働くと扶養者の配偶者特別控除が適応されなくなります。

扶養内でパートする意味

パートで働く際に扶養に入っていると、税金(住民税・所得税)と社会保険にかかる配偶者控除が受けられ、稼いだ金額によって納める税金が少なくなったり、場合によっては免除になったりします。さらに扶養に入っていると、保険料を免除された状態で社会保険に加入することもできます。ちなみに、夫の配偶者以外の親族(娘・息子など)が扶養に入る場合は配偶者控除ではなく「扶養控除」が適用されます。今回は妻が夫の扶養内で働く場合について解説致します。

扶養内でパートする際の税金にかかる控除

住民税にかかる控除 所得税にかかる控除

扶養内でパートをすると給与所得とみなされ、所得控除を差し引いた金額が課税対象となり、住民税や所得税の支払いが発生ます。しかし、一定水準以下の稼ぎであれば控除が受けられ、納める税金が減額、または免除になります。

住民税にかかる控除

自治体によって異なりますが、目安として扶養内のパートで収入が100万円以下の場合、住民税の支払いは不要になります。逆に100万円を超えてしまうと、住民税の納税義務が発生します。納税金額は収入額に応じて異なります。

所得税にかかる控除

パート収入が103万円以下の場合、所得税と復興特別所得税の支払いは不要です。また、扶養者は被扶養者の年収に応じて配偶者控除、もしくは配偶者特別控除のどちらかを受けることができます。両方の控除を同時にうけることはできず、条件によってどちらが適用されるかは決まってきます。詳しい内容は以下で解説致します。

配偶者控除とは

配偶者控除とは、納税者に生計を一緒にしていて控除対象の基準を満たす配偶者がいる場合に一定の金額の所得控除が受けられる制度のことです。配偶者控除の条件を満たし、夫の扶養内の収入で働くと、配偶者は本来徴収される税金を控除できます。また、配偶者だけでなく、扶養者の納税額の負担も軽くなる場合があります。

配偶者控除の適用条件

1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
2. 納税者と生計を一にしていること。
3. 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

 

配偶者控除の対象になるには、該当する年の12月31日時点で、上記4つの要件のすべてを満たしている必要があります。

配偶者控除の控除額

納税者本人の合計所得金額 所得税にかかる控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者※
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円
※老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、該当する年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人のこと

配偶者控除の金額は、扶養者の年齢や合計所得金額によって変わります。平成30年の法改正により、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられなくなるので注意が必要です。

配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、配偶者に48万円(令和元年分以前は38万円)を超える所得がある場合、配偶者控除の適用が受けられません。そんな時でも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる制度のことです。配偶者特別控除と配偶者控除は同時に受けることができず、配偶者控除の適応が受けられない場合のみ、配偶者特別控除を受けられます。なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

配偶者特別控除の適用条件

1. 控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
2. 配偶者が、次の要件すべてに当てはまること。
 イ.民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
 ロ.控除を受ける人と生計を一にしていること。
 ハ.その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
 ニ.年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年分から令和元年分までは38万円を超え123万円以下、平成29年分までは38万円を超え76万円未満)であること。
3. 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。
4. 配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)
5. 配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)。

配偶者特別控除の控除額

配偶者の合計所得金額 控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
48万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 3万円 2万円 1万円
(令和2年分以降)

 

配偶者特別控除の控除額は、控除を受ける納税者本人と配偶者の所得額に応じて異なります。なお、令和元年分以前は上記の表と異なるため、各自国税庁のHPを参照してください。

扶養内でパートする際の社会保険にかかる控除

社会保険とは「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の総称です。会社員の場合、「社会保険料」として給料から引かれるのは、医療保険のうちの一つである「健康保険」、年金保険のうちの「厚生年金保険」、「介護保険(40歳以降)」、「雇用保険」です。扶養に入ると、配偶者である妻は上記の保険に加入しながら、保険料を免除されます。

従来の社会保険の加入条件

・パート・アルバイト等の場合、週の所定労働時間が正社員の所定の労働日数・労働時間の3/4以上(年収130万円以上)

従来は扶養内で働く際、130万円を超えると保険料負担が発生するため、「130万円の壁」と呼ばれるボーダーラインが存在しました。上記を満たす場合は扶養から外れてしまい、社会保険に加入する義務が発生します。

新しく適用拡大された社会保険の加入条件

・勤務先の従業員数が501人以上※
・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

※2022年10月から従業員数101人以上、2024年10月から51人以上が適用される

 

これまでは年収130万円までが社会保険加入のボーダーラインでしたが、社会保険適用範囲が拡大され、年収が106万円を超えると保険料負担の義務が発生する「106万円の壁」が新たに生まれました。上記の条件が全て当てはまったら、扶養内であっても社会保険に加入しなければなりません。しかし、上記のうち、一つでも当てはまらないものがある場合、従来の年収130万円が社会保険加入のボーダーラインとなります。

扶養内のパートで最も損しないボーダーライン

家計の足しになればとの思いで扶養内でパートをしても、稼ぎすぎると税金や社会保険料が発生してしまい、結果として手残りが収入が減ってしまう可能性があります。扶養内でパートをする際には、税金等で無駄に損をしないためのボーダーラインを意識することが大切です。

扶養内でパートをして収入を100万円以下に収めれば、住民税・所得税も社会保険料もかからず、働いた分だけお金が手元に残ります。103万円以下ならば住民税はかかりますが、所得税・社会保険料がかかりません。収入が106~130万円であれば、適用拡大された社会保険加入条件に当てはまらないため、保険料が収入から天引きされることがなく、手取り収入が減らずに済みます。130~150万円は住民税・社会保険料がかかり、所得税は配偶者特別控除が受けられますが、働き損になる可能性があります。

総じて、扶養内で働くなら103万円以下、106万円以下を意識することで、税金を払わずに済むと言えますが、社会保険料を納めれば、将来受け取る年金の金額が増えるため、最終的にどちらが得かは自分自身で判断する必要があります。

扶養内で効率的にパートするためのポイント

・働く時間を減らす
・週の勤務時間が20時間を超えない勤務先を選ぶ
・従業員数が101名未満の企業で働く

扶養内であっても働きすぎると税金や社会保険料の支払いが発生してしまいます。そのため、年間を通して勤務日数や時間を調節して、働き損にならない収入のボーダーラインである106万円以下になるようにすることが大切です。また、2022年に企業規模が従業員数101名以上の会社において社会保険の適用が拡大されました。企業規模の大きい会社で週の所定労働時間が20時間以上になってしまうと社会保険が適応されてしまい、働き損になってしまう可能性があります。従業員数が101名未満の会社で、パートで働けば社会保険の適応対象にならず、手取り収入を減らさずに済みます。

扶養内で働くなら103万、106万、130万円を意識しよう

扶養内でパートをする際、収入額に応じて住民税や所得税、社会保険料の支払い義務が発生します。とにかく税金を払いたくなければ103万以下に抑える必要があり、扶養を外れて社会保険に加入したくなければ106万円、もしくは130万円以下に抑えましょう。これらのボーダーラインを意識して働くことで、世帯年収を賢く増やし、豊かな生活へと繋がっていくでしょう。
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