管理栄養士国家試験を徹底解説!受験資格や合格率、ガイドラインや対策法など
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/10/18
公開日:2022/10/18
管理栄養士は厚生労働大臣から免許を受ける国家資格を持つ職種であり、管理栄養士になるには国家試験に合格しなければなりません。栄養のプロフェッショナルとして、医療・保健・福祉・介護・教育など幅広い領域で高い専門性が求められる仕事です。今回は管理栄養士の国家試験について、合格率や受験資格、出題基準や対策法などを詳しくお伝えします。
目次
管理栄養士国家試験の概要と合格率
下記は、管理栄養士国家試験の概要です。
試験日 | 2月下旬 |
---|---|
合格発表日 | 3月下旬 |
試験地 | 北海道、宮城県、埼玉県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県、沖縄県 |
試験科目 | (ア)社会・環境と健康 (イ)人体の構造と機能及び疾病の成り立ち (ウ)食べ物と健康 (エ)基礎栄養学 (オ)応用栄養学 (カ)栄養教育論 (キ)臨床栄養学 (ク)公衆栄養学 (ケ)給食経営管理論 |
出題形式 | マークシート方式 |
合格基準 | 正答率約60%前後 |
2022年は2月27日(日)が試験日、3月25日(金)が合格発表でした。2021年実施の第35回管理栄養士国家試験から過去5年間の合格基準は、2018年実施の第32回国家試験以外のみ全て60%ぴったりです。とはいえ、第32回国家試験の合格基準は59.8%であるため、例年と差はほぼありません。
管理栄養士国家試験の合格率
下記は、新卒者・既卒者別にみた過去5年間の合格率です。
第36回 (2022年) |
第35回(2021年) | 第34回 (2020年) |
第33回 (2019年) |
第32回 (2018年) |
|
---|---|---|---|---|---|
管理栄養士課程 (新卒) |
92.9% | 91.3% | 92.4% | 95.5% | 95.8% |
管理栄養士課程 (既卒) |
20.5% | 19.1% | 12.0% | 18.0% | 20.8% |
栄養士課程 (既卒) |
28.8% | 24.3% | 17.8% | 20.4% | 19.2% |
なお、下記は新卒・既卒を合わせた全体の合格率です
平成30年 | 平成31年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
---|---|---|---|---|
60.8% | 60.4% | 61.9% | 64.2% | 65.1% |
新卒者の合格率は90%以上と高い水準をキープしていますが、既卒者は新卒者の合格率とは大きく開きがあります。その結果、全体の合格率は60%台が水準となっています。
管理栄養士国家試験の受験資格
管理栄養士国家試験を受けるには、前提として栄養士免許を取得している必要があります。栄養士免許の取得に試験はなく、養成施設で必要課程を修了して卒業することで取得可能です。国家試験を受けるにあたり、受験資格を満たすには「管理栄養士ルート」と「栄養士ルート」の2ルートがあるためご紹介します。
管理栄養士ルート
管理栄養士ルートで国家試験受験を目指す場合、高校卒業後に修業年限4年の管理栄養士養成施設への就学が必要です。管理栄養士養成施設とは、管理栄養士課程を持つ4年制大学または4年制の専門学校です。専門学校は管理栄養士に必要な専門分野に特化している一方、大学であれば管理栄養士課程以外の一般教養科目まで幅広く学べます。また、管理栄養士ルートであれば卒業後に栄養士免許が受けられ、そのまますぐに国家試験が受けられます。
栄養士ルート
栄養士ルートでは、高校卒業後に栄養士養成施設の認定を受けた大学や短大、専門学校へ就学します。養成施設は修業年限2・3・4年から選択でき、卒業後は管理栄養士ルートと同様に栄養士免許が受けられます。しかし、それだけでは国家試験の受験資格を満たせないのが栄養士ルートです。就学した栄養士養成施設の修業年限に応じて、栄養士免許取得後に実務経験を積む必要があります。
卒業した養成施設の修業年限 | 必要な実務経験 |
---|---|
修業年限2年 | 3年以上 |
修業年限3年 | 2年以上 |
修業年限4年 | 1年以上 |
なお、実務経験として認められる施設は下記いずれかです。
・ 寄宿舎、学校、病院等の施設であって、特定多数人に対して継続的に食事を供給するもの
・ 食品の製造、加工、調理又は販売を業とする営業の施設
・ 学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園など
・ 栄養に関する研究施設及び保健所その他の栄養に関する事務を所掌する行政機関
・ ほか、栄養に関する知識の普及向上その他の栄養の指導の業務が行われる施設
第32回国家試験より、同年度内の実務経験見込み受験はできなくなっています。そのため、国家試験申し込みの締切日までに必要な実務経験年数を満たす必要がある点は要注意です。
管理栄養士国家試験のガイドラインとは
管理栄養士国家試験は、厚生労働省が設置する管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会によって検討された出題規準に基づいて出題されます。管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)は、国家試験の「妥当な範囲」と「適切なレベル」とを項目によって整理したものであり、試験委員が出題時に準拠する基準です。出題基準はおおむね4年に1度改定され、最新の改定は2020年第34回試験から適用されています。
ガイドラインには各科目の主題のねらいや出題範囲が詳しく記載されているため、出題傾向を把握するためにも必ずチェックしましょう。
管理栄養士国家試験の対策法
最後に、管理栄養士国家試験の対策法をお伝えします。
過去問を解く
国家試験対策において、過去問を解くことは欠かせません。過去問は、最低でも過去5年間分を解くことがポイントです。まずは一気に200問を解き進め、全て解答するのにどれくらいの時間を要するのか、どのくらい正答できているかを把握しましょう。その後、間違った問題は参考書や教科書を参考に正しい知識をインプットします。その際に、どの科目が苦手かも把握できると今後重点的に対策すべき箇所が見えてきます。過去問は、過去5年間を3周以上こなせるとベストです。ただ解くだけにならないよう、出題の傾向把握や理解できていない知識をインプットするための手段として過去問を活用しましょう。
出題数の多い科目を重点的に勉強する
全12科目の中で、出題数の多い科目が「人体の構造と機能および疾病の成り立ち」「食べ物と健康」「臨床栄養学」です。出題数が多いということは全体の配点にも大きく影響しやすいため、しっかりと対策しましょう。他にも、管理栄養士に関連する時事問題や法律問題も出題されるため、問題集や過去問だけの勉強だけでなく、日頃からニュースなどをチェックして最新情報を把握しておきましょう。
模試を活用する
予備校などでは、国家試験対策として模試を開催しています。模試は本番と同じ空気感で試験に臨めるため、慣れておくことで緊張せずに本番の試験に取り組めるようになるでしょう。さらに試験問題は出題傾向や過去問を分析した上で作成されていることが多いため、解説書とあわせれば効果的な対策に役立ちます。模試の開催機関によってはフィードバックも受けられ、自分では気づかなかった弱点や今後の学習指針が得られます。
管理栄養士国家試験の概要や合格率、対策法を押さえよう!
管理栄養士国家試験は例年2月下旬に実施され、過去5年間の合格率は全体で60%台をキープしています。そして受験資格を得るには、栄養士免許の取得が必須です。栄養士免許取得後にすぐ国家試験が受けられる管理栄養士ルート、栄養士免許取得後に実務経験が必要な栄養士ルートのいずれかで受験することとなります。今記事を参考に、管理栄養士国会試験についてポイントを押さえてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。