シルバーカーと歩行器の違いは?特徴やレンタルに介護保険が使えるかを解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/08/29
公開日:2023/05/05
シルバーカーと歩行器の違いについて、詳しくわからないという方もいるでしょう。今回はシルバーカーと歩行器の違いや特徴、それぞれを選ぶ際のポイントを分かりやすく解説します。また、レンタルしたとき介護保険の対象になるかどうかや介護現場で使うときの注意点にも触れますので、ぜひ参考にしてください。
目次
シルバーカーと歩行器の違い
シルバーカー | 歩行器 | |
---|---|---|
イメージ図 | ||
使用者の歩行への不安度 | 小 | 大 |
ハンドルの形状 | 真っすぐ | 体を囲う形 |
シルバーカーと歩行器の違いは、使う人が「自立歩行できるか・できないか」という点です。
シルバーカーは歩行の補助に使う仕様のため、体重をかけるとバランスを崩して転倒する恐れがあります。つかまりながら歩行するなら「歩行器(歩行車)」を選んだほうが安全です。使う人の状態により、シルバーカーか歩行器のどちらにするか迷う場合があるでしょう。介護施設のスタッフや看護師に相談してみるのもおすすめです。
「シルバーカー」とは?
シルバーカーとは、自分で歩ける高齢者の方などが歩行の補助として使う道具です。屋外での歩行や活動をサポートする目的で使われます。シルバーカーには、シニア世代の外出を快適にするさまざまな機能がついています。収納スペースがついているタイプは、買い物時など荷物の運搬に便利です。座面付タイプは、散歩途中の休憩にも使えます。足腰に自信がなくなってきたお年寄りにとって、シルバーカーは心強い相棒となるでしょう。
「歩行器」とは?
一方、歩行器は自分で歩くことが難しい高齢者が、体重を支えながら歩くときに使う道具です。歩行器は、ハンドルが体を囲うようにゆるやかなカーブを描いているのが特徴。シルバーカーより安定性が高く、体重をかけながら歩けるので歩行をサポートしてくれます。歩行器は形状や使い道により呼び方が違う場合もあります。一般的に車輪がついているものを「歩行車」、病院や介護の現場で歩行訓練に使うものを「歩行器」と呼びます。
シルバーカーを選ぶポイント
使いやすいシルバーカーを選ぶため、チェックすべき項目を確認しておきましょう。ここでは、シルバーカーを選ぶポイント6つを、項目別に詳しく解説します。
シルバーカーには、さまざまな種類があります。使う人の状態や用途にあった種類を選ぶことが大切です。シルバーカーの種類により、使い勝手が違います。使う人の要望を確認しておくと、欲しいシルバーカーのタイプが見えてくるでしょう。必要な機能やポイントを押さえておくと、店頭で迷わず選べます。
種類
シルバーカーは、主に以下のような種類に分けられます。
・ボックスタイプ
・ミドルタイプ
・コンパクトタイプ
・ワゴンタイプ
・ショッピングカート
それぞれ大きさやデザインが違い、使い心地もさまざまです。ミドルタイプやコンパクトタイプは、軽量で取り回しやすいのが魅力です。ボックスタイプは安定感に優れています。
ワゴンタイプやショッピングカートは、デザイン性を重視する人におすすめです。このように、各種類のメリットがあるため、特徴をよく理解して使う人の健康状態に合わせて選びましょう。
機能性
シルバーカー選びでは、機能性をしっかりと確認しておく必要があります。使う人が求める機能がついているか、安全性が優れているかなど、チェックしましょう。シルバーカーは、商品により機能性が異なります。
たとえば、荷物がたくさん入る充実の収納スペースを持つ商品は、買い物に使いたい場合に重宝します。座面付きで休憩時の椅子代わりになる商品は、散歩に出たとき便利な機能です。
また、安定性に特化したものや、軽量で屋内外への移動がしやすい商品は1人で出かける機会の多い人にぴったりです。速度制御機能や段差乗り越え機能など、安全面に特化した商品も選べます。
ハンドルの高さ
シルバーカーを選ぶ際は、ハンドルの高さも重要です。高さの合わないハンドルでは、歩くときに体にかかる負担が大きくなるためです。ハンドルの高さは、立った状態でシルバーカーを握って確かめます。体に対して肘を45度ほど曲げてみて、無理なくハンドルを持てる高さが理想的です。シルバーカーを使う人が実際に試すのが確実ですが、難しい場合は計算で求めることも可能です。「身長÷2+5〜10cm」の式に当てはめると、身長に合う高さを導き出せるので参考にしてみてください。
ブレーキのタイプ
シルバーカーにより、ブレーキのタイプが違うので必ず確認しましょう。使う人が握りやすいブレーキの形状がおすすめです。シルバーカーのブレーキは、ハンドルの形状により異なります。バーハンドルの中央についたものや、グリップハンドルの左右両方についたものなどがあります。ブレーキの使いやすさは、使う人の握力や歩行レベルによって異なります。安全面において重要なので、使う人の健康状態を考えて選びましょう。
キャスターのタイプ
キャスターのタイプも、シルバーカー選びの重要ポイントです。ひとつの脚に1輪ずつついた「シングルキャスター」と、2輪ずつついた「ダブルキャスター」の2種類があります。シングルキャスターは軽量で小回りがききやすい、ダブルキャスターは安定感がある、というメリットがあります。また、車輪が直進方向のみで固定される「固定輪タイプ」とくるくる回転する「自在輪タイプ」という分類もあります。固定輪と自在輪を切り替えできるタイプもあるため、使う人の健康状態や好みに合わせて選びましょう。
デザイン性
シルバーカーはデザイン性も大切です。最近のシルバーカーは、おしゃれなデザインもあります。使う人の好みに合わせ、おしゃれなデザインの商品を選べば、散歩やお出かけをより楽しくサポートしてくれるでしょう。使う人に合う種類や機能を備えていることを確認の上、デザインにも注目して選びましょう。
歩行器を選ぶポイント
歩行器を選ぶ際にも、シルバーカー同様、チェックしておきたい項目があります。ここでは、歩行器を選ぶポイント4つを詳しく紹介します。
種類
【歩行車】
・ハンドル型
・馬蹄型
【歩行器】
・持ち上げ型
・交互型
・キャスター付き(2輪または4輪)
歩行器の種類は「歩行車」と「歩行器」の2つに分けられ、それぞれさらに細かなタイプに分類されています。「歩行車」は主に屋外での外出用に使います。シルバーカーよりしっかりした安定性を求める人や、歩行訓練で外出したい人などにおすすめです。病院や施設内で使える屋内用の歩行車もあります。「歩行器」は主に屋内で使う場合が多い福祉用具です。足腰に痛みを感じる人や、病気などで歩くことが難しい人に向いています。
グリップの高さ
歩行器はグリップの高さを確認してから選びましょう。身長に合わない高さでは、歩行のサポートがうまくできず、転倒などの恐れがあります。高さの確認方法は、タイプによって違います。手で握って使うタイプは、肘を軽く曲げた状態で無理なくグリップを握れる高さを選びましょう。肘を置いて使うタイプは、立った姿勢で肘を90度に曲げて確認します。肘が無理のない高さになるものを選んでください。
機能性
機能性も、歩行器選びの重要ポイントです。使う人の状態や使い方に合わせた機能を選ぶとよいでしょう。「歩行車」タイプの歩行器には、さまざまな機能を搭載したものがあります。例えば、シルバーカーのように座面や収納スペースがついたものや、コンパクトで小回りがきくものなどです。歩行をサポートする器具なので安全面を一番に考えたうえで、あると便利な機能のついた歩行器を選びましょう。
デザイン性
歩行器を選ぶ際には、デザインにも注目しましょう。使う人の気持ちが明るくなるようなデザインがおすすめです。シルバーカーを選ぶポイントと同様、歩行器のデザインもさまざまです。特に屋外で使うものの場合、おしゃれな見た目を選ぶと使う人の気分も上がります。お気に入りの歩行器なら、楽しく外出できるでしょう。
シルバーカーと歩行器のレンタルは介護保険の対象になる?
シルバーカーのレンタルに介護保険は使えません。シルバーカーは普及しているものの、公的助成の対象にはならないためです。
一方、歩行器のレンタルには介護保険が利用できます。介護認定のレベルや使う人の年齢に応じて、レンタルする際の自己負担額が異なることに注意しましょう。
歩行器をレンタルする流れは以下の通りです。
1. ケアマネージャー・地域包括支援センターに相談しケアプランを作成
2. レンタル事業者の選定
3. 福祉用具専門相談員との相談・レクチャー
4. 利用者・家族への説明と同意
5. レンタル利用開始
介護保険を使って歩行器のレンタルを考える場合、まずはケアマネージャーや地域包括支援センターへ相談してみましょう。
シルバーカーや歩行器を介護現場で使うときの注意点
シルバーカーや歩行器を介護現場で使うときは、思わぬ事故につながらないよう注意が必要です。ここでは、介護現場で使うときの注意点を3つに分けて解説します。
使う人の健康状態に合うかどうかを確認する
使う人の健康状態をチェックし、シルバーカーや歩行器の使用が適切かどうかを確認しましょう。自立歩行ができる人に歩行器を使ったり、歩行が困難なのにシルバーカーを使ったりするのは避けたほうがよいでしょう。体重のかけ方が違うため、転倒や怪我を招く原因になります。高齢者の健康状態は変化するため、現在の様子を正しく見極める必要があります。前述した選ぶポイントを参考に、その人に合ったものを提供しましょう。
初めて使う場合は隣でサポートをする
シルバーカーや歩行器を初めて使う高齢者には、隣に立ってサポートしましょう。安全面はもちろん、正しい使い方を確認するための大事な手順です。シルバーカーを使う人は自分の意志で歩行ができるため、介護する側もサポートが不必要と思うかもしれません。健康状態や使う道具を問わず、正しい使い方を伝えることは大事です。初めて使う器具の場合は必ず隣でサポートしましょう。
こまめにメンテナンスをする
シルバーカーや歩行器のメンテナンスはこまめに行いましょう。高齢者が安全に使えるかどうかを確認するのは、事故防止にも役立ちます。チェックポイントは、キャスターや脚のゴムの劣化、ネジの緩みなどです。ちょっとした部品不良で、転倒や怪我を招く恐れがあります。安全面を第一に考えてメンテナンスを行うよう、定期的に点検することをおすすめします。
シルバーカーと歩行器の特徴を知り、使う人に合うものを見つけよう
シルバーカーと歩行器には、それぞれの特徴や違いがあります。どちらが使いやすいかは、使う人の健康状態や使い道によって違います。ハンドルの高さや各機能をチェックするなど、使う人の立場に立った福祉用具を選びましょう。シルバーカーと歩行器の特徴をしっかり覚えておけば、介護現場へ転職する際も役立ちます。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。