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廃用症候群にリハビリは有効?対処法やリハビリのポイントを解説

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/06/02

公開日:2023/06/02

「廃用症候群はリハビリで良くなるのだろうか」と悩んでいらっしゃる方は多いのではないでしょうか。リハビリは、筋肉を維持する効果が期待できるため、廃用症候群に有効といえるでしょう。ここでは、廃用症候群の原因や対処法、リハビリを取り入れる際のポイントについて解説します。

廃用症候群とは|原因や症状

廃用症候群とは、身体を動かさないことで全身に起こる、さまざまな症状の総称です。廃用症候群については、以下のように定義されています。

廃用症候群は、「身体の不活動状態により生ずる二次的障害」として体系化された概念で、不動(immobilization)や低運動(inactivity)、臥床(bedrest)に起因する全身の諸症状を総称する。

身廃用症候群はどのように診断がつき、どのような症状が現れるのでしょうか。
ここでは、以下の項目について詳しくご紹介します。

廃用症候群の原因

廃用症候群は、身体を動かさないことが原因で起こります。そもそも身体を動かさなくなる要因は、病気や怪我による過度な安静状態など、さまざまです。特に高齢者であれば、自立を妨げるような介護を受けてしまう、もしくは身体を動かす機会そのものが減ってしまうケースなどが当てはまります。
廃用症候群に一度なってしまうと、元の状態まで完全に回復することが難しいケースがほとんどです。そのため、廃用症候群が起こらないよう、日頃から予防していくことが大切といえます。

廃用症候群の診断は、医師の診察が必要です。これから紹介する症状に一致する項目が多いからといって、自分で判断しないように気をつけましょう。

廃用症候群の症状

廃用症候群は下記のように、さまざまな面から症状が現れます。

筋骨格系 ・筋力低下、筋萎縮
・骨萎縮
・関節拘縮
呼吸器系 ・換気障害
・沈下性肺炎
・誤嚥性肺炎
消化器系 ・体重減少
・食欲低下
・低栄養
・便秘
・逆流性食道炎
泌尿器系 ・尿路結石
・尿路感染
・排尿障害
循環器系 ・心機能低下
・起立性低血圧
・静脈血栓症、寒栓症
精神系 ・鬱
・せん妄
・見当識障害
・睡眠覚醒リズム障害
・睡眠障害
皮膚系 ・褥瘡(床ずれ)

廃用症候群の症状は、身体的にも精神的にも症状が起こる点が特徴です。一つの症状だけが単独で現れることはあまりなく、ほとんどのケースで複数の症状が併発して見られます。
また、それぞれの症状が互いに影響し合っているのも特徴的です。イメージしやすいように、下記に例を挙げてみます。

褥⇄低栄養
褥瘡:圧迫や摩擦が影響で起こる皮膚の傷
低栄養:身体に栄養が行き渡っていない状態

褥瘡は、圧迫や摩擦を予防するだけでなく、皮膚のもとになるタンパク質などの栄養素が身体に行き渡ることで改善します。しかし、低栄養状態だと、皮膚を作るために必要な栄養が不足してしまうため、褥瘡が治るまでに時間がかかることがあります。併発した症状によっては、ますます身体を動かすことが難しくなるなど、悪循環に陥るケースがあるため注意が必要です。

廃用症候群はリハビリで改善する?主なリハビリ

廃用症候群に一度なると、元の状態に戻るまでの回復は難しいとされています。特に高齢者の場合は、若い頃よりも筋肉などの心身の衰えが進んでいるため、ますます難しい状態といえます。若い年代で廃用症候群となったケースでも、1週間の安静で起こった機能低下の回復には1ヶ月以上かかるのが通常です。リハビリでの改善が期待できますが、完全に元の状態に戻るかはわかりません。しかし、早期のリハビリに関しては、改善が期待できるケースが多いため、積極的に行ってみるのも良いでしょう。

リハビリは筋肉維持に有効

安静状態による筋力の低下によって廃用症候群が起こるため、筋力を維持するためのリハビリは有効的と言えます。また訓練だけでなく、家事や移動、余暇活動への参加などで行える生活リハビリテーションも効果が期待できます。

一方で、無理なリハビリには危険が伴うため、医師との相談が必要です。リハビリは、病院等の専門施設で受けるようにしましょう。遠方である、病院まで向かう足がないなどで通院が難しいケースでは、訪問リハビリを利用するのも良いでしょう。リハビリは精神的な苦痛を伴うことがあるため、本人の前向きな気持ちが維持できるよう、周囲がサポートしていく必要があります。

リハビリ以外の廃用症候群へ対処法・治療法

廃用症候群の予防に効果的なリハビリですが、リハビリ以外にも、以下のような対処法や治療法があります。

それぞれの対処法や治療法について詳しくご説明します。

薬物療法

心機能低下や肺炎、関節痛や精神障害などには薬物療法が有効とされています。医師が、血液検査や胸部レントゲン、心臓のエコーなどのさまざまな検査結果を見比べながら、必要な治療薬を総合的に判断して処方します。市販薬として似たような薬が販売されているケースがありますが、勝手な判断で服用すると症状を悪くさせてしまうことがあるため、おすすめできません。投薬治療を希望する場合は、病院やクリニックでの診察を受けましょう。

日頃から身体を動かす機会を作る

リハビリを行うだけでなく、日頃から身体を動かすよう意識することも大切です。例えば、着替えや排泄など、自分でできることは率先して自分で行うだけでも十分な効果が期待できます。寝たきりの場合でも、動かせる部位を自力で動かしてみるのも有効です。介護者はサポートし過ぎないよう、要介護者は自分でできることを周りに頼り過ぎないよう、双方が互いに意識していく必要があります。

栄養のある食事

廃用症候群では低栄養状態になりやすいため、食事で栄養を補いましょう。低栄養状態は筋肉量の減少につながるため、筋肉のもとであるタンパク質などを積極的に摂りましょう。身体に必要となる栄養素を取り入れて、身体を動かす機会を作ることは廃用症候群の予防に効果的です。食欲不振や消化器官に問題がある場合は、適切な食事内容・方法を考える必要があります。かかりつけ医や栄養士に相談してみてください。

廃用症候群に対するリハビリのポイント

筋力を維持するためにリハビリは効果的です。廃用症候群に対するリハビリを取り組むためにも以下ポイントを押さえておきましょう。

ここでは、それぞれのポイントについて、詳しくご紹介します。

本人が前向きに取り組めるようサポートする

リハビリは、本人が前向きに取り組むことで効果が期待できます。そのため、何のためにリハビリを行うのか目的を明確にし、前向きに取り組めるよう周囲がサポートすることが大切です。目的を明確にしないまま無理強いさせてしまうと、リハビリ自体を拒んでしまう可能性があります。
すでに拒んでしまった状態である場合は、医療従事者からの働きかけで、本人の意思が変わることがあります。そのため、医師や看護師などの専門家に相談してみるのもおすすめです。

リハビリ環境を整える

体力そのものが低下している高齢者にとって、普段よりも体調が優れないなど、コンディションが整っていない状態でのリハビリは負担を与える一方です。そのため、体調的にリハビリを行える状態なのか、また安全にリハビリできる環境なのか判断してから取り組みましょう。
特に、訪問リハビリや家族が自宅でリハビリを行う場合は、リハビリスペースが十分にあるか、気温・室温は適しているかなど確認しておきましょう。また、体調がすぐれないときに無理にリハビリをすると、さらに体調が悪化してしまうため、頑張り過ぎないことも大切です。

適切な道具を揃える

介護用品や福祉用具を使う場合は、住環境や身体状況に合っているかを確認しましょう。本人にとって「使いにくい」「身体に合っていない」ものは、事故につながったり症状悪化のリスク高めたりする可能性があります。特に、廃用症候群は摩擦や圧迫による褥瘡が起きやすい状況です。寝たきりの状態にある場合は、マットレスが身体に合っているかについても注意しましょう。

マットレスのチェックポイント
・ 摩擦やずれが起きやすくないか
・ 横になったときや起き上がるときに安定感があるか
・ 圧が一箇所に集中し過ぎていないか(分散できているか)
・ 通気性が悪くないか
・ マットレスが硬すぎないか

上記のポイントを押さえて、使用しているマットレスは適切なのかチェックしてみてください。身体に負担をかけないようにと柔らかめのマットレスを使用するケースが多くありますが、柔らか過ぎるのは良くありません。身体を動かしにくくなるため、身体の一部分に圧がかかり過ぎ、褥瘡の発生リスクを高めてしまいます。自分の動きに合わせた適切な硬さのマットレスを選ぶよう心がけましょう。

無理のない範囲でリハビリを行って廃用症候群を予防しよう

廃用症候群は、寝たきりなどの安静時間が増えることに伴う筋肉量の低下から起こります。そのため、筋肉量を維持できるリハビリは有効的といえます。一方でリハビリは、無理にし過ぎると危険が伴うため、病院や訪問リハビリなど専門家に依頼するのがおすすめです。

本人が前向きな気持ちで継続して取り組めるように、マットレスや周囲の環境を整えてみてください。症状によっては薬物療法も有効ですが、医師による診断が必要なため、病院やクリニックを受診しましょう。また、リハビリの他にもアクティブに身体を動かしたり、バランスの良い食事を摂ったりすることが、廃用症候群の予防につながります。無理のない範囲でできることから実践してみましょう。

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異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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