【2024年版】介護職の離職率は高い?業界の現状や定着率が高い職場を選ぶコツ
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/02/26
公開日:2019/04/17
介護の仕事を検討する上で、気になるのが離職率です。離職率が高いといわれる介護職ですが、仕事がきつい、給料が安いといったイメージは徐々に変わりつつあります。ここでは介護職が「離職率が高い」といわれる理由や現状、離職理由、離職率が高い職場の見分け方を解説します。
目次
介護職の離職率は本当に高い?
介護職の離職率 | 常用労働者全体の平均離職率 |
---|---|
14.3% | 15.0% |
介護職の離職率は「高い」といわれることが多いですが、実はそこまでではありません。公益財団法人 介護労働安定センターが発表している令和4年度『介護労働実態調査』によれば、介護職の離職率は14.3%でした。令和3年度の介護職の離職率は14.1%であったため、わずかながら離職率が高くなっています。
この数値だけを見ると「高い」と思うかもしれません。しかし、厚生労働省の『令和4年雇用動向調査結果の概要』を見ると、全体の離職率は15.0%であり、介護職の離職率は平均的だといえるでしょう。宿泊業、飲食サービス業は離職率26.8%、サービス業(他に分類されないもの)が19.4%、生活関連サービス業、娯楽業は18.7%であるため、介護職の離職率は、極端に高いわけではありません。
介護職の離職率が高いといわれる原因
・「3K」のイメージが定着しているから
・業務量と給与が見合わなそうだから
・人間関係の悩みが多そうだから
・運営に対する不満が多そうだから
介護職の離職率が高いと思われる原因として、仕事内容から「3K=危険・きつい・汚い」を連想し、大変な職場と感じられていることが挙げられます。業務内容が多岐にわたるにもかかわらず、給与が見合っていないと感じてしまう人も多いようです。
また、人間関係も原因の一つとして挙げられます。利用者さんとの関係はもちろん、一緒に働く介護スタッフや、関係機関のスタッフなどとの人間関係に悩みが多いイメージを持たれることも。
ほかにも、自分が理想とする介護ケアと運営の方針が合わなくて、悩みの原因になるケースもあるようです。このようなイメージから、「大変な仕事で離職率も高い」という印象を持たれています。
介護職の現状と課題
介護職は、決して離職率が高すぎる仕事ではないと分かりました。しかし、離職率が高いというイメージから、「給料が安い」「仕事がきつい」といわれるのも事実です。ここでは、介護職の現状について解説していきます。
介護職の待遇は改善が行われている
介護職の給料は高いといえませんが、年々大幅に改善されています。介護従事者の月の平均給与額は、令和3年12月が300,990円であったのに対し、令和4年9月は317,540円と前年度より16,550円多くなりました。(※)
介護職の給料が上がっている理由は、国が処遇の改善を図っているからです。経済産業省によると、2035年には約79万人の介護人材が不足するといわれています。超高齢化社会である日本にとって、介護の仕事は非常に大切です。
高齢者を支える介護職員の安定的な処遇改善を図るために創設された、「介護職員処遇改善加算」を取得している事業所は、じつに全体の94.5%と高く、ほとんどの介護現場で処遇が改善されています。
今後も、介護人材を確保するために処遇改善が行われ、介護職の「給料が安い」というイメージは、過去のものになっていくでしょう。
※参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」(【介護職員処遇改善支援補助金取得事業所】介護職員の平均基本給等の状況(月給・常勤の者))より
仕事の労力
介護の仕事は、一般的に「きつい」「大変」といわれています。たしかに、要介護者のサポートをしたり介護記録を取ったりと、一人でたくさんの仕事をこなさなければなりません。
ただし、仕事によってはライフスタイルに合わせたり、子育てと両立したりすることもできます。介護の仕事は、形態がさまざまです。施設と訪問があり、施設の中にも老人ホームやデイサービスなど、いろいろな種類が存在します。
デイサービスなら、日曜は休みで仕事も日中で終了するため、子育ても両立しやすいでしょう。また、訪問介護であれば、ある程度自分の裁量で仕事の時間や曜日を決められます。「きつい」「大変」といわれる介護職でも、仕事によって自分の時間を見つけることは十分に可能です。
介護職の主な離職理由5つ
介護職の離職率は少し高い程度ですが、それでも辞める人は0ではありません。ここでは介護職を離職する理由について、3つ紹介します。
不規則な勤務による心身への負担
働く職場によっては、介護職にも日勤と夜勤があり、勤務体制が不規則になりがちです。入所施設となると24時間体制で、夜勤や早出などシフト勤務となることもあるでしょう。
介護職は体が資本でもあるので、自分が体を壊してしまっては元も子もありません。生活リズムが整いにくく、身体的・精神的な負担を感じてしまい、離職を決断してしまうケースもあります。
人間関係の悩み
介護職を離職する理由の多くが人間関係といわれています。仕事を続けていく上で、人間関係がもっとも大切だからです。とくに介護職は、チームワークが必要な仕事。自分に合わない人間がいたら、仕事を続けていく自信がなくなってしまうでしょう。
また、利用者さんとの関係性が原因となることもあります。介護される側である要介護者が、介護職員に暴力を奮ったり嫌がらせをしたりするというもの。さまざまな人間関係に嫌気が差し、辞めてしまう人も多いです。
待遇・労働条件への不満
介護職員の平均給与額(月給・常勤の者) | 全体の平均給与額(月額) |
---|---|
317,540 | 413,808 |
【介護職員処遇改善支援補助金取得事業所】介護職員の平均基本給等の状況(月給・常勤の者)より
※介護職員の平均給与額は、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所の数値
※全体の平均給与額は、「きまって支給する現金給与額+年間賞与その他特別給与額÷12」で算出。
不規則な勤務体制や夜勤の回数、日々の業務量に対して、給与が見合わないと感じてしまい、離職を考える人も。
入所施設などで夜勤がある場合には手当があります。しかし、たとえ手当などがついたとしても、残業の多さや休日の取りにくさなど労働条件への不満を抱える人も一定数いるでしょう。
介護職の待遇は、国の施策などにより改善が進んでいるものの、待遇、労働条件への不満から離職を決断する人もいるのが実情です。
法人・施設に対する不満
法人や施設、事業所と考え方が合わず、退職・離職してしまう人も多いです。従業者と経営者では、考え方の反りが合わないこともしばしば。とくに介護の仕事は、高いホスピタリティが必要です。利益を求める企業などの方針と、要介護者を気遣う従業者との間で軋轢が起こることはよくあります。
就職時は仕方ないと思っても、不満が積もったり方針が変わったことに納得がいかなかったりして、辞める場合も。介護という仕事にプライドを持っているからこその離職理由といえるでしょう。
ライフスタイルの変化
女性の場合、結婚・出産を機に介護の仕事を辞める人が多いです。介護の仕事は、施設によっては夜勤があるため子育てと両立しにくい場合があり、出産を機に辞める人も珍しくありません。
また、結婚するとともに転居し、辞めていく人もいます。あってはならないことですが、妊娠した際にマタニティハラスメントを受けて辞める、というケースもあるといわれています。
【介護職向け】離職率が高い職場の見極め方
ここでは、離職率の高い職場を見極めるポイントを紹介します。離職率の高い職場かどうかあらかじめ見分けることができれば、転職を効率的に進められるでしょう。
求人が常に出ていないか
常に求人広告を出している場合、離職率の高さを疑いましょう。離職率が高いため、常に求人広告を出しておかないと人手が不足してしまう、というケースが考えられます。
求人広告が常に出ている企業に応募する際は、自分のモチベーションをしっかりと考えましょう。その求人が破格の待遇や条件であるなら、人間関係が悪かったり仕事量が多かったりしたとしても、問題なく続けられる可能性があります。一方で、人間関係を気にする場合は、いくら待遇や条件がよくても避けるべきでしょう。
ただし、施設によって適正な配置人員が決まっている介護施設スタッフと違い、ホームヘルパーの場合はオンデマンド型のサービスのためあまり気にする必要はないかもしれません。
募集要項が詳細に書かれているか
募集要項に記載されている募集人数が多すぎる、簡単な情報しか記載されていないなどの職場は要注意です。募集人数が多すぎるのは、離職率が高いために深刻な人手不足に陥っている可能性があります。
また、「誰でもよいから人手が必要」といった状態になっていたり、すぐに辞める人がいるから多めに募集したりする可能性も。適正な募集人数であるか、給与や福利厚生、各種手当、日勤・夜勤の働き方などがきちんと記載されているか、募集要項をよく確認しましょう。
給与が相場を大きく超えていないか
相場に比べて極端に高額な給与が設定されている場合は、とにかく人を集めたくて求人を載せている、実際には労働時間が長く重労働が多いといったケースもあるので、注意しましょう。そのような理由から離職率が高く、定着しないため、給与を高くしている可能性もあります。
介護職の給与は、地域や施設の規模などによって異なります。大企業が運営する施設は、小規模な施設よりも給与が高い傾向に。求人を探す際は給与だけで判断せず、介護職全体の給与相場や待遇もよく確認しましょう。
面接の際に不自然な点はないか
面接時間が極端に短く、簡単な質問や確認だけを行い採用が決まる、初出勤日までの期間が短すぎる、などのケースは要注意です。離職率が高く、人手が足りないため採用を急いでいる可能性が考えられます。
面接での面接官の対応に好感が持てるか、きちんと自分のスキルや経験、経歴を見たうえで採用可否を判断してくれているか、よく確認してください。
施設の衛生状態は保たれているか
施設が汚い、清潔感がない場合は、離職率が高い可能性があります。施設の汚さや清潔感のなさは、職員のモチベーション低下につながるからです。とくに介護の施設は、衛生的でなければなりません。
施設がきれいかどうかは、面接の際にチェックしましょう。面接で施設を訪れた場合、室内を見学させてもらえます。たとえ面接官の印象がよくても、施設が汚れていたり清潔感がなかったりする場合は、見送りを検討してもいいでしょう。
チェックする項目は、清潔感があるか、汚物臭などがしないかなどです。適切に処理されているなら、汚物臭はほとんどしないか、気にならない程度でしょう。
スタッフに笑顔や明るさが見受けられるか
スタッフの対応が悪い施設は、離職率も高いといえるでしょう。介護の仕事は、コミュニケーションが非常に重要です。コミュニケーションができていないということは、人間関係に問題がある可能性も。
面接を受ける際は面接官だけでなく、働くスタッフの反応も伺いましょう。こちらに対してあいさつをしてくれなかったり、暗い表情を浮かべていたりする場合は、いくら面接官の対応がよくてもおすすめできません。
また、利用者さんの反応もきちんとチェックしましょう。スタッフと利用者さんが仲よくやれているか、利用者さんの反応はよさそうかなど確認が必要です。
介護職が理想の転職を目指すには
・転職の目的・軸を明確にする
・募集要項をよく確認する
・実際に施設を見学して雰囲気を見てみる
まずは、自分が転職する目的や理由、転職してどうなりたいかなどを明確にしましょう。「今の職場が嫌だから」という理由だけでは、転職しても同じことを繰り返してしまう可能性があります。
「離職率が高い職場の見極め方」で紹介したように、求人情報や募集要項をよく確認し、不自然な点はないかチェックしましょう。その上で気になる求人があったら、実際に施設を見学し、職場の雰囲気や衛生状態、スタッフや利用者さんの雰囲気を実際に確認することをおすすめします。
目的を明確にして、介護職の転職を成功させましょう!
介護職は離職率が高いといわれますが、実際はどうなのか、介護職の現状や課題などについて紹介しました。介護職での理想の転職を目指すためには、離職率が高い職場の見極め方を知ることが重要です。その上で、自分が介護職に求めているものや、転職してどうなりたいのかを明確にして、転職活動に臨みましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。