【最新版】介護職の離職率は高いわけではない!長く働ける職場の特徴も解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2025/04/30
公開日:2019/04/17
介護職の仕事を検討する上で、気になるのが離職率です。離職率が高いといわれる介護職ですが、仕事がきつい、給料が安いといったイメージは徐々に変わりつつあります。ここでは介護職が「離職率が高い」といわれる理由や現状、離職理由、離職率が高い職場の見分け方を解説します。
目次
介護職の離職率は全体平均と比較して高い?
介護職の離職率 | 常用労働者全体の平均離職率 |
---|---|
13.1% | 15.4% |
介護職は離職率が高いと思われがちですが、実際の数値を見ると、必ずしもそうとはいえません。厚生労働省のデータによると、介護職の離職率は13.1%であり、常用労働者全体の平均離職率15.4%よりも低い結果となっています。
これは、安定した雇用や、人手不足による継続的な需要が影響していると考えられるでしょう。誤解されがちなイメージとは裏腹に、介護職は比較的安定して働ける職業といえます。
介護職の過去10年間の離職率推移
年度 | 離職率 |
---|---|
2014年 | 16.5% |
2015年 | 16.5% |
2016年 | 16.7% |
2017年 | 16.2% |
2018年 | 15.4% |
2019年 | 15.4% |
2020年 | 14.9% |
2021年 | 14.3% |
2022年 | 14.4% |
2023年 | 13.1% |
介護職の離職率は、過去10年間で着実に改善傾向にあります。2014年には16.5%だった離職率が、2023年には13.1%まで低下しました。
とくに、2020年以降は減少が続いており、働きやすい職場づくりや待遇改善の効果が表れていると考えられます。安定した職場環境を求める方にとって、注目すべき変化といえるでしょう。
他の産業と比べた場合の介護職の離職率
介護職の離職率は13.1%であり、全産業平均(12.1%)とほぼ同程度です。しかし、宿泊業・飲食サービス業(20.8%)や生活関連サービス業(19.2%)と比較すると低い水準となります。
業種によっては20%近い離職率もある中で、介護職は安定して働きやすい職種のひとつといえるでしょう。
事業規模別の介護職の離職率
介護職の離職率は事業所の規模によって差があり、小規模な事業所ほど高い傾向にあります。とくに、職員数4人以下では離職率が19.6%と、全体平均の13.1%を大きく上回っている状態です。
一方で、100人以上の大規模事業所では11.8%と最も低く、安定して働ける環境が整っていることが窺えます。
介護職の離職率を下げる取り組み
介護職の離職率を改善するために、国や各施設でさまざまな対策が進められている状態です。ここでは、国の制度的な支援と現場での具体的な取り組みについて紹介します。
国による介護職の離職率を下げる取り組み
介護職の給料は高いといえませんが、年々大幅に改善されています。介護従事者の月の平均給与額は、令和5年12月が324,240円であったのに対し、令和6年は338,200円と前年度より13,960円多くなりました。(※)
介護職の給料が上がっている理由は、国が処遇の改善を図っているからです。経済産業省によると、2035年には約79万人の介護人材が不足するといわれています。
超高齢化社会である日本にとって、介護の仕事は非常に大切です。高齢者を支える介護職員の安定的な処遇改善を図るために創設された、「介護職員処遇改善加算」を取得している事業所は、じつに全体の95.5%と高く、ほとんどの介護現場で処遇が改善されています。
今後も、介護人材を確保するために処遇改善が行われ、介護職の「給料が安い」というイメージは、過去のものになっていくでしょう。
各施設による介護職の離職率を下げる取り組み
取り組み内容 | 施設の回答率(複数回答) |
---|---|
ハラスメントのない人間関係のよい職場づくりをしている | 69.2% |
仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている | 65.4% |
残業削減、有給休暇の取得促進、シフトの見直し等を進めている | 64.3% |
職場のミーティング等で、介護の質を高めるための価値観や行動基準を共有している | 63.1% |
仕事の内容は変えずに、労働時間や労働日を本人の希望で柔軟に対応している | 61.1% |
介護職の離職率を下げるため、各施設ではさまざまな取り組みが行われている現状です。最も多かったのは「ハラスメントのない人間関係のよい職場づくり」で、69.2%の施設が実施しています。
次いで「仕事上のコミュニケーションの円滑化」や「残業削減・有休取得の推進」なども多い取り組みです。また、労働時間や勤務日数の柔軟な対応も多くの施設で行われています。
【離職率は高くない】介護職の主な離職理由5つ
介護職の離職率は少し高い程度ですが、それでも辞める人は0ではありません。ここでは介護職を離職する理由について、3つ紹介します。
不規則な勤務による心身への負担
働く職場によっては、介護職にも日勤と夜勤があり、勤務体制が不規則になりがちです。入所施設となると24時間体制で、夜勤や早出などシフト勤務となることもあるでしょう。
介護職は体が資本でもあるので、自分が体を壊してしまっては元も子もありません。生活リズムが整いにくく、身体的・精神的な負担を感じてしまい、離職を決断してしまうケースもあります。
人間関係の悩み
介護職を離職する理由の多くが人間関係といわれています。仕事を続けていく上で、人間関係がもっとも大切だからです。
とくに介護職は、チームワークが必要な仕事。自分に合わない人間がいたら、仕事を続けていく自信がなくなってしまうでしょう。また、利用者さんとの関係性が原因となることもあります。
介護される側である要介護者が、介護職員に暴力を奮ったり嫌がらせをしたりするというもの。さまざまな人間関係に嫌気が差し、辞めてしまう人も多いです。
待遇・労働条件への不満
介護職員の平均給与額(月給・常勤の者) | 全体の平均給与額(月額) |
---|---|
338.2千円 | 330.4千円 |
※介護職員の平均給与額は、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所の数値
※全体の平均給与額は、「きまって支給する現金給与額+年間賞与その他特別給与額÷12」で算出。
不規則な勤務体制や夜勤の回数、日々の業務量に対して、給与が見合わないと感じてしまい、離職を考える人もいます。入所施設などで、夜勤がある場合には、手当がでることもあるでしょう。しかし、たとえ手当などがついたとしても、残業の多さや休日の取りにくさなど労働条件への不満を抱える人も一定数います。介護職の待遇は、国の施策などにより改善が進んでいるものの、待遇、労働条件への不満から離職を決断する人もいるのが実情です。
法人・施設に対する不満
法人や施設、事業所と考え方が合わず、退職・離職してしまう人も多いです。従業者と経営者では、考え方の反りが合わないこともしばしばあります。
とくに、介護の仕事は、高いホスピタリティが必要です。利益を求める企業などの方針と、要介護者を気遣う従業者との間で軋轢が起こることはよくあります。
就職時は仕方ないと思っても、不満が積もったり方針が変わったことに納得がいかなかったりして、辞める場合もあるでしょう。介護という仕事にプライドを持っているからこその離職理由といえます。
ライフスタイルの変化
女性の場合、結婚・出産を機に介護の仕事を辞める人が多いです。介護の仕事は、施設によっては夜勤があるため子育てと両立しにくい場合があり、出産を機に辞める人も珍しくありません。
また、結婚するとともに転居し、辞めていく人もいます。あってはならないことですが、妊娠した際にマタニティハラスメントを受けて辞める、というケースもあるそうです。
【メリットが多い】介護職として働く5つの魅力
介護職は社会的に重要な役割を担うだけでなく、働く側にとっても多くの魅力があります。ここでは、介護職の代表的な5つのメリットを紹介します。
介護職の需要が高く安定した雇用が確保されている
日本では高齢化の進行により、介護職の需要が年々増加している傾向です。そのため、常に多くの求人があり、職を得やすい状況が続いています。
また、景気の変動に左右されにくく、他業種と比べて雇用が安定している点も特徴です。未経験者でも受け入れてもらいやすく、継続して働ける環境が整っていることも大きな強みでしょう。
利用者や家族からの感謝が大きなやりがいにつながる
介護職は人の生活に直接関わり、助けとなる仕事であるため、感謝の言葉を受け取る機会が多くあります。利用者やその家族からの「ありがとう」は、日々の業務の中で大きな励みです。
身体的には負担の大きい職種である一方で、人に必要とされる実感が得られることから、深い充実感を感じられる仕事でしょう。
資格を取得しながらキャリアアップが可能である
介護職は働きながら資格取得を目指すことができる環境が整っています。介護福祉士やケアマネージャーなどの資格を取ることで、業務の幅が広がるだけでなく、給与面でも評価されやすくなるでしょう。
また、施設の管理職や運営側へと進む道も用意されており、将来を見据えた長期的なキャリア形成が可能です。
シフト制で働き方の自由度が比較的高い
介護職は早番・遅番・夜勤といったシフト制勤務であるため、自身の生活リズムに合わせた働き方が選択できます。週休2日制や夜勤専従、パートタイム勤務など、柔軟な勤務体系が整っているのも特徴といえます。
子育てや家庭の事情に応じてスケジュールを調整しやすく、プライベートとの両立もしやすい職種です。
地域や職場を選べば長く働ける環境がある
介護施設にはさまざまな種類があり、働く人の適性や希望に応じた職場選びが可能です。雰囲気の良い職場や人間関係の良好な環境を選ぶことで、ストレスを最小限に抑えながら働けます。
さらに、地域密着型施設や地元の事業所なども多く、通勤や生活スタイルに合った働き方ができるのも大きなメリットです。
【介護職向け】離職率が高い職場の見極め方
ここでは、離職率の高い職場を見極めるポイントを紹介します。離職率の高い職場かどうかあらかじめ見分けることができれば、転職を効率的に進められるでしょう。
求人が常に出ていないか
常に求人広告を出している場合、離職率の高さを疑いましょう。離職率が高いため、常に求人広告を出しておかないと人手が不足してしまう、というケースが考えられます。
求人広告が常に出ている企業に応募する際は、自分のモチベーションをしっかりと考えましょう。その求人が破格の待遇や条件であるなら、人間関係が悪かったり仕事量が多かったりしたとしても、問題なく続けられるかもしれません。
一方で、人間関係を気にす
る場合は、いくら待遇や条件がよくても避けるべきでしょう。ただし、施設によって適正な配置人員が決まっている介護施設スタッフと違い、ホームヘルパーの場合はオンデマンド型のサービスのため、あまり気にする必要はないかもしれません。
募集要項が詳細に書かれているか
募集要項に記載されている募集人数が多すぎる、簡単な情報しか記載されていないなどの職場は要注意です。募集人数が多すぎるのは、離職率が高いために深刻な人手不足に陥っている可能性があります。
また、「誰でもよいから人手が必要」といった状態になっていたり、すぐに辞める人がいるから多めに募集したりしているのかもしれません。適正な募集人数であるか、給与や福利厚生、各種手当、日勤・夜勤の働き方などがきちんと記載されているか、募集要項をよく確認しましょう。
給与が相場を大きく超えていないか
相場に比べて極端に高額な給与が設定されている場合は、とにかく人を集めたく高額な給与にしていることがあります。ふたを開けてみると、給与が高いが、労働時間が長く重労働が多いといったケースもあるので、注意しましょう。
介護職の給与は、地域や施設の規模などによって異なります。大企業が運営する施設は、小規模な施設よりも給与が高い傾向があるでしょう。
ですが、求人を探す際は給与だけで判断せず、介護職全体の給与相場や待遇もよく確認しましょう。
面接の際に不自然な点はないか
面接時間が極端に短く、簡単な質問や確認だけを行い採用が決まる、初出勤日までの期間が短すぎる、などのケースは要注意です。離職率が高く、人手が足りないため採用を急いでいる可能性が考えられます。
面接での面接官の対応に好感が持てるか、きちんと自分のスキルや経験、経歴を見たうえで採用可否を判断してくれているか、よく確認してください。
施設の衛生状態は保たれているか
施設が汚い、清潔感がない場合は、離職率が高い可能性があります。施設の汚さや清潔感のなさは、職員のモチベーション低下と関連があるからです。とくに介護の施設は、衛生的でなければなりません。施設がきれいかどうかは、面接の際にチェックしましょう。
面接で施設を訪れた場合、室内を見学させてもらえます。たとえ面接官の印象がよくても、施設が汚れていたり清潔感がなかったりする場合は、見送りを検討してもいいでしょう。
チェックする項目は、清潔感があるか、汚物臭などがしないかなどです。適切に処理されているなら、汚物臭はほとんどしないか、気にならない程度でしょう。
スタッフに笑顔や明るさが見受けられるか
スタッフの対応が悪い施設は、離職率も高いといえるでしょう。介護の仕事は、コミュニケーションが非常に重要です。コミュニケーションができていないということは、人間関係に問題がある可能性もあります。
面接を受ける際は面接官だけでなく、働くスタッフの反応も伺いましょう。こちらに対してあいさつをしてくれなかったり、暗い表情を浮かべていたりする場合は、いくら面接官の対応がよくてもおすすめできません。
また、利用者さんの反応もきちんとチェックしましょう。スタッフと利用者さんが仲よくやれているか、利用者さんの反応はよさそうかなど確認が必要です。
介護職で離職せずに長く働く3つのコツ
介護職を長く続けるためには、環境や心身の管理、将来を見据えた行動が大切です。ここでは離職を防ぐための具体的な3つのコツをご紹介します。
自分に合った職場を選ぶ
介護施設には特別養護老人ホームやデイサービス、グループホームなどさまざまな形態があり、それぞれに仕事内容や勤務体制の違いがあります。自身の適性や生活スタイルに合った職場を見極めることが、継続的な勤務に直結するでしょう。
また、職場の人間関係や雰囲気も重要な判断材料となるため、入職前の見学や情報収集を丁寧に行うことが望まれます。
心身の負担を軽減する工夫をする
介護の仕事は身体的にも精神的にも負担がかかりやすいため、日々の中で負担を和らげる工夫が求められます。正しい介助技術を習得することで身体へのダメージを減らし、無理のない働き方の実現が可能です。
また、適度な休息や趣味の時間を取り入れることにより、ストレスの軽減にもつながります。自分なりのケア方法を確立することが、安定した勤務を支える鍵といえるでしょう。
スキルアップを目指してモチベーションを維持する
介護職は経験を積みながら資格を取得することで、業務の幅が広がり、給与や評価にも反映されます。勉強会や研修に積極的に参加することで、現場で役立つ知識や技術を高めることが可能です。
また、将来的にケアマネージャーや管理職を目指すなど、明確な目標を持つことが意欲の維持につながります。成長を実感できる環境は、長く働くための大きな支えになるでしょう。
介護職に求められる人材の特徴4選
介護職は人と深く関わる仕事であり、多様な能力や人間性が求められます。ここでは、とくに重要とされる4つの資質について紹介します。
思いやりがある人
介護職では、利用者本人やその家族との信頼関係が業務の基盤となります。相手の立場や感情を理解し、寄り添った対応を心がけることが重要です。
こうした思いやりのある姿勢は、安心感を与え、より良いケアの提供にもつながります。思いやりの深さは、言葉や態度に自然と表れ、介護の質を大きく左右する要素となるでしょう。
体力と忍耐力がある人
介護の現場では、日常的に身体的な負担を伴う作業が多くあります。長時間の立ち仕事や、夜勤を含む不規則な勤務に対応できる体力が必要です。
また、業務中には予期しない出来事が起こることもあり、精神的にも安定して対応できる忍耐力が求められます。体力と忍耐力は、持続可能な介護を実現するうえで不可欠な資質といえるでしょう。
柔軟な対応力がある人
介護現場は常に変化がつきもので、利用者の体調や気分に合わせた柔軟な対応が求められます。状況を冷静に見極め、臨機応変に行動できる能力は、トラブルを未然に防ぐ鍵です。
また、想定外の課題に直面した際に、工夫して乗り越える思考力も重要でしょう。柔軟性を持って対応する姿勢が、安心できるケア環境を支える力となります。
専門知識やスキルを身につけようとする向上心がある人
介護現場は常に変化がつきもので、利用者の体調や気分に合わせた柔軟な対応が求められます。状況を冷静に見極め、臨機応変に行動できる能力は、トラブルを未然に防ぐ鍵です。
また、想定外の課題に直面した際に、工夫して乗り越える思考力も重要でしょう。柔軟性を持って対応する姿勢が、安心できるケア環境を支える力となります。
目的を明確にして介護職の転職を成功させましょう!
介護職は離職率が高いといわれますが、実際はどうなのか、介護職の現状や課題などについて紹介しました。介護職での理想の転職を目指すためには、離職率が高い職場の見極め方を知ることが重要です。その上で、自分が介護職に求めているものや、転職してどうなりたいのかを明確にして、転職活動に臨みましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。