定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは|特徴やサービス内容、人員基準など
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/11/14
平成24年4月に創設した、比較的新しい介護保険サービスに定期巡回・随時対応型訪問介護看護があります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は医療と介護が一体化したサービスであり、高まる要介護者の在宅ニーズに応えられる重要なサービスです。今回は定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、特徴やサービス内容からみる仕事内容、働く職員についてご紹介します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、平成24年4月に創設した介護保険サービスです。厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の概要」では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を以下のように定義しています。
・定期巡回訪問、または、随時通報を受け利用者(要介護者)の居宅を介護福祉士等が訪問し、入浴・排泄・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を行うとともに、看護師等による療養上の世話や診療の補助を行うもの(訪問看護を一体的に行う場合)
または
・定期巡回訪問、または、随時通報を受け訪問看護事業所と連携しつつ、利用者(要介護者)の居宅を介護福祉士等が訪問し、入浴・排泄・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を行うもの(他の訪問看護事業所と連携し訪問看護を行う場合)
定期巡回・随時対応型訪問介護看護創設の経緯
在宅での生活を希望する高齢者も増えており、訪問介護をはじめとした在宅サービスのニーズが高まっています。しかし、重度の要介護高齢者の在宅生活を24時間支える仕組みが不足しており、かつ医療ニーズが高い高齢者にとっては医療と介護の連携が不足している点が課題でした。この課題を解決するサービスとして、平成24年4月に創設した介護保険サービスが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特徴
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護かつ医療ニーズの高い高齢者を24時間365日体制でサポートするサービスです。個別に訪問介護や訪問看護などのサービスもありますが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間対応を基本とし、介護と医療が一体化している点が特徴です。
定期訪問だけでなく、必要な時に随時サービスが受けられる柔軟性の高いサービスである点が魅力です。定額制かつ利用制限のないサービスであるため、訪問介護や訪問看護への依存度が高まり、介護サービスの利用限度額を超えてしまった場合にも利用できます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象者
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、事業所と同じ地域に住民票があり、要介護認定1~5の場合に利用可能です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスから見る仕事内容
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス内容を踏まえて、職員の主な仕事内容をご紹介します。
定期巡回
定期巡回では、事前に作成している支援計画に基づいて1日に複数回訪問し、必要なサービスを提供します。訪問回数は利用者の状態などに応じて柔軟に増減でき、かつサービス内容の指定もないためその都度必要なサービスを提供する点が特徴。
安否確認のため、食事介助のため、就寝や排せつ介助のためなど、細かい区分でサービスを提供することが一般的です。利用者の生活リズムやその時々の状況に合わせて、必要なサービスを柔軟に提供します。
訪問看護
訪問看護では、医師の指示に基づいて看護師が定期的に訪問します。訪問時は健康状態のチェックや療養上の世話・相談、リハビリや点滴、服薬管理など、必要に応じたあらゆる医療サービスを提供。専門的な医療面のサポートも受けられる点で、医療依存度の高い要介護高齢者でも在宅での生活が継続でき、ご家族の身体的・精神的負担の軽減に役立ちます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、看護師が在籍する事業所を一体化型、看護師が在籍しない場合は連携型として、連携している訪問看護事業所の看護師が訪問します。
随時対応
随時対応では、24時間対応で利用者やそのご家族から相談受付を実施。相談内容に応じてオペレーターが対処法を提案したり、緊急性や必要性によって職員や救急車を要請します。定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用者には通報専用の装置が無償で貸し出さるため、利用者はそこからコールします。
随時訪問
随時対応により発生する訪問が、随時訪問です。オペレーターが訪問の緊急性・必要性を判断した場合、介護職員や看護師が訪問します。随時対応も同じく、夜間や休日、時間にかかわらずいつでも利用できる点で、利用者やご家族の安心につながるサービスです。
類似するサービスに夜間対応型訪問介護がありますが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では随時対応・訪問が夜間に限らず対応でき、かつ看護師の訪問も可能な点が特徴です。加えてこれらの対応も月額定額に含まれているなど、料金体系も異なります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員基準から見る働くスタッフ
厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の概要」に掲載されている人員基準から、働くスタッフをみていきます。
訪問介護員
以下資格を持っている方は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の訪問介護員として働くことができます。
・介護福祉士
・実務者研修修了者
・初任者研修修了者
・旧介護職員基礎研修
・旧訪問介護員1級
・旧訪問介護員2級
訪問介護員は「定期巡回サービス」「随時訪問サービス」のそれぞれに対応できる職員を必要数配置する必要があります。
定期巡回サービス | 交通事情、訪問頻度等を勘案し適切に定期巡回サービスを提供するために必要な数以上 |
---|---|
随時訪問サービス | 常時、専ら随時訪問サービスの提供にあたる訪問介護員が1以上確保されるための必要数(利用者の処遇に支障がない場合、定期巡回サービスに従事可能) |
なお、どちらもオペレーターとの兼務が可能です。
看護職員
以下資格を持っている方は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の看護職員として働くことができます。
・保健師
・看護師
・准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
保健師、看護師、准看護師を合わせて2.5名以上、うち1名以上は常勤の保健師または看護師の配置が必須(※併設訪問看護事業所と合算可能)であり、常時オンコール体制の確保が必要です。また、看護職員もオペレーターと兼務できます。
オペレーター
随時対応サービスを担当するオペレーターは、下記資格に加えて1年以上訪問介護のサービス提供責任者として従事することでなれるポジションです。
・看護師
・介護福祉士
・医師
・保健師
・准看護師
・社会福祉士
・介護支援専門員
サービス提供時間帯を通じて1名以上確保できる必要数の配置、かつ常勤1名以上は上記有資格者でなければなりません。なお、利用者の処遇に支障がない範囲で、当該事務所の他職種または同一敷地内の他事業所・施設等の職員やサービス提供責任者、オペレーターとの兼務が可能です。
計画作成責任者
定期訪問などのプランを作成する計画作成責任者は、下記資格を保有するスタッフを1人以上配置する必要があります。
・看護師
・介護福祉士
・医師
・保健師
・准看護師
・社会福祉士
・介護支援専門員
サービスに支障がない体制が整備されている場合、計画作成責任者は管理者との兼務が可能です。
管理者
事業所の管理・マネジメントを担う管理者は特に必要とされる資格はありませんが、常勤であることが必須です。また専従であるのが理想的ですが、専従でない場合は以下要件を満たしていることで人員基準が満たせます。
・事業所の管理上支障がない
・兼務する職種が下記いずれかの場合である
①当該事業所の他の職務
②同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の求人例
職種 | 介護スタッフ(定期巡回型) |
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仕事内容 | サービス付高齢者向け住宅の入居者に対し、24時間必要なサービスを提供します。 24時間365日体制で安心した生活を支える、やりがいを大いに感じていただけるお仕事です。 具体例 ※定期巡回サービス業務は、1回あたり10~20分程度のサービスが中心。ご利用者様は、サービス付き高齢者向け住宅の入居者様のみ。移動は施設内だけなのでスムーズです。 |
給与 | (1)月給225,400円~ ※介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級 (2)月給236,400円~ ※介護職員基礎研修・実務者研修・ホームヘルパー1級 給与に夜勤手当4回分を含む(5回目以降7,000円/回支給) |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 月~日+祝の間で週5日 (1)07:00~16:00 (2)11:00~20:00 (3)17:00~10:00(休憩120分) |
応募資格 | 介護職員初任者研修、介護職員実務者研修、介護職員基礎研修、ヘルパー2級、ヘルパー1級…のいずれかお持ちの方 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、財形貯蓄制度、資格取得支援制度 |
定期巡回型の介護スタッフの求人例です。高齢者向けバリアフリー住宅であるサ高住の入居者に対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供します。1回あたりの対応時間が短いため比較的体力的負担が少なく、入居者の生活に密着したサービスが提供できるやりがいのある仕事です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は医療・介護が一体化した24時間体制の在宅サービス!
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では訪問介護と訪問看護の2つのサービスが、月額定額制で24時間365日受けられるサービスです。要介護1以上から受けられるサービスであり、高齢者の在宅ニーズも高まっていることから、今後さらに需要が高まるサービスといえます。今記事を参考に定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特徴を押さえ、就職・転職先の1つとして検討してみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。