ケアハウスと他施設の違いを徹底解説!グループホームやサ高住など
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/12/06
高齢社会にある日本では、高齢者を対象とした施設が多くあります。ケアハウスは家庭や住宅の事情により、居宅生活が難しい高齢者が入所できる施設の1つ。しかしケアハウス以外にも多くの高齢者向けの施設があるため、今記事ではケアハウスと他施設の違いを詳しくご紹介します。
目次
ケアハウスとは|軽費老人ホームとは違う?
厚生労働省の資料によると、ケアハウスは以下のように定義された施設です。
無料、又は低額な料金で家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な老人を入所させ、食事の提供その他、日常生活上必要な便宜を供与する施設
ケアハウスについては広義と狭義で対象が曖昧であるため、まずはケアハウスと軽費老人ホームについて解説します。
ケアハウスと軽費老人ホームについて
厳密にいえば、ケアハウスとは軽費老人ホームの一種となる施設です。軽費老人ホームは入所者の条件別に、「A型」「B型」「C型」の3種類の施設があります。ケアハウスは軽費老人ホームC型に分類される施設であり、さらに「一般型ケアハウス」と「介護型ケアハウス」に分かれます。正確には、ケアハウスは軽費老人ホームC型ですが、なかにはケアハウスを軽費老人ホームの総称として扱っているケースもあります。つまり広義では軽費老人ホームの総称として、狭義では軽費老人ホームC型としてケアハウスと呼ばれています。
軽費老人ホームのケアハウス一本化について
このようにケアハウスの呼称に2パターンの意味合いがある背景に、ケアハウスの一本化があります。軽費老人ホームA型とB型は1990年以降新設されておらず、今後新設や建て替え後には軽費老人ホームC型として扱われます。つまり将来的に軽費老人ホームA型とB型はなくなり、軽費老人ホームC型である「ケアハウス」のみ存在することになります。このようにケアハウスに一本化しつつある現状から、A型・B型を含む軽費老人ホーム全体をケアハウスと呼ぶ場合があるのです。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の種類
前述したようにケアハウスと呼ばれるC型を含み、軽費老人ホームA型・B型と主に3種類の施設があります。近年は都市部を対象とした、都市型軽費老人ホームも登場しています。
軽費老人ホームA型 | 軽費老人ホームB型 | ケアハウス (軽費老人ホームC型) |
||
---|---|---|---|---|
一般型 | 介護型 | |||
対象者 | 独居が不安と認められる60歳以上の高齢者 ※B型は自炊ができる方が対象 |
身体機能の低下により自立した生活が困難と認められ、かつ家族からの援助が受けられない60歳以上の高齢者 | 要介護度1以上、65歳以上の高齢者 | |
提供サービス | ・食事提供(A型のみ) ・入浴準備などの生活支援 ・日常生活における相談や援助 ・健康管理 など |
・食事提供 ・生活支援 ・相談や援助 ・健康管理 など |
・ケアプランに基づく介護 ・生活支援 ・相談や援助 ・健康管理 ・機能訓練 など |
介護型ケアハウスは、介護保険上の「特定施設入居者生活介護」に指定されている施設であり、唯一介護サービスが付帯しています。そのほかは、介護が必要な場合、外部の介護サービス事業者を利用する必要があります。
また、ケアハウスを含み、軽費老人ホームは低所得高齢者を対象としている施設です。ケアハウスは入所にあたり所得制限はありませんが、A型とB型は一定の所得があると入所できないという制限が設けられており、低所得であるほど入所の優先度が高まります。
ケアハウスと有料老人ホームの違い
ここからはケアハウスと類似する、さまざまな高齢者向け施設との違いを解説します。
まずは有料老人ホームとの違いをみていきます。
有料老人ホームとは
有料老人ホームとは齢者の心身の健康保持と安定した生活の提供を目的に、「食事提供」「介護」「洗濯・掃除等の家事」「健康管理」のうち、いずれかのサービスを提供している施設です。民間事業者による運営が可能であり、定員要件の廃止や対象サービスの増加など定義が改められたことから、施設数も増加傾向にあります。
有料老人ホームの種類
有料老人ホームには、以下3種類の施設があります。
介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | 健康型有料老人ホーム | |
---|---|---|---|
提供サービス | ・介護 ・食事提供 ・家事 ・健康管理 |
・食事提供 ・家事 ・健康管理 |
・食事提供 ・家事サポート ・健康管理 |
特徴 | ・唯一介護サービスが付帯 ・特定施設入居者生活介護に指定される施設あり |
・介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用することで入居継続可 | ・娯楽要素が強い ・介護が必要になった場合は退去 ・費用が高額 ・施設数が少ない |
有料老人ホームは民間企業から社会福祉法人など設置主体が多様で、かつ施設設備やサービスもさまざまであるため費用が幅広い点が特徴です。
ケアハウスと有料老人ホームの違い
ケアハウスと有料老人ホームの違いは、入所条件です。ケアハウスは低所得者向けの施設であり、かつ家族から援助が受けられない、身体機能の低下により居宅生活が困難などと事情が認められた場合に入所できます。一方有料老人ホームは入所にあたり細かい条件はなく、施設に空きがあり、お金を払えば入所可能です。
ケアハウスとサ高住の違い
次にケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅、通称「サ高住」の違いを解説します。
サ高住とは
サ高住とは、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けるためにバリアフリー対応の賃貸住宅を提供するサービスです。60歳以上の高齢者、または要介護認定を受けた60歳未満を対象に賃貸契約を結び、住まいを提供します。住まいの提供だけでなく、最低でも安否確認や生活相談などのサービスが付帯する点が特徴です。
サ高住の種類
サ高住にはケアハウスと同じく、「一般型」と「介護型」の2種類があります。
一般型 | 介護型 | |
---|---|---|
対象者 | 60歳以上の自立状態にある方 | 60歳未満、あるいは以上の要介護に認定を受けた方 |
特徴 | ・安否確認、生活相談サービスが付帯 ・介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用 |
・特定施設入居者生活介護指定の施設あり ・安否確認や生活相談サービスのほか、身体介護や生活支援、リハビリなどが受けられる |
サ高住ではスタッフが常駐しており、介護型の場合は施設内のスタッフから介護や生活支援などのサービスが受けられます。
ケアハウスとサ高住の違い
ケアハウスも「住まい」を提供する点ではサ高住と共通していますが、サ高住は賃貸契約を前提としているサービスです。そのため、より「住まい」を提供する特性の強いサービスであり、入所する高齢者は自由度の高い生活が送れる点が特徴です。独居や介護が必要なことで生活に不安はあるが、これまで通り一般的な暮らしを継続したい場合にはサ高住が最適です。
ケアハウスとグループホームの違い
次に、ケアハウスとグループホームの違いをみていきます。
グループホームとは
グループホームは正式名称を「認知症対応型共同生活介護」といい、認知症高齢者が家庭に近い環境で自立した日常生活を送るための施設です。施設と同一市区町村に住民票があり、共同生活に支障がなく、要支援2または要介護1以上認定を受け、かつ認知症診断を受けた65歳以上の高齢者が入所できます。9人以下の小規模なユニットで、認知症ケアに特化したスタッフから支援を受けながら生活を送ります。介護サービスが提供されるため要介護度が重くなっても入居が継続でき、かつ終身利用が可能な点が特徴です。
ケアハウスとグループホームの違い
要介護度1以上の認定を受けている65歳以上の高齢者が入所できる点では、介護型ケアハウスと共通しています。しかし介護型ケアハウスでは全ての施設が認知症に対応しているわけではなく、対応していても軽度のみのケースもあります。グループホームでは介護にも対応しているため、要介護認定も受けつつ中重度の認知症であり、認知症の進行緩和が必要な場合に適している施設です。
ケアハウスと生活支援ハウスの違い
最後に、ケアハウスと生活支援ハウスの違いを解説します。
生活支援ハウスとは
生活支援ハウスとは、高齢者の居住施設と入浴や食事などのサービスを提供するデイサービスからなる福祉施設です。60歳以上で独居が不安、または家族からの援助が困難な高齢者を対象としています。自炊が原則であることから、軽費老人ホームB型に類似する施設です。要介護認定を受けている方は入所できず、費用は利用者の収入に応じて異なる点が特徴です。
ケアハウスと生活支援ハウスの違い
提供されるサービスや特徴でいえば、軽費老人ホームB型と同等の施設です。一般型ケアハウスとは、食事提供がない点で違いがあります。生活支援ハウスは低所得者を対象としているわけではなく、収入に応じて費用が変動します。また、健康で自立状態にある高齢者を対象としており、要介護認定を受けている方は入所できません。
ケアハウスと他施設の役割や特徴の違いを押さえよう!
ケアハウスは軽費老人ホームの総称で扱われることもありますが、正確には軽費老人ホームC型のことを指します。有料老人ホームやサ高住、グループホームや生活支援ハウスなど、ケアハウスに類似する施設は多様です。しかし提供サービスや入所条件、特徴などが異なるため、今記事を参考に違いを押さえましょう。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。