ショートステイ対応の介護施設とは|基準やサービスの違い、計画書についても解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/01/14
ショートステイは一時的に在宅介護が難しくなった場合の預け先として、または介護者の負担軽減を目的に提供されている介護サービスです。ショートステイに対応している介護施設は複数あり、施設によって基準やサービス内容に違いがあります。今回はショートステイへの就業・転職を検討している方に向けて、ショートステイ対応の施設について詳しく解説します。
目次
ショートステイ施設の種類
ショートステイは、普段在宅介護を受けている方が短期的に入所し、介護や生活支援、機能訓練などが受けられるサービスです。ショートステイはご利用者さまの身体状況や健康状態、保険適用内外によってサービスが分かれています。ここでは介護保険適用有無の観点から、各ショートステイの種類と提供施設についてご紹介します。
介護保険適用のショートステイ施設
要介護認定を受けている方は、以下2種類のショートステイを介護保険適用で利用できます。
短期入所生活介護 | 短期入所療養介護 | |
---|---|---|
対象者 | ・要支援1〜5の認定を受けている方 ・ご利用者さまの心身状況や病状が悪い、または介護者の一時不在や心身負担の軽減を目的としている |
・要支援1〜5の認定を受けており、病状が安定期にある方 |
主な施設 | ・特別養護老人ホーム ・一部の有料老人ホーム ・ショートステイ専門施設 |
・介護老人保健施設 ・介護療養型医療施設 ・療養病床のある病院、診療所 |
短期入所生活介護は介護や生活支援、機能訓練などが提供され、短期入所療養介護では加えて医療ケアが提供されます。短期入所生活介護と短期入所療養介護は、サービスが提供される施設、そして看護・医学的管理のもとでサービスが提供されるか否かという点で違いがあります。
単独型と併設型
短期入所生活介護を提供する施設は単独型と併設型の2種類があり、短期入所療養介護は併設型のみとなります。単独型はショートステイのご利用者さまだけを受け入れている専門施設です。一方併設型は他サービスを提供する介護施設に併設され、空きを活用してショートステイを提供しています。単独型か併設型かによって提供するサービスに違いはありませんが、併設型はショートステイのご利用者さまが限られている点が特徴です。
介護保険が適用されないショートステイ施設
要介護認定を受けていないが一時的に看病が必要である、見守れるご家族が不在であるなどといった場合には、保険適用外でショートステイが利用できます。提供されるサービスは保険適用のショートステイと違いはありません。しかしサービスを提供する施設は一部の有料老人ホームであり、ショートステイに対応している施設が上記2つのショートステイに比べて少ない点が特徴です。
ショートステイ施設|サービス・介護内容
ここでは施設別に、ショートステイのサービス内容や介護内容をみていきます。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、短期入所生活介護を提供する施設です。原則要介護3〜5が入居条件であり、自立支援を目的とした身体介護を中心としたサービスを提供しています。中〜重度のご利用者さまを受け入れることから、身体介護が必須となる点が特徴です。介護だけでなく、機能訓練やレクリエーションなども実施されます。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設、通称「老健」は短期入所療養介護を提供する施設です。要介護1〜5が入居条件であり、医療的ケアやリハビリにより在宅復帰を目指すことを目的としています。
日常生活における介護や生活支援は同様に提供され、医師や看護師、リハビリ専門員が常駐している点が特徴です。短期入所療養介護のほとんどは、介護老人保健施設で提供されています。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、短期入所療養介護を提供する施設です。医療法人が運営する施設であることから、看護師の配置が他施設より手厚い点が特徴です。日常生活における介助など一般的な介護サービスは提供されますが、医療機関という位置付けであることから、医療ケアや機能訓練を中心としています。
療養病床を有する病院、診療所
療養病床を有する病院、診療所では、短期入所療養介護が提供されます。介護療養型医療施設と同様にサービスが提供される場が病院、診療所であることから、医療ケアや機能訓練を中心としている点が特徴です。もちろんショートステイの基本である、日常生活における介護や生活支援などのサービスは付帯します。
ショートステイ専門施設(単独型)
ショートステイ専門施設は唯一の単独型であり、ショートステイのご利用者さまのみ受け入れている施設です。少人数の利用を想定していることが多いため、日によってはご利用者さまが1人ということも珍しくありません。小規模な環境であることから、ご利用者さまに合わせたきめ細やかなサービスが提供できる点が特徴です。単独型でショートステイを提供できるのは、医療ケアが付帯していない短期入所生活介護と保険適用外のショートステイのみです。
有料老人ホーム
一部の有料老人ホームでは、短期入所生活介護と保険適用外のショートステイが提供されます。提供されるサービスは他施設と違いはなく、日常生活における介護や生活支援、機能訓練やレクリエーションとなります。有料老人ホームはホテルのように整備されていたり、娯楽を中心としているなどホームによって特徴がさまざまです。他介護施設の併設型に比べると、介護度の重い方が少ない点が特徴です。
ショートステイ施設で働くのはどんな人?施設の人員基準
ショートステイはさまざまな施設で提供されるサービスであることから、人員基準も多様です。下記はショートステイのサービス別にみた一般的な人員基準です。
短期入所生活介護 | ・医師:1人以上 ・生活相談員:利用者100人につき1人以上 ・介護職員または看護師(准看護師):利用者3人につき1人以上 ・栄養士:1人以上 ・機能訓練指導員:1人以上 ・調理員その他職員:適当数 |
|
---|---|---|
短期入所療養介護 | 介護老人保健施設 | 利用者3人につき1人以上 |
介護療養型医療施設 | 利用者6人につき1人以上 | |
療養病床のある病院・診療所 | 病院/利用者6人につき1人以上 診療所/利用者6人につき1人以上 |
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介護保険外ショートステイ | 介護付有料老人ホーム | ・管理者:1人 ・介護職員:利用者3人につき1人以上 ・看護職員:利用者30人までは1人以上 ・生活相談員:1人以上 ・機能訓練指導員:1人以上 ・ケアマネージャー:1人以上 |
住宅型・健康型有料老人ホーム | ・管理者:1人 ・介護職員:必要数 ・看護職員:必要数 ・生活相談員:必要数 |
配置される職種や人員数は施設によってさまざまです。ショートステイ自体に設けられている人員基準のほか、提供先施設に準ずる人員基準も押さえておきましょう。
ショートステイ施設の介護に計画書は必要?
ショートステイは短期間の利用を想定いているサービスですが、中にはやむを得ない事情から相当期間以上の入所を必要とする場合もあります。その際に利用できるのが、ロングショートステイです。ロングショートステイを利用する場合、施設の介護方針に基づいてサービスを提供するためにも計画書の作成が必要です。すでに居宅介護などで計画書を作成している場合は既存の計画書に基づいて、ロングショートステイを提供する施設のケアマネージャーが計画書を作成します。
ショートステイはさまざまな介護施設で提供されている
ショートステイは単独型施設もありますが、多くは介護施設や医療機関に併設される形でサービス提供されています。そのため同じサービスであっても、提供先施設に応じて人員基準やサービス内容が異なります。ショートステイへの就業・転職を検討している場合、まずは施設別の特徴を押さえてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。