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特定施設入居者生活介護とは|サービス内容からみる仕事内容や働く職員など

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2022/04/16

特定施設入居者生活介護は、ケアハウスの対象施設の1つです。介護職としてケアハウスに就職・転職する場合、特定施設入居者生活介護を提供する施設で働く可能性もあります。
そこで今回は、特定施設入居者生活介護のサービス内容や人員基準から仕事内容や働く職員などを解説します。

特定施設入居者生活介護とは

厚生労働省の資料によると、特定施設入居者生活介護は以下のように定義されています。

特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことであり、介護保険の対象となる。

 

まずは、特定施設入居者生活介護の基本情報を詳しくみていきます。

特定施設入居者生活介護の対象施設

特定施設入居者生活介護は厳密にはサービス名であり、特定施設入居者生活介護を提供する施設は「特定施設」と呼ばれます。特定施設は一定基準を満たし、地方自治体の指定を受けることで特定施設入居者生活介護が提供可能に。特定施設の対象となる施設は、以下4施設です。

・有料老人ホーム
・ケアハウス(軽費老人ホーム)
・養護老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅 ※「有料老人ホーム」に該当するもの

特定施設入居者生活介護が提供できる施設は、「介護付」「ケア付」と名乗ることが可能です。

特定施設入居者生活介護の対象者

要介護1〜5の認定を受けている方は、特定施設入居者生活介護が受けられます。要支援1・2で特定施設に入居している方は、「介護予防特定施設入居者生活介護」を受けることが可能です。高齢化の進展もあり、年々特定施設入居者生活介護の受給者数も増加しています。
厚生労働省資料によると、平成30年5月〜平成31年4月期間における特定施設入居者生活介護の要介護度割合は以下の通りです。

平均要介護度:2.4
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
7.2% 6.4% 22.7% 19.1% 16.2% 17.0% 11.4%

 

特定施設入居者生活介護の平均要介護度は、小規模多機能型居宅介護よりやや高く、看護小規模多機能型居宅介護・認知症対応型共同生活介護より低い割合です。

特定施設入居者生活介護の事業所数

高齢者の増加に伴い、特定施設入居者生活介護の請求事業所も年々増加傾向にあります。厚生労働省資料によると平成31年で5,587、平成30年で5,412の施設が特定施設入居者生活介護を提供。平成19年には2,527であり、12年で2倍以上も請求事業所数が増加していることがわかります。

特定施設入居者生活介護の提供形態

特定施設入居者生活介護には「一般型」と「外部サービス利用型」の2タイプのサービス提供形態があります。一般型は、特定施設の事業者が包括的に直接サービスを提供。一方外部サービス利用型は、ケアプランの作成や生活相談、安否確認などは特定施設の事業者が行い、介護サービスのみ委託事業者が提供します。要介護者が多い施設は一般型、要介護者が少ない施設は外部サービス型であると効率的なサービス提供が可能となります。

特定施設入居者生活介護は厳しい基準をクリアした施設

特定施設入居者生活介護が提供できる特定施設は、行政が提示する「人員基準」「設備基準」「運営基準」の厳しい基準を全てクリアした施設です。そのため、質の高いサービスが提供される施設として利用者からも高い需要を誇ります。介護需要の高さに乗じて問題のある介護施設も少なからず存在する中、働く職員にとっても良い環境といえるでしょう。

特定施設入居者生活介護のサービス内容から見る仕事内容

ここでは特定施設入居者生活介護のサービス内容から、働く職員の仕事内容をみていきます。

日常生活における介護

利用者の要介護度に応じて、24時間体制で介護サービスを提供。食事や入浴、排せつや着替え、移動など日常生活を送る上で必要な介助をします。ただし外部サービス利用型の事業所の場合、直接介護は行いません。そして夜間は見守りを行い、必要に応じて体位変換や排せつ介助などが発生します。

生活支援

生活支援では掃除や洗濯、買い物の代行など家事全般サービスを提供します。生活支援サービスは週に受けられる回数が決まっていたり、買い物エリアが指定されているなど、施設によって規定がある点が特徴です。

生活相談、安否確認

生活における不安などの相談を受けたり、定期的な巡回による安否確認も仕事の1つです。外部サービス利用型の特定施設では生活相談や安否確認、加えてケアプランの作成がメイン業務となります。

施設ごとの多様なサービス

介護や生活支援、生活相談や安否確認のような基本サービスに加えて、施設ごとに以下のように多様なサービスを提供します。

・リハビリ、機能訓練
・レクリエーション
・入退院に伴う療養上の世話
・健康管理
・服薬管理
・健康、栄養相談 など

具体的にどのようなサービスを提供しているかは施設によってさまざまであるため、求人票や施設のホームページを確認してみてください。

特定施設入居者生活介護の人員基準から見る働く職員

ここでは、特定施設入居者生活介護で働く職員について詳しくみていきます。

特定施設入居者生活介護の人員基準

管理者 1人(兼務可)
生活相談員 常勤1人以上
要介護者等:生活相談員=100:1
看護・介護職員 ①要支援者:看護・介護職員=10:1
②要介護者:看護・介護職員=3:1
※看護職員は要介護者等が30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人
※夜間帯の職員は1人以上
機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
▼下記いずれかの有資格者
看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、はり師、灸師
計画作成担当者(ケアマネ) 介護支援専門員1人以上(兼務可)
※要介護者等:計画作成担当者=100:1を標準

特定施設入居者生活介護を提供する施設は人員基準を満たさないと特定施設の指定が取り消されてしまうため、上記人員基準は必須。施設によっては、看護・介護職員の配置を基準以上に手厚くしている場合もあります。

特定施設入居者生活介護で働くには資格が必要?

看護職員や機能訓練指導員、計画作成担当者のように、有資格者しかできない職種は資格が必須です。一方、事業所の管理業務を行う管理者や介護職員は無資格OKとする求人もみられます。介護職員は無資格ですと身体介護に携われないため、生活相談や安否確認、生活支援が主な業務。また、資格がなくとも過去に管理者や介護職員としての実務経験が問われる可能性がある点は注意が必要です。

特定施設入居者生活介護で働く職員の給料

特定施設入居者生活介護は、施設基準が高いことから介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得率が他介護施設に比べて高い点が特徴です。厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、令和元年の取得状況は全体で98.8%、加算(Ⅰ)90.2%、加算(Ⅱ)4.4%、加算(Ⅲ)3.9%となります。下記は、介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)〜(Ⅱ)を取得している事業所の常勤介護職員の平均給与額です。特定施設入居者生活介護は加算(Ⅰ)〜(Ⅱ)の取得がほとんどを占めるため、働く職員の給料の参考としてください。

※令和2年2月の数値

介護職員 325,550円
看護職員 383,560円
生活相談員・支援相談員 355,150円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または機能訓練指導員 364,040円
介護支援専門員 362,510円
事務職員 312,470円
調理員 272,400円
管理栄養士・栄養士 322,010円

求人例から見る特定施設入居者生活介護

職種 介護スタッフ
仕事内容 都道府県から「特定施設入居者生活介護」として指定を受けた有料老人ホームである「介護付き有料老人ホーム」での介護スタッフ。
快適な生活をすごしていただくための身の回りのお世話や介助サービスを提供します。比較的ゆったりした雰囲気で、周囲とサポートしながらケアできるのが魅力です。

具体例
・身体介護(食事・入浴・排せつ介助など)
・入居者の見守り・居室巡回
・レクリエーションやイベントの企画・実施
・夜勤業務(就寝介助・夜間の見回り・起床介助など)

給与 (1) 月給187,000円~ ※介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級
(2) 月給193,000円~ ※介護職員実務者研修・基礎研修・ホームヘルパー1級
※夜勤手当別途支給(10,000円/回)
雇用形態 正社員
勤務時間 (1) 07:00~16:00 [ 月~日 (祝) ]
(2) 09:00~18:00 [ 月~日 (祝) ]
(3) 11:00~20:00 [ 月~日 (祝) ]
(4) 17:30~10:30 [ 月~日 (祝) ]※休憩120分
※早番・日勤・夜勤のシフト制(その他のシフトもあり)
応募資格 学歴不問
PCスキル不要
必須資格:介護職員初任者研修、介護職員実務者研修、介護職員基礎研修、ヘルパー2級、ヘルパー1級…のいずれかお持ちの方
社会保険 各種社会保険制度あり(法令通り)
求人の特徴 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、財形貯蓄制度、資格取得支援制度、ウェルカムバック制度 損害保険・傷害保険(団体割引)、各種研修、社員紹介制度、ソラストポイント制度、事業所表彰(ソラストグランプリ)、永年勤続表彰、ホテル等会員割引、入社日バースデー制度、自転車保険、慶弔見舞金

特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付き有料老人ホームの正社員介護スタッフの求人例です。主な仕事内容は身体介護や安否確認、レクリエーションの企画・実施や夜間の見守りです。応募には資格が必須であり、保有資格に応じて給料に違いがあります。資格取得支援制度を利用すれば働きながら資格取得を目指しやすく、キャリア・給料アップも実現しやすい環境です。

特定施設入居者生活介護は行政の厳しい基準を満たした質の高い施設

特定施設入居者生活介護は「有料老人ホーム」「ケアハウス」「養護老人ホーム」「一部のサービス付き高齢者向け住宅」で提供されるサービスです。特定施設入居者生活介護が提供される施設は「特定施設」と呼ばれ、行政の厳しい基準を満たしている施設として利用者からも高い人気を誇ります。将来性が高く、かつ職員にとっても安心して働ける特定施設入居者生活介護は、転職先としてもおすすめです。

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著者プロフィール

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異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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