サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で働く看護師の仕事内容や給料などを調査!

看護師が介護施設への就職・転職を検討している場合、サービス付き高齢者向け住宅は選択肢の1つです。介護施設によって、看護師の仕事内容や働き方は多岐にわたります。そこで今回はサ高住で働く看護師の仕事内容や給料、働き方を調査しました。合わせて、志望動機や求人例もご紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは

サービス付き高齢者向け住宅、通称「サ高住」は高齢者の居住の安定を確保することを目的に、地域包括ケアシステムの一環として創設された、介護・医療が連携した支援サービスを提供するバリアフリー構造の住宅です。まずは、サ高住とはなにかについて詳しくお伝えします。

サ高住の特徴

サ高住は「床面積原則25㎡以上」「便所・洗面設備等の設置」「バリアフリー」など、一定基準を満たした国土交通省が指定する高齢者向け住宅です。少なくとも安否確認、生活相談サービスが付帯しています。また一般的な高齢者向け施設は提供されるサービスに対して利用料を支払う利用権方式の契約形態ですが、サ高住は賃貸借契約となる点が特徴です。
そのため別途介護サービスなどが必要になった場合は、個別で契約する必要があります。住まいとケアが別となることから、必要なサービスを自分で選択しながら自由度の高い生活を送ることができる施設なのです。

サ高住の種類

サ高住は特定施設に指定されている「介護型」と、民間事業者が運営する「一般型」の2種類があります。特定施設入居者生活介護を提供する介護型は、施設に常駐するスタッフが介護サービスや生活支援サービスを提供します。つまり介護型は、介護付き有料老人ホームと同等の住まいといえます。一般型は住まいという性格が強く、その中で最低限生活相談や安否確認のサービスが受けられます。

サ高住の対象者

サ高住は60歳以上、または介護認定を受けている60歳未満の方が入居できます。基本的には自立〜軽度の介護が必要な方が入居でき、介護型であれば要介護度5の方も入居可能です。平成25年の調査によると、全体の平均要介護度は1.76です。現在、そして今後は高齢者の数も急増することから、入居者全体の要介護度が引き上がる可能性も考えられます。また、サ高住は認知症の方の受け入れにも対応しています。

サ高住の看護師の配置基準

サ高住では、以下いずれかのスタッフの日中1名以上の常駐が定められています。

平成25年度老人保健健康推進事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、中心となるスタッフの保有資格は以下順で多い結果でした。

サ高住で働く看護師の仕事内容

こでは、サ高住で働く看護師の仕事内容をみていきます。

安否確認

安否確認はサ高住に付帯する基本サービスの1つです。常駐する看護師は1日1回の安否確認が義務付けられているため、入居者の居室に訪問します。入居者の状況把握は居室訪問のほか、外出・喫食のチェックやリズムセンサーの活用など間接的にも実施されます。

生活相談

安否確認と同様に基本サービスである生活相談において、看護師は医療的な立場から相談を受けます。日常の健康相談はもちろん、入居者の体調変化に気づけるよう細かなコミュニケーション能力や臨機応変な対応力が求められます。

緊急対応

サ高住は24時間スタッフが常駐しているため、時間帯に問わず緊急コールや緊急ペンダントがあればスタッフが対応します。看護師も24時間常駐することがあり、そうでなくとも勤務中に緊急対応が必要なシーンが出てきます。

一部の医療行為

看護師は日常的な健康管理、状況把握が中心となり、その中でバイタルチェックや服薬管理を行うことがあります。また、入居者が訪問診療や訪問看護を利用する場合のサポートも仕事の1つです。加えて、サ高住によっては下記のような医療行為にも対応します。

医療行為の程度は、サ高住によって異なります。特定施設であるサ高住は介護度や医療依存度の高い入居者も少なくないため、医療行為の割合が大きいケースもあります。そのためサ高住であっても、看護師としての十分な経験やスキルが必要です。

その他

一般型のサ高住の場合、主な仕事は安否確認や生活相談、そして上記のような生活支援が中心となります。

サ高住の看護師の夜勤や給料水準

サ高住で働く看護師の夜勤や給料は、就職・転職を検討している方が特に気になるポイントでしょう。ここでは、サ高住では働く看護師に夜勤や給料についてみていきます。

サ高住で働く看護師の夜勤について

看護師の夜勤有無は、サ高住によって異なります。サ高住は看護師を24時間常駐させなければいけない決まりはないため、看護師を夜間に配置するか否かは事業所が決定します。看護師が24時間常駐していることで施設の強みともなるため、夜間配置しているサ高住も少なくありません。そのため夜勤有無については、求人票や面接であらかじめ確認しましょう。

サ高住で働く看護師の給料水準

厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、令和2年の常勤看護職員の平均給与額は383,560円、非常勤看護職員の時給は1,440円です。この数字は介護施設全体の給料水準となるため、必ずしもサ高住の平均給与額・平均時給に相当するとは限りません。またサ高住を運営する事業所の規模や入居者の医療依存度、夜勤有無によってもサ高住で働く看護師の給料は変動します。

サ高住の看護師になる際の注意点

サ高住は高齢者向け施設の中でも住まいを提供するサービスであることから、サービス利用を前提とする他介護施設とは仕事内容や働き方の面で違いがあります。夜勤がない、業務負担が少ないなどはメリットともいえる一方、人によっては看護師のスキルや経験が活かせないとしてやりがいを感じられないといったケースもみられます。そのため単にサ高住に就職・転職するのではなく、スキルをどれだけ活かしたいかなどを踏まえてサ高住での働き方が自分に合っているかを確認することが大切です。

サ高住への就職・転職を目指す看護師の志望動機

ここではサ高住への就職・転職を目指す方に向けて、志望動機作成のポイントと例文をお伝えします。

サ高住看護師の志望動機作成のポイント

サ高住は、比較的自立状態にある元気な入居者が多い点が特徴です。高齢者の自立した生活を見守りつつ、必要な時にサポートを提供することから、入居者が頼れる存在であることが大切です。そのためには良好な関係性を構築する必要があり、コミュニケーション能力が重要なスキルとなります。また医療的な立場からサポートできるのは看護師ならではの役割であるため、これまでの看護経験をアピールするのも効果的です。ただし、サ高住によってどの程度の看護スキルが必要かは異なるため、あらかじめ応募するサ高住の入居者の特徴などを押さえることがポイントです。
なお、特定施設入居者生活介護の指定を受けたサ高住であれば、有料老人ホームのように介護の必要が高い入居者がいるケースが多いです。

サ高住看護師の志望動機例文

サ高住の看護師求人例

サ高住の正社員看護師の求人例です。主な仕事は入居者の健康管理や医療処置、夜勤での介護業務となり、看護師のスキル・経験が活かせる環境です。准看護師や介護施設が初めての方、ブランクがある方でも働きやすく、介護業界の初チャレンジとしても最適な職場です。

サ高住で働く看護師の仕事内容や働き方は多様!

サ高住は高齢者向け施設の中でも、住まいを提供するサービスという点で特殊です。サービス提供がメインの施設でないことから、看護師の仕事内容や働き方はサ高住によってさまざまです。介護業務がほぼなく、健康管理や一部の医療行為など業務内容が比較的軽い点で、初めて介護業界にチャレンジする看護師にもおすすめの職場です。今記事を参考にサ高住の特徴を押さえ、ご自身のスキルレベルや働き方に合うサ高住を見つけてみましょう。