都市型軽費老人ホームとは|特徴やサービス内容、求人例をご紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/05/02
高齢者向けの施設にはさまざまな種類がありますが、そのうちの1つにケアハウスがあります。ケアハウスはさらに細かく分類されており、都市型軽費老人ホームがその1種です。今回はケアハウスに就職・転職を検討している方に向けて、都市型軽費老人ホームの特徴やサービス内容、求人例をご紹介します。
目次
都市型軽費老人ホームとは
東京都板橋区のホームページによると、都市型軽費老人ホームは以下のように定義されています。
都市型軽費老人ホームは、身体機能の低下などにより自立した日常生活に不安があり、家族の援助を受けることが困難な高齢者に対し、低額な料金で食事その他サービスを提供する施設
まずはケアハウスとは何かを踏まえて、都市型軽費老人ホームの基本情報をお伝えします。
ケアハウスとは
ケアハウスとは広義で「軽費老人ホーム」の総称、狭義で軽費老人ホームC型の施設を指します。広義で捉えれば、都市型軽費老人ホームはケアハウスの一種です。つまり定義上、都市型軽費老人ホームとケアハウスは同じ種類の施設です。そして都市型軽費老人ホームのほか、「軽費老人ホームA型」「軽費老人ホームB型」「軽費老人ホームC型(ケアハウス)」「ケアハウス(特定施設入居者生活介護)」があります。種類ごとに入居条件やサービス内容が異なりますが、基本的に低所得の高齢者や家族の援助が受けられない高齢者に対して、無料または低額で食事などのサービスを提供する性質はどのケアハウスでも同じです。
都市型軽費老人ホームの特徴
都市型軽費老人ホームで、低額な料金で食事提供や生活支援、24時間体制での見守りが提供される点が特徴です。都市部は地価が高いことからサービス利用料が高くなりがちですが、都市型軽費老人ホームではその点が考慮されているため、都市部でも比較的安価にケアハウスが利用できます。東京都内であれば23区と武蔵野市全域、三鷹市の一部は都市型軽費老人ホームの対象エリアであり、月額利用料は家賃・光熱費・食費を含み12万円程度です。
施設は入所定員が20名以下と小規模であり、1人ひとり居室が提供されるため、生活に必要なサービスを受けながら自宅と同じように生活できます。
都市型軽費老人ホームの対象者
東京都板橋区のホームページによると、都市型軽費老人ホームの入所対象者は以下の通りです。
・60歳以上の低所得の人
・身元保証人が得られる人
・身体機能の低下などで自立した日常生活を営むことが不安な人
・感染症がなく、通院、服薬などの自己管理が可能な人
・問題行動がなく共同生活が可能な人
・家族の援助が困難な人
・住居の状況など、現在の環境では在宅生活の継続が困難な人
・財産管理や日常の金銭管理ができる人
上記に加えて原則ホームのある市区町村に住民票があることが必須条件であり、ホームによって別途細かい条件を設定している場合もあります。定員数が20人以下と小規模である、かつ入所の必要性が高い方から優先して入所が決定するため、入居待機者が多いエリアも少なくありません。
都市型軽費老人ホームが登場した背景
ケアハウスは老人福祉法の制定を機に、1963年から存在する施設です。A型・B型・C型(ケアハウス)がメインとなる施設ですが、高齢者が増えたことでA型とB型は新設されず、今後はケアハウス(軽費老人ホームC型)に一本化される予定。このことが、軽費老人ホームの総称が「ケアハウス」と言われる背景とされています。
そもそも都市型軽費老人ホームが登場した背景には、都市部の地価が他エリアに比べて高いことが関係しています。都市部は人口が多い分高齢者の数も多く、ケアハウスの需要も高いといえます。しかし地価が高いことで、本来低額または無料でサービスを提供するという特性を満たすことが難しく、身寄りのない低所得者を受け入れる機能が十分でない点が課題でした。そこで東京都は2010年より、従来のケアハウスの定員や居住面積、居室内設備などの基準を低くすることで、生活保護受給額に合わせた12万円程度に抑えられる都市型軽費老人ホームを整備しました。当初は東京都だけだった都市型軽費老人ホームも、現在では神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府などの都市部にも広まっています。
都市型軽費老人ホームと一般のケアハウスの違い
都市型軽費老人ホームは月額利用料を抑えるため、一般のケアハウスよりも基準が緩い点が特徴です。一般のケアハウスとは、主に以下のような点で違いがあります。
都市型軽費老人ホーム | 一般のケアハウス | |
---|---|---|
定員 | 20人以下(最少5人) | 20人以上 |
居室面積 | 7.43平米以上 | 21.6平米以上 |
入居一時金の有無 | 無 | 有 |
※都市型軽費老人ホームは東京都の基準を参考
都市型軽費老人ホーム自体は2010年以降に新設されているため、古くからある一般のケアハウスと比べると建物や設備が比較的新しい点も特徴です。また一般のケアハウスは食事提供(軽費老人ホームB型は自炊)のみのサービス提供ですが、都市型軽費老人ホームでは24時間体制の見守りや生活支援サービスが付帯する点も大きな違いとなります。
都市型軽費老人ホームのサービス内容・人員基準
ここでは、都市型軽費老人ホームのサービス内容や人員基準をご紹介します。サービス内容から仕事内容、人員基準から働くスタッフを押さえましょう。
都市型軽費老人ホームのサービス内容
都市型軽費老人ホームで提供されるサービス内容は、以下の通りです。
・食事提供
・24時間体制での見守り
・生活支援サービス:生活相談員による相談受付
都市型軽費老人ホームは介護保険対象の施設ではないため、介護サービスは付帯しません。介護サービスが必要になった場合は外部の介護サービス事業者を利用できるため、職員は基本的に身体介護業務がありません。入所定員数も20人以下と一般のケアハウスと比較して少ないことから、比較的業務負担が軽い点も都市型軽費老人ホームの特徴です。
都市型軽費老人ホームの人員基準
都市型軽費老人ホームでは、以下職員が配置されます。
施設長 | 1人以上(兼務可) |
---|---|
生活相談員 | 1人以上(兼務可) |
介護職員 | 常勤1人以上 |
栄養士 | 1人以上 |
事務員 | 1人以上 |
調理員その他職員 | 実情に応じた適当数 |
一般のケアハウスは上記職員の配置が必須ですが、都市型軽費老人ホームではサービス提供に支障がない限り、栄養士と調理員を配置しないことが可能です。また施設長と生活相談員を兼務することもでき、他の介護施設に比べると人員が手薄といえます。しかし介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用することが前提であるため、管理体制に大きな支障は出にくいでしょう。
都市型軽費老人ホームの求人例
職種 | 介護スタッフ |
---|---|
仕事内容 | ・ご入居者の見守り ・生活支援(掃除、洗濯) ・施設内での事務、非常勤スタッフの指示…など ※身体介護はありません ケアハウス(軽費老人ホーム)は、高齢により自宅での生活に不安がある方のための、生活支援を受けながら暮らせる介護施設です。 比較的安価に入居することができ、生活の自由度も高いため人気。入居型の介護施設ですが、原則、スタッフは介護を行わず、必要な方は別途訪問介護ヘルパーが対応しています。 |
給与 | 月給200,000円~ 夜勤手当別途支給(4,500円~4,750円/回)資格による |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | (1)07:00~20:00の間で実働8時間(休憩60分) (2)16:00~10:00(休憩120分) 日勤は時間内で実働8時間 |
応募資格 | 学歴不問 PCスキル不要 無資格OK 介護職員初任者研修、介護職員実務者研修、介護職員基礎研修、ヘルパー2級、ヘルパー1級…をお持ちの方尚可 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、財形貯蓄制度、資格取得支援制度、ウェルカムバック制度 |
都市型軽費老人ホームの正社員介護スタッフの求人例です。身体介護がなく、基本の業務は見守りや掃除・洗濯等の生活支援が中心です。身体介護がないことから、他介護施設に比べると体力的負担が少ないといえます。ただし、身体介護がなくとも働くには資格が必要です。
都市型軽費老人ホームは都市部専用のケアハウス!
都市型軽費老人ホームは基本的な性格は一般のケアハウスと同じく、低所得者や家族の支援が受けられない高齢者を対象に低額または無料で食事などのサービスを提供する施設です。都市型軽費老人ホームは定員や居室面積などの基準が緩和されており、一般のケアハウスにはない生活支援や24時間体制の見守りサービスなどが付帯します。都市部のケアハウスへ就職・転職する際は都市型軽費老人ホームになる場合もあるため、今記事を参考に特徴やサービス内容を押さえましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。