居宅介護支援事業所とは何かをわかりやすく解説!役割や特徴、仕事内容について
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/06/06
介護サービス・事業所にはさまざまな種類がありますが、そのうちの1つに居宅介護支援を提供する「居宅介護支援事業所」があります。介護業界へ転職する場合、居宅介護支援事業所が選択肢の1つとなる可能性もあるでしょう。今回は居宅介護支援事業所とは何かについて、役割や特徴、仕事内容などをわかりやすくご紹介します。
目次
居宅介護支援事業所とは
居宅介護支援事業所とは別名「ケアプランセンター」とも呼ばれる、ケアマネージャーが常駐する事業所です。厚生労働省の資料によると、居宅介護支援事業所は以下のように定義されています。
居宅の要介護者が居宅サービス等を適切に利用できるよう、心身の状況、置かれている環境、要介護者の希望等を勘案し、居宅サービス計画を作成するとともに、サービス事業者との連絡調整を行い、介護保険施設等への入所を要する場合は、当該施設への紹介を行うこと。
つまり居宅介護支援事業所とは、要介護者が介護サービスなどを利用しながら自宅で生活できるようにケアマネージャーが支援を提供する場所です。まずは、居宅介護支援事業所の役割や利用者の要件などをみていきます。
居宅介護支援事業所の役割
居宅介護支援事業所は、厚生労働省令で定められた実務経験を持つケアマネージャーがサービスを提供する、在宅介護の相談窓口です。ケアマネージャーは、利用者が可能な限り自立した日常生活が送れるよう、利用者の心身状況や環境に応じて介護保険サービスを利用するためのケアプランを作成します。そしてケアプランに基づいて適切にサービスが提供されるよう、事業所や関係機関との連絡・調整を行うことが主な役割です。居宅介護支援事業所では特定のサービスや事業者に偏ることがないよう公正中立な立場にいることから、利用者を第一に考えた支援を提供します。
居宅介護支援事業所の利用対象者
居宅介護支援事業所は、要介護1〜5の認定を受けた高齢者が利用できます。介護保険を受けるには要介護認定が必要であり、居宅介護支援事業所では認定の申請の手伝いも担当します。そして認定を受けた場合は、利用者の自宅にケアマネージャーが月1回以上訪問し、ケアプラン作成のためのヒアリングや状況把握を行います。
一方、要介護認定で要支援の認定を受けた方は、居宅介護支援に準じた介護予防支援を受けることになります。この場合、ケアプラン作成の相談・支援が提供される点は同じですが、相談窓口は居宅介護支援事業所または地域包括支援センターです。そしてケアマネージャーの訪問回数は3ヶ月に1回以上と、居宅介護支援よりも頻度が少なくなります。
居宅介護支援事業所の特徴
ここでは、居宅介護支援事業所の特徴をみていきます。
運営・人員基準
居宅介護支援事業所は厚生労働省令で定められた運営基準に基づき、適正な事業を運営することが義務付けられています。運営主体は介護事業を行う法人であることが必須要件であり、主な経営母体は社会福祉法人、医療法人、NPO法人が多い点が特徴です。そして人員基準は、常勤の主任介護支援専門員である管理者と利用者35人に対して1人の介護支援専門員の配置が必須とされています。厚生労働省資料によると、1事業所あたりのケアマネージャーの平均人数は3.2人です。
介護保険で自己負担額0円
介護保険サービスを利用する場合、基本的には利用者の所得に応じて1〜3割を自己負担する必要があります。しかし居宅介護支援は介護保険から全額給付されるため、利用者の自己負担額は0円です。そのため、ケアマネージャーにケアプランの作成を依頼したり、サービスの相談をしても料金を請求することはありません。
自己負担額0円で利用できる背景には、要介護者ができる限り自立して在宅生活を送るには居宅介護支援が重要であり、利用を促進したいという厚生労働省の考えがあります。
サービス内容からみる居宅介護支援事業所の仕事内容
ここでは、居宅介護支援事業所が提供するサービス内容から、職員の仕事内容をご紹介します。
相談業務
市区町村の介護保険課や地域包括支援センターのような公的施設と同じく、利用できる介護保険制度や利用方法などの相談を受け付けています。要介護認定を取得していない段階での相談も可能であり、必要に応じて要介護認定の申請手続きにも対応します。
ケアプラン作成
ケアマネージャーのメイン業務となるのが、利用者が介護保険サービスを利用するためのケアプランの作成です。ケアマネージャーは利用者の心身状況や家族の状況、家庭環境などを的確に把握し、ケアプランに落とし込むことが求められます。
ケアプランはまずアマネージャーが利用者の自宅に訪問し、利用者本人とご家族と面談します。相談内容や会話の中から利用者の課題を見つけ出したり、どういった生活を送りたいかの希望を聞き出した上でケアプランの原案を作成。その後、サービス担当者会議を経て、正式なケアプランが完成します。ケアプランが完成すれば、利用者の介護サービス利用が開始となります。
モニタリング・ケアプランの見直し
利用者の心身状況や環境、要望は日々変化するため、それに応じてケアプランの見直しが必要です。日々の変化を把握するため、ケアマネージャーは月に1回以上利用者宅を訪問し、困りごとや不安なこと、要望などをヒアリングします。定期訪問でモニタリングを行い、その内容に応じて随時ケアプランを見直します。
自治体や事業所との連絡・調整
居宅介護支援事業所は利用者と自治体、事業所などの各機関との橋渡し的な役割を持ちます。ケアプランに基づいた適切なサービスが提供されているか、要介護認定の更新手続きが必要か、医療機関との連携が必要かなど、さまざまな観点を踏まえて自治体や各機関と連絡・調整を図ります。またサービスに関する要望や相談、苦情の対応も居宅介護支援事業所の仕事です。
その他
居宅介護支援事業所は上記以外にも、多岐にわたる業務を担当します。たとえば事業所によっては、利用者の介護費や支援費の給付限度額を管理するための給付管理も行います。介護施設に所属するケアマネージャーよりも裁量がある中で業務に専念できる点で、スキルアップしやすい環境といえます。
居宅介護支援事業所と地域包括センターの違い
居宅介護支援事業所と類似する機関に、地域包括支援センターがあります。居宅介護支援事業所は要介護1以上の利用者に対して相談・支援を行う一方、地域包括支援センターは当該地域に住んでいる65歳以上の高齢者全員に対して相談・支援を提供する点が大きな違いです。
また、地域包括支援センターにはケアマネージャーのほか、保健師や社会福祉士などさまざまな職種のスタッフが配置されており、介護予防や権利擁護など高齢者の生活全般に関する困りごとや要望に対応しています。
つまり、地域包括支援センターは居宅介護支援事業所よりも対応範囲が広く、高齢者が安心して生活するための総合的な支援を提供する機関と言えます。
居宅介護支援事業所はケアマネージャーが要介護者の生活を支援するための専門機関!
居宅介護支援事業所はケアマネージャーが常駐し、要介護者やご家族に対する相談・支援を行なっています。高齢化社会にある今、介護保険制度やサービスに関する相談窓口となる居宅介護支援事業所は需要が高く、今後も安定した採用が見込まれると予測されます。今記事を参考に、居宅介護支援事業所の役割や特徴、サービス内容などを押さえてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。