福祉住環境コーディネーターとは?仕事内容やなり方などを解説!
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/06/27
高齢化社会にある日本では、介護・福祉分野の資格・職種の需要が高まっています。さらにニーズの多様化に伴い、新しい資格やポジションも確立されつつあり、そのうちの1つに福祉住環境コーディネーターがあります。今回は福祉住環境コーディネーターについて、仕事内容やなり方、資格取得のメリットなどを詳しくご紹介します。
目次
福祉住環境コーディネーターとは
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者に対して、住みやすい環境を提案するアドバイザーのことです。1999年に設立された比較的歴史の新しい民間資格で、近年の急速な高齢化に伴い、福祉住環境コーディネーターの需要も増加傾向にあります。まずは、福祉住環境コーディネーターとは何かについて詳しくご紹介します。
福祉住環境コーディネーターの役割
福祉住環境コーディネーターの役割は、高齢者や障がい者が安全かつ快適な生活を送れるよう、専門的な観点から住みやすい環境を提案することです。ケアマネージャーや建築士など介護や住まいの専門家と連携し、車いすや介護ベッドの使用に関するアドバイスや住まいの改修提案などを行います。
そもそも、福祉住環境コーディネーターという役割が誕生した背景には、高齢者や障がい者の住まいに関して総合的に相談できるポジションがなかったことがあります。そのため、これまで高齢者や障がい者は住環境に関して分野ごとに相談しなければなりませんでした。そこで高齢者や障がい者、ケアマネージャーや建築士の間に立ち、両者の立場を理解した上でトータル的にアドバイスする専門ポジションとして福祉住環境コーディネーターが誕生したのです。
福祉住環境コーディネーターはどんな人が目指す資格?
下記は東京商工会議所の検定試験情報による、福祉住環境コーディネーター検定試験の受験者の保有資格の統計です。
福祉用具専門相談員 | 19.5% |
---|---|
介護福祉士 | 18.3% |
介護職員初任者研修 | 13.8% |
その他 | 8.8% |
理学療法士(PT) | 8.7% |
宅地建物取引士 | 5.9% |
介護支援専門員(ケアマネージャー) | 5.6% |
作業療法士(OT) | 5.1% |
二級建築士 | 4.2% |
看護師 | 3.0% |
社会福祉士 | 2.9% |
一級建築士 | 2.2% |
インテリアコーディネーター | 2.0% |
福祉住環境コーディネーターの資格取得を目指す方は、介護・福祉や住まいの専門資格を持つ方が多いことがわかります。それぞれの分野の知識があることに加え、福祉住環境コーディネーターの知識・資格があることで活躍の幅も広がります。専門資格を有していない方でも、医療・福祉・建築の体系的な知識を取得したいという場合に最適な資格です。
福祉住環境コーディネーターの仕事内容
医療・福祉・建築の専門知識をもつ福祉住環境コーディネーターですが、その資格は具体的にどのように仕事に活かせるのでしょうか。ここでは、福祉住環境コーディネーターの仕事内容を詳しくご紹介します。
住環境に関するアドバイス
主な役割であり、メインの仕事となるのが住環境のアドバイスです。ケアマネージャーや建築士などの専門家と連携しながら、高齢者や障がい者の生活における課題や悩みが解消でき、安全かつ快適な住環境を作るためのアドバイスを行います。たとえば、老化や怪我で足腰が衰弱している方には段差を解消し、階段には手すりをつけるといった住空間への提案を行います。既存の住宅を改修する際だけでなく、バリアフリー住宅やリフォームの相談、新たに建設する介護施設の住環境のコーディネートを任されることもあります。高齢者や障がい者が住まう可能性のある、あらゆる環境で活躍できる点が特徴です。
福祉用具や介助用具のアドバイス
住空間のコーディネート・アドバイスだけでなく、身体状況や障がいの程度に応じて利用すべき福祉用具や介助用具のアドバイスも行います。福祉用具や介助用具にはさまざまな種類があるため、その人に合った福祉用具や介護用具を紹介したり、実際に導入する際のサポートも行います。
受験者の保有資格で最も多かった福祉用具専門相談員はこの点の専門職ですが、福祉住環境コーディネーターの知識があることで医療・建築の観点からも専門的にアプローチすることが可能です。
住宅改修費支給申請の理由書の作成
要介護者や要支援者が在宅で生活するにあたり、段差解消や手すりの取り付けなどの改修工事が必要な場合、自治体に申請することで改修費の一部を負担してもらえます。その時に必要となるのが、「住宅改修費支給申請の理由書」です。改修費の支給を受けるには、改修工事前に理由書を自治体に提出し、審査に通る必要があります。この理由書を作成できるのは介護支援専門員や作業療法士などの専門資格の有資格者のほか、福祉住環境コーディネーターの2級以上の取得者です。
福祉住環境コーディネーターになるには
ここでは、福祉住環境コーディネーターになるために必要なことをみていきます。
資格を取得!実務に役立つのは2級以上
福祉住環境コーディネーターは民間資格であり、資格を取得することで福祉住環境コーディネーターと名乗ることができます。資格は1〜3級まであり、最も難易度が低いのが3級です。受験資格は設けられていないため誰もが受験可能であり、2級から受験することもできます。初めて受験する場合は3級からが無難ですが、すでに介護福祉や建築の分野で実務を積んでいる場合には2級から挑戦しても良いでしょう。
実務に役立つのは住宅改修費支給申請の理由書が作成できる2級以上であり、2級以上を取得していることで介護福祉業界や建築業界での就職・転職でも評価されるでしょう。
福祉・介護関連の学校に通う
福祉住環境コーディネーターの資格を取得するには、福祉や介護、建築、医療などの知識が必要です。資格取得が目的であれば、独学での取得も可能ですが、福祉や介護に関連する学校に通うことで、現場や業界について知見がある講師から学べます。専門的な知識に加え、働き方や業務に対し、より鮮明なイメージを持っておきたいという方は、福祉・介護関連の学校に通うと良いでしょう。
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格率
下記は、2020年度の福祉住環境コーディネーター検定試験の結果です。
級 | 受験者(人) | 実受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|---|
1級 | 389 | 335 | 43 | 12.8 |
2級 | 11,729 | 10,778 | 5,043 | 46.8 |
3級 | 7,002 | 6,486 | 4,335 | 66.8 |
合格率は高いとはいえず、資格取得の難易度はやや高いことがわかります。しかし年々合格率は上がっており、徐々に資格取得の難易度も易しくなっているといえます。
福祉住環境コーディネーターの資格を取得するメリット
福祉住環境コーディネーターは、現在持っている介護・福祉や建築関連の資格にプラスして役立てるという位置付けです。ここでは、福祉住環境コーディネーターの資格を取得するメリットをご紹介します。
活躍できる業界の幅が広がる
福祉住環境コーディネーターの資格は、介護業界や福祉業界、建築業界で役立ちます。そのため福祉住環境コーディネーターの資格があることで介護業界にいる方であれば建築業界に、建築業界にいる方が介護・福祉業界で活躍できるようになります。そのため、資格やこれまでの経験を活かしながらキャリアチェンジしたい場合に最適な資格です。
スキルアップにつながる
現在の知識や経験にプラスし、他業界の知識も身につけられる福祉住環境コーディネーターの資格を取得することで、スキルアップにつながります。幅広い専門知識のもと高齢者や障がい者の生活に関われるようになるため、仕事の幅が広がるだけでなく、転職では強い武器となってくれます。
家族のために役立てられる
仕事だけでなく、祖父母や両親、障がいのある家族の生活をより快適にするためにも役立ちます。将来的に家族に介護が必要になった際、できる限り在宅で面倒をみたいという方も増えています。その際に福祉住環境コーディネーターの資格があることで、家族の安全かつ快適な生活を自らコーディネートできるようになる点はメリットです。
福祉住環境コーディネーターとは高齢者や障がい者に住みやすい環境を提案するアドバイザー!
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者のために住みやすい環境を専門的な立場からトータル的にアドバイスするための資格です。比較的歴史の浅い資格であるため知名度はそこまで高くないですが、高齢化社会にある日本では今後需要の高まる将来性のある資格といえます。今記事を参考に、福祉住環境コーディネーターについて理解を深めてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。