【2024年最新】介護職は月6,000円の賃上げへ!対象となる職員・事業所について解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/05/14
公開日:2022/09/07
2023年に続き、2024年も日本の労働市場では賃上げブームが続いています。介護職も例外ではなく、待遇改善や物価高対策として月額6,000円程度の賃上げが行われる予定です。本記事では、対象となる事業所や実際にどの程度給料が増えるかなどその詳細ついて解説をします。
目次
2024年2月から介護職は月6,000円程度の賃上げが開始
厚生労働省が発表した「令和5年度厚生労働省補正予算案の主要施策集によると、2024年2月から介護職員一人あたり月額平均6,000円の賃上げを実施することが決定しました。
現時点では、2024年2月から5月までが賃上げの対象期間とされており、期間終了後も物価の変動や他産業の賃金動向を踏まえ、「別途賃上げ効果が継続される取組みを行う」と記載。つまり、賃上げを一時的なものにするのではなく継続して行うと政府が意思を表明しています。
賃上げの対象期間 | 2024年2月〜5月 |
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賃上げの金額 | 月6,000円程度(介護職員一人あたり) |
介護職員の賃上げが行われる理由
介護職員の賃上げの理由の1つが、賃金が低水準であることです。賃金を上げることで、介護人材の確保を行い、他産業への流出を阻止する狙いがあります。また、昨今の物価上昇による介護施設の経営状況悪化・赤字なども要因の1つ。令和5年度においては、これらを理由とし賃上げ率1.42%と厳しい結果が出ています。これらの状況を打破するため、通常3年おきに行われ、次回は2024年6月に予定していた介護報酬改定を前倒しし、賃金の改定が行われました。(参考:公益社団法人全国介護老人保健施設協会「介護現場における物価⾼騰および賃上げの状況」)
実際にどの程度給料は上がる?
全体の方針としては平均6,000円の賃上げと発表されましたが、必ずしも介護職員の月収が6,000円分上がるとは限りません。賃上げ対象事業所に交付される金額は、「標準的な職員配置の事業所」を軸に考えられていためです。最低人員配置基準よりも職員数が多い事業所であれば、一人当たりの賃上げ金額は少なくなる可能性があります。
一方、補助金については、「補助額の2/3以上を収入のベースアップ等に使用することを要件とする」と使用用途が明確に記載されています。金額にばらつきはありますが、確実に給料アップにつながるでしょう。
【パートも?】賃上げ対象の介護職・事業所
賃上げ対象の介護職員 | 「賃上げ対象の事業所」に勤務する介護職員 ※雇用形態は問わない |
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賃上げ対象の事業所 | 「介護職員ベースアップ等支援加算」を取得している事業所 2024年4月から取得予定の事業所 |
2024年2月〜5月に行われる賃上げの原資としては、一定の条件を満たす事業所が国に申請をした場合に受け取ることのできる、補助金です。対象として認められるためには、「介護職員ベースアップ等支援加算を取得している事業所」になる必要があり、2024年4月から取得を行う場合も補助金を受け取ることができます。
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、90%以上が対象の事業所となる見込みです。また、補助金に関しては、介護職員であれば雇用形態を問わず対象となるため、パートやアルバイトの方も今回の賃上げ対象に含まれます。
賃上げの対象外となる介護職
介護事業所にはさまざまな職種の方が勤務をしていますが、今回の賃上げの対象は「介護職員」のみが対象です。介護職以外の、ケアマネージャーや事務職などの職員は今回の賃上げの対象ではありません。
一方で、人手不足抑止のためであれば事業所判断で柔軟な運用も可能であるため、事務所によっては対象外の職種でも給料アップの可能性は残されています。
【2024年6月以降】介護職の賃上げの見込み
2024年6月以降についても、介護報酬改定の内容をもとに介護職全体の賃上げが行われる見込みです。厚生労働省「介護報酬改定について」によると全体では+1.59%の賃金改定、職種別には介護職員の処遇改善分が+0.98%、介護職員以外は+0.61%を予定しています。
さらに、介護職員処遇改善加算など賃金の仕組みが煩雑化しているため、一元化して多くの施設で賃金を算定しやすくすることが検討中です。さまざまな施策が実施・検討されていますが、まだまだ看護師や保育士などの他産業に比べ、介護職の処遇は良いものとはいえません。この状況を改善するために、今後さらなる賃上げが行われる可能性も期待できます。
【介護職員処遇改善加算とは?】
介護職員の賃金アップ、職場環境の改善などに取り組む事業所を対象に、介護報酬を加算して上乗せ支給する仕組みです。2012年に介護業界の人材不足を解消する目的でスタートし、処遇改善項目を多く満たす事業所ほど加算金額を多く獲得することができます。
介護職の賃上げにプラスして給料を上げるには
介護職の賃上げが実施されますが、それでも満足のいく給料でないという声が多いのも現状です。賃上げに加え、介護職員が給料を上げるにはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、以下のパターン別で給料アップの方法について詳しくご説明します。
上位資格を取得する
介護職員は、上位資格を取得することで給料アップが期待できます。有資格者と一般の介護職員では、下記のように給料に差がある点が特徴です。
平均勤続年数 | 給与(令和4年9月) | ||
---|---|---|---|
保有資格あり | 介護福祉士 | 9.6年 | 331,080円 |
社会福祉士 | 8.3年 | 350,120円 | |
介護支援専門員 | 12.9年 | 376,770円 | |
実務者研修 | 6.8年 | 302,430円 | |
介護職員初任者研修 | 8.1年 | 300,240円 | |
保有資格なし | 5.4年 | 268,680円 |
「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省)を加工して作成
介護福祉士など、介護に関する専門資格を持っているかどうかだけでも、給与に約5万円の差が生じます。また、給与面だけでなく、現場でも重宝される人材となり長く働くことができるのも魅力の1つです。
平均勤続年数は無資格者が5.4年、有資格者に関しては平均すると8.7年といった開きがあります。職種によっては、今回の賃上げ対象とならない場合もありますが、長い目で見ていくと給与水準の高い職種ほど、総合的な面では給料アップが図れます。介護職として長期に渡るキャリアを築きたい方には、「実務者研修」や「介護職員初任者研修」の取得を検討してみてください。
夜勤を増やす
夜勤業務は「夜勤手当」と呼ばれる手当がつくため、給料アップにつながりやすいです。そのため、通所リハビリなど日勤の仕事だけの職場ではなく、夜勤業務がある特別養護老人ホームや介護老人保健施設で勤務すると良いでしょう。
また、介護施設以外にも、介護士として病院で夜勤をしながら働くのもおすすめです。夜勤手当は1回あたり、およそ3,000〜6,000円の手当がつきます。常勤で勤務する場合、月に4〜5回程度の夜勤を行いますが、夜勤回数が増えるほど給料がアップするため、回数を増やす方がいるのも現状です。
また、夜勤専従として働いている介護職員も多くいます。夜勤専従であれば、一般の介護職員よりも夜勤回数が増え、効率的に稼ぎやすく単価も上がるため、少ない勤務回数で給料アップが狙えるでしょう。
転職する
介護職員の給料は、施設や事業所によってもさまざまです。先ほどご紹介したような、上位資格の取得で給料が上がる職場があれば、資格を取得しても給料が変わらない職場もあります。施設基準上、そもそも夜勤がない職場に勤めている方がいるでしょうし、子育てや介護などやむを得ない理由で夜勤ができない方もいるかもしれません。
今の職場で給料アップが見込めない場合には、収入や待遇が良い職場に転職するのも1つの方法といえます。転職を検討する場合には、検討している職場が賃上げの対象施設なのか、処遇改善加算を取得しているかに関してもチェックしてみてください。
賃上げ政策以外に介護職が給料アップするには、転職がおすすめ!
2024年における介護職の賃上げ動向や、資格を取得することによる給料アップの目安などについて解説をしました。社会全体として賃上げの傾向はここ数年継続していますが、自身のスキルアップを行い、より高い給与水準の職種を目指すことも賃金の改善をするためには重要です。また専門性を活かし、より給与待遇の良い施設への転職なども選択肢の一つとして検討していきましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。