理学療法士の就職先を紹介!病院以外の就職先や就職先の選び方とは
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/09/21
理学療法や運動療法を用いて、ケガや病気、身体障がいのある方や高齢者の身体機能の回復・向上を目指す理学療法士。機能訓練指導員になるための要件になっている専門職であることからも、将来性の高い仕事です。理学療法士の就職先として代表的なのは病院ですが、病院以外にもさまざまな分野で活躍しています。今回は理学療法士の就職先の紹介とあわせて、就職先の選び方もお伝えします。
目次
理学療法士の就職先一覧
公益社団法人 日本理学療法士協会のデータよると、理学療法士の主な就職先は以下の通りです。
施設:大分類 | 所属会員数 |
---|---|
医療施設 | 44,618 |
医療福祉中間施設 | 8,501 |
老人福祉施設 | 2,097 |
介護保険関連施設 | 700 |
身体障害者福祉施設 | 218 |
児童福祉施設 | 818 |
精神障害者社会復帰施設 | 4 |
知的障害者福祉施設 | 11 |
障害者自立支援施設 | 109 |
教育・研究施設 | 2,784 |
行政関係施設 | 378 |
健康産業 | 99 |
その他 | 3,449 |
上記データでみると、日本理学療法士協会に所属する約7割が医療施設を就職先としていることがわかります。ただし、医療施設以外で働く理学療法士は日本理学療法士協会に所属していない方も一定数います。そのため、医療施設以外を就職先とする理学療法士の数は上記データよりも多くなると考えられます。
【分野別】理学療法士の就職先と働き方
ここでは公益社団法人 日本理学療法士協会のデータをもとに、分野別に理学療法士の就職先について詳しくご紹介します。
①医療分野における理学療法士の主な就職先と働き方
医療分野の主な就職先は、以下の通りです。
※所属会員がいる施設のみ記載
病院 | 大学病院 |
---|---|
総合病院 | |
老人病院 | |
小児病院 | |
一般病院(上記以外)一般病床 | |
一般病院(上記以外)療養型病床 | |
精神科病院 | |
ハンセン病院 | |
地域支援病院 | |
その他 | |
診療所 | 診療所 |
療養型病床群 | |
その他 |
医療分野で最も理学療法士の所属が多いのは「一般病院の一般病床」であり、次いで「総合病院」「診療所」「一般病院の療養型病床」です。病院は、規模や急性期・回復期かなどによって業務内容は多岐に渡ります。一方、クリニックなどの診療所になると、多くは整形外科が主な就職先となります。診療科によってリハビリ内容も幅広い点が特徴です。
②福祉分野における理学療法士の主な就職先と働き方
福祉分野は医療との中間施設を含め、以下のように就職先が多岐にわたります。
※所属会員がいる施設のみ記載
医療福祉中間施設 | 介護老人保健施設 | |
---|---|---|
老人訪問看護ステーション | ||
老人デイサービス | ||
老人デイケア | ||
その他 | ||
老人福祉施設 | 養護老人ホーム | |
特別養護老人ホーム | ||
軽費老人ホーム | ||
老人デイサービス | ||
老人福祉センター | ||
老人短期入所施設 | ||
有料老人ホーム | ||
介護付き有料老人ホーム | ||
在宅介護支援センター | ||
高齢者総合相談センター | ||
その他 | ||
介護保険法関連施設 | 地域包括支援センター | |
身体障害者福祉施設 | 身体障害者更生養護施設 | 肢体不自由者更生施設 |
重度身体障害者更生養護施設 | ||
重度障害者授産施設 | ||
身体障害者養護施設 | ||
重度身体障害者授産施設 | ||
身体障害者福祉センター | 身体障害者福祉センターA型 | |
身体障害者福祉センターB型 | ||
在宅障害者デイサービス施設 | ||
身体障害者更生相談所 | ||
児童福祉施設 | 知的障害児施設 | |
知的障害児通園施設 | ||
肢体不自由児施設 | 肢体不自由児施設 | |
肢体不自由児通園施設 | ||
肢体不自由児療護施設 | ||
重症心身障害児施設 | ||
児童相談所 | ||
心身障害児総合通園センター | ||
知的障害者福祉施設 | 知的障害援護施設 | 知的障害者更生施設 |
知的障害者授産施設 | ||
知的障害者更生相談所 | ||
障害者自立支援施設 | 指定障害者福祉サービス事業所 | 生活介護支援事業 |
自立訓練(機能訓練)事業所 | ||
多機能型事業所 | ||
指定障害者支援事業所 | 生活介護支援事業所 | |
自立訓練(機能訓練)支援事業所 | ||
指定相談支援事業所 | ||
指定地域活動支援センター |
福祉施設は高齢者や身体障害者、知的障害と施設によって対象者が幅広い点が特徴です。上記施設のうち理学療法士の在籍が多いのは医療福祉中間施設の介護老人保健施設、次いで老人訪問看護ステーションです。介護老人保健施設では入所している高齢者に、老人訪問看護ステーションでは在宅療養している高齢者に対してリハビリを提供します。一方、介護関連施設以外の社会福祉施設では、身体的・知的障害を持った子どもから大人と幅広い年齢の方に対応する点が特徴です。特に子どもへのリハビリ提供は、大人よりも難易度が高いといえます。
③教育・研究分野における理学療法士の主な就職先と働き方
教育・研究分野における理学療法士の主な職場は、以下の通りです。
特別支援学校 | 肢体不自由児 |
---|---|
知的障害児 | |
その他 | |
教育・研究施設 | 理学療法3年制専門学校教員 |
理学療法4年制専門学校教員 | |
理学療法短期大学教員 | |
理学療法大学教員 | |
理学療法以外の大学教員 | |
研究施設 | |
その他 |
教育・研究機関の主な就職先は理学療法士になるための必要課程を満たす専門学校や短期大学、大学の教員です。特別支援学校では、生徒の支援と併せて、教員としても働きます。大学・専門学校では理学療法士を目指す学生への授業が主な業務ですが、その傍らで理学療法士として施設で働くケースも珍しくありません。さらに専門性を高めるため、大学や研究施設に在籍して学会や研究会で成果を発表する理学療法士もいます。なお、教員として働くには、下記条件を満たすことが必要です。
▼特別支援学校
・特別免許状または自立活動教諭免許の取得
▼専門学校
・5年以上の実務経験
・専任教員養成講習会を修了または大学・大学院で教育学に関する科目を4単位以上取得(平成30年度より新設)
④行政分野における理学療法士の主な就職先と働き
行政分野では、下記関係施設が主な就職先となります。
行政関係施設 | 保健所 |
---|---|
市町村保健センター | |
国 | |
都道府県 | |
市 | |
町 | |
村 | |
社会福祉協議会 | |
身体障害者福祉協議会 | |
その他 |
行政分野の中でも代表的な就職先は、保健所や保健センターです。行政関係施設では主に健康に関する教育や啓発、健診における評価や相談、指導などを行います。その中でも保健所では、リハビリの提供やリハビリ教室の開催、指導と実践的な業務に携われる点が特徴です。また、行政機関の健康企画課や介護福祉課などで働く場合、地域住民への支援だけでなく予算策定や事業の企画立案なども行うため、他ではできない業務を経験できます。
⑤健康産業分野における理学療法士の主な就職先と働き方
スポーツ関係の就職先は、スポーツ関係施設やフィットネス施設のような健康産業分野です。主な業務はケガに対するリハビリの提供や運動能力向上のためのトレーニング指導、健康管理など。地域のスポーツクラブやフィットネスクラブ、プロスポーツチームなどでトレーナーとして働きます。スポーツチームで働く場合は、そのスポーツに関する専門的な知識も必要です。医療業界とは求められる役割や知識がガラリと変わる点が特徴です。
⑥その他分野の理学療法士の主な就職先と働き方
その他分野では一般企業をはじめ、リハ関連企業や訪問看護ステーション、介護サービス企業とさまざまな就職先があります。一般企業は医療機器メーカーや住宅メーカー、出版社と業界が多岐にわたる点が特徴です。専門知識を活かし、他の分野とは違った観点から理学療法士の役割を発揮します。そのほか、自営・開業している理学療法士も一定数います。
理学療法士の就職先の選び方
理学療法士の就職先は、以下4つの観点を踏まえて選ぶことがポイントです。
①興味がある分野
②リハビリの対象者
③やりたい業務
④給与・待遇面
理学療法士の活躍分野は多岐にわたり、その中で就職先はさらに細分化されます。まずは興味のある分野を軸に、そこからどのような人にリハビリを提供したいか、どのような業務をしたいか、給与・待遇面に納得できるかを考えてみましょう。就職先によって理学療法士に求められる役割や業務内容、治療方針は大きく異なります。やりがいを持って働けるだけでなく、モチベーションを保って長期的に働き、理学療法士としての専門性や市場価値が高められる就職先を選ぶことが大切です。また各就職先の特徴や働き方、業務内容や給与・待遇面などを調べ、自分の求める条件にマッチする就職先を選ぶのも1つの方法です。
機能訓練指導員として働くことも可能
理学療法士の資格を持っていると、機能訓練指導員として働くこともできます。
日常生活で使用する運動能力の改善を行う機能訓練指導員の仕事は、理学療法士の仕事と重なる部分も多い傾向にあります。理学療法士の資格を保有している方が機能訓練指導員として働く場合には、多くの現場から求められる存在と言えるでしょう。
機能訓練指導員の求人例
職種 | 機能訓練指導員 |
---|---|
仕事内容 | ・歩行訓練などのリハビリの実施 ・個別機能訓練計画の作成 ・介護業務 、見守り等 |
給与 | 月給274,000円~ 入社1年経過後、毎年入社月に10,000円支給。 結婚祝い金(正社員:30,000円、パート:20,000円)、出産祝い金(正社員:20,000円、パート:5,000円) |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 08:30~17:30 休憩60分 [ 月〜土 ] ※祝休 |
応募資格 | 学歴不問 PCスキル不要 必須資格:看護師資格、准看護師資格、理学療法士資格、あん摩マッサージ指圧師資格、言語聴覚士資格、作業療法士資格、柔道整復師資格…のいずれかの資格をお持ちの方 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 理学療法士・作業療法士・柔道整復師などの資格を活かし、お仕事できる環境です。 |
理学療法士の就職先は医療・福祉・教育研究・行政・健康産業分野と多岐にわたる!
理学療法士の代表的な就職先は病院であり、日本理学療法士協会のデータでは約7割が病院を就職先としています。病院以外では福祉施設や教育機関、行政機関やスポーツ関係、さらには一般企業です。就職先が多岐にわたるからこそ、就職先は慎重に選ぶことが大切です。今記事を参考に、理学療法士の就職先や働き方、就職先の選び方を押さえてみてください。
また理学療法士の資格を保有している方は、機能訓練指導員として活躍することも期待できます。機能訓練士としての就職に興味がある方はぜひ一度求人をチェックしてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。