要介護5の状態とは?給付限度額や日本人の平均健康寿命についても解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2023/03/30
要介護5とは具体的にどんな状態を指すのか、分からないという方も多いでしょう。この記事では、寿命も踏まえた介護期間や、要介護5でもらえる給付金の限度額などについて説明します。そのほかにも要介護5で入居できる施設なども紹介しますので、参考にしてください。
目次
要介護5とは
【具体例】
・寝たきりの状態になることが多く、体力の低下から飲食も難しい
・意思疎通が難しい
【要介護度】
低 ←必要介護レベル→ 高 | |||||||
非該当 | 要支援 | 要介護 | |||||
1 | 2 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
要介護認定とは、介護を必要とする度合いを7段階で表したもので、介護サービスを受ける際の指標です。要介護5は要介護認定において、最も支援の必要度が高い段階。要介護5では、寝たきりで身体の一部を動かすのが困難な人もいます。体力の低下から座ることも困難になるため、排泄にはオムツが必要となる人がほとんどです。
要介護5と要介護4の違い
要介護5と4の違いは、身体能力や思考力にあります。要介護5も要介護4も、日常生活全てにおいて介護を必要とする状態に変わりはありません。少しでも自力で身体を動かせたり、意思疎通ができたりする場合は、要介護4 に該当します。要介護5になると、自分でできることはほとんどなく、会話もままならない状態です。要介護5は介護の必要度が最も高く、身体能力・思考力において、要介護4よりもより深刻な状態にあたります。
日本人の平均健康寿命から考える介護期間
日本人の健康寿命と平均寿命を比べると、介護が必要な期間がわかります。「健康寿命」とは、日常生活に制限がなく生きられる期間を表します。
厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況」によると、令和3年の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳でした。厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」では、令和元年の健康寿命男性72.68歳、女性75.38歳でした。つまり、健康寿命と平均寿命には10年前後の差があることがわかります。
また、介護をする人を対象に行った調査を見ると、介護期間の平均を知ることができます。厚生労働省の令和3年度「生命保険による全国実態調査」では、過去3年間のうち介護を行った期間の平均は61.1カ月でした。また、4年以上介護を行った人は全体の約5割と、長年介護をし続けるケースはとても多いことがわかります。
要介護5で受けられるサービス
要介護5で受けられるサービスには通所・訪問・宿泊のほか、それらを組み合わせたものなど、さまざまな種類があります。要介護5の場合は24時間介護が必要となるため、受けられるサービスを上手に活用し、介護負担を軽減することが大切です。ここでは、要介護5で受けられるサービスについて、通所・訪問のほか、福祉器具やケアプランについても解説します。
要介護5が通所介護で受けられるサービス
通所介護(デイサービス)・地域密着型通所介護
要介護5で受けられる通所介護サービスには、デイサービスや地域密着型通所介護があります。デイサービス・地域密着型通所介護では、食事・入浴など日常生活の支援、生活機能向上のための訓練を受けられます。
家族だけでは負担の大きい入浴も、スタッフの手を借りることで安全に行えるのがポイントです。また、デイサービス・地域密着型通所介護では利用者同士の交流があるのも特徴の一つ。要介護5の人は意思疎通が難しいですが、スタッフや利用者との触れ合いが、よい刺激となることもあるでしょう。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーションは「デイケア」とも呼ばれ、利用者の身体・認知機能の回復・改善を目的とした施設です。日常生活上の支援や、生活機能向上のための訓練などを提供しています。デイケアはデイサービスよりも、医療的ケアに重点を置いているが特徴。要介護5の人は持病があったり寝たきりであったりする場合も多いため、医療的ケアを受けられるのは安心です。
療養通所介護
療養通所介護は、常に看護師の観察を必要とする重度の要介護者が対象の施設です。食事や入浴など日常生活上の支援のほか、生活機能向上のための訓練も行います。
身体機能が低下している要介護5の人は、いつ体調の変化が起こるかわかりません。そのため、看護師が常駐している療養通所介護は、要介護5の方が利用するサービスに向いていると言えます。
認知症対応型通所介護
要介護5の人は「認知症対応型通所介護」を利用できます。認知症対応型通所介護は、アルツハイマー病や脳血管の病気などで認知症になった患者に、専門的なケアを提供する施設です。
認知症対応型通所介護のメリットは、認知症になっても住み慣れた地域で暮らせることです。また、生活訓練・機能訓練も受けられることも特徴の一つ。
外出の機会が少ない要介護5の人の孤立を防ぎ、介護する家族の負担を軽くすることができるメリットもあります。
要介護5が訪問介護で受けられるサービス
訪問介護(ホームヘルプ)
ホームヘルプと呼ばれる訪問介護は、要介護5の人が自宅で受けることができる介護サービスです。身体機能や認知機能が低下している要介護5の人は、排泄や入浴などの身体介護のサポートが必要なケースが多いでしょう。
訪問介護では、同居家族が元気な場合、食事準備や掃除などの生活援助は認められた場合のみ可能です。家族が仕事で留守にするときの食事準備や掃除が必要な場合は、ケアマネージャーに相談しましょう。
訪問入浴介護
訪問入浴介護は、要介護5の人が受けられる訪問介護サービスです。入浴に特化した訪問介護で、自分で身体を動かせない要介護5の人が安全に入浴できるようサポートします。
自分で歩行ができない要介護5の人の入浴を家族で行うのは大変です。訪問入浴介護では、2,3人のスタッフが対応し入浴を行うため、家族の負担を軽くすることができます。
訪問看護
訪問介護は、看護師などが利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に従って療養上の世話や診療の補助を提供するのが特徴です。
例えば、寝たきりの方が多い要介護5の方が褥瘡(床ずれ)を起こした場合、定期的なケアが必要になります。訪問介護であれば褥瘡の状態をチェックしてもらえるので、通院の負担が減るでしょう。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションも、要介護5の方が受けられる在宅介護のひとつです。訪問リハビリテーションは、作業療法士や理学療法士などが利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持回復、自立に向けたリハビリを提供します。本人に対する訓練だけではなく、家族が抱える介護の悩みについて相談することも可能です。
夜間対応型訪問介護
要介護5の方は、夜間対応型訪問介護も利用可能です。夜間対応型訪問介護は、ホームヘルパーによる自宅訪問サービスを24時間受けられるサービスで、定期巡回と随時対応の二種類があります。定期巡回型で受けられるのは、安否確認や排泄のサポートです。随時対応型では、ケガや病気など緊急の時などに連絡すると訪問サービスを受けられます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護も要介護5の方が受けられる介護サービスです。夜間対応型訪問介護と似たサービスですが、看護師とも連携した訪問介護のサービスが24時間受けられます。定期的な訪問介護と随時対応型訪問介護看護を組み合わせるなど、他のサービスと組み合わせて利用可能。介護する家族としても24時間対応してもらえるのは安心です。
要介護5で利用できる福祉用具
要介護5の人が利用できる福祉器具は、基本的には13種類。家に取り付ける手すりやスロープの他、出かける時の支援となる歩行器や歩行補助杖、車いす、車いす付属品などが利用可能です。特殊寝台や特殊寝台付属品、床ずれ防止用具や体位変換器なども、要介護5の人に便利です。
また、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト、自動排泄処理装置も利用可能。福祉用具は所得により1~3割負担で借りられ、自己負担外のレンタル費用は支給限度額内に含まれます。
要介護5で入居できる施設
公的な施設:特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院
民間施設:認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム
要介護5の人は、身体機能や認知機能が著しく低下しているため、自宅での介護が難しく、施設に入居する場合がほとんどです。利用できる施設は公的な施設では特別養護老人ホーム、介護老人保健施設があり、民間施設では認知症高齢者グループホームや有料老人ホームがあります。
どの施設も24時間スタッフが対応するので、介護する家族の精神的な負担が軽くなります。
要介護5でかかる費用
介護には毎月発生する費用と、一時的にかかる費用があります。公益財団法人生命保険文化センターが令和3年度に実施した「生命保険に関する全国実態調査」によると過去3年間で介護にかかった月々の平均費用は8.3万円でした。また、住宅改造や介護用ベッドの購入費など、一時的な費用の合計は平均74万円となっています。
ここでは、要介護5の方にかかる費用を、在宅介護と施設入居にわけて解説します。
要介護5の方の在宅介護でかかる費用
要介護5の人を在宅介護した場合、かかる費用は月75,000円ほど。介護費用は、要介護度に比例して高くなる傾向があります。
要介護5の人は寝たきりの場合が多く、自分で身体を起こすことができません。そのため、身体を起こせる介護用のベッドやおむつ代が必要です。また、介護スタッフの手を借りなければ入浴や移動が大変なため、福祉サービスの利用料金も考える必要があります。
要介護5の方の施設入居でかかる費用
要介護5の人の施設入居でかかる費用は、施設の種類により異なります。目安は公的施設で月額6~30万、民間施設であれば10~35万ほどです。
公的施設への入居は費用が安いのがメリットですが、入居まで待機するケースや、夜間は看護師が不在の施設もあります。
一方、民間施設は費用が高めで、有料老人ホームの場合は入居一時金も必要です。より充実した介護を受けられる可能性があるため、どちらがよいか比較検討しましょう。
要介護5の支給限度額
要介護度 | 支給限度基準額(10割)※ |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
要介護5の支給限度基準額は362,170円です。要介護度に応じて支給限度額が決められているため、介護の必要度が高い要介護5の限度額は一番高く設定されています。
介護保険サービスは、限度額内なら1~3割で利用できます。要介護5で基準額上限まで利用した場合、自己負担1割なら36,217円です。
介護サービスの自己負担額はサービス利用額に比例するので、利用が少なければ支払いも少なくなります。ただし、限度額を超えてサービスを利用した場合は全額自己負担となるため、注意しましょう。
要介護5の人が利用できるサービスを知り、活用しよう
要介護5は、要介護度が最も高く重度な状態です。寝たきりになる場合も多く、施設入所での介護になる場合がほとんど。そのため、支給限度額も高く設定されており、利用できる介護サービスがたくさんあります。この記事を参考に、要介護5の人が利用できる制度をよく理解し、サービスをうまく活用しましょう。
また、介護度についてよく知っておくことは、介護職への転職にも役立ちます。ソラジョブ介護では、未経験からスタートできる介護求人を豊富に掲載しています。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。