助産師と看護師の違い|資格や給料、仕事内容などの違いをチェック
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2023/04/07
助産師と看護師は同じ医療職であり、どちらも看護師資格を持っています。つまり、看護資格があれば助産師か看護師としてもキャリアが選べます。助産師と看護師どちらを目指すか迷っている場合、違いを押さえることでどちらが自分に向いているかが見極められるでしょう。今回はさまざまな観点から、助産師と看護師の違いについてご紹介します。
目次
助産師・看護師とは
助産師と看護師は、保健師助産師看護師法で定められた医療職です。まずは、助産師とは・看護師とはについて詳しくみていきます。
助産師とは
保健師助産師看護師法第3条では、助産師を以下のように定義しています。
「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。
国家資格である助産師は、助産や産婦・新生児の保健指導・世話などを行う女性のことです。法律でも定められている通り、日本において助産師に就けるのは女性のみです。海外では男性助産師が活躍している国もありますが、日本では現状女性のみとされています。
看護師とは
保健師助産師看護師法第3条では、看護師を以下のように定義しています。
「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
助産師と同様に、看護師も国家資格に基づく職種です。医療機関や介護施設などで、医療処置や診療が必要な方の世話や診療補助に専門的に携わります。
助産師と看護師の違い
助産師と看護師の共通点はどちらも医療職であり、看護師資格を保有している点です。同じ国家資格を保有する助産師と看護師ですが、下記のようにさまざまな点で違いがあります。
①資格の違い
助産師も看護師も看護師資格を持つ職種ですが、助産師はさらに助産師資格も取得しなければなりません。そのため助産師は2つの国家資格を持つ職種である点が、看護師との大きな違いです。
助産師国家試験を受けるには、看護師資格取得後に1〜2年制の助産師養成校で助産師課程を修了することが必要です。なかには看護師課程と助産師課程の2つが修了でき、かつ国家試験も同時に受けられる大学もあります。
②ケア対象の違い
最もわかりやすい違いが、助産師と看護師のケア対象です。助産師のケア対象は、妊婦や産婦、新生児と限定されている一方、看護師のケア対象は病気や怪我を患っている全ての老若男女です。助産師は看護師資格があるため、もちろん看護師と同じく傷病者のケアをすることもできます。その上で妊婦や産婦、新生児に関する専門的な知識・技術を持ち合わせています。
③仕事内容の違い
ケア対象の違いからもわかるように、助産師と看護師では仕事内容にも違いがあります。助産師の仕事内容は、新生児の取り上げや妊婦・産婦・新生児の健康管理、保健指導などです。母子ともに健康に出産を終え、その後も健やかに育てられるようにサポートする役割を持ちます。一方、看護師は傷病者の療養上の世話や診療の補助が主な仕事内容です。助産師の仕事は限定的ですが、看護師は傷病者に対してあらゆるサポートを提供します。
④職場の違い
下記は、助産師と看護師の主な就業先と構成割合です。
助産師 | |
---|---|
病院 | 60.9% |
診療所 | 24.5% |
助産所 | 5.6% |
看護師 | |
---|---|
病院 | 68.9% |
診療所 | 15.0% |
訪問看護ステーション | 4.3% |
医療職であることから、主な職場は病院・診療所である点は共通しています。それ以外では助産師は助産所がメインとなり、なかには社会福祉施設や保健所、市区町村へ所属している人もいます。一方、看護師は医療機関以外にも介護老人保健施設のような介護施設、訪問・居宅系サービスと助産師よりも職場が幅広い点が特徴です。看護師は医療・福祉・介護と複数の業界で活躍できる職種であることがわかります。
⑤給料の違い
下記は、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」による助産師と看護師の給料です。
※年収=月給×12+賞与
助産師 | 看護師 | |
---|---|---|
平均年齢(歳) | 37.1 | 41.2 |
勤続年数(年) | 7.5 | 9.2 |
月給 | 38.7万円 | 34.4万円 |
賞与 | 88.7万円 | 85.4万円 |
年収※ | 553.1万円 | 498.2万円 |
給与において一般的に平均年齢が高く、勤続年数の長い方が高い傾向にあります。一方で、看護師よりも平均年齢が若く、勤続年数が短い助産師の方が給料が高くなっています。単純計算では、助産師は看護師よりも54.9万円高い年収です。これは、助産師は2つの国家資格を持つ職種であり、かつ助産師手当や分娩介助手当などが充実している施設が多いからといえます。看護師資格に加えて高い専門性が求められる点が、看護師との年収差に関係していると考えられるでしょう。
助産師と産婦人科看護師の違い
病院にはさまざまな診療科や専門機関があり、うち産婦人科や産科クリニックなどで働く看護師もいます。産婦人科で働く看護師は、一見助産師と同等と思われるでしょう。しかし、助産師資格がなければ助産や妊婦・新生児の保健指導などに携わることはできません。そのため、産婦人科看護師の役割は母子の健診介助や診察介助、出産時の医師・助産師のサポートです。助産には関われませんが、出産後の母子の世話や健康管理を行うことはあります。
また産婦人科は出産だけでなく、婦人科系の病気を患った方や不妊治療など幅広い診療に対応しています。そのため産婦人科看護師は妊婦・新生児をはじめ、さまざまな年齢層の女性に対してケア・サポートを提供します。
助産師よりも看護師に向いている人
助産師と看護師は同じ看護資格をもつ職種ですが、ケア対象や仕事内容などに違いがあります。また、助産師になるか看護師になるか迷っている場合、まずは看護師としてキャリアを積むのも1つの道です。なぜなら、看護師資格があれば最短1年で助産師資格が取得できるからです。つまり、看護師として働いている中で助産師になりたくなれば、いつでも資格取得が目指せます。その点を踏まえた上で、ここでは助産師よりも看護師に向いている人をご紹介します。
幅広い人のケアに携わりたい
助産師のケア対象は妊婦やじよく婦、新生児と限定的ですが、看護師は療養が必要な老若男女すべての人にケア・サポートを提供します。そのため助産師は専門性が高く、看護師は幅広くスキルが身につけられるでしょう。助産師はスペシャリスト、看護師はゼネラリストともいえます。この点は医療分野の中でも出産に関心があるか・携わりたいかにもよりますが、幅広い人のケアに携わりたいのであれば看護師が向いています。
医療業界以外でもキャリアを築きたい
助産師も看護師もメインの活躍の場は医療業界ですが、看護師はさらに医療・福祉でも高い需要を誇ります。もちろん助産師も看護師資格を持っているため、看護師として医療・福祉業界でキャリアを築くことは可能です。ただし、助産師は出産に関する看護を専門とするため、医療・福祉現場で求められる看護とは少々違いもあるでしょう。そのため医療業界のみならず、幅広い業界で活躍したいと考えているのであれば看護師が向いているといえます。
助産師と看護師の違いは資格やケア対象、仕事内容にある!
助産師と看護師はどちらも看護師資格に基づく職種ですが、助産師は加えて助産師資格も保有します。助産師は2つの国家資格を持ち、かつ医療分野のなかでも出産を専門としている点が特徴です。同じ資格を持つ医療職であっても、分野やケア対象などさまざまな点で違いがあります。今記事を参考に、助産師と看護師の違いを押さえてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。