要支援1とは?デイサービスの利用頻度、支給限度額について解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/07/07
公開日:2023/07/07
要支援1とは、要介護レベルを表す段階の一つで、一番軽い段階を指します。要支援1に認定されると、通所型・訪問型サービスや福祉用具のレンタルなど、支給限度額内でさまざまなサービスが利用可能。この記事では、要支援1の状態や利用できるサービス、要支援2との違いについて、詳しく紹介します。
目次
要支援1とは
【具体例】
・要支援は介護を必要としていないが一部支援を必要とする場合がある状態
・要支援1は身の回りのことは自分一人でできる状態
・しかし、体力の衰えから立ち上がりがふらついてしまうこともあるため、多少手助けや支援が必要
【要介護度】
低 ←必要介護レベル→ 高 | |||||||
非該当 | 要支援 | 要介護 | |||||
1 | 2 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
要支援1とは、7段階で示された要介護レベルの一つを指したもので、もっとも支援の必要度が軽い段階です。食事や入浴、排泄は不自由なく行えますが、立ち上がりのときにふらつく可能性がある状態が、要支援1に当たります。
要支援1と要支援2の違い
要支援2は、要支援1よりも少し症状が重い状態といえます。たとえば、要支援1では掃除の一部に対して何らかの介助が必要ですが、要支援2ではそれに加えて見守りや手助けが必要です。
要支援1・要支援2のどちらも日常生活での基本的動作は自分で行えますが、要支援2は立ち上がりや掃除などについてもサポートが必要な状態、といえるでしょう。
要支援1で受けられるサービス
要支援1の認定を受けると、通所や訪問型サービスの利用、福祉用具のレンタルが可能です。要支援1で定められた支給限度額内であれば、さまざまなサービスを組み合わせて利用できます。ここでは、通所と訪問に加え、福祉器具やケアプランについても解説します。
要支援1が通所介護で受けられるサービス
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーション(デイケア)とは、日常生活支援や生活機能を向上するための機能訓練を行う通所型施設です。利用者の身体と認知機能の回復・改善が目的とされています。
通所リハビリテーションは医師が在籍する介護老人保健施設や病院などに設置されていて、医師の指示のもとサービスが利用できます。通所介護と呼ばれるデイサービスに比べて、医療的ケアを重視したサービスが提供されるのが特徴です。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護とは、認知症患者に対して、日常生活の支援や機能訓練などの専門的ケアを提供する通所型サービスです。認知症が原因で地域社会から孤立してしまうのを防ぎ、病気の進行を遅らせることが目的です。利用者は、デイサービスやグループホームなどの通所型介護施設に通い、サービスを利用します。
認知症対応型通所介護は、介護する家族の負担軽減を目的として利用されることもあります。
要支援1が訪問介護で受けられるサービス
訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護(ホームヘルプ)とは、ホームヘルパーと呼ばれる訪問介護員が利用者の自宅を訪問して行う介護です。主に食事や入浴・排泄介助などの身体介護や、調理・買い物・掃除・洗濯などの生活援助を提供します。訪問介護サービスは、あくまでも利用者の自立した生活を目的として行われるため、来客対応・草むしりなどはサービスの対象外です。一方、通院する場合の付き添いを行う事業所もあります。
訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、利用者の自宅を訪問し、入浴介護サービスを提供するサービスです。持ち運びが可能なポータブルの浴槽を使って、看護師と介護スタッフの3人1組のケアを行うのが一般的です。
訪問入浴介護は、入浴による清潔保持だけでなく、自宅での生活を安全に営むことも目的に含まれます。そのため、皮膚に火傷や傷があるなどトラブルがある場合の対応も行っています。
訪問看護
訪問看護とは、看護師などの専門職が利用者の自宅を訪問し、主治医の指示のもと診療の補助や療養上の世話を提供するものです。疾患や障害に対して、看護師による病状管理が必要と医師が認めた方が対象です。
訪問看護では清潔支援や医療機器管理、リハビリテーション、他職種との連携など、さまざまな支援を受けられます。利用者の負担額は要支援・要介護レベルに関わらず、同額です。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションとは、主治医の指示のもと、理学療法士などリハビリ専門職が利用者の自宅を訪問し、リハビリテーションを提供するサービスです。心身機能の維持回復と自立を目的として行われます。
訪問リハビリテーションは一般的なイメージにあるリハビリだけでなく、日常生活に関するアドバイスや介護相談など、家族支援も行います。訪問看護と同様に、利用者負担額は要支援・要介護レベルに限らず、すべて同額です。
要支援1で利用できる福祉用具
要支援1では、基本的には手すりや歩行器、スロープ、歩行補助杖の4種類のレンタルが可能です。また医師の指示があれば、この4種類以外のものをレンタルできる場合もあります。
利用者は、費用の1割負担(一定以上所得者の場合は2割または3割)で、用具のレンタル可能です。自己負担外の残りのレンタル費用は、支給限度額内に含まれるため、限度額をオーバーすると残りは自費負担になります。
要支援1で入居できる施設
公的な施設:特別養護老人ホーム(特別な事情がある場合のみ)
民間施設:認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム
要支援1の場合、認知症高齢者グループホームや、有料老人ホームへの入居が可能です。また、場合によっては特別養護老人ホームへの入居もできます。
しかし要支援の利用者を受け入れる施設は少なく、施設入居している人も要介護の利用者に比べて少ない傾向にあります。要支援1であっても、特定疾病があるなどの理由で自宅での生活が心配な場合は、施設への入居を考えてみるのもよいかもしれません。
デイサービスの利用方法
要支援1の人は、指定された施設であればデイサービスの利用が可能です。本来、デイサービスは要介護に認定された人が対象であり、要支援では受けられません。しかし要支援であっても、地域支援事業に含まれる「日常生活支援総合事業」の対象となっているデイサービス施設を選べば、利用が可能です。
また、デイサービスの利用回数には上限の規定がありません。しかし要支援の場合は月額料金が決まっているため、週に1回程度利用するのが一般的です。自己負担額にすると、1割負担の場合で月額2,000円程度の費用がかかります。
要支援1でかかる費用
【参考値】※要支援1〜要介護5までのすべての要介護レベルにおける平均値
月額費用:平均8.3万円
一時的にかかる費用合計:74万円
生命保険文化センターが実施した調査によると、過去3年間で介護の経験がある人が介護でかかった費用(月額)は平均8.3万円でした。また、ベッドの購入や住宅改造など、一時的にかかった費用の合計は平均74万円でした。
この調査結果は公的介護保険サービスでの自己負担費も含んだものであり、また要支援1〜要介護5までのすべての要介護レベルにおける平均値です。
要支援1はもっとも支援の必要度が軽い段階であり、要介護などに比べると必要とする支援自体も少ないため、費用も比較的控えめといえるでしょう。
要支援1の支給限度額
要介護度 | 支給限度基準額(10割)※ |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
要支援1の利用限度額は、50,320円(自己負担1割=5,032円)であり、介護保険サービスは限度額内であれば1~3割での利用が可能です。一方で、支給限度額を超えたサービスの利用は、全額自己負担になる点も理解しておきましょう。
また介護保険には、所得や利用料金に応じた負担限度額の軽減制度がいくつかあります。ここでは「高額介護サービス費」を一例として紹介します。高額介護サービス費とは、月額の利用者負担額の合計が、所得ごとで区分された上限額を上回った場合に費用補助が受けられる制度です。
補助を受けるためにはお住まいの市区町村への申請が必要なので、忘れずに行いましょう。
要支援1を含むさまざまな制度を理解して、転職へ役立てよう
要支援1とは、要介護レベルの中で支援の必要度がもっとも軽い段階であり、限度額も少ない介護度です。身の回りのことは自分一人でできる状態ではありますが、積極的にサービスを利用して介護予防をする人も。
要支援1に関する制度だけではなく他の要介護度についても知っておけば、介護職への転職に役立ちます。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。