要支援2とは?受けられるサービスの内容や支給限度額について解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/01/11
公開日:2023/07/14
目次
要支援2とは
・身の回りのことは自分一人でできる状態
・しかし、体力の衰えから立ち上がりがふらついてしまったり、歩行にも杖を必要としたりしている状態であり、手助けや支援が必要
要支援とは、6カ月にわたり日常生活を継続的に送ることに支障がある、と見込んだ状態のことです。その中でも要支援2は、食事や排せつなどは一人で行えるものの、立ち上がりや歩行、入浴などの日常生活において一部介助が必要となる状態です。
介護保険の給付を受けるためには、介護サービスの必要量の度合いである「要介護度」を、市区町村の専門家によって決定してもらう必要があります。その分類は、以下のとおりです。
【要介護度】
低 ←必要介護レベル→ 高 | |||||||
非該当 | 要支援 | 要介護 | |||||
1 | 1 | 2 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
上記のように、要介護認定とは、介護を必要とする度合いを7段階で表したものです。
要介護認定がされると、介護サービスを受けられる介護保険制度が適用されます。要介護認定で判定された要介護度によって受けられるサービスが異なります。要支援2は、要介護認定において2番目に支援の必要度が軽い段階を指します。
要支援1と要支援2の振り分けの違い
要支援1よりも要支援2の方が、多少重い状態です。
要支援1と2では、歩行時の支えの必要性などの身体状態に違いがあります。どちらも日常生活における基本的動作は一人で行えますが、立ち上がりに手助けを必要とする点で共通しています。ただし、要支援2の場合は歩く時の手助けも必要です。また要支援2の方が1よりも、家事をしたり、その他の複雑な動きをしたりする場合に支えが必要なことが増えます。
要支援2と要介護1の振り分けの違い
要介護1よりは要支援2のほうが、自立度が高いといえます。
要介護1の方は、日常生活の一部に介助が必要であり「心身状態の不安定さ」や「認知機能・思考や感情などの障害」が見られる点が特徴です。一方、要支援2の方は日常生活を送るための機能が低下していますが、介護予防サービスの利用によって生活機能の改善が見込まれる状態です。
要支援2で受けられるサービス
要支援2の認定を受けると、介護保険のサービスを利用できます。介護保険で利用できるサービスには、介護給付と予防給付の2つがあります。
要支援2では、生活機能の維持や向上を目指した軽度者向けの予防給付のサービスを利用できます。予防給付の主なサービス内容は以下のとおりです。
【予防給付の主なサービス内容】
介護予防サービス
介護予防サービスは、高齢者の生活機能の低下を防止するためのサービスで、予防を重視した介護保険制度の見直しにより2006年からスタートしています。
都道府県が管理している「介護予防サービス」や、市区町村が管理している「地域密着型介護予防サービス」、「介護予防支援」などがあります。主に運動機能や口腔機能の向上、栄養改善を課題として、生活機能の改善を図ることを目的としています。
介護サービスを受けるには、訪問サービスやデイケアに通う他、介護老人福祉施設に入所する必要があります。それぞれのサービスについて詳しく紹介します。
訪問サービス
訪問サービスは、利用者さんができるだけ自宅で自立した生活を送れるよう、看護師や介護士などのホームヘルパーが利用者さんの自宅を訪問するサービスです。
ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、食事や排泄、入浴などの身体介護と掃除洗濯や買い物、調理などの生活援助を提供します。場合によっては、通院の付き添いを行うこともあるでしょう。
訪問介護(ホームヘルプ)のほかにも、入浴に特化した「訪問入浴介護」や、看護師などが主治医の指示のもと診療の補助や健康管理を行う「訪問看護」、また、リハビリ専門職種が利用者さんの自宅を訪問して行う「訪問リハビリテーション」もあります。
通所サービス
利用者さんが日帰りで施設などに通い、日常生活の支援や機能訓練などを行う通所サービスには、「デイケア(通所リハビリテーション)」と「デイサービス(通所介護)」の2つがあります。
デイケアとは、介護老人保健施設や病院などで、日帰りでリハビリを受けられるサービス。身体や認知機能の回復・改善を目的に、日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練などを提供し、デイサービスよりも医療的ケアに重点を置いています。
デイサービスでは、老人デイサービスセンターなどで必要な支援を、日帰りで受けることができます。
短期入所サービス
短期入所サービスでは、介護老人福祉施設に短期間入所して、食事や入浴、日常生活の支援や機能訓練などのサービスを受けられます。
利用者本人が受けるサービスにも、もちろんメリットがありますが、それ以外にも、利用者さんが一時的に自宅を離れることで、介護をしている家族の負担を軽減する目的もあります。冠婚葬祭や家族が病気になるなど、在宅介護が難しい場合にも活用できるでしょう。「短期入所生活介護(ショートステイ)」や「短期入所療養介護」があります。
福祉用具の貸与や販売
介護に役立つ福祉用具をレンタルしたり、購入したりできるサービスもあります。利用者さんの自立支援や、介護する方の負担軽減を図ります。レンタルがなじまない物は、購入も可能です。要支援2でレンタルできる福祉用具は、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助杖の4種類があります。医師の判断によっては、この4種類以外のものをレンタルできる場合もあります。
レンタルの場合は、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)負担で利用が可能です。自己負担外である残りのレンタル費用は、要支援2の支給限度額内に含まれます。
地域密着型介護予防サービス
地域密着型介護予防サービスは、住んでいる地域を離れずに生活を継続できるように支援してくれるサービスで、事業者の指定や監督は市区町村が行っています。慣れ親しんだ地域を離れるのは、利用者さんにとって大きな負担になることもあります。
できる限り住み慣れた場所で暮らせるよう、地域の特性に応じた柔軟な体制をとっているサービスです。指定した市区町村に居住する被保険者が利用可能で、以下の3種類があります。
介護予防認知症対応型通所介護 | 物忘れなどがある軽度の認知症高齢者が対象。施設に通所し、認知症予防ケアを受けます。 |
---|---|
介護予防小規模多機能型居宅介護 | 通所を中心としながら、訪問系や宿泊のサービスを組み合わせています。 |
介護予防認知症対応型共同生活介護 | 物忘れなどがある軽度の認知症高齢者が対象。住宅で共同生活をし、スタッフによるケアを受けます。 |
介護予防支援
介護予防支援では、自宅で介護予防のサービスを適切に受けられるよう、ケアマネージャーによるケアプラン(介護予防サービス計画)の作成をしてもらいます。作成されたケアプランに即したサービス事業所や、施設などへの連絡や利用のための調整などのサービスも受けられます。基本的に地域包括支援センターで行われますが、居宅介護支援事業所に業務委託されていることもあります。<
要支援2のサービスを受けるまでの流れ
要支援2のサービスを受けるためには、まず住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請をしましょう。市区町村の職員などによる認定調査や、市区町村から依頼を受け、主治医が意見書の作成を行います。主治医がいない場合には、市区町村の指定医による診察があります。
申請から認定の通知までは、原則30日以内です。
要介護度の決定を受け要介護認定されると、ケアプランの作成に入ります。利用者や家族の希望、心身の状態を充分考慮して、介護サービス計画書が作成され、それに沿った介護予防サービスの利用が開始されます。
要支援2の支給限度額
要介護度 | 支給限度基準額(10割)※ |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
※1カ月あたり
要支援2のサービス利用限度額は、105,310円(自己負担1割=10,531円)。上記に示した支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、全額が自己負担です。たとえばデイサービスが利用できる回数は、週2回程度が一般的です。
一方、所得もしくは1カ月あたりの利用料が高額な場合などによっては、利用者の負担額に制限を設けた負担限度額の制度もあります。所得状況だけでなく、利用施設やユニット型など、使用する部屋によって料金が細かく設定されているのが特徴です。負担額の軽減につながるため、該当する方は忘れずに市区町村へ申請を行いましょう。
要支援2でかかる自己負担額
介護保険サービスは、支給限度額内なら1~3割の自己負担で利用できます。要支援2では、支給限度額内で訪問系とデイサービスなどの通所系、福祉用具を組み合わせての利用が可能です。
また、生命保険文化センターが行った調査結果では、住宅改造や介護用ベッドの購入費など、過去三年間の介護に要した一時的な費用の合計は平均74万円。この結果は、介護保険サービスの自己負担額を含んでいて、要介護度にかかわらない全体の平均値ですが、月々では平均8.3万円かかっていることがわかります。
要支援2で入居できる施設
公的な施設:特別養護老人ホーム(特別な事情がある場合のみ)
民間施設:認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム
要支援2で入居できる施設は、有料老人ホームなど上記3種類のみであり、限定されています。実際、要支援で施設入居している方は少なく、受け入れる施設も少ないのが現状です。
一方で、要介護度が低く一人暮らしができる状態であっても、自宅での生活に不安がある場合は、施設入居を検討してみてもよいかもしれません。
要支援2に関するQ&A
Q.要支援2で受けられる各サービスの回数は?
A.選択するサービスの種類により、回数は異なります
要支援2で予防給付のサービスを受ける場合には、いくつかのサービスを組み合わせて利用することが一般的です。訪問看護やリハビリ、福祉用具貸与など、選択するサービスの種類により、利用できる回数は異なります。
サービスを利用する際には、ケアマネージャーと、「どのようなサービスが必要か」「1カ月の間にどのサービスを何回程度受けたいか」をよく相談し、必要なサービスが受けられるように計画しましょう。
Q.要支援2で一人暮らしはできる?
A.可能ですが、個人差があります
要介護認定の基準上、要支援2の段階では、一人暮らしが可能と考えられます。日常生活を営む上での身体機能や認知機能に大きな低下がない、と判断されているためです。
ただし、疾患や体の状態により個人差もあります。家事や外出の際などに、家族のサポートや専門のスタッフによる介助・サポートが必要な場面もあることも留意しておきましょう。
Q.要支援2の方に関わるときのポイントは?
A.一定のサポートや見守りが必要です
要支援2に該当する方は、日常生活を送る上での基本的な動作は自分で行うことができ、理解力の低下もほとんど見られません。だからといって、一人で完全に自立できるわけではなく、家事や立ち上がり、歩行などにおいて、一定のサポートや見守りが必要なのを忘れてはいけません。
介護職として要支援2と認定された方と関わる際には、自分でできることと、サポートが必要なことを見極めて支援することがポイントです。
要支援2について詳しく知っておきましょう
介護認定における要支援2について紹介しました。要支援2の方には、歩く時や立ち上がりの時にサポートしたり、複雑な動作をともなう家事をしたりする際には援助するようにしましょう。また、利用できる制度やサービスを知っておけば、介護職への転職にも役立ちます。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。