利用者さんとご家族の笑顔を見たい。無資格から介護福祉士へ転職した体験談
Bさん(35歳)
更新日:2024/03/26
公開日:2024/03/28
今回は、無資格から介護福祉士資格を取得して転職した方の体験談をご紹介。介護福祉士は、介護が必要な方に対してケアや支援をする専門家です。高齢化が進む日本においては重要な存在で、転職市場においても需要が高い職業のひとつ。介護福祉士への転職を目指す方に向けて、資格取得や転職に向けて準備したことなどを解説します。
目次
【前職】生活重視で「パート介護スタッフ」として働く
私は、20代半ばに結婚・出産を経験。子育てや家事と仕事を両立させたくて、残業が少ないデイサービスの介護スタッフとしてパート勤務をしていました。具体的な業務は、利用者さんの食事の準備やレクリエーションの企画などです。デイサービスでの業務を通して、利用者さんとの会話やイベントの企画を行うことにやりがいを感じていました。また、介助が必要な方とのコミュニケーションの方法など、専門的な知識を実際の業務の中で学ぶことができたのもとてもよい経験です。勤務体系についても、日中の時間帯だけと業務時間が限られていて、私生活と両立がしやすいと感じていました。
子育てが落ち着いてやりたい仕事を見つめ直す
子どもが小学校に入学し、ある程度自立ができるようになって、子育ても一息ついてきました。そんなときに、改めて自分の将来のキャリアを考える時間ができたんです。これが、転職を考え始めた最初のきっかけでした。これからは、子どもの教育費などお金がかかることが増えていくので、正社員として本格的に働いていきたいと思うように。幸いなことに、夫の会社がリモート勤務中心に変わったため、私が家にいない時間があっても問題ないと思えたことも転職を考え始めた理由でした。
「より専門的な介護の仕事」の魅力を感じ始める
転職を考え始めたとき、改めて自分が何をしたいのか、何にやりがいを感じるかと振り返ってみました。デイサービスの仕事では、イベントや食事の準備を通して利用者の方と触れ合っている時間が一番楽しく、やりがいを感じていました。ただ、無資格のスタッフだったので、自分の手でできる仕事は限られていました。ときに、もどかしさを感じることも。
なので、転職するならもっと知識を身につけて、専門的な介護の仕事に関わってみたいと思うようになりました。周囲にいた専門資格を持って働く介護スタッフや介護福祉士の方の姿が、輝いて見えたのもそう考えた理由のひとつ。資格を取得することで、将来的にも長く介護の業界で活躍できるのではないかとも考えました。
利用者さんが笑顔になる様子を間近で見て
前職場のデイサービスには、さまざまなタイプの利用者さんがいました。レクリエーションに参加するのが苦手であったり、コミュニケーションがなかなか取れなかったり、すぐに家に帰りたがったり。ときには、すぐに怒り出してしまう人もいました。本当にいろいろな利用者さんがいる中でも、ベテランの介護福祉士さんは一人ひとりに真摯に向き合って声がけをして、少しずつ利用者さんの心を開いていました。
介護スタッフとして近くで働きながらその様子を見て、声がけやサポートひとつでここまで人を変えることができるのか、と痛感したのを今でもはっきりと覚えています。
先輩介護福祉士のアドバイスで転職を決意
介護福祉士への転職を決意したのは、先輩介護福祉士からの言葉です。その方に、利用者さんに対する自分の対応について、「あなたの声がけや言葉選びはすごく素敵ね」と褒めてもらえたことが最大のきっかけ。自分ではとくに意識をしていなかったものの、自分なりに一生懸命に仕事に向き合ってきた成果だと思うと、とても嬉しかったです。
また、「せっかくなら、国家資格の介護福祉士を目指してみるのはどう?」と言ってもらえたことも、転職を決める後押しになりました。その先輩のおかげで、もっとスキルを磨いて世の中の役に立ちたいと、仕事や勉強に対する意識も高まりました。
転職活動をスタートするときに準備したこと
介護福祉士資格取得のため勉強をした
転職前は無資格で働いていたので、今後の業務や面接での評価ポイントにつなげたくて、介護福祉士の資格を取得しようと勉強を始めました。介護福祉士資格を取得するには、いろいろな方法があります。私の場合は実務経験が3年以上あったので、実務者研修と筆記試験を受ける形を選択。筆記試験の出題範囲が広く、独学で対策する自信がなかったので、通信講座を活用して子育てや家事の合間を見ながら試験勉強を進めました。3〜4カ月くらいは、仕事と家庭、資格勉強に追われながら生活していました。
介護福祉士が担う役割を学んだ
資格の勉強だけでなく、実際に介護福祉士になったときに即戦力となれるよう、無資格の介護スタッフと介護福祉士の役割の違いについて、改めて理解を深めました。食事・排泄・入浴などの「身体介護」は、資格を持っていないと行うことができません。資格を取得して、もっと専門的な介護のスキルや知識を高める必要があると改めて実感しました。
また、資格取得後には、ひとりで訪問介護の業務に携われることも新たに学びました。仕事への理解を深めることで、キャリアパスを考える参考にもなる有益な時間であったと思います。
転職先に求める条件を整理した
>今のデイサービスで仕事を続ける選択肢もありましたが、資格を取得して介護福祉士として働くのであれば、条件面も整っている職場を探したいと考えました。いろいろな求人を見ていく中で、自分は具体的に何を求めるか、妥協するかを早い段階で整理できました。結果として、効率的な職場探しにつながったのではないかと思います。
私の場合は、介護福祉士としては初めての職場だったので、研修体制がしっかりしていることと、子どもが病気のときなどに休みが取りやすいことの2つを重視しました。施設のサービス種類にはこだわらず、比較的働いている人の多い介護施設を中心に採用の面接を受けました。
介護福祉士への転職活動で大変と感じたこと
転職活動をする中で大変に感じたのは、時間の管理です。パートの介護スタッフと母の役目を全うしながら、介護福祉士の試験に向けた勉強を行いました。1日の中でまとまった勉強時間を取ることが難しかったので、早朝や通勤・帰宅の電車内、子どもたちが寝た後などのスキマ時間を学習に活用。ルーティンができるまでは大変でしたが、慣れてくると勉強しないと落ち着かないほど習慣が身についたように感じます。移動時間中の学習は、スマホに資料などを入れて読み物を中心に行うことで、重たい参考書などを持ち歩く必要もありませんでした。
資格と実務経験を強みにアットホームな雰囲気の特養へ転職
介護福祉士の国家試験に合格後、最終的には特別養護老人ホームへの転職に成功しました。現在の職場の採用面接は資格取得直後だったので、資格試験に向けて努力してきたことや、パート職員として働いてきた実績をとくにアピールしました。介護福祉士にしかできない業務は何であるのかなどの知識を面接で質問される場面があり、試験以外の業務に関することも勉強しておいてよかったと思います。また、転職の軸を明確化しておいたので、面接のときに積極的に研修や福利厚生に関する質問ができました。これも、よい職場を見つけられた理由のひとつだと思います。
自己PRでは「利用者さんとのエピソード」をアピール
面接の自己PRは、介護スタッフとして働く中で利用者さんとの印象深いエピソードを交えて伝えました。面接官からも、とてもよい反応をいただけたと感じます。エピソードを話すときはとくに、自分にしかできない利用者さんへの声かけの工夫や配慮をアピール。大切なPRポイントだと思っていたので、面接前からどのように話すかとくに意識しておきました。私の場合は伝えたいことを紙に書き出して、頭の中を整理してから面接に望むようにしていました。伝えたいことをうまく話せた理由のひとつだと思っています。
利用者さんとご家族を支える立場として奮闘中
現在は転職前に比べて、より専門的な立場から利用者さんやご家族に接することができるようになりました。利用者さんに必要な介護も異なるので、実際に自分の手でできる業務が増えただけでなく、資格の勉強で学んだ知識を活かせる場面もあって、より専門性が高い仕事ができていると感じます。
また、同じ業務をしていても、その裏にある背景や制度などを知っていることで業務の質自体の向上にもつながりました。おかげで、今まで以上に感謝の言葉をいただける機会が増え、やりがいにつながっています。
実務経験が活きてスタッフの教育も担当できるように
転職前から介護職としての実務経験があったのは、私にとって大きなアドバンテージであったと感じています。今までは指示を受けて仕事をする立場でしたが、介護福祉士の資格を取得したことで、パートスタッフへ指示をする機会も増えてきました。今では、介護スタッフの教育係も任されています。人の成長に携われて、新しいやりがいを感じています。その反面、自分で理解するのと人に教えるのではまったく異なると痛感しました。今まで経験してこなかった課題と日々奮闘する毎日です。
介護福祉士への転職を目指す人に伝えたいこと
介護職は無資格でも働けますが、専門的な業務の幅を広げたいのであれば、介護福祉士の資格を取得するのがおすすめですし、お給料面でのメリットが大きいです。資格試験に向けての学習は決して楽ではありませんが、コツコツ積み重ねていけば、合格を目指せると思います。また、転職の面接の際は自分の経験やスキルを一度整理し、論理立てて説明することで、説得力のある自己PRにつながります。
未経験の人なら「研修体制」や「資格取得支援制度」も要チェック
未経験から介護福祉士を目指すのであれば、職場でどの程度研修体制が整っているかを事前に確認するのがおすすめ。研修や教育体制が整っていれば、仕事に慣れやすいだけでなく、目標を持って働けると思います。研修制度は施設や会社の規模によって左右されることが多いと思うので、会社の基本的な情報を確認しておくとよいのではないでしょうか。
また、これから介護福祉士の資格を取得するなら、資格取得をサポートしてくれる制度があるかも要チェックです。転職先によっては、受験費用や試験日の休暇補助などを用意しているところもあります。
業務の幅が広がる介護福祉士資格を取得して、転職を目指そう
パートの介護職として働きながら、介護福祉士の資格を取得し転職を成功させた方の体験談を紹介しました。介護福祉士の資格取得をしたことで、さらなる専門知識の向上や新しいやりがいを発見できた満足のいく転職活動だったとわかります。また、転職の軸を早期に明確化させるのも成功には不可欠な要素です。介護福祉士の仕事に興味がある方、転職をお考えの方は、ぜひこの方の方法を参考に転職を目指してみてください。
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