診療報酬改定とは何かをまとめました!診療報酬の役割や改定のポイントなど紹介
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2019/11/06
医療事務の仕事のひとつに診療報酬の計算があります。診療報酬については改定の頻度も多く、なんだか難しそうと思っている人もいるのではないでしょうか。しかし診療報酬について知ることは、医療事務としてはもちろん、医療サービスを受ける患者としても大切なこと。今回は、診療報酬の役割や改定のポイントなどについて解説します。
目次
診療報酬とは
診療報酬とは、医療機関が患者に施した医療行為や医薬品の処方に対して支払われる医療費のうち、保険者(患者が加入している医療保険)から支払われる料金のことです。年齢や所得によって異なることもありますが、基本的に医療費は、患者本人が3割、保険者が7割の費用を負担します。
診療報酬の役割・目的
診療報酬は、主に人件費や医薬品費、医療機器費、その他のランニングコストといった、医療機関が運営をおこなうための費用に使用されます。診療報酬があることで、患者は経済的な負担が軽減され、安心して医療機関に通うことができ、医療機関も運営するための資金を得られます。
診療報酬の制度内容の決まり方
医療費は国によって定められる
一般的に商品やサービスの価格はその提供者によって決められていますが、医療行為や医薬品代については例外で、国が細かく価格を定めます。また、診療報酬制度の規定が、保険医療の範囲や内容を定める品目表であると同時に、一つひとつの診療行為の価格を定める役割を果たしています。厚生労働省から、価格は点数で発表されており、1点の単価は10円です。
診療報酬は2年ごとに改定される
診療報酬は、時代によって変動する社会や経済状況に応じるため、2年ごとに改定されます。診療報酬のルールは、厚生労働省に設置されている中央社会保険医療協議会(中医協)で改定の必要性が審議された後に、諮問・答申を経て、厚生労働大臣が定めています。
令和4年度(2022年)の診療報酬改定について
令和4年度(2022年)は、2年に1度改定される医療診療報酬が行われた年です。日本は2025年までには、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となって、医療・介護費の増大が懸念されています。令和4年度は、新型コロナウイルス感染症に柔軟に対応できる医療体制の構築や質の高い医療提供を実現するための働き方改革が重点的に行われました。基本方針そのものは、令和2年度と大きく変わりありません。
令和4年度は新型コロナウイルス感染症に伴う医療体制の整備などのさまざまな課題に対応するために、一般的な診療報酬改定に加え、看護職員の処遇改善が図られました。コロナ医療などを実施する一部医療機関で働く看護職員に対し、10月以降の収入およそ3%(月額平均1万2,000円相当)の引き上げが講じられています。
コロナ禍によって起こる医療機関の負担とは
令和4年度の改定率を以下に示しました。
診療報酬 +0.43% |
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※1 うち※2〜5を除いた改定分 +0.23% |
各科改定率…医科 +0.26% |
各科改定率…歯科 +0.29% |
各科改定率…調剤 +0.08% |
※2 看護の処遇改善のための特例的対応 +0.20% |
※3 リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化 ▲0.10% |
※4 不妊治療の保険適用のための特例的対応 +0.20% |
※5 小児の感染防止対策にかかる加算処置(医科分)の期限到来 ▲0.10% |
薬価等 |
薬価 ▲1.35% |
材料価格 ▲0.02% |
診療報酬本体としてはプラス改定となっていますが、薬価や材料価格などが大幅に下がっていることがわかります。本体改定率を上げるため、薬価等がマイナスになっており、診療報酬全体ではマイナス傾向です。新型コロナウイルス感染症が流行の中、医療機関にとっては厳しい改定といえるでしょう。
今後求められる診療報酬改定の動き
高齢者が増えると予測される日本では今後、医療サービスも高齢者向けのものを求められる頻度が増えていくでしょう。求められる医療のニーズの変動に対応して、患者が安心して医療機関に通い、医療機関が質の高い医療サービスを施しながら運営できる診療報酬制度の構築が必要となります。
医療と介護の連携強化を推進する「介護医療院」の創設や、医療を必要とする人に身近な「かかりつけ医機能」を担う医療機関に対する手厚い評価など、現段階でも改定の際には、高齢者を支えるための施策について国は会議を重ねています。
診療報酬改定は医療機関にとっても患者にとっても重要な仕組み
診療報酬改定は、医療に従事している方にとって、就業先の運営に関わる重要な制度改定です。また、この診療報酬の決まりによって、患者にかかる負担も変わるので、理解しておくと患者に対してより親身に接することができるかもしれません。2年ごとの周期で診療報酬改定がおこなわれるので、時代によって世の中がどんな医療を求めているのかを探り、自分なりの医療方針について考えてみる機会にしてみましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。