デイサービス(通所介護)の仕事内容を職種別に解説!給料や1日の流れは?
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/03/25
公開日:2021/01/28
利用者数の増加に伴い、働く人の需要も増えているデイサービス。そんなデイサービスの仕事内容は、職種によってさまざまです。ここでは、デイサービスの役割や種類、職種別の仕事内容などについて解説します。あわせて、給料や働くために必要な資格についても詳しく紹介するので、興味のある方はぜひご参考にしてください。
目次
デイサービスとは
デイサービスとは、日帰りで利用できる介護施設を指し、介護保険サービスのひとつです。
デイサービスは、別名「通所介護」とも呼ばれます。
デイサービスの目的は、利用者さんに可能な限り自宅で日常生活を送っていただき、社会への孤立やストレスの解消、心身機能の維持を図ることです。日中に介護できる人がいないご家庭へのサポートや、ご家族の介護負担の軽減にも役立ちます。
デイサービスの役割
デイサービスの役割は、高齢者が自宅で生活するのをサポートし、在宅介護の質を向上させることです。食事や入浴、レクリエーションなどを提供し、自立的な生活サポートのみならず、ストレス軽減や社会的孤立の解消を目指します。
デイサービスとデイケアの違い
デイサービス | デイケア | |
---|---|---|
目的 | 自立した生活のサポート、社会的孤立の解消 | 身体機能の回復や維持のためのリハビリ提供 |
利用できる方 | 要介護1~5認定の方 | 要介護1~5認定の方 要支援1、2認定の方 意思にリハビリが必要と判断された方 |
医師の常駐 | なし | あり |
デイサービスとデイケアの違いは、サービスの目的です。デイサービスは日常生活のサポートを目的としていますが、デイケアは「通所リハビリテーション」で、身体機能や認知機能の回復を目的としています。デイケアでは健康管理やリハビリ、医療的ケアなどがメインとなり、利用できるのは要介護1~5で、医師によりリハビリが必要と判断を受けた方のみです。
デイサービスの1日の流れ
デイサービスは決められたスケジュールのもと1日を過ごします。以下はデイサービスでの1日の流れと仕事内容の一例です。
8:00 | 出勤・1日のスケジュールやご利用さま様の確認 |
---|---|
9:00 | 送迎完了・利用者さんの体調チェック 利用者さんに合わせて入浴や機能訓練を行う |
11:30 | 昼食の準備 |
12:00 | 昼食・食事介助のサポート スタッフは入れ替わりで休憩 |
13:30 | 体操やレクリエーションなど |
15:00 | おやつ・食事介助のサポート |
15:30 | トイレ介助やおむつ交換などを行い、帰宅準備 |
16:00 | 自宅へ送迎 |
16:30 | スタッフは施設に戻り、ミーティングや片付けを行う |
17:00 | 業務終了 |
施設の提供サービスや形態によってデイサービスの1日の流れはさまざまです。なかにはリハビリを中心に行うデイサービスもあり、仕事内容も施設によって異なります。
また、一般的な介護サービスでは夜間対応も含まれますが、デイサービスは日中の利用であるため、基本的に夜勤はありません。決められた時間のみの出勤がほとんどです。
【職種別】デイサービスでの仕事内容
デイサービスでは、確保しなければならない職種や人数が法令で決められていて、上記の職種の人員が必要です。人数も、看護師が1人以上、介護職員が1人以上(利用者数による)、生活相談員が1人以上、機能訓練指導員が1人以上で、生活相談員、または介護職員のうち1人以上は常勤である必要があります。
ここでは、それぞれの職種ごとにデイサービスでの仕事内容を紹介します。
管理者・施設長
管理者や施設長は、施設の管理や運営、人材マネジメント、業務マネジメントなどのスタッフの調整や管理を行います。また、収支管理や育成支援も業務のひとつです。
大規模な施設では、1施設ごとに配置することになっていますが、規模が小さい施設では、介護の実務も兼務するケースもあります。基本的に施設管理者は日勤のみの施設が多いです。
介護職員(介護士)
デイサービスにおいて、実務部分を行うのが介護職員です。利用者さんの入浴や排せつ、食事など身の回りのサポートを行います。業務日誌の作成や、福祉用具の管理、掃除洗濯、花見や誕生会などのイベント開催なども仕事に含まれ、安定した生活を送れるように支援します。
また、ご家族と施設との連携も重要な仕事のひとつです。
生活相談員
その名の通り、利用者さんやご家族の相談に乗ったり、スタッフや外部関係者と連携を取ったり、調整を行います。入退所手続きや施設案内、サービス計画書の作成など事務作業も多く担い、苦情などの相談に応じることもあります。
また、デイサービスの生活相談員は、他の施設と比べると利用者さんのケアを中心とした業務が多く、比較的、調整業務は少なめです。
看護職員(看護師)
デイサービスの看護職員は、健康管理をはじめ、介護士では対応できない医療処置などを行います。バイタルチェックや服薬管理など、基本的な医療処置はもちろん、日頃から利用者さんの健康状態を把握し、異常がみられないか観察するのも仕事のひとつ。デイサービスでは医師が常駐していないため、体調に異変があった場合の一次対応も、看護職員の仕事です。また、入浴管理や介護士のサポートなど利用者さんの援助もすることがあります。
機能訓練指導員
機能訓練指導員の役割は、利用者さんの身体機能の向上や維持を図ることです。機能訓練時のサポートや指導、バイタルチェックや体力測定を行います。また、一人ひとりの身体状況や希望、自宅環境に合わせて具体的な目標を設定する「個別機能訓練加算計画書」などの計画書作成も重要な仕事です。
レクリエーションや体操などを通して運動習慣を身につけるように働きかけ、利用者さんが楽しみながら目標に向かって機能訓練ができるようにサポートします。
デイサービス職員の給料はどのくらい?
厚生労働省によると、令和3年の通所介護職員(常勤)の平均給与は275,620円です。ほかの介護施設職員の多くは、平均給与が300,000円を超えていることから、デイサービス職員は、この業界の中で比較的給与が低いことがわかります。
給与が低い理由として考えられるのが、デイサービスの運営時間が日中で、夜勤がないことです。非常勤となると、さらに平均給与は168,170円と下がります。
デイサービスで働くメリット
デイサービスは、未経験でも始めやすく、規則的な生活を送れるなどのメリットも多数あります。ここでは、3つのメリットについて紹介します。
未経験から始めやすい
デイサービスは、経験や資格がなくても就業しやすいのがメリットです。介護や介助の必要がない利用者さんも多いため、専門的な知識・技術がなくても対応できる業務も多くあります。
介護業界に興味がある、自分に合っているか試してみてから資格取得を目指したいなど、はじめて介護業界に転職する方にもデイサービスはおすすめです。
規則的な生活を送れる
介護の仕事では24時間対応が必要なケースが多いですが、デイサービスは日中の運営です。そのため夜勤がなく、シフトが決まっていることが多いため、生活のリズムを保ちやすいでしょう。施設によっては土日・祝日が休みの場合も多く、子育て中の方でも子どもとの時間を持ちながら仕事ができるのも大きなメリットです。
体力的負担が少ない
介護の仕事は体が資本、というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、デイサービスの利用者さんは要介護度が低い方が多いため、他の介護施設と比べると身体介助に入る機会があまりなく、体力的負担も少なめです。
体力に自信がないけど介護の仕事に挑戦したい、という方にも始めやすいでしょう。
デイサービスで働くデメリット
デイサービスは、未経験でも始めやすいなどのメリットがある一方、業界内で給与が低い傾向にあるなどデメリットもあります。上記の2つのデメリットについて紹介します。
業界内では給与が低い傾向にある
デイサービス職員の平均給与について、前述で紹介しましたが、デイサービスでは夜勤がないぶん、他の介護施設より給与が安くなる傾向があります。そのため、人とのつながりや、業務内容にやりがいを感じる方には気にならないかもしれませんが、給料の高さがやりがいにつながる方は向いていない可能性もあります。
利用者さんとの関係を深めるのに時間がかかる
デイサービスでは、顔を合わせる利用者さんは毎日変わります。入所型の施設の場合には、毎日同じ利用者さんに会えるため、信頼関係を築きやすいでしょう。利用者さんと信頼関係を深めるためには時間が要することを留意し、じっくりと向き合うことが求められます。
デイサービスの種類
デイサービスの種類 | 特徴 |
---|---|
健康管理、身体介助、レクリエーションなどを提供 | |
認知症緩和のプログラムを提供 | |
歩行訓練や筋力トレーニングなどを提供 | |
施設へ宿泊できるサービスを提供 |
デイサービスにも、一般的なものからリハビリ特化やお泊りができるものなど、さまざまな種類があります。4つのサービスについて、特徴を紹介します。
一般的なデイサービス
日常生活のサポートを目的とするデイサービスで、健康チェックや、身体介助、レクリエーションなどを提供します。要介護1から利用でき、利用者数によって大規模デイサービス、通常規模デイサービス、小規模デイサービス(地域密着型通所介護)の3つに分けられます。
コミュニケーション能力が高く、社交的な方は大規模デイサービスが向いている可能性があるでしょう。利用者さんに合わせた細やかな対応を希望する場合には、小規模デイサービスを選ぶのもよいかもしれません。
認知症対応型デイサービス
その名の通り、認知症の方に特化したデイサービスで、要介護1以上かつ、認知症の診断を受けた方のみが利用可能な施設です。利用目的やサービス内容は一般的なデイサービスと同様ですが、認知症の利用者さんへの対応ができるよう、認知症への理解が深い介護職員が集まっています。
認知症の進行を遅らせるためのプログラムや、症状の緩和を目的として機能訓練なども取り入れられているのが特徴です。
リハビリ特化型デイサービス
リハビリに特化したデイサービスで、作業療法士や理学療法士といったリハビリの専門家から機能訓練を受けられます。リハビリがメインで、食事や入浴などの身体介護やレクリエーションなどが行なわれない施設もあり、その場合には費用が安い傾向にあります。また、短時間で行われることも多く、長時間の滞在を不安に感じる利用者さんにも最適なサービスです。
お泊りデイサービス
デイサービスを利用した後に、そのまま施設に泊まれるサービスです。知らない場所に泊まることに不安に感じる場合でも、慣れ親しんでいるデイサービスの施設であれば宿泊できる、という利用者さんもいらっしゃいます。利用者さんの家族が旅行に行く際などにも活用できる、便利なサービスです。
宿泊費は施設によって異なりますが、一泊3,000~5,000円程度が一般的です。
デイサービスで働くために必要な資格とは
デイサービスで働くために、どの職種で、どのような資格が必要なのかなど、気になる疑問についてお答えします。また、無資格でも働ける職種についても紹介します。
疑問① そもそも無資格未経験でも大丈夫?
デイサービスの求人には、無資格・未経験が多くあります。なぜなら、デイサービスには専門的な介護関連の資格や実務経験がなくても、対応できる仕事が多いからです。
また、実務的な面は働きながら身につけられ、より専門的なスキルを身につけたい、スキルアップしたい場合には資格を取得するとよいでしょう。
【デイサービスで資格なしでもできる職種】
・管理者・施設長
・介護職員
・事務
疑問② 取得した方がいい資格とは?
同じデイサービスであっても、働く職種によって必要な資格は異なります。
機能訓練指導員は理学療法士や作業療法士、看護職員は看護師などの国家資格の保有が必須です。しかし、生活相談員は自治体や施設によるものの、無資格でも可能な場合があります。職種ごとに必要な資格や採用要件は以下の表をご確認ください。
職種 | 役立つ資格・必要な資格 | 採用要件 |
---|---|---|
管理者・施設長 | 社会福祉主事任用資格 社会福祉施設長資格認定 |
施設によって異なる |
介護職員 | 介護職員初任者研修 介護福祉士実務者研修 介護福祉士 など |
未経験・無資格でも可能 |
生活相談員 | 社会福祉士 精神保健福祉士 社会福祉主事任用資格 |
各自治体や施設により資格要件は異なる |
看護職員 | 看護師 准看護師 |
必須 |
機能訓練指導員 | 看護師 准看護師 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 など |
必須 |
デイサービスの仕事が向いている人
・高齢者との関わりに喜びを感じる人
・介護の仕事に興味がある人
・プライベートも充実させたい人
高齢者と関わることが自然である、喜びを感じるという人には最適な仕事です。デイサービスは日勤がほとんどのため、プライベートも充実させたい場合にもおすすめ。
上記以外にも、ケアやサポートに抵抗がなく、常に新たな技術を学ぶ意識が高い人も向いているといえるでしょう。また、細かな変化に気づく必要もあるため、観察力やコミュニケーション能力に長けている人にもぴったりです。
生活支援をしながらも、会話も重要なため、人の話を聞くのが好きという人も向いています。
未経験からデイサービスへ転職するには?
<未経験からでも、デイサービス介護職員への転職は可能です。介護職初任者研修や実務者研修の資格を持っているなら、デイサービスでもきっと役に立つでしょう。可能なら事前に取得しておくのがおすすめです。
転職する施設を選ぶ際には、施設ごとの特徴をしっかり確認しましょう。利用者さんの人数や施設の種類によっても、働き方が変わります。デイサービス施設だから、と決めつけず、業務内容についてはしっかりとチェックしましょう。
ワークライフバランスを重視する場合には、とくに土日・祝日が休みか、残業はあるかなど、シフトについても要チェック。施設ごとに給与も異なるため、自分が納得できる給与かどうか求人情報から確認をし、希望に合う施設を探しましょう。
デイサービスの仕事内容を知り、転職を目指しましょう
高齢化社会が進んでいく日本では、介護需要も高まっています。デイサービスは介護関連の職のなかでも働きやすい環境であるとともに、やりがいがある仕事です。また、無資格・未経験でも就業可能であり、有資格者は知識や経験を活かして働けます。
ソラストでは、デイサービスの求人を豊富に取り扱っています。無資格でもOKの施設も多くありますので、介護の仕事に興味がある、デイサービスの仕事をやってみたい、という方はまず検索をしてみましょう。自分の希望に合ったデイサービスの施設を探し、転職を成功させてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。