准看護師とは?正看護師との違いや資格の取得方法、仕事内容などについて解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/02/12
准看護師とはどんな職業なのでしょうか。名前は聞いたことがあるけれど、具体的に何をする資格なのか分からないという方も多いでしょう。今回は看護師との違い、資格取得の方法、仕事内容など、准看護師について詳しく解説していきます。看護職のキャリアを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
准看護師とは
准看護師とは医師や看護師の指示に沿って看護や診療補助を行う医療従事者です。病院やクリニックのような医療施設をはじめ、介護施設や老人ホームなどさまざまな場所で活躍しています。
准看護師になるためには都道府県が実施する試験に合格し免許を得る必要があります。
免許取得の試験を受けるためには指定の養成所で知識や技術を学び、単位を取得しなければなりません。
准看護師と看護師との違い
准看護師と看護師の違いは、保有免許や仕事の権限、給与などです。准看護師の免許は都道府県知事が発行しますが、看護師免許は厚生労働大臣が発行します。
また、准看護師と看護師の仕事内容は基本的に同じです。ただし、自己判断で看護業務や医療行為ができる看護師と違い、准看護師は医師や看護師の指示がなければ業務を行えません。よって給与面においても、看護師より准看護師の方が低い傾向にあります。
准看護師 | 看護師 | |
---|---|---|
免許・資格 | 都道府県が実施する試験に合格し、都道府県知事が発行する免許を取得 | 国家試験に合格し、厚生労働大臣が発行する免許を取得 |
受験資格を得るための学修過程 | 1:中卒資格を取得 2:2〜3年課程で1,890時間以上を履修 |
1:高卒資格を取得 2:3〜4年課程で3,000時間以上を履修 |
仕事の権限 | 医師や看護師の指示のもとでのみ看護ケアや医療行為ができる | 自己判断で看護ケアや医療行為ができる |
給与 | 看護師と比較して低い | 准看護師と比較して高い |
准看護師になるには
准看護師になるためには養成課程の修了に加え、准看護師試験に合格しなければなりません。
中学卒業後から准看護師を目指す場合は、准看護学校に2年、または衛生看護科のある高等学校に3年通学。一般高校卒業後であれば准看護学校、または4年制の看護大学、3〜4年制の短大・専門学校に通学することで准看護師試験の受験資格が得られます。
社会人、主婦から准看護師を目指すことも可能です。この場合、准看護学校または専門学校に通い、2年の課程を修了する必要があります。全日制と半日制(平日午後/夜間)の2つの課程があるため、生活スタイルに合わせて選択可能。働きながらの通学もでき、転職としても目指しやすいでしょう。
それぞれ必要な課程を修了したのち、准看護師試験に合格することで、晴れて准看護師として活躍できます。
准看護師試験
教育課程の修了、または修了見込みがある場合、准看護師試験の受験資格が得られます。試験は年に1回、47都道府県で2月〜中旬に実施。試験日は各都道府県で異なるため、同年で複数回の受験が可能です。
試験内容
試験では以下の13科目から、全150問が出題されます。
人体の仕組みと動き/食生活と栄養/薬物と看護/疾病の成り立ち/感染と予防/看護と倫理/患者の心理/保健医療福祉の仕組み/看護と法律/基礎看護/成人看護/老年看護/母子看護および精神看護
試験は都道府県ごとに実施されているため合格基準は一律ではありませんが、およそ60%以上の正答率が確保できれば合格できます。
全て教育課程で学ぶ基礎であるため、試験前にしっかりと対策すれば合格も難しくありません。
合格率
「令和4年度准看護師試験の実施状況」によると、試験の合格率は97.9%です。受験者数1万3,831人に対して、1万3,544人が合格しています。例年合格率は96〜98%ほどと高い水準をキープしているため、難易度は高くないでしょう。
准看護師の仕事内容
准看護師の主な仕事内容は以下の通りです。
血圧や体温などのバイタルチェック/点滴、注射、採血/手術、診療補助/患者さまの食事、排せつ、食事介助/患者さまの移送/ナースコール対応/カルテ記入 など
准看護師の仕事内容は、基本的に看護師と同じです。しかし、准看護師はこれらの業務を自らの判断で実施できません。医師または看護師の指示が必要です。
准看護師の給料
平均年収(全体) | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
---|---|---|
418.1万円 | 427.0万円 | 417.0万円 |
※賞与、残業代、各種手当含む
上記は厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」による准看護師の平均年収です。
給料は勤務先の規模や経営状況、夜勤の有無や経験年数などにより変動します。一般的な職種と同様に、経験年数や年齢を重ねるとともに給料やボーナスも増えていく傾向にあります。
また、派遣やアルバイト・パートとして働く准看護師も多いです。厚生労働省の同調査によると、平均時給は約1,591円です。時給の水準としては高く、派遣ではスキルに応じて時給2,000円以上のケースもあります。
准看護師の資格を取得するメリット
准看護師の資格は、看護師と比べて短期間で取得できることや受験回数が多いといったメリットがあります。具体的なメリットについてみていきましょう。
短期間で資格が取得でき、費用を抑えられる
准看護師は、正看護師と比べると短期間で資格取得を目指せます。正看護師は3〜4年間の履修が必要ですが、准看護師は最短2年間で取得可能。費用も必然的に安く済むため、短い期間でリーズナブルに資格を取得したい方におすすめです。
同年に2回受験できる
准看護師の試験は、47都道府県で実施されています。別の都道府県であれば年に2回の受験が可能です。1年に1度しか試験を受けられない正看護師と違い、合格するチャンスが増えるでしょう。
試験の合格率も96〜98%と高いため、着実に資格取得を目指しやすいといえます。
働きながら資格取得ができる
准看護師の資格は、仕事をしながら取得を目指せます。2年間の准看護師養成所には、全日制と半日制の2種類の通学スタイルがあります。全日制は1日中授業を行う形式で、半日制は平日午後や夜間など特定の時間帯のみ授業を行うスタイルです。
「准看護師資格の勉強に専念する」「今まで通り仕事をしながら学校に通う」など、ライフスタイルに合わせて選べるため、無理なく資格を取得できるでしょう。
准看護師の資格を取得するデメリット
准看護師資格を持っていると、就職先の選択肢が広がります。基本的には、メリットの方が多いでしょう。
しかし准看護師は、看護師と比べて給与が低い傾向にあります。そのうえ、看護師と同様のハードな仕事をこなさなければなりません。患者の命に直結する仕事として、大きな責任が伴います。准看護師には夜勤もあり、労働時間が不規則になりやすい点も注意が必要です。
准看護師の働き方
准看護師は正看護師に比べて資格取得までの課程も短く、社会人からでも目指しやすい職種といえます。准看護師になったのちに正看護師へとキャリアアップすることも可能であるため、将来的に長く働き続けやすいでしょう。
また、准看護師は病院や診療所以外にも介護施設や福祉施設などで働けます。介護や福祉の施設で働く場合、そのサービスによって勤務形態はさまざま。日勤のみ希望、パートタイム希望などライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
准看護師の主な職場
施設 | |
---|---|
1位 | 病院 |
2位 | 診療所 |
3位 | 助産所 |
4位 | 介護保険施設等 |
5位 | 社会福祉施設 |
准看護師の職場でもっとも多いのは病院です。ついで、診療所や助産所といった職場への就職が目立ちます。
病院は病床数が多くさまざまな診療科があるので、配属先ごとに専門知識や経験を培える可能性が高いでしょう。診療所は診療科目が限定されますが、採血や問診などの一般的な看護技術が学べる傾向に。夜勤が少ない点も、育児や介護世代から人気の要因と考えられます。
准看護師の将来性
准看護師は、戦後急激に需要が増えた看護師確保に対応するために生まれました。当時は女子の高校進学率が低く、正看護師の拡充が難しい時代。そこで、中学卒業後2年課程を受けて試験に合格すれば、資格が取得できる「准看護師」が作られ、現在もその名残が継続しています。
現在、医療・介護・福祉を支える看護職のうち、約4割は准看護師です。高齢化社会が進むなか2025年には約6〜27万人の看護職員が不足すると推計されており、今後看護職のニーズはさらに高まる可能性が。地域医療や介護施設などで准看護師の果たす役割は大きいといえるでしょう。
一方で、現在の医療現場では医師の負担を軽減するなどの理由から、一定の職域の範囲で看護職員の自立性が求められています。
厚生労働省は正看護師と准看護師の一本化を提言していることもあり、将来的には試験体制や要件など変化する点が出てくるかもしれません。しかし慢性的な看護師不足と今後も需要が高まる背景から、廃止になることは考えられないでしょう。
変化が予測されるとはいえ、准看護師は将来性がある職種といえます。
准看護師の特徴を知り、自分に合った方法で資格取得を目指そう
護師は、医師や看護師の指示のもと看護業務を行う職種です。中学卒業後2年課程の准看護師養成所で履修し、試験に受かれば准看護師資格を取得できます。正看護師よりも試験の難易度は低く、最短2年で取得できる点は魅力です。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。