准看護師とは?資格の定義や仕事内容・正看護師との違い・目指し方を簡単解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2025/05/27
公開日:2021/02/12
准看護師とはどんな職業なのでしょうか。名前は聞いたことがあるけれど、具体的に何をする資格なのか分からないという方も多いでしょう。今回は看護師との違い、資格取得の方法、仕事内容など、准看護師について詳しく解説していきます。看護職のキャリアを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
准看護師とは?
准看護師とは、医師または看護師の指示のもと、診療の補助や患者さんの生活支援を行う医療従事者です。都道府県知事が認定する資格であり、医療機関や介護施設において重要な役割を担います。
准看護師は、国家資格である看護師とは異なり、業務における判断・対応には制限がありますが、地域医療や高齢化社会において欠かせない人材です。試験を受けるには、中学校卒業資格を有し、2~3年の課程で1,890時間以上の教育課程を履修する必要があります。
准看護師と看護師の違い
准看護師 | 看護師 | |
---|---|---|
免許・資格 | 都道府県知事が発行する免許 | 厚生労働大臣が発行する免許 |
受験資格を得るための学修過程 | 1:中卒資格を取得 2:2〜3年課程で1,890時間以上を履修 |
1:高卒資格を取得 2:3〜4年課程で3,000時間以上を履修 |
仕事の権限 | 医師や看護師の指示のもとでのみ看護ケアや医療行為ができる | 自己判断で看護ケアや医療行為ができる |
給与 | 看護師と比較して低い | 准看護師と比較して高い |
准看護師と看護師の違いは、保有免許や仕事の権限、給与などです。准看護師の免許は都道府県知事が発行しますが、看護師免許は厚生労働大臣が発行します。
また、准看護師と看護師の仕事内容は基本的に同じです。ただし、自己判断で看護業務や医療行為ができる看護師と違い、准看護師は医師や看護師の指示がなければ業務を行えません。よって給与面においても、看護師より准看護師の方が低い傾向にあります。
准看護師の仕事内容【できること・できないこと】
准看護師ができること | 准看護師ができないこと |
---|---|
・バイタルサインの測定(体温・血圧・脈拍など) ・食事、入浴、排泄など日常生活の介助 |
・医師や看護師の指示なしに独自の判断で医療行為を行うこと ・看護計画の立案や看護師への指示 |
准看護師の仕事内容は、基本的に看護師と大きな違いはありません。バイタル測定や処置の補助、生活介助など多岐にわたります。
ただし、業務の実施にあたっては、必ず看護師や医師の指示を受けて対応する必要があります。対応する業務そのものは同じでも、自らの判断で実施できる範囲が限られている点が、准看護師と看護師の大きな違いです。この違いが、業務上の責任範囲や役割の線引きとなっています。
准看護師の1日のスケジュール例
【日勤のシフト・スケジュール例】
時間帯 | 主な事内容 |
---|---|
8:30 | 出勤 |
9:00 | 午前の診療がスタート 看護師や医師の指示のもと、診療補助や問診、バイタルチェックなどを行う |
12:00 | 午前の診療が終了 |
12:30 | 休憩 |
14:30 | 午後の診療がスタート 午前に引き続き、診療の補助等を行う |
18:00 | 午後の診療が終了 器具の洗浄・滅菌などを行う |
18:30 | 退勤 |
【夜勤のシフト・スケジュール例】
時間帯 | 主な事内容 |
---|---|
16:00 | 出勤 |
16:30 | 申し送り |
17:00 | 夕食の介助、口腔ケア、排泄介助など |
21:00 | 消灯、巡回 |
2:00 | 交代で仮眠 |
6:00 | 患者さんの起床 |
7:00 | 朝食の介助、バイタルチェック、口腔ケアなど |
8:30 | 申し送り |
9:00 | 退勤 |
准看護師のシフトは施設や診療科によって異なります。病院の病棟勤務の場合、夜勤もあります。日勤は朝から夕方まで、夜勤は夕方から翌朝までが基本です。
診療補助やケア業務、患者さんの対応など幅広い業務をこなす必要があります。自身のライフスタイルや希望に合わせた働き方ができる職場を探すことが重要です。
准看護師になるには?資格の取得方法
准看護師になるためには、養成学校等へ入学し、所定のカリキュラムの受講と准看護師試験に合格しなければなりません。ここでは、資格取得までの方法について解説します。
【最終学歴別】准看護師の資格を取得するルート
最終学歴 | 資格取得までの流れ |
---|---|
中学卒業 | 1.所定の学校へ入学する ・衛生看護科のある高等学校(3年) ※定時制の場合は4年 または ・准看護師養成学校(2年) 2.准看護師試験に合格する |
高校卒業 | 1.所定の学校へ入学する ・准看護師養成学校(2年) 2.准看護師試験に合格する |
准看護師の資格取得ルートは、最終学歴によって異なります。
中学卒業者は、衛生看護科のある高等学校(全日制3年・定時制4年)または、准看護師養成学校で2年間学ぶのが一般的です。一方、高校卒業者は、直接2年制の准看護師養成学校へ進学することができます。
また、高校卒業資格がある場合、看護大学や短大・専門学校で学びながら資格取得を目指すことも可能です。専門学校には、全日制に加え、平日午後や夜間に通える半日制課程もあるため、働きながらでも資格取得を目指すことができます。
いずれのルートでも、所定の課程を修了し、各都道府県が実施する准看護師試験に合格することが必要です。
准看護師試験の概要
受験資格 | 指定の准看護師養成校を卒業する(卒業見込み含む)必要がある。 |
---|---|
試験科目 | 「人体の仕組みと働き」「栄養」「薬理」「疾病の成り立ち」「保健医療福祉の仕組み」「看護と法律」「基礎看護」「成人看護」「老年看護」「母子看護」「精神看護」 |
試験方法 | マークシート方式(150問) |
出願に必要な書類 | ・受験願書 ・写真 ・写真用台紙 ・領収書を貼り付けた受験票 ・切手を貼った返信用封筒 ・卒業等証明書、卒業見込等証明書など、指定学校での修業を証明する書類 |
試験手数料 | 6,900円 |
准看護師試験は、年に1回、全国47都道府県で2月中旬ごろに実施されます。試験日は都道府県ごとに異なるため、同年内で複数の受験も可能です。
試験科目は「人体の仕組みと働き」や「基礎看護」「母子看護」など幅広く、マークシート方式で全150問が出題されます。出願時には、受験願書や証明写真、卒業証明書などの書類が必要。試験手数料は6,900円です。
准看護師試験の合格率
令和5年度の准看護師試験は、受験者数は12,726人、合格者数は12,499人で、合格率は98.2%でした。これは前年の97.9%から0.3ポイント上昇しており、例年通り高い水準を維持しています。とくに、看護師学校養成所の合格率は99.2%と非常に高く、准看護師学校養成所でも98.1%です。
准看護師の平均年収
平均年収(男女計) | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
---|---|---|
417.1万円 | 430.7万円 | 415.4万円 |
※賞与、残業代、各種手当含む
上記は厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」に基づく准看護師の平均年収です。年収は、勤務先の規模や経営状況、夜勤の有無、経験年数などによって異なりますが、男性の方がやや平気年収が高い傾向にあります。また、年収の推移については一般企業と同様に、経験を積み年齢を重ねることで徐々に増加していく傾向があります。
准看護師の資格を取得する3つのメリット
准看護師の資格は、看護師と比べて短期間で取得できることや受験回数が多いといったメリットがあります。具体的なメリットについてみていきましょう。
短期間で資格が取得でき、費用を抑えられる
准看護師は、正看護師と比べると短期間で資格取得を目指せます。正看護師は3〜4年間の履修が必要ですが、准看護師は最短2年間で取得可能。費用も必然的に安く済むため、短い期間でリーズナブルに資格を取得したい方におすすめです。
同年に2回受験できる
准看護師の試験は、47都道府県で実施されています。別の都道府県であれば年に2回の受験が可能です。1年に1度しか試験を受けられない正看護師と違い、合格するチャンスが増えるでしょう。
試験の合格率も96〜98%と高いため、着実に資格取得を目指しやすいといえます。
働きながら資格取得ができる
准看護師の資格は、仕事をしながら取得を目指せます。2年間の准看護師養成所には、全日制と半日制の2種類の通学スタイルがあります。全日制は1日中授業を行う形式で、半日制は平日午後や夜間など特定の時間帯のみ授業を行うスタイルです。
准看護師資格の勉強に専念する」「今まで通り仕事をしながら学校に通う」など、ライフスタイルに合わせて選べるため、無理なく資格を取得できるでしょう。
准看護師の主な活躍場所
順位 | 施設 |
---|---|
1位 | 病 院 |
2位 | 診療所 |
3位 | 介護保険施設等 |
4位 | 社会福祉施設 |
5位 | 訪問看護ステーション |
准看護師の主な就職先としてもっとも多いのは病院で、次いで診療所、介護保険施設などが続きます。病院は幅広い診療科や業務を経験できるため、スキルアップが望める環境です。診療所は比較的規模が小さく、基本的な看護業務に携わることが多いため、初任者にも適しています。近年では高齢化の影響から、介護施設や福祉施設での需要も高まっており、多様な働き方が選べる点も准看護師の魅力です。
准看護師になるのに向いている人の特徴
・人と接するのが好きな人
・体力に自信がある人
・協調性がある人
准看護師は、資格取得までの期間が比較的短く、社会人からでも挑戦しやすい職種です。正看護師へのキャリアアップも可能で、長期的な働き方を見据えて働けます。
人と接するのが好きな人や、体力に自信があり、協調性を持ってチームで働ける人には特に向いています。勤務先は病院・診療所に限らず、介護施設や福祉施設など多岐にわたるため、日勤のみやパートタイムなど、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができるのも魅力の一つです。
准看護師の将来性
准看護師は、戦後の看護師不足を解消するために創設されました。当時、女性の高校進学率が低く、正看護師の養成が難しかったため、短期間で資格を取得できる准看護師制度が導入され、その伝統は今も受け継がれています。
現在、医療・介護・福祉分野で働く看護職の約4割を占める准看護師は、とくに高齢化社会においてその役割がますます重要です。准看護師の廃止問題なども上がっていますが、今後も一定の需要が期待できる職種と言えるでしょう。
准看護師に関するQ&A
ここでは、准看護師に関するよくある質問をまとめました。准看護師に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
Q.准看護師の資格は廃止が予定されている?
A.現時点では、准看護師資格の廃止について具体的な決定はありません。
厚生労働省は、正看護師と准看護師の一本化を提言していますが、具体的な廃止時期や詳細な制度変更については未定です。看護職の需要は高まっており、准看護師は地域医療や介護現場で重要な役割を担っています。廃止の可能性は低く、今後も需要が見込まれる職種です。
Q.准看護師の資格を取得するデメリットはある?
A.就職先として選べる選択肢を広げることが可能です。
准看護師資格を持っていると、就職先の選択肢が広がります。基本的には、メリットの方が多いでしょう。
しかし准看護師は、看護師と比べて給与が低い傾向にあります。そのうえ、看護師と同様のハードな仕事をこなさなければなりません。患者の命に直結する仕事として、大きな責任が伴います。准看護師には夜勤もあり、労働時間が不規則になりやすい点も注意が必要です。
Q.准看護師から正看護師になるには?
A.一定の実務経験を積み、看護師学校養成所を経て看護師国家試験に合格することが必要です。
准看護師としての実務経験を積んだ後、看護師学校養成所(全日制・定時制・通信制)に進学し、国家試験に合格することで正看護師資格を取得できます。中卒の准看護師の場合、全日制(2年)・定時制(3年)の看護師学校養成所に進学するには、3年以上の実務経験が必要です。また、5年以上の実務経験がある准看護師は、通信制(2年)への進学もできます。資格取得により、業務範囲や給与面での向上が期待できます。
Q.准看護師と介護福祉士、今から目指すならどちらがおすすめ?
A.両者は異なる役割を持つ職種であり、個人の適性やキャリアプランによって選択をするのがおすすめです。
准看護師は、主に医療現場での看護業務を中心に、介護福祉士は高齢者や障害者の生活支援を行うのが大きな違いです。医療行為に興味があり、医療現場でのキャリアを築きたい方は准看護師が適しています。介護福祉士は、より生活支援に特化した業務を希望する方におすすめです。
准看護師の特徴を知り、自分に合った方法で資格取得を目指そう
准看護師は、医師や看護師の指示のもと看護業務を行う職種です。中学卒業後2年課程の准看護師養成所で履修し、試験に受かれば准看護師資格を取得できます。正看護師よりも試験の難易度は低く、最短2年で取得できる点は魅力です。
「ソラジョブ介護」では、准看護師をはじめ介護業界の求人を豊富に掲載しています。ライフイベントに合わせた働き方を求める方に、ぴったりの求人が見つかるので、ぜひ求人情報をチェックしてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。