かんたき(看護小規模多機能型居宅介護)とは|メリット・デメリット・仕事内容ついて
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/08/26
在宅での生活を希望する高齢者が増えた今、在宅介護をサポートする介護サービスも多く存在します。なかでも介護だけでなく、医療面も含めて在宅介護をサポートするサービスに「かんたき」があります。今回はかんたきについて、サービスの特徴や働くスタッフの職種、仕事内容についてご紹介します。
目次
かんたき(看護小規模多機能型居宅介護)とは
看護小規模多機能型居宅介護、通称「かんたき(看多機)」は「訪問介護」「通所」「短期入所」の介護サービスに加えて、「訪問看護」を提供する介護保険サービスです。医療依存度の高い要介護者が、できる限り在宅生活を継続するために支援します。つまり、かんたきは介護と看護が一体となったサービスです。
かんたきが提供するサービス
かんたきでは、介護と医療2つのサービスを提供します。
介護 | 医療 |
---|---|
通所/短期入所/訪問介護 など | 胃ろう/人工肛門/膀胱留置カテーテル/インスリン注射/在宅酸素/人工呼吸器/吸引/中心性脈栄養管理/看取り など |
通所や短期入所、訪問介護は、小規模多機能型居宅介護でも提供されるサービスです。いずれの介護サービスも必要な時にいつでも受けられ、急な変更にも対応してもらえます。いつどのサービスを受けてもなじみのスタッフが対応してくれるため、利用者の安心にもつながる点が特徴です。
一般的に介護スタッフは胃ろうやインスリン注射、看取りなどの医療行為に対応できないため、医療依存度の高い要介護者はかんたきを利用します。介護に加えて、24時間365日いつでも医療サポートが受けられ、急な体調変化やケガなどにも対応してもらえます。医療依存度の高い要介護者だけでなく、退院直後の在宅復帰の受け皿としたい、住み慣れた自宅で最期を迎えたいという高齢者の要望に応えられるサービスです。
かんたきの対象者
かんたきを利用するには、下記の基準を満たしている必要があります。
・要介護1~5の認定
・事業者と同じ市町村に住んでいる
利用する際には、担当のケアマネージャーに相談し、条件に合う事業所を探します。条件に合う事業所が見つかり面談・契約まで完了したのち、サービスが開始。
また、かんたきを利用する場合、これまでの担当ケアマネージャーから、事業所専属のケアマネージャーに変更されます。
かんたきの定員
かんたきは柔軟かつきめ細やかなサービスを提供できるよう、事業所における利用者の定員数が決まっています。
1事業所あたりの定員 | 29名以下 |
---|---|
通いの定員 | 18名以下 |
泊まりの定員 | 9名以下 |
定員が決まっていることから施設内は顔なじみの利用者が多く、アットホームな雰囲気になりやすい点が特徴です。なじみの環境でなじみのスタッフからサービスを受けられることで、利用者の環境ストレスの軽減や安心感につながる点がかんたきの特徴であり魅力です。
かんたきの料金
かんたきは介護保険適用サービスであるため、要介護度に応じた月額定額制の料金形態です。そのため利用回数の増減にかかわらず、料金は一定となる点が特徴です
。 宿泊費や食費などの日常生活費は別途発生しますが、基本料金の利用者負担は原則1割、一定以上の所得がある場合は2~3割となります。具体的な料金は利用者の介護度やお住まいの地域によって異なりますが、小規模多機能型居宅介護でいえば、料金相場は10,000~100,000円ほどです。
かんたきで働くスタッフの職種や仕事内容
ここではかんたきの人員基準や働くスタッフの職種、仕事内容をご紹介します。
かんたきの人員基準
代表者 | 認知症対応型サービス事業解説者研修の修了者、または保健師か看護師 | |
---|---|---|
管理者 | 認知症対応型サービス事業解説者研修の修了者かつ常勤・専従の者、または保健師か看護師 | |
日中 | 通い | 常勤換算で3:1以上 (うち1人以上は保健師または看護師か准看護師) |
訪問 | 常勤換算で2以上 (うち1人以上は保健師または看護師か准看護師) |
|
夜間 | 泊まり | 時間帯を通じて2以上 (宿泊利用者がいない場合は配置なし可) |
訪問 | ||
看護職員 | 常勤換算で2.5以上 | |
介護支援専門員 | 1以上 |
かんたきは小規模多機能型居宅介護よりも、人員基準が手厚い点が特徴です。特に看護師の配置が手厚く、十分な医療体制を構築しています。
【職種別】かんたきで働くスタッフの数
平成27年の調査によると、かんたきの従事者数は常勤換算で14.3人でした。下記は職種別にみた、スタッフ数です。
介護職員 | 8.7 |
---|---|
保健師 | 0.0 |
看護師 | 3.2 |
准看護師 | 1.0 |
理学療法士 | 0.2 |
作業療法士 | 0.1 |
言語聴覚士 | 0.0 |
介護支援専門員 | 0.6 |
その他 | 0.6 |
介護職員と看護師を中心に、ケアマネージャー(介護支援専門員)と機能訓練指導員が配置されています。特に看護師の数は小規模多機能型居宅介護の3倍であり、介護業界で働く看護師の主な職場の1つとなっています。
かんたきの仕事内容
かんたきの仕事内容は「通所」「短期入所」「訪問介護」「訪問看護」の4つです。下記でそれぞれの具体的な仕事内容をみていきます。
通所・短期入所 | ・食事や入浴、排せつなどの介助 ・健康管理 ・レクリエーションや機能訓練の実施 ・送迎 など |
---|---|
訪問介護 | ・安否確認、健康チェック ・食事や排せつ、移動などの介助 ・掃除、洗濯、調理など生活援助 ・通院、外出介助 など |
訪問看護 | ・点滴や注射などの医療行為 ・医療機器の管理、指導 ・服薬管理、指導 ・床ずれや感染症などの防止 ・看取りケア など |
介護関連は介護スタッフ、医療関連は看護師や准看護師が対応します。特に介護関連はさまざまなサービスに対応していることから、仕事の幅が広い点が特徴です。介護と看護の一体化サービスであることから、介護スタッフと看護師の連携が非常に重要です。
かんたきで働くメリット・デメリット
ここではかんたきへの就職や転職を検討している方に向けて、かんたきで働くメリット・デメリットをお伝えします。
かんたきで働くメリット
・介護と看護の知識、経験が身につけられる
・1人ひとりに向き合った丁寧なケアが提供できる
1つの事業所で介護と看護両方のサービスを提供していることから、幅広い知識や経験が身につけられます。また、状況に合わせて適切な対応を取る柔軟性なども身につけることができます。
さらに、医療業界から介護業界へシフトチェンジした看護師も、幅広い介護サービスに触れられることで、今後のキャリアアップやスキルアップにも役立つでしょう。
そして、かんたきは小規模な施設であることから、1人ひとりに寄り添ったきめ細やかなサービスが提供できます。個別性の高いケアを提供し、長期的に利用者と関係を築いていきたいという方には最適な環境です。
かんたきで働くデメリット
・仕事の幅が広い
・早出や遅出、夜勤など変動的な働き方になる
一般的に介護サービスといえば通所は通所、訪問は訪問と分野ごとに分かれています。しかしかんたきは多機能型居宅系サービスであることから、複数の介護サービスを同時に提供します。そのため、仕事の幅も広く、覚えることも多い点は大変な部分です。
また24時間365日体制のサービスであることから早出や遅番、夜勤などが発生し、変動的な働き方となります。さらに看護師の場合は、オンコール対応も発生。そのため安定しない生活リズムの中で働くことになる点は、あらかじめ知っておくべきポイントです。
かんたき(看護小規模多機能型居宅介護)は介護・看護一体型のサービス
看護小規模多機能型居宅介護、通称「かんたき」は、通所・短期入所・訪問介護・訪問看護の4つのサービスを提供する地域密着型の介護サービスです。医療依存度の高い要介護者が、在宅での生活を継続できるようケアに徹するやりがいのある仕事です。 今記事を参考にかんたきの特徴や仕事内容などを押さえ、転職・就職の際の職場選びの参考としてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。