軽費老人ホームとは|種類やサービス内容、人員基準や求人例など
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/01/20
介護施設にはさまざまな種類があるため、就職・転職先選びの際に各施設の概要を押さえておくことがポイントです。老人ホームの一種である軽費老人ホームは、さまざまな事情で居宅生活が困難な高齢者が入居する施設です。
今回は軽費老人ホームについて、種類やサービス内容、人員基準や働くスタッフなどをご紹介します。
目次
軽費老人ホームとは
軽費老人ホームとは、高齢者がさまざまな支援を受けながら入居できる老人ホームの一種です。一般社団法人全国軽費老人ホーム協議会では、軽費老人ホームについて下記のように説明されています。
無料または低額な料金で、家庭環境・住宅事情・経済状況などの理由により、居宅において生活することが困難な高齢者を入所させ、食事その他日常生活上必要な便宜を提供する施設
軽費老人ホームの種類
軽費老人ホームは、地方自治体や社会福祉法人、医療法人などが運営する福祉施設です。自治体の助成のもと運営していることから、有料老人ホームよりも低額料金で利用できる点が特徴です。軽費老人ホームには、主に以下4種類の施設があります。
・軽費老人ホームA型
・軽費老人ホームB型
・軽費老人ホームC型(ケアハウス):一般型、介護型
・都市型軽費老人ホーム
近年、軽費老人ホームの設置基準が緩和したことで登場したのが、東京都や大阪府などの都市部を対象とした「都市型軽費老人ホーム」です。一方でA型とB型は、1990年以降新設されていません。2008年から基準をケアハウスに統一していることから、順次ケアハウスに一本化されており、今後は「ケアハウス=軽費老人ホーム」とされるでしょう。
軽費老人ホームの入居条件
以下は、種類別にみた軽費老人ホームの入居条件です。
軽費老人ホームA型 | 60歳以上(または夫婦どちらかが60歳以上) 自立状態にある、身寄りがないなど、一定の収入による制限 ※B型は自炊できることが条件 |
|
---|---|---|
軽費老人ホームB型 | ||
ケアハウス | 一般型 | 60歳以上、かつ身体機能の低下により自立した生活が難しく、家族から援助を受けることが困難な方 |
介護型 | 65歳以上、かつ要介護度1以上の方 |
軽費老人ホームA型・B型、ケアハウス一般型は年齢や身体状態における入居条件は同じです。また軽費老人ホームA型とB型では所得条件に制限があるため、所得の低い方の入居が優先的になります。ケアハウスは2種類とも所得制限はないものの、介護型のみ65歳以上かつ要介護度の条件があります。
前提として軽費老人ホームは、家庭や住宅などの事情で居宅生活が困難であると認められた場合に利用可能です。また、生活保護を受けている場合でも、軽費老人ホームへの入居は可能です。介護保険が利用できる施設であるため、ケアマネージャーや市区町村に相談して申請することで入居できます。
軽費老人ホームの費用
軽費老人ホームは収入に応じた減額があるものの、入居にあたり入居一時金と月額費用が発生します。入居一時金は施設によって異なり、0円のケースもあります。月額費用には、サービス提供費や食費等の生活費や家賃などが含まれます。下記は、種類別にみた費用相場です。
初期費用(保証金) | 月額費用 | |
---|---|---|
軽費老人ホームA型 | 0〜30万円 | 約6〜15万円 |
軽費老人ホームB型 | 約3〜4万円 | |
一般型ケアハウス | 約30万円 | 約9〜15万円 |
介護型ケアハウス | 数十万〜数百万 | 約6〜20万円 |
介護型ケアハウは介護サービス費用が含まれているため、他施設よりも費用が高くなります。他施設では外部の介護サービスを併用することも可能であるため、利用する場合には別途介護サービス費が加算されます。
軽費老人ホームと養護老人ホームの違い
心身状態や経済的な理由から居宅生活が困難な65歳以上の高齢者が入居できる施設が、養護老人ホームです。日常的に介護が必要なく、居宅生活が困難な場合は介護型以外の軽費老人ホーム、または養護老人ホームが入居の選択肢となります。ただし、養護老人ホームは、市区町村の「措置」によって入所させる特性を持ちます。
経済的な面が考慮されるという点では軽費老人ホームに類似しますが、養護老人ホームは介護依存度や医療依存度のない経済的に問題のある65歳以上の高齢者を対象としています。また養護老人ホームは認知症や精神的な障害がある方の入居にも対応している点は、軽費老人ホームとの違いです。市区町村によっては要介護であっても入居できますが、基本的には介護施設という扱いではありません。
【種類別】軽費老人ホームのサービス内容
ここでは、軽費老人ホームの種類別に提供されるサービス内容をみていきます。
軽費老人ホームA型・B型
自立状態にある方を対象とした軽費老人ホームA型とB型では、入浴準備や家事などの生活支援、日常生活における相談や緊急時の対応が受けられます。A型では1日3食の食事提供がありますが、B型では食事提供がありません。そのため、B型は住まいの提供と見守りなどの日常生活のサポートがメインとなり、食事は自炊する必要があります。そのため、自炊をはじめ身の回りのことは自分でできるが、独居が不安で見守りが必要といった場合にB型に入居します。
ケアハウス一般型・介護型
ケアハウス一般型は軽費老人ホームA型と同様に、食事提供から生活支援を含む日常的なサポートが受けられます。介護型は、加えて日常生活における介護や機能訓練が提供されます。サービスだけでみると軽費老人ホームA型と一般型ケアハウスは同じですが、ケアハウスは入居への所得制限がない他、身体機能の低下により自立した生活に不安があると認められ、かつ家族から援助が受けられない方を対象としている点が違いです。
軽費老人ホームの人員基準から見る働くスタッフと仕事内容
厚生労働省「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」によると、以下のような人員基準が設けられています。
施設長 | 1人 |
---|---|
生活相談員 | 入所者数120またはその端数を増すごとに1人以上 |
介護職員 | 一般入所者が30人以下で常勤換算1人以上 30人以上8人以下で常勤換算2人以上 ※介護型ケアハウス:入所者3人につき1人以上 |
栄養士 | 1人以上 |
事務員 | 1人以上 |
調理員 その他の職員 |
実情に応じた適当数 |
特定施設入居者介護に指定される介護型ケアハウスでは、看護職員や機能訓練指導員、ケア、マネなども配置されています。ここでは施設長、生活相談員、介護職員を抜粋して、各仕事内容をご紹介します。
軽費老人ホームで働く施設長の仕事内容
施設長は軽費老人ホームの管理職として、人事・労務管理やサービスの質管理、財務・収支管理などが主な仕事内容です。入居者に対するサービス提供はあまりなく、施設の運営に必要な管理業務を担当します。職員のシフト作成や育成、入居者やご家族からの要望・苦情などの対応も施設長の仕事です。さらに資金繰りや建物の設備管理など幅広い仕事を担当することから、さまざまな知識・スキルが求められる職種です。
軽費老人ホームで働く生活相談員の仕事内容
生活相談員の主な仕事内容は、軽費老人ホームの入所を検討している方や入所者の相談業務、入退所の手続き、地域との連携・調整です。介護型ケアハウスでは、施設内における介護計画書の作成も担当します。なかでもメインとなるのは入所相談や入退所の手続き、入所者の相談業務です。
軽費老人ホームで働く介護職員の仕事内容
メインとなる介護職員は、食事提供や入浴準備などの生活支援、レクリエーションの運営や緊急時の対応が主な仕事です。介護型ケアハウスでは、食事や入浴、排せつなどの身体介護も行います。介護型ケアハウス以外は施設内の介護職員が身体介護を行うことはないため、無資格からでも介護職員として働くことが可能です。また入居型の施設であることから夜間は宿直、または夜勤スタッフが配置されます。
軽費老人ホームの求人例
職種 | 介護スタッフ |
---|---|
仕事内容 | 軽費老人ホームでの見守りと生活支援のお仕事。
具体例 ケアハウス(軽費老人ホーム)は、高齢により自宅での生活に不安がある方のための、生活支援を受けながら暮らせる介護施設です。 比較的安価に入居することができ、生活の自由度も高いため人気。 |
給与 | 月給200,000円~ 夜勤手当別途支給(3,850円~4,750円/回)※資格による |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | (1) 07:00~20:00の間で実働8h (2) 16:00~10:00(休憩120分) 変形労働時間 |
応募資格 | 学歴不問、PCスキル不要、無資格OK |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、財形貯蓄制度、資格取得支援制度、ウェルカムバック制度 |
身体介護がないことから、無資格でも正社員介護スタッフに応募できます。原則スタッフは介護を行わず、主な仕事内容は見守りや生活支援となるため、身体的な負担が少ない点が特徴です。上記求人例のように資格取得支援制度があれば資格取得も目指しやすく、将来的なキャリアアップや転職にも役立ちます。
軽費老人ホームは高齢者が低額で利用できる居住施設
軽費老人ホームは、独居が不安な高齢者が低額で利用できる居住施設です。主に3種類の施設があり、介護型ケアハウスのみ介護サービスが付帯しています。それ以外は生活支援や見守り、緊急時の対応とサービス内容は共通しています。ぜひ今記事を参考に、軽費老人ホームの特徴やサービス内容などを押さえて就職・転職先選びに役立ててください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。