管理栄養士とは?栄養士との違いや仕事内容、資格について解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/06/27
管理栄養士とは、国家資格のもと栄養のスペシャリストとして人々の健康を支える仕事です。今回は管理栄養士とはどんな職種か栄養士との違いは何かを踏まえて、管理栄養士の仕事内容や勤務先、資格取得の流れなどを詳しくご紹介します。管理栄養士を目指したい、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
管理栄養士とは
管理栄養士とは、栄養士法第1条で以下のように定義されています。
管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、
傷病者に対する療養のために必要な栄養の指導
個人の身体状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導
特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等
を行うことを業とする者。
つまり、管理栄養士とは国家資格のもと、さまざまな状態の個人または集団に対して専門的な知識と技術を持って栄養指導・管理を行う仕事です。栄養のプロフェッショナルとして、さまざまな人の健康を支える役割を担います。
管理栄養士と栄養士との違い
管理栄養士と同分類の職種に栄養士がありますが、両者の大きいな違いは資格区分です。管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格である一方、栄養士は都道府県知事の免許を受ける資格であるため国家資格ではありません。栄養士は厚生労働大臣指定の栄養士養成施設で2年以上の課程を修了することで、都道府県知事の免許が受けられます。管理栄養士と栄養士の主な業務はほぼ同じですが、国家資格を持つ管理栄養士にしかできない業務がある点も違いの1つです。
【職場別】管理栄養士の仕事内容
管理栄養士の主な仕事内容は療養や健康保持・増進のための栄養指導、特定多数に対する給食管理・栄養指導です。ここでは、管理栄養士の仕事内容について詳しくみていきます。
栄養指導
健康な人への栄養指導だけでなく、傷病者の療養のため、生活習慣病などの健康リスクがある人に対する専門的な栄養指導に携わります。療養中に健康を損なわないための栄養指導・管理、健康被害のリスクがある方への食生活改善の指導を実施します。勤務先によって栄養指導の対象者は異なるため、ひとくちに栄養指導といってもさまざまな目的・手段で実施される点が特徴です。
給食管理
保育園や小中学校、医療機関や介護福祉機関など特定多数の人に対する給食管理を行います。具体的な業務は献立作りや食材の発注、調理スタッフへの指導、その人の状態に合わせた食事管理など。たとえば、保育園では子どもの年齢に応じた献立・調理方法を考えたり、病院であれば患者さん1人ひとりの病態に応じて献立や食事方法を管理します。
管理栄養士の勤務先
管理栄養士の勤務先は医療機関から介護福祉施設、教育機関や一般企業と多岐にわたります。一般社団法人全国栄養士養成施設協会「令和2年度:栄養士養成施設の卒業生の就職実態」をみると、卒業生の就職先は以下の通りです。
ここでは、管理栄養士の勤務先について詳しくご紹介します。
医療機関
医療機関では、主に患者さんの食事管理・栄養指導を行います。病院では、病気の治療・再発防止・合併症の予防を目指した食事を提供します。管理栄養士も医療チームの一員として、専門知識・技術をもって患者さんの健康を栄養面から支えます。
保育所・幼稚園・小中学校
保育所や幼稚園、小中学校での主な業務は給食管理です。子どもの年齢に合わせた栄養や調理法を考え、子どもたちが適切な食事を摂れるよう管理します。他にも、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけるための食育も管理栄養士の役割です。栄養教諭普通免許状を取得することで、栄養教諭として食育に携われます。
社員・学校食堂
企業や大学の食堂に勤務する管理栄養士は、栄養面を考慮した献立作りや社員・学生の健康づくりを支援します。栄養だけでなく、価格や幅広いニーズを考えなければならない点が小中学校などでの献立作りの違いです。
食品メーカー
管理栄養士の専門知識は食品開発にも活用されます。一般企業となるため、主な業務は企画や市場調査、研究開発や流通とさまざまです。栄養に関する知識をもとに、営業や広報として働くこともあります。
社会福祉施設・介護施設
特別養護老人ホームや児童施設、障がい者支援施設など特定多数の人が所属する施設で栄養指導・給食管理を行います。メインとなる業務は施設に入居する方の給食管理となり、1人ひとりの状態に合わせて適切な栄養・調理方法を考えて食事を提供。介護スタッフなどと連携し、栄養・食事面から健康をサポートします。
自治体
自治体で働く場合、主な所属先は保健所や保健センターです。自治体で働くには、自治体の地方公務員試験を受ける必要があります。地域住民の栄養相談・指導を行い、地域に密着した健康増進を図ります。
スポーツ関連
民間のスポーツクラブやフィットネスクラブ、プロスポーツチームやアスリートの専属として栄養指導や食生活アドバイスを行います。スポーツ関連の現場では、体力強化や健康づくり、ダイエットを目的とした栄養指導を行う点が特徴です。
研究・教育機関
国や大学、企業の研究室で働く管理栄養士は、栄養・食に関する研究や管理栄養士の養成を行います。一般的な管理栄養士とは働き方が大きく異なりますが、間接的に国民の健康をサポートする重要な役割を担います。
管理栄養士になるには|資格取得の流れ
管理栄養士になるには、国家試験に合格して国家資格を取得する必要があります。ここでは、管理栄養士になるために必要なルートや国家試験の概要、合格率や難易度をご紹介します。
受験資格を満たすためのルート
管理栄養士国家試験を受験するには、以下いずれかのルートで必要課程を満たす必要があります。なお、管理栄養士国家試験を受けるには、栄養士免許の取得が必須です。
栄養士ルート | ▼高校卒業後、下記いずれかに進む ・養成施設(2年) ・養成施設(3年) ・養成施設(4年) ▼養成施設卒業後、栄養士免許を取得して実務経験を積む ・養成施設(2年)卒業の場合:3年以上の実務経験 ・養成施設(3年)卒業の場合:2年以上の実務経験 ・養成施設(4年)卒業の場合:1年以上の実務経験 |
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管理栄養士ルート | 高校卒業後、管理栄養士養成施設(4年)に進み、栄養士免許取得 |
栄養士ルートから管理栄養士を目指す場合、養成施設の修業年限に応じて栄養士免許取得後に実務経験を積む必要があります。一方管理栄養士ルートでは管理栄養士養成施設で4年間の課程を修了し、栄養士免許取得後すぐに国家試験が受けられます。
管理栄養士国家試験の概要
管理栄養士国家試験は例年2月下旬が試験日、3月下旬が合格発表のスケジュールです。直近2022年の試験は2月27日(日)が試験日、3月25日(金)が合格発表でした。試験は下記9科目から全200問が出題され、1問1点で合格基準は正答率60%前後です。
(ア) 社会・環境と健康
(イ) 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
(ウ) 食べ物と健康
(エ) 基礎栄養学
(オ) 応用栄養学
(カ) 栄養教育論
(キ) 臨床栄養学
(ク) 公衆栄養学
(ケ) 給食経営管理論
試験開催は、北海道・宮城県・埼玉県・東京都・愛知県・大阪府・岡山県・福岡県・沖縄県の全国9都市です。
管理栄養士国家試験の合格率・難易度
下記は、過去5年間の管理栄養士国家試験の合格率です。
平成30年 | 平成31年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
---|---|---|---|---|
60.8% | 60.4% | 61.9% | 64.2% | 65.1% |
例年合格率は60%台で推移しており、過去5年間では合格率が上昇傾向にあります。また新卒者の合格率は90%以上と高い一方、既卒者の合格率は20%前後と新卒者と比べてかなり低い合格率です。そのため、実務経験を積んだ後に国家試験を受ける場合はより一層の試験勉強・対策が必要です。
管理栄養士とは国家資格を持つ栄養のプロフェッショナル!
管理栄養士は国家資格のもと、専門知識・技術を持って栄養指導や給食管理を行う栄養のプロフェッショナルです。勤務先は医療機関から学校、一般企業や自治体、介護福祉施設と多岐に渡ります。どの勤務先においても、管理栄養士の役割は栄養面から人々の健康をサポートすることです。今記事を参考に、管理栄養士について理解を深めてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。