2027年度介護保険法をわかりやすく解説!過去の内容や今後の方針について
著者: ゲートウェイ
更新日:2026/07/22
公開日:2023/01/06

介護保険法とは、介護保険制度を運用するためのルールを定めた法律です。
介護保険制度は原則3年を1期とする介護保険事業計画に合わせて見直されており、必要に応じて介護保険法の改正も行われます。
本記事では、介護保険法の概要や2027年度に向けた制度見直しの方向性、介護職への影響などについて解説します。
目次
そもそも介護保険法とは
介護保険法とは、介護給付や予防給付など介護保険についての決まりを定めた法律のこと
介護保険法とは、介護給付や予防給付など介護保険に関するルールを定めた法律です。
高齢者の介護を社会全体で支えることを目的としており、40歳以上が納める保険料と税金を財源に介護サービスを提供しています。
介護保険制度は原則3年ごとに見直され、必要に応じて法改正も行われます。高齢化や介護ニーズの変化へ対応するためです。直近では2024年度に見直しが行われ、次回は2027年度に向けた制度見直しが議論されています。
【2024年まで】介護保険法改正の歴史

| 時期 | 主な改正点 |
|---|---|
| 第1期 (2000年) |
・介護保険制度が始まる |
| 第2期 (2003年) |
・介護報酬改定を中心に見直しが行われる |
| 第3期 (2006年) |
・介護予防の重視 ・地域包括支援センター創設 ・地域密着型サービスの創設 |
| 第4期 (2009年) |
・介護サービス事業者の法令遵守等の業務管理体制整備 |
| 第5期 (2012年) |
・地域包括ケアの推進 ・24時間対応の定期巡回サービスや複合型サービスなどの創設 ・医療的ケアの制度化 |
| 第6期 (2015年) |
・地域医療介護総合確保基金の創設 ・予防給付の地域支援事業への移行 ・低所得者の保険料の見直し ・自己負担額引き上げ(2割) ・特別養護老人ホーム入居者を中重度者に重点化 |
| 第7期 (2018年) |
・自立支援、重度化防止を制度化 ・介護医療院の創設 ・高所得層高齢者の利用者負担割合の見直し(2割から3割へ) |
| 第8期 (2021年) |
・所得段階に応じた保険料負担の見直し ・福祉用具レンタル価格の適正化 ・高額介護サービス費の見直し ・市町村の包括的な支援体制構築の支援 ・医療・介護のデータ基盤の整備の推進 |
| 第9期 (2024年) |
・介護情報基盤の整備 ・財務状況等の報告・公表制度の整備 ・介護サービス事業所等における生産性の向上に資する取組に係る努力義務 ・地域包括支援センターの体制整備 |
介護保険法は、高齢化や介護ニーズの変化に対応するため、段階的に改正が行われてきました。
これまで、介護予防の強化や地域包括ケアシステムの推進、自己負担割合の見直し、自立支援・重度化防止などが行われています。
利用者負担は、制度開始当初の1割から一定所得者は最大3割へ引き上げられました。
2024年度改正では、介護情報基盤の整備や財務状況の公表、ICT活用による生産性向上などが盛り込まれました。持続可能な制度の構築が重視されています。
2027年度介護保険法改正の主な方向性4つ
2027年度の介護保険法改正については、2026年5月時点ではまだ議論中です。
しかし、2025年12月25日に開催された社会保障審議会介護保険部会では、制度見直しに向けた意見が取りまとめられました。
詳しい内容は今後決定されますが、ここでは現時点で示されている改正の方向性について解説します。
人口減少・需要変化に対応したサービス提供体制の構築
【具体的な改正の方向性】
・医療・介護ニーズの増加を踏まえた連携体制の強化
・地域ごとの需要変化を見据えた介護資源の再編・最適化
・中山間地域や人口減少地域におけるサービス維持への支援
2027年度改正では、人口減少や需要変化に対応するサービス提供体制の構築が重視されています。団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、高齢者人口がピークに達する2040年に向けて医療・介護ニーズが上昇し、地域差が広がると想定されているためです。
厚生労働省では、地域を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」などに類型化し、実情に応じたサービス提供体制の構築を検討しています。
特に人材不足が深刻な地域では、事業所間連携やICT活用によるサービス維持の方向性が示されています。地域ごとの需要変化を踏まえた介護資源の最適化も重要な論点です。
地域包括ケアシステムの深化
【具体的な改正の方向性】
・医療・介護・住まい・生活支援の連携強化
・介護予防推進のための地域事業統合
・ケアマネジメントの質向上と業務負担の見直し
・ケアマネジャー受験資格の要件変更への議論
・高齢者施設における相談支援体制の適正化
・認知症高齢者や独居高齢者への地域支援強化
2027年度改正では、地域包括ケアシステムのさらなる深化に向けた見直しが議論されています。高齢者が住み慣れた地域で自立して生活できる体制を整えるためです。
医療・介護・住まい・生活支援を一体的に提供する体制強化に加え、認知症高齢者や独居高齢者への地域支援の拡充も重要な論点です。
また、ケアマネジャーの業務負担やケアマネジメントの質の向上、相談支援の在り方についても議論が進められています。業務の適正化やケアマネジメントの質向上を重視した制度整備が検討対象です。
さらに、ケアマネジャーの要件の変更についても議論がなされる予定です。
具体的には、従来の介護福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士などに加え、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師の有資格者が当該資格に基づく実務経験を積むことでケアマネ受験資格を得る方向で議論が進んでいます。なお、実務経験自体も従来の5年から3年に短縮する方向で議論されます。
介護人材確保・職場環境改善に向けた支援
【具体的な改正の方向性】
・介護人材の確保・定着支援の強化
・ICT・介護ロボット活用による生産性向上
・タスクシェア・タスクシフトの推進
・処遇改善や働きやすい職場環境づくりの推進
今後も継続してサービスを提供できるよう、人材確保や職場環境の改善を進める方針が示されています。
特に現場の職員不足への対応は急務です。少人数で生産性向上を目指すためのICT活用、介護士と介護助手間のタスクシェア・タスクシフトの推進などが検討されています。
また、介護ロボット導入による業務負担軽減や、処遇改善による定着支援も重要な論点です。
今後は、限られた人材でも質の高い介護を提供できる体制整備が求められます。
介護基盤の整備・制度の持続可能性の確保
【具体的な改正の方向性】
・給付と負担の在り方の見直し
・介護保険財政の安定化に向けた検討
・多様な介護ニーズに対応した基盤整備
・利用者負担や軽度者支援の見直し議論
2040年を見据え、今後も持続的に介護保険制度を運営するために、給付と負担の在り方の見直しも進められる方針です。
特に、高齢化による介護費増加を背景に、2割負担の対象者拡大や要介護1や2の比較的度合いの軽い方が利用する生活援助などのサービスの見直しについて議論される予定です。
一方で、地域によって介護需要や人材状況に差があるため、多様なニーズに対応できる介護基盤整備も重要な課題です。
今後は、利用者支援と制度の持続可能性の両立を重視した議論が進められます。
2027年度介護保険法改正による介護職への影響

2027年度の介護保険法改正では、介護現場の業務体制や働き方にも変化があると考えられています。特にICT活用の推進や多職種連携の強化は、今後の介護職にとって重要なポイントです。
ICT機器の活用やITリテラシーが一層求められる
生産性向上に向けた方針が進められる中、今後は介護現場でもICT機器の活用や業務効率化が一層求められる見込みです。
介護記録ソフトや見守り機器、介護ロボットなどの導入が広がる一方で、機器を正しく使いこなすためのITリテラシーも重要になります。
単に導入するだけではなく、現場業務の効率化につなげる活用力が求められる流れが強まると考えられます。
地域連携・多職種連携の強化が求められる
2027年度改正にともない、地域連携や多職種連携の強化がさらに求められる見通しです。
2040年に向けて医療と介護の複合ニーズが増えると見込まれるため、多職種間で連携して支援する体制が求められます。
ケアマネジャーや医療機関、地域包括支援センターなどと情報共有し、地域全体で利用者を支える体制が重視されます。
介護職に転職したい方必見!職場選びで見るべきポイント
・処遇改善への対応状況
・ICT機器の導入・活用状況
・教育体制の整備状況
・実際の現場やスタッフの雰囲気
法や制度の改正があっても働きやすい環境で就業するためには、職場選びの段階でいくつかのポイントを確認することが重要です。
特に、処遇改善加算への対応状況やICT活用、教育体制の整備状況は事前にチェックしておきたい項目です。
こうした制度見直しの方向性に対応している施設は、業務改善にも前向きな傾向があります。
また、実際の現場の雰囲気も確認し、職員間の関係性を見ることで、ミスマッチ防止につながります。
介護保険法改正に関するよくある質問
介護保険法改正は、介護サービスの利用者さんだけでなく、介護職や事業者にも深く関わる制度改正です。
ここでは、2027年度改正に関するよくある質問についてわかりやすく解説します。
介護保険法改正は何年ごとに行われる?
A. 介護保険制度は原則として3年ごとに見直され、必要に応じて介護保険法の改正も行われます。
高齢化や介護ニーズの変化に対応し、制度を定期的に見直すために3年を1期とする介護保険事業計画に合わせて介護保険法の改正も検討が行われます。
介護保険制度を持続するために介護サービス内容や報酬水準の変更などが議論されます。
介護保険法改正と介護報酬改定は同じ?
A. 介護保険法改正は制度全体の見直し、介護報酬改定は報酬単価の調整や見直しのことです。
介護保険法改正は法律・ルールの見直しであり、介護報酬改定は介護サービス事業所に支払われる「価格」の見直しです。どちらも臨時の改定があり得ますが、3年に1度の定期改定の検討においては同時に議論されます。ルールの変更と価格の変更は介護保険制度において両輪の役割を果たします。
2026年に介護保険制度の見直しはある?
A. 2026年度には、介護保険法の通常改正ではなく、令和8年度介護報酬改定として期中改定が実施されます。
介護報酬改定は原則3年ごとに実施されますが、制度の安定運用に向けて3年間の間に臨時的に改定が行われることがあります。これを「期中改定」と言います。2026年にはこの期中改定が行われます。
法改正で介護職の働き方はどう変わる?
A. ICT活用や多職種連携がより重視される可能性があります。
次期改正では、生産性向上や地域包括ケアシステムの深化が重要テーマとして議論されています。
そのため、介護現場ではICT機器や介護ロボットの活用が進み、業務効率化への対応が求められます。
また、医療職や地域機関との連携も一層重要となり、地域全体で利用者を支える働き方へ変化していく可能性があります。
2027年度介護保険法改正を理解して安心して働ける職場を選ぼう
介護保険法は、高齢化の進行や介護ニーズの多様化に対応するため、これまで継続的に改正が行われてきました。
2027年度に向けた介護保険制度の見直しでは地域包括ケアの深化や介護人材不足への対応、ICT活用による生産性向上などが重要なテーマになると考えられています。
制度改正の方向性を理解しておくことで、今後求められる知識や現場の働き方の変化にもスムーズに対応できます。
これから介護業界で転職・就職を考えている方は、教育体制や制度改正への対応状況にも注目しながら、長く働きやすい職場を選ぶことが大切です。
ソラジョブ介護では、未経験歓迎求人から制度対応が進む職場まで幅広く掲載しています。
今後を見据えた職場探しにぜひ活用してみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。
監修者プロフィール
川﨑 翔太
介護福祉士として介護付き有料老人ホームや医療機関で7年間勤務。ケアマネジャー資格取得後、地域密着型特養のケアマネジャーとして2年間勤務し、現在は居宅介護支援事業所で在宅高齢者のケアマネジメントに携わり、現役ケアマネジャーとして12年目を迎える。本業と並行し、介護・福祉分野を中心にWEBライターとして活動している。【保有資格:介護福祉士、介護支援専門員、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級】