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介護業界に迫る2025年問題とは?対策とあわせて解説

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2022/09/01

介護業界に大きく影響を与える「2025年問題」をご存知でしょうか。第一次ベビーブームの団塊世代が75歳に達し、人口の4分の1が後期高齢者となるのが2025年なのです。今回は来たる2025年に何が起こるか、2025年問題に向けてどんな対策が講じられているかをご紹介します。

2025年問題とは

2022年現在から3年後の2025年は、日本人口が大きく変動する年です。というのも、第一次ベビーブームである1947〜1949年に生まれた「団塊世代」が後期高齢者である75歳に到達する年であるから。現在でも少子高齢化社会が問題となっていますが、2025年は65歳以上の高齢者数が3,657万人、75歳以上が2,179万人となる見通しが厚生労働省から出されています。65歳以上の高齢者人口は全体の約3割、75歳以上の高齢者人口は全体の約2割を占めると予測されているのです。さらに、2025年から30年後の2055年にはそれ以上に高齢者人口が増加する見通しです。
団塊世代が75歳に到達し、それに付随して発生する介護・医療業界に起こる人材不足等の影響を2025年問題と呼びます。

介護業界における2025年問題|何が起こる?

ここでは、介護業界における2025年問題について解説します。2025年、介護業界では何が起こると懸念されているのでしょうか。

深刻な介護人材不足

厚生労働省によると2025年には253万人の介護人材が必要とされる一方で、約38万人の介護人材が不足するとの見通しが立てられています。
高齢者数の増加が介護人材の不足に大きく影響していますが、実は人材不足は介護業界に限った話ではありません。少子高齢化の日本では若手人材の確保が難しく、さまざまな業界で人材不足が課題となっています。しかし、その中でも介護業界は給与水準が低い、仕事自体が大変といった理由から特に人材確保が難しい業界と言われているのです。

介護難民の増加

介護人材の不足が続けば、必要な介護サービスの提供が滞り、介護難民が増加します。人材不足だけでなく介護施設の空きもなくなれば、居場所を失う高齢者も出てくるでしょう。全ての高齢者が家族や身内から介護を受けられるとは限りません。独居高齢者も年々増加傾向にあり、さらには内閣府のデータによると高齢者の貧困率は年齢とともに上昇しているのです。高齢になると職を得ることも難しいため、年々受給額が減少しても年金で生活するしかありません。また費用の安い公的な介護施設は入居待ちであることが多く、金銭的な問題からも必要な介護サービスを受けられない高齢者が増加してしまうのです。

介護財源の逼迫

日本の介護保険制度は、公費・保険料・利用者負担の3つから成り立っています。国の保険制度であることから利用者負担は約1〜3割となり、公費は国・都道府県・市町村の税金から、保険料は40歳以上の全ての国民が負担しています。つまり、介護財源の多くをまかなっているのは税金と40歳以上労働者の保険料です。税金と保険料は労働者人口が減少するほど確保が難しくなるため、少子高齢化が続くほど介護財源も圧迫されるのです。
しかしその一方で、介護サービスを必要とする高齢者が増加し続けます。かといって労働人口が増加するわけではないため、国や地方がまかなう税金、労働者が負担する税金は増加してしまうのです。

介護業界における2025年問題への対策

きたる2025年問題に向けて、国はさまざまな対策を講じています。ここでは、介護業界における2025年問題への対策についてみていきます。

介護職員の処遇改善

介護人材の確保が難しい原因の1つに、給与水準の低さがありました。そのため国は介護職員処遇改善加算を導入し、介護職員の段階的な給与アップを実施しています。給与以外の面でも、介護人材の確保に向けて以下のようにさまざまな取り組みが行われています。

介護業界参入促進 ●地域住民や学校生徒に対する介護や介護の仕事の理解促進
●若者・女性・高齢者など多様な世代を対象とした介護の職場体験
●介護未経験者に対する研修支援
●ボランティアセンターとシルバー人材センター等の連携強化
●介護事業所におけるインターンシップ等の導入促進
●将来の介護サービスを支える若者世代の参入促進
●介護福祉士国家資格の取得を目指す外国人留学生の受入環境整備 など
介護職員の資質向上 ●介護人材キャリアアップ研修支援
●各種研修に係る代替要員の確保
●潜在介護福祉士の再就業促進
●認知症ケアに携わる人材育成のための研修 など
労働環境・処遇の改善 ●新人介護職員に対するエルダー・メンター制度導入のための研修
●管理者等に対する雇用改善方策の普及
●介護従者の子育て支援のための施設内保育施設運営等の支援 など

介護人材確保のためのさまざまな施策を実現することで、将来的に介護職が働きやすい仕事の1つになることが期待されます。

介護職の離職防止に向けた取り組み

介護職は身体的負担が大きい点で、加齢や身体の故障により離職する人も少なくありません。そうした身体的負担の面からの離職を防ぐため、介護ロボットの導入やICT活用の促進が進められています。また、上記にもあるように介護施設内への保育施設設置や研修費負担など、さまざまな面から離職防止を図っています。

地域包括ケアシステムの構築

高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を送るために構築が目指されている地域包括ケアシステムは、2025年問題の対策の1つでもあります。なるべく在宅で生活が送れるよう地域が連携することにより、医療機関や介護事業者の負担軽減や医療費・介護費の抑制を図ることが目的の1つです。さらに、地域包括システムがあることで病気や要介護状態の予防にもつながり、重症化・重体化する前に適切な医療・介護が提供できるようになります。

公費負担の公平化

社会保障費にも影響を与える2025年問題に向けて、公費負担の公平化を図ることも対策の1つ。公平化に向けて大きく実施されるのは、所得見直しにより高所得者の保険料を上げることです。これまでも介護保険法改正で低所得者の保険料負担については軽減されてきましたが、今後はさらに見直しが強化されるでしょう。なお、後期高齢者の医療費は2022年10月より、一定以上の収入がある方を対象に窓口負担が1割から2割へと引き上げることが決定しています。

介護以外に影響する2025年問題

2025年問題は、介護以外にも大きな影響を与えるもの。ここでは、2つの分野における2025年問題についてみていきます。

医療業界における2025年問題

病院に行く頻度が多い高齢者が増加することで、医療費も増加します。現状、高齢者の医療費負担は原則1割となり、残りの9割は税金によってまかなわれています。税金は労働者が納めますが、労働人口が減少する一方で高齢者数は増加。財務省資料によると、予算ベースで46.6兆円だった医療費は、2025年に54.9兆円になるとの推計が出されています。少子高齢化の日本において、今以上の財源を税金から徴収するにも限界があるでしょう。 さらに、医療業界における2025年問題は介護業界と同じく人材不足の面にもあります。特に地方を中心に医療人材が不足しており、全国で平等かつ良質な医療が受けられない点が問題になりつつあります。また、重篤患者を受け入れるには設備が整った大病院が必要です。しかし医師不足や資金繰りの悪化から運営が難しくなっている病院も増えており、特に地方では重篤患者の受け入れが難しくなる状況が示唆されています。
介護費に加え医療費の圧迫、そして人材不足から全国どの地域でも高齢者が安心して老後を過ごすことが難しくなりつつあるのです。

社会保障費における2025年問題

医療費や介護費にも関連しますが、2025年は社会保障費の面でも問題が出てきます。特に問題となるのは、年金です。日本の年金システムは、高齢者の年金給付財源を現役世代の保険料からまかなう「賦課方式」を採用しています。そのため保険料を支払う現役世代が減少し、給付が必要な高齢者が増加する2025年以降は年金システムのあり方が懸念されています。受給者は増加し続けるため、保険料の引き上げや増税、年金受給額の減少などから調整されることで、日本の社会保障費は貧弱になってしまうのです。やっと定年を迎えても年金だけで生活することが難しく、そのせいで必要な介護費や医療費もまかなえないといった負のスパイラルに陥ってしまいます。

介護・医療業界に大きく影響する2025年問題!概要や今後の動きを押さえよう

団塊世代が後期高齢者に到達する2025年は、介護・医療・社会保障費の面で大きな影響を与えます。日本全体で労働人口が不足するなか、高齢者からの需要が大きい介護・医療は人材不足や財源の圧迫など影響が大きいもの。国は2025年問題に向けてさまざまな施策を講じているため、介護・医療従事者は概要や今度の動きを把握しておくことが求められます。

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ゲートウェイ

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異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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