介護業界の2025年問題とは?人材不足の影響やその対策
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/12/18
公開日:2022/09/01
2025年問題により、介護業界では深刻な人材不足が発生すると予測されています。介護職員の負担の増加や施設運営への影響に加え、厚生労働省が提示する解決策を紹介。本記事では、介護業界が直面する課題と対策、需要が高まる職業を詳しく解説します。
目次
2025年問題とは
2025年問題とは、1947~1949年生まれの団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の増加や働き手不足などの社会全体に多大な影響を与える課題のこと
2025年には75歳以上の高齢者が約2200万人(日本の人口の18.1%)に達し、介護保険サービスの需要が急増すると予測されます。これに伴い、厚生労働省は介護業界における「人材の確保」「施設の拡充」「ICTの導入」などの課題を提示しています。労働者の視点からは、過重労働や待遇改善の必要性が高まり、現場での対応が大きな焦点となります。
2025年問題による介護業界への影響
2025年問題により介護業界は深刻な課題に直面します。労働力不足や財政負担増大など、多岐にわたる影響が予測されています。
介護職員の不足
2025年度には介護人材が約37.7万人不足すると見込まれます。人口減少や低賃金、長時間労働といった厳しい職場環境が原因となり、既存職員の負担が増大しています。これが離職率の上昇を招き、サービス提供能力の低下や施設利用制限につながる悪循環が懸念されます。
社会保障費の増加と財政負担の増大
高齢者人口の急増により、医療費や介護費用が膨張し、国や自治体の財政が圧迫されています。現行制度では、急増する介護保険サービスの需要に対応しきれず、制度維持のリスクが高まり、抜本的な見直しが求められます。
地域格差の拡大
都市部では人材確保が比較的進む一方、地方では深刻な職員不足が問題となっています。医療との連携が不十分な上、施設や設備も不足しており、地方のサービス提供能力低下が高齢者の生活に大きな影響を及ぼしています。
認知症患者・要介護者の増加
2025年には認知症患者や要介護者の増加が予測されています。介護サービスの質が問われる場面が増え、専門的な支援の需要がさらに高まります。現場での対策強化が急務です。
介護難民の増加
介護施設の不足やサービスの受け皿が足りない状況により、必要な介護を受けられない「介護難民」が増加する可能性があります。こうした状況は、高齢者本人だけでなく、家族にも大きな負担を強いる事態を引き起こします。
介護業界の2025年問題への対策
政府ができる対策 | 施設・個人ができる対策 |
---|---|
・介護職員不足への対策 ・地域包括ケアシステムの推進 ・高齢者介護サービスの多様化と質の向上 |
・ICTとAIを活用した介護業務の効率化 ・ボランティアへの参加 ・介護業界の正しい知識の習得 |
2025年問題に向け、政府、施設、個人それぞれが連携し、具体的な解決策を実施することが求められます。
政府ができる対策
介護職員不足への対策
政府は介護職の待遇改善や教育支援を強化が急務となっています。賃金引き上げや研修制度の充実、外国人労働者の受け入れ拡大など、多角的な施策が求められます。また、離職防止のための労働環境改善も急務とされています。
地域包括ケアシステムの推進
政府は「地域包括ケアシステム」を推進し、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられる環境づくりを目指しています。医療、介護、福祉サービスを地域で一体的に提供する体制を整備し、支援の効率化と高齢者のQOLを向上していく必要があります。
高齢者介護サービスの多様化と質の向上
政府は、高齢者のニーズに応じた多様な介護サービスを拡充する必要があります。訪問介護や短期入所施設の拡充に加え、介護職員のスキルアップ支援を通じて、サービスの質を向上させ、利用者の満足度向上を目指しています。
施設/個人ができる対策
ICTとAIを活用した介護業務の効率化
施設や個人はICTやAIを活用することで、介護業務の効率化を図ることが可能です。電子カルテや見守りセンサー、介護ロボットなどを導入し、作業の簡略化や職員の負担軽減に取り組むことで、現場の効率を高めることが必要です。
ボランティアへの参加
地域社会における介護ボランティア活動への参加は、高齢者支援の重要な柱となります。家族や地域住民が支え合う仕組みを促進し、人的資源の不足を補完することで、介護業界全体の安定化につながります。
介護業界の正しい知識の習得
<施設や個人は、介護業界の最新知識や制度を学ぶことで、より効果的な支援が可能になります。特に介護に関わる家族や地域住民は、適切な知識を持つことで高齢者の生活支援に貢献できるようになります。
介護業界の2025年問題により需要が高まる職業
需要が高まる職業 |
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2025年問題により、介護業界では専門性を持つ職業の需要が急増します。各職種が担う役割を理解することが重要です。
介護福祉士
介護福祉士は、国家資格を持つ専門職として介護現場の中心的役割を担います。身体介護や生活援助を提供するだけでなく、他職種と連携し介護計画を作成します。高齢者人口の増加に伴い、サービスの質を確保する上で不可欠な存在です。
ホームヘルパー(訪問介護員)
ホームヘルパーは、高齢者が住み慣れた自宅で安心して生活を続けられるよう、訪問による介護サービスを提供します。日常生活の援助から身体介護まで幅広い業務を担い、地域社会における重要な役割を果たします。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーは、介護保険制度の中核を担い、利用者のケアプランを作成・管理します。介護サービス事業者や医療機関との調整役として、利用者の多様なニーズに応じた適切な支援を提供する責任があります。
看護職員
看護職員は、介護施設や訪問介護サービスにおいて高齢者の健康管理や医療ケアを担当します。特に医療的な処置や緊急対応が必要な場面でその専門性が求められ、介護との連携が重要となります。
生活相談員
生活相談員は、介護施設や地域で高齢者とその家族の相談窓口となり、入所やサービス利用を支援します。高齢者が抱える不安や課題に向き合いながら、福祉サービスの調整役を果たす職種です。
2025年問題に立ち向かう介護業界の担い手の一員へ
介護業界は、2025年問題によって人材不足や介護サービスの多様化が大きな課題となっています。しかし、同時にICTの導入や地域包括ケアシステムの推進など、新たな仕組みが次々と導入され、現場の環境改善や効率化が進んでいます。これからの介護業界は、挑戦と成長の場としての可能性を広げています。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。